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純「んーっ! ライブ楽しかったー!」
憂「わたし…感動しちゃった」
純「軽音部の五人凄かったよねー。いつもの何倍も輝いてたっていうか!」
憂「うん!」
純「熱意が凄いっていうか!」
憂「うんうん!」
純「MCはちょっとグダグダだったけど」
憂「うぅ…」
純「でも、十分楽しかったよね」
憂「うんっ! ほんと…よかったぁ」
純「さてと、これからどうしよう…」
純「軽音部にお疲れ様でも言いに行こうかな」
憂「うーん……ライブ終わりで疲れてるだろうし、やめたほうがいいんじゃないかな」
憂「それに、今は五人だけにさせておきたいし」
純「……まぁそうだね」
純「じゃあ私、ジャズ研の方に行ってくる」
憂「うん。私は一組に戻ってるね」
純「ほいほーい。じゃ」
憂「いってらっしゃーい」
憂「……ふぅ、さてと」
和「あら、憂じゃない」
憂「あっ、和ちゃ…和さん!」
和「いつもどおりでいいわよ、今は二人っきりなんだし」
和「憂もライブ見に来てたの?」
憂「もちろん!」
和「ふふっ、まぁ当たり前のことよね」
憂「和ちゃんは生徒会のお仕事まだあるの?」
和「ええ、最終日だからゴタゴタしててね」
憂「大変だね」
和「学際が終わっても後夜祭、後片付けがあるんだけど……ま、楽しくやってるわ」
和「特に三年生は、最後の最後まで楽しみたいみたい」
憂「そっか……三年生は今年で最後の学園祭だもんね」
和「ええ…私にとっても、唯たちにとっても」
和「だからライブもあれだけ盛り上がったのかもね」
憂「なんか…学園祭が終わって欲しくないなぁ」
憂「このまま学園祭が終わると、和ちゃん達までいなくなっちゃいそう……」
和「ふふっ、なにそれ」
憂「だって…もう三年生が学校にいられる時間って……」
和「そうね、もう半年もないのよね」
憂「……」
和「でも仕方ないわよ、わたし達が卒業しなきゃ憂は三年生になれないでしょ?」
憂「うん……」
和「お姉ちゃん離れ、できる?」
憂「できるよ……たぶん」
和「憂ならできるわよ。きっと」
憂「でもやっぱり…いやだなぁ」
和「もうこの子ったら。そんなんじゃ唯も笑って卒業できないわよ?」
憂「……そうだよね、ごめんね」
憂「……あっ」
和「どうしたの?」
憂「軽音部…来年梓ちゃん一人だ」
和「え?」
憂「ど、どうしよう。軽音部廃部なっちゃうの?」
和「廃部って……そういえば唯たちが卒業したら梓ちゃんだけになるんだっけ」
憂「う、うん」
和「そうね…新入生が入部して、部員の数が四人以上になれば廃部にはならないと思うけど……」
和「でも軽音部って人が寄ってこなさそうだから心配よね」
憂「どうしよう…梓ちゃん大丈夫かな」
和「憂が入部してあげればいいじゃない」
憂「え?」
和「部活、入ってないんでしょ? なら憂が軽音部に入ってあげたら?」
憂「私が…?」
和「ええ、憂なら楽器だってある程度練習すればできるでしょ?」
憂「そっか…私が入ればいいんだ」
憂「あっ、でも今はお姉ちゃんのお手伝いをしないと! 受験で忙しくなるし」
和「なら来年でいいじゃない。三年生になったら、軽音部に入部するの」
和「それでも遅くないと思うわよ?」
憂「そっか…そうだね」
和「まぁ憂が入部しても、あと二人足りないんだけど…」
憂「とりあえず考えてみることにする。ありがとね和ちゃん」
和「どういたしまして。じゃあ私、もう時間だから」
憂「うん、また後でね」
和「ええ、それじゃ」
憂「……」
憂「……」
憂「はぁ……でもやっぱり、終わって欲しくないなぁ」
・・・・・
純「なんだかんだで今日もあっという間に終わっちゃったなぁ」
純「学際終わったらすぐコンテストだし、ホントせわしない…」
後輩c「あっ……じゅ、純先輩」
純「あっ」
後輩c「今から部室に行くんですか?」
純「うん、最後に手伝おうと思ってね。そっちも?」
後輩c「はい、私も行こうかなって思って……」
純「じゃあ一緒に行こうよ」
後輩c「は、はい!」
純「そういえばごめんね、結局一緒に学際回れなくて」
後輩c「いえ、いいんです。気にしないでください」
純「来年は一緒に回ろうね」
後輩c「はい、楽しみにしてます」
純「あっ、そういえば軽音部のライブすごかったよー」
後輩c「えっ?」
純「もう超盛り上がってね、会場中熱気であふれてたの!」
純「澪先輩とかすっごいかっこよかったなぁ」
後輩c(澪先輩……さっきの黒髪のきれいな人……)
後輩c「……」
後輩c「あ、あの」
純「なに?」
後輩c「そ、その……変なこと聞いちゃうかも…しれないんですけど……」
後輩c「えっと……あの……」
後輩c「純先輩は……み、澪先輩のことをどれぐらい……」
純「?」
後輩c「え、えっと、ですからその……」
後輩c(私…なに聞こうとしてるんだろう……)
後輩c(自分でも分かんなくなってきちゃった……)
純「あっ、そういえば梓もがんばってたなー」
後輩c「え?」
純「同じクラスの友達も軽音部なの。梓ってギターやってる子」
純「その子も一生懸命やってて、かっこよかった」
純「私も早くああいう舞台に立って、ベース弾いてみたいなぁ」
後輩c「……」
純「私も負けてられないなー! がんばるぞー!」
後輩c「わ、私は……」
純「ん?」
後輩c「私は……純先輩はすごいと思います」
純「……へ?」
後輩c「いつも明るいし…優しいし……」
後輩c「物事もはっきり言えるし……迷わず行動するし……」
純「あ…あはは、そうかな?」
純(ほめられてるのかよく分かんないけど…なんか恥ずかしい)
後輩c「純先輩は…とってもすごいと思います」
後輩c「だから私……純先輩のこと――」
純「えっ……」
後輩c「純先輩のこと……お、応援します!」
純「お、応援…?」
後輩c「その……こんなこと変なのかもしれないですけど……」
後輩c「私なんかでも…純先輩の力になれたら嬉しいなって……」
純「……」
後輩c「あ、あの……迷惑ですよね、ご、ごめんなさい! その……あ、あの……」
純「ううん、嬉しいよ?」
後輩c「え……?」
純「まぁなんていうか、そういうこと言われるの初めてだから正直ちょっと戸惑ってるけど」
純「うん……そういうこと言われちゃったら、もうなんかさぁー」
純「あはは…さすがに照れちゃうって」
後輩c「純先輩……」
純「ほ、ほら早く部室行こ!」
後輩c「は、はい」
純「いやー、まいったなー。たはは」
後輩c「……」
後輩c(言えた……)
後輩c(言いたいこと、全部言えたわけじゃないけど……)
後輩c(少しだけだけど…それでも……自分の気持ち、伝えられた)
純「ほら、早く早く」
後輩c「はいっ!」
後輩c(今日は少しだけ……近づけた気がする)
後輩c(澪先輩や、他の誰よりも…ずっとずっと憧れの先輩に)
――ジャズ研 部室
純「来ましたー……」
先輩C「いいところに来た、早く着替えて手伝え」
純「え?」
先輩A「急にお客さんがいっぱい来ちゃってね、忙しいの」
純「わ、分かりました! 今準備を……」
先輩B「あっ、そうだ純。純は演奏の方手伝って」
純「わ、私がですか!?
先輩B「ほらほら、早く準備しな~」
純「は、はい!」
先輩A「……ねぇねぇ、ひょっとしてこの組み合わせって」ボソッ
先輩B「来年のレギュラーになるであろう子たちの演奏、一回聞いてみたいじゃん」
先輩C「あいつらがレギュラー……どうだろうな」
先輩B「ま、あくまで私が予想するメンバーだから」
純「ベースベースっと……」
同級生「じゅーん」
純「あれ? あんたもやるの?」
同級生「もっちろん。ドラムは私しかいないでしょうに」
純「大丈夫? しっかりやってよね」
同級生「純こそね」
「ドキドキするねー」
「はぁ…頑張らないと」
「準備できた?」
純「おっけー、ばっちり」
同級生「こっちもばっちぐー」
後輩c(純先輩…がんばって!)
「それじゃあ始めるわよ、ワン・ツー」
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―――
・・・・・・
先輩B「え~お疲れ様でした~。これにて、ジャズメイド喫茶は閉店となりま~す」
パチパチパチパチ!!!
先輩A「はぁ~…疲れたわね」
先輩C「まだ後夜祭が残ってるぞ」
同級生「ねぇ、どんぐらい儲かったのかな?」
純「さぁ…でもけっこう入ってたよね、お客さん」
同級生「余ったお金とか貰えないかなー」
純「余らないって」
後輩c「……」
後輩a「おつかれっ」
後輩c「あっ…うん、お疲れさま」
後輩b「高校の学園祭って意外と盛り上がるものね」
後輩a「もう意外とじゃなくて、かーなーり盛り上がったから」
後輩a「特にこの手…もう一生洗えない」
後輩b「……ちゃんと洗わないと明日から近づかないから」
後輩a「えー!!」
後輩c「あははっ」
後輩c(ほんと……今日は楽しかったなぁ)
純「お疲れっ」
後輩c「!!」
後輩a「あっ、お疲れ様でーす」
後輩b「お疲れ様です」
純「どうだった? 初めての学園祭」
後輩a「もうほんっと最高でした!」
純「私も今年はかなり楽しんじゃった。テンション上がりっぱなし」
後輩c「あ、あの…純先輩」
純「どした?」
後輩c「演奏、すごい上手でした!」
純「へへへー、毎日練習してますから!」
後輩c(やっぱり純先輩は…すごいや)
後輩c(今日は色々あったけど、本当に良い日だったなぁ)
同級生「なんか今年の山場は終わっちゃった感じだよねー。あー楽しかった」
先輩C「なにのんきな事を言ってるんだ」
同級生「え?」
先輩C「お前達…コンテストのこと忘れてるだろ?」
同級生「え……あっ」
純「わ、私は忘れてないです」
同級生「う、嘘だー! 純だって忘れてたんじゃないの!?」
純「そ、そんなわけないじゃん!」
先輩C「おい、なんでお前達二人とも私から目をそらしてるんだ」
純「い、いやー……」
同級生「そのー……」
先輩C「……まったく、出番が無いからって気を緩めるな」
先輩C「コンテスト出場はわたし達ジャズ研全員にとって最も重要なんだぞ」
先輩C「それを理解しないで腑抜けてるようじゃ、来年レギュラーなんて取れないぞ」
純「はい…すいません」
同級生「はい…心得ておきます」
先輩C「分かればいい」
先輩B「お~お~厳しいね~。今日は学園祭なんだし気楽にやろ~よ~」
先輩C「あのなぁ…お前部長だろ」
先輩B「さぁて、後夜祭にでも行こっと」
先輩A「今日ぐらい楽しくパぁーっと羽伸ばしちゃお、ね?」
先輩C「……はぁ」
純「それじゃあ私も行ってこようか……」
「……あれ?」
純「?」
先輩B「なになに、どうした~?」
「あの…メイド服が一着足りないんですけど」
先輩C「ちゃんと数えたのか?」
「は、はい」
「でも一着足りなくて…」
先輩A「どこかに紛れ込んでない?」
「見つからなかったです」
先輩C「なんで……」
先輩B「……女子高生が着たメイド服が突如消えた。これはまさか」
先輩A「と、盗難!?」
純「ええっ!?」
先輩B「う~む、事件のにおいがする」
先輩C「と、とにかく先生に連絡をするんだ! あと一応生徒会にも!」
純「は、はい!」
先輩C「一体誰がこんなことを……」
・・・・・
――更衣室
顧問「うーん……」
顧問「……」
顧問「……」
顧問「うんっ!」
顧問「私もなかなか似合うじゃん、メイド服!」
##17 おわり
最終更新:2011年09月28日 23:55