- 364. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/29(月) 01:37:23.65 ID:Um09OLrk0
-
中庭での安らかなひとときも終わり、唯は午後の授業を何とかやり過ごすと、うーん、と勢いよく伸びをした。
あまりにも気持ちよさそうなその姿に、周りのクラスメイトからも笑みがこぼれる。
唯は頬をかきながら照れくさそうに笑い、きょろきょろと見渡す。
放課後に似つかわしく、窓から鮮やかな夕日が差し込んでいた。
唯「さて、今日はどうしようかな?」
*選択肢*
A:「よーっし! 久々に部活いこう!!」
そうと決まれば早速音楽室にごーごー!!
B:「……早く家に帰って寝ようかなあ……」
久々の学校だったしね。じゃあ下駄箱にいこっと。
C:「もう少し教室に残ろうかな。綺麗な夕日♪」
ちょっと乙女チックになりたいときもあるよ。教室に残る。
D:「特になにもないし、散歩でもしようかな?」
ふらふらと校舎内を歩く。たまにはいいよね!
- 365. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/08/29(月) 01:38:50.19 ID:prbV74tro
- C
- 373. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/29(月) 02:07:36.88 ID:Um09OLrk0
- →C:「もう少し教室に残ろうかな。綺麗な夕日♪」
ちょっと乙女チックになりたいときもあるよ。教室に残る。
唯は、自分の席からぼんやりと窓の向こうを眺めていた。
薄い水色をした空に、眩しくなるほどの夕日が顔を覗かせている。
唯「ふわー……綺麗」
唯は思わず感嘆の息をつきながら、ますます食い入るように見つめる。
いつも放課後は、部活に行くか、寝ているか、人と話しているかばかりだったので、こうしてまじまじと景色を見つめるのは初めてだった。
唯「……全然気づかなかったよー……」
唯「……なんかいいなぁ」
唯「……三年生の内に」
唯「……卒業するまでに……気づけてよかったなあ……」
心の内を、そのまま声に出すと、なんだか鼻の奥がつんとしてくる。
唯は鼻の頭を擦り、ほんの少し鼻をすすった。
満ち足りているけれども、どこか胸が詰まるような、そんな心地がしていた。
唯「……夕日さん綺麗……」
唯「…………」
唯「……早く帰ろう」
なんだか、それ以上は直視してはいけないような気がして。
唯は、窓から視線を外し、鞄をまとめ始めた。
ふと、人の気配を感じ、振り返る。
*選択肢*
A:すぐ後ろに立っていた。
わっ! なあに?
B:黒板の前にいた。
あっ……。
C:ドアの前で立っていた。
わ、そんなところで……。
- 376. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2011/08/29(月) 02:13:34.66 ID:NybVP0lLo
- Cがロマンチック
- 382. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/29(月) 02:54:26.04 ID:Um09OLrk0
- →C:ドアの前で立っていた。
わ、そんなところで……。
和「……唯?」
聞き覚えのある、優しく凛とした声がした途端、唯ははっとなって見つめ返した。
唯「……和ちゃん」
和「どうしたの? 部活は休み?」
唯「んー……ううん……」
和「どっちなの? そんなはっきりしない返事で……」
唯「んん……ぅん……」
和「…………」
すると、和は少しずつ唯のところまで歩いてきて、そっと肩に手を置いた。
唯が弾かれたように和を見るが、和は窓の向こうに視線を向けている。
和「綺麗ね」
唯「え……?」
和「夕日。見ていたんでしょう?」
唯「……うん」
ほんの少し鼻の頭が赤い唯を優しく見つめながら、時折夕日にも視線を移す。
二人の頬に夕日が優しく映り、紅の影をつくりだす。
和「唯、久しぶりに二人で帰りましょ」
唯「ふえ?」
和「ほら、早く支度して」
唯「の、和ちゃん、生徒会は?」
和「ふふ、たまには休んでもいいじゃない」
唯「和ちゃんが、ふ、不良に……」
和「唯のさぼり癖がうつったのかもね」
そう言って和はまた笑むと、自身も鞄を素早くまとめ、唯の横に駆け戻ってきた。
唯も慌てて教科書などをしまいこみ、和に並ぶ。
和「じゃあ、いきましょ」
唯「……えへへ、うん」
- 383. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/29(月) 02:54:55.10 ID:Um09OLrk0
-
二人は連れ立って、家路についた。
それから二人は何も話さないまま、黙々と歩いていた。
気まずいのではなく、何も話さなくとも二人の間には温かい空気が流れていた。
時折気になり横の和を見るが、特に気にした様子もなく和は歩き続けている。
唯が不思議そうな顔をすると、ふいに和が顔を向けてきた。
和「……どうしたの?」
唯「うっ、ううん! なんでもないよ……ただ」
和「ただ?」
唯「どうして生徒会を休んでまで一緒に帰ってくれたのかなあ、って……」
唯の言葉に、和はふっと笑い、当たり前のことのように答える。
和「別に理由なんてないわよ。昔はいつも唯と帰っていたじゃない」
唯「う、うん、そうだけどさ……」
和「……でもね、今日は……」
そこで和がいったん言葉を切り、また続けた。
和「そうした方がいいと思ったの。それに、私もそうしたかったのよ」
唯「和ちゃん……」
和「嫌だった?」
唯「そ、そんなことあるわけないよ!」
和「ふふ、そうね」
和やかに話しながら、二人は会話を続けていた。
*選択肢*
A:「……そうだ、あのね、私りっちゃんと……」
澪ちゃんの話によると和ちゃんも大変だったみたいだし。仲直りの報告をしよう。
B:「和ちゃん、最近どうしたの?」
バスのときにちょっと思ったんだけど……何かあったのかな?
C:「夕日を見ていてね、思ったんだ……」
なんであんな風に胸が苦しくなったのかな。和ちゃんに話してみよう。
D:「あのね、ちょっと相談に乗ってもらっていい?」
主に人間関係だけど……和ちゃんに相談したいかも。
- 390. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/08/29(月) 06:14:32.49 ID:Iz6mM4hQ0
- B
乙、そういや仲直りした後律と話してないんだな
- 400. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/08/31(水) 01:15:07.36 ID:jZ5usDkp0
- →B:「和ちゃん、最近どうしたの?」
バスのときにちょっと思ったんだけど……何かあったのかな?
唯が不意に口に出したその言葉に、和はきょとんとした。
和「どうしたの……って? 別にどうもしないわよ?」
唯「でも……ちょっと、変かもって」
和「……はぁ。変なのは唯でしょ」
唯「むー。そういう意味じゃないよお!」
和「じゃあ何よ?」
唯「うぅ……何って言われても困るんだけど……上手く言えないけど、なんていうか……」
和「もう、はっきりしなさい」
もごもごとする唯に、痺れを切らしたように和が言った。
唯「……バスのときとか、和ちゃん達が迷子になっちゃったときとか……その、和ちゃんが私に……」
和「ああ、お礼を言ったこと? それくらいは言うわよ。幼馴染だからって、感謝の気持ちを省略していいわけがないじゃない」
唯「……そうじゃなくてね、その……」
和「?」
唯「和ちゃん、なんだかその……ちょっぴり、寂しそうだったから」
和「……そんな、ことないわよ」
唯「でも……」
和「ほら、早く帰りましょ」
和がくるりと背を向け、どこか急いた様子で歩を進める。
唯はその背中を見つめ、口を開いた。
*選択肢*
A:「やっぱり、変だよ! 本当のこと教えて!」
和ちゃんに駆け寄って質問してみるよ!
B:「前にも言ったけど、私、和ちゃんが辛いときには力になりたいよ!」
いつも和ちゃんに頼ってばかりだもん……頑張るよ!
C:「嘘だよ……私、分かるもん。幼馴染だから」
和ちゃん、どうしたんだろう? 本音を聞きたい!
D:「……うん、分かったよ……変なこと聞いて、ごめんね」
無理強いはしたくないよ……もう少し時間を置いた方がいいかな?
- 410. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) 2011/09/01(木) 18:21:30.70 ID:tSYAjTLH0
- Cでー
1頑張れー
A0 B1 C5 D2
- 413. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/02(金) 00:57:46.15 ID:mCS2FOh00
- →C:「嘘だよ……私、分かるもん。幼馴染だから」
和ちゃん、どうしたんだろう? 本音を聞きたい!
ぽつり、と呟くような言葉に、和が振り向いた。
見ると、唯が固い表情で俯いている。
唯「私……普段おばかだけど……でも、和ちゃんの様子がいつもと違っているってことくらい分かるもん……」
和「唯……」
唯「私、役に立たないかもしれないけどね、でも……そういう和ちゃんを放っておけるわけないよぉ……」
和「…………」
唯「和ちゃん……」
唯が必死の思いで呼び掛けると、和は細く長く息をついた。
眉をハの字にしつつも、優しく唯に微笑みかける。
和「役に立たないなんてこと、ないわ」
唯「……ふえ?」
和「バスのときも、迷子になったときも……唯は私を助けてくれたじゃない」
唯「う、うん……?」
和「もう、変に謙遜しなくていいわよ。すごく感謝してるし、それに嬉しかったの……いつの間にか、唯がこんなに頼もしくなってて……」
唯「そ、そうかなぁ……?」
和「唯、本当に成長したわ……」
唯「……えへへ、和ちゃんにそういわれると嬉しいよう」
和「……それで、よかったのにね」
唯「えっ?」
和の顔に、薄く影が差していた。
それを見た唯は驚いて、口を噤む。
和「そうよ、唯が成長したことをただ喜んでいれば、それで……」
唯「……の、和ちゃん……?」
和「……唯」
すると、意を決したように和が顔を上げた。
その勢いに思わず唯はたじろぐ。
- 414. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/02(金) 00:58:17.35 ID:mCS2FOh00
-
和「あなたが成長して、嬉しかったのは本当なの。……それだけは信じて」
唯「う、うん」
和「でも……でも……恐かったの」
唯「こ、こわい?」
和「……恐いっていう言葉が合っているかどうかは分からないけど……でも、そんな気がしたのよ」
唯「…………」
和「……私の知らないところで、唯がどんどん頼もしくなっていって」
唯「……そんなこと」
和「……私の知らない唯が、どんどん増えていって……気づいたら、私の知っている唯がいなくなっちゃいそうで」
唯「和ちゃん……」
和「唯は甘えん坊なんだから、傍にいて私が手を引いてあげなくちゃって……ずっと、思っていたから……」
唯「い、今でもそうだよ」
和「……いつまでも、昔のままでいられるわけがないのにね」
唯「の、和ちゃ」
和「……やっぱり、恐いのかも……しれないわね」
唯「…………」
和「あなたが、変わっていくのが……」
唯「…………」
和「……唯が昔通りに振舞っていれば安心して、そうじゃなかったら寂しくて……そういう風に感じてしまう自分が……すごく嫌」
唯「っ、和ちゃん…………」
和「……くだらない話しちゃったわね。……忘れて頂戴」
- 415. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/02(金) 00:58:47.05 ID:mCS2FOh00
-
和が再び前を向いて歩きだす。
それに気付き、唯も少し急いて後を追った。
数分歩くと、ようやく唯の家の前までたどり着いた。
和が手を振るより先に、唯がぽつりと言葉をこぼす。
唯「……くだらなくなんて、ないよ」
和「えっ?」
突然の唯の言葉に、和が思わず訊き返した。
唯は明後日の方を向きながら、詩を朗読するかのようによどみなく続ける。
唯「……誰だって、変わることは恐いもん」
和「唯……?」
いつになく真剣実を帯びた唯の声に和は首を傾げるが、唯の視線が和に向けられることはなかった。
唯は、ただじっと夕日を見つめていた。
※核心はつきましたが、まだ和の心は晴れないようです。
最終更新:2011年09月30日 01:28