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31. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/07/28(木) 02:16:04.40 ID:JRBx9Veq0
→B:「……分かった。待ってるね」
      しょうがないけど、大人しく待っていよう。早く戻ってこないかな……?  部屋で待つ。


唯は頷き、部屋の中へと戻って行った。
いちごのことが心配でならなかったが、自分が付き添っても邪魔になるだけかもしれないと思い、じっと我慢する。
唯は、畳に腰を下ろし、体育座りをした。
両足を腕で囲むようにし、顔を埋める。
口からは自然とため息が漏れた。


唯「うう……不安だなあ」


いちごの体だけでなく、他にも思い浮かぶ心配事。
次々に浮かんでは、ため息となって消えて行く。


唯「どうしようー、どうしようー」


目を瞑りながら、何回も呟いてみる。
口に不安を出し続けていないと、ずるずると芋づる式に引っ張り出されていく様々な不安に、どうしようもなく体がもどかしくなってしまう。
嫌なことばかりが次々と頭に浮かびそうになり、唯はそれを振り切るようにぶんぶんと頭を振り回す。


唯「……だいじょうぶっ、だいじょうぶだよっ!」


自らに言い聞かせるように語気を強くした瞬間、部屋に近づいてくる足音が聞こえてきた。


唯「あっ、姫ちゃんかな?」


32. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/07/28(木) 02:16:30.57 ID:JRBx9Veq0
顔だけドアに向け、扉が開くのを待つ。
足音はドアの前で止まり、どこか遠慮がちにこんこんとノックをした。
それから、ゆっくりとドアノブがひねられ、扉が開いた。


律「いちごー?  えーと、大丈夫か?」


律の姿を認めた途端、唯は驚きで固まった。
律もドアノブを握りながら、目を大きくして唯を凝視している。


唯「り、りっちゃ……」

律「……いちごは?」

唯「いちごちゃん?」

律「……下で姫子に会って、いちごの見舞いにいくように言われたんだよ」


唯は、なんとか律と会話ができていることに心から安堵した。
律は、唯を見てから、何となく居心地が悪そうにしている。


唯「え……っ?  あ、あれ、なんでだろ」

律「……なにが」

唯「だって、姫ちゃんはいちごちゃんを先生たちの部屋まで看病に連れて行ったから……」

律「は、はああ!?  姫子、あいつ何言って……お前は、なんでここにいるんだよ?」

唯「えっ?  いや、姫ちゃんにここで待っているようにいわれたから……」

律「……あのヤロー……」


律が恨み事をこぼす様子に、唯も少し萎縮してしまう。
キイ、という音が聞こえてぱっと顔を上げると、律が躊躇いながらも後ろ足に歩を進めて部屋から出て行こうとしていた。


唯「あっ……」


唯は、思わず声を漏らした。


*選択肢*

A:「わ、私が頼んだの!  りっちゃんと二人きりにしてほしいって!」
      全くの嘘だけど、ここで引き留めなきゃ姫ちゃんたちにも悪いよ!

B:「……りっちゃん、待って!  お話ししたいよ」
      決めたんだもん。ちゃんとりっちゃんに伝えよう。

C:「……りっちゃん、ごめんね」
      思わずぽろり。すごく心が寂しくなる……。涙がにじむ。

D:「いつまでも怒んないでよっ!  話を聞いてよ!」
      どうして行っちゃうの?  少し強めに呼びとめる。

E:「…………」
      どう声をかけていいか分からない……もうだめなのかな……?

F:「りっちゃん隊員!  待つであります!」
      こういうときだからこそ、前みたいに……。


35. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/07/28(木) 02:21:39.72 ID:o1rRRrqB0
>>1乙

今こそ仲直りの時
B
65. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/03(水) 01:53:06.30 ID:E/crlRHJ0
→B:「……りっちゃん、待って!  お話ししたいよ」
      決めたんだもん。ちゃんとりっちゃんに伝えよう。


姫子といちご。二人の後押しを受けるように、唯の口から自然に言葉がこぼれ出た。
すると、律の動きが止まり、じっと唯を見つめる。


律「……なんだよ。別に私は、お前と話すことなんてないぞ」

唯「……私には、あるの」

律「…………」

唯「わ、わたしっ、りっちゃんとこのままなんて嫌だっ」

律「…………」

唯「……ちゃんと伝えるから……お願い、聞いて」


決死の思いで強く律を見つめると、律は根負けしたように息をつき、唯から少し離れたところに座った。
唯も体育座りを崩し、正座して姿勢を整える。


唯「……りっちゃんっ」


唯は顔を上げ、思い切って口を開いた。


*選択肢*

A:「……いろいろ、ごめんなさい」
      とにかく謝るしかないかな……。頭を下げて謝罪する。

B:「……りっちゃん、私分かったんだよ」
      りっちゃんが怒っている理由。それを、ぶつけてみる?

C:「私、りっちゃんの気持ちが分からないの……だから教えてほしいよ……どうして怒ったの?」
      二人きりじゃないと聞けないよね。お願い……!

D:「えっと……その……あの……」
      いざ向かい合うと頭が真っ白に……どうしよう?

E:ぷるるるるるるっ。
    あれ?  携帯が鳴っている?  着信音が響き渡る。


68. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/03(水) 02:09:17.40 ID:E/crlRHJ0
失礼しました。
>>65の前にこの幕間が入ります。


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さわ子「……なるほどねえ。やるじゃない、若王子さん」


教師が寝泊まりする部屋で、横になっているいちごに笑いかけながら話す。
いちごの表情は、嘘のように晴れ晴れしく、健康な頬の色が増していた。


いちご「私もだけど……でも、律を誘導したのは姫子だから。姫子も曲者」

姫子「私は最後の後押しをしただけだよ!  主演女優賞はいちごでしょ。事情を知っている私でさえ、本当に悪化したかと思ったよ」


姫子がからかうようにいちごを覗きこみ、肘で軽く小突く。
いちごは、むうと口を尖らせる。


いちご「……まだ微熱があるから、仮病じゃない」

姫子「にしてもあれはオーバーだったような……どんだけ重症なのよって……いたっ!  ちょっとつねんないでよいちご!」

いちご「……主演女優賞っていったくせに」

姫子「まあ、確かに一芝居上手くいったからいいんだけどね。でもあれだけ重症のフリしちゃったら、唯みたいな子は信じ切っちゃうでしょ」

いちご「……思いっきり信じてた」

姫子「どうするの?  あれだけ重症な感じだったのに、ケロッとなって部屋に戻って行くわけ?」

いちご「……今は、部屋に戻っちゃだめ」

姫子「……分かってるよ。ということで先生、一晩お世話になりますね」

さわ子「もー、あなた達も世話が焼けるわねえ」

いちご「唯も、律もね」


さわ子が呆れたように笑いながら、二人分の寝るスペースを作る。
姫子、いちごはそれにお礼を言いつつ、思いを巡らせていた。

姫子「(……うまくいけばいいな……がんばれ!  唯!)」

いちご「(スマイルアゲイン計画……がんばれ、唯)」

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69. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県) 2011/08/03(水) 02:20:15.14 ID:HEmwf/omo
Bしかない
70. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/03(水) 02:33:08.03 ID:E/crlRHJ0
→B:「……りっちゃん、私分かったんだよ」
      りっちゃんが怒っている理由。それを、ぶつけてみる?


律「……分かったって……何がだよ?」


唯の強い目線に少したじろぎながらも、律もしっかりと顔を向き合わせる。
それが何だか嬉しくて、唯が不意に笑みをこぼすと、律は少し恥ずかしそうにしながらそっぽを向いた。


唯「……りっちゃんが、なんで怒っているのか……」

律「っ、別に……」

唯「だって、怒ってる、よね……?」

律「…………」

唯「前に、『なんでカリカリしてるの?』って聞いたら……『お前がっ……』て言っていたよね」

律「っ…………」

唯「私、分からなくて。どうして、私に怒っているんだろう、ってずっと悩んで……」

律「…………」

唯「す、すごく苦しくて、辛くって……」

律「ゆっ……」

唯「でも、ちゃんと考えてみたんだよ、どうして怒っているのか……だから、その」

律「……」

唯「私の答え、聞いてくれるかな……?」


おそるおそる律に尋ねると、律は何とも言えない表情で、こくりと頷いた。


唯「あのね……」


律が怒っている、根本の理由は?


*選択肢*

A:唯が好きだから。

B:唯が心配だから。

C:唯がムカつくから。

D:唯が怒っているから。

E:周りにムカついて、唯に八つ当たり。

F:単に虫の居所が悪かっただけ。


77. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/08/03(水) 05:27:55.02 ID:MupLfIJa0
乙乙、短くても更新あるとテンションあがるわ
先の選択では、ビーよりもエーのがより必死に律を引き留める感じで好感度あがったんだろうか?

もう長いこと楽しそうな唯律コンビを見てない気がするよ、先は長いしまずは仲直りだよね
てわけでB
120. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/13(土) 02:52:22.63 ID:M5t55xR+0
→B:唯が心配だから。


唯「……えっと……」


唯はそこでいったん言葉を切り、少し俯いた。
唯の遠慮がちな様子に、律も訝しげな眼をする。


唯「(……もしかしたら、全然違うかもしれない)」

唯「(私が、勝手にそう思っているだけなのかも!  ……しれない)」

唯「(ちょっと、うぬぼれなのかもしれない……でも)」


唯は顔を上げ、まっすぐ律を見つめた。


唯「(……でも、決めたんだもん。思っていることは、ちゃんとぶつけるって)」

律「……?  何だよ」

唯「……りっちゃんが、怒っていたのは」


そこで律も口をつぐみ、唯をまじまじと見る。


唯「……私を、心配してくれていたから……だよね」

律「……はっ?  し、心配って……」

唯「だって、元はといえば……りっちゃんが、悩み事はないのか?  って私に訊いてくれた頃から……ちょっと、変になっちゃったんだもん」

律「う………」

唯「……あのとき、上手く話せなくて、ごめんね」

律「な、なんだよっ……」


121. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/13(土) 02:52:54.39 ID:M5t55xR+0

口を尖らせて反論しようとした律だが、唯の真剣な目に息を飲む。
唯は律としっかりと目を合わせながら、少しでも気持ちが伝わるように、一文字一文字心をこめて言葉を紡ぐ。


唯「……いっつもりっちゃんといるのに、迷惑かけてばっかりなのに、何一つ話さなくてごめんね」


さわ子の考察を思い出しながら言う。


唯「……ずっと、りっちゃんとの時間を大切にできてなくて、ごめんね」


澪の励ましを思い浮かべながら言う。


唯「……りっちゃんは自分が部長だからって……人一倍、皆のことを分かろうとしてくれているのに……私、そういうりっちゃんの頑張りに気付けなかったよ……りっちゃんを、部長として頼りにできていなくて、ごめんね」


おばさんの話を頭に巡らせながら、言った。
唯は思いを口にしながら、ようやく全ての鍵が一本の線で結ばれたような気がした。
律を蔑ろにしていたわけではない。
けれど、律と本気で向かい合うことは、さほどなかった。
唯は、そのことを強く実感した。
律は唯から視線を外し、じっと考え込むようにして沈黙を貫いていた。
唯はそれにくじけないよう、姿勢を正し、改めて口を開く。


唯「……ごめんね、りっちゃん……私、その、りっちゃんがこんなに私のことを考えてくれているだなんて、思わなかったから……」


唯は、指先をもじもじとさせながら呟くように話す。
自惚れでも的外れでも、しっかりと言葉にしたかった。


唯「ごめんね、ごめんね、りっちゃん……それしかいえないけど……謝ることしかできないけどっ……」


唯の目元に、じんわりと涙がにじむ。


唯「でもね、私、りっちゃんとこのままはいやだよ……]


唯は、ずずっと鼻をすすり、拳を握りしめて、力のこもった声を出す。


唯「謝る以外に、どうすればいいか分からないけどっ、でもっ、私っ、がんばるから……りっちゃんを不安にさせないように、心配かけないようにがんばるからっ……だから……りっちゃんと、元通りになりたいよおっ!」


気持ちの丈をぶつけると、また律の沈黙が続いた。
静寂の中に、唯のしゃくりあげる音だけが響いた。
想いを伝えたのだから、後悔はしない。
それでも、ぴくりともしない律の気配に、唯は心が灰色に覆われて行くのを感じた。




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最終更新:2011年09月30日 01:12