- 491. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/03(土) 12:30:48.68 ID:offcKDGI0
- →A:うーん、とりあえず、勘を頼りにりっちゃんの家へ!
不安な気持ちをぐっと押し籠めて、唯はわずかな記憶を元に、先へと歩を進める。
だんだんと闇が深くなるが、なるべく見ないようにして前を向き続けた。
唯「うぅ……怖いよう……やっぱり出なきゃよかったよぉ……」
今さら後悔しながら、唯は黙々と歩き続ける。
しばらくすると、住宅街にたどり着いたようだ。
様々な家々が並んでいるのがわずかに見える。
唯「真っ暗でよく分かんないなあ……どうしよう」
夜の中、唯は一人迷いに迷っていた。
*選択肢*
A:「もう、探すのは諦めよう……憂も心配しているだろうし、早く帰らなきゃ……」
近くに建つ家のインターフォンを押してみる。帰り道くらいは教えてくれるよね……?
B:「うぅ……りっちゃん……どこなんだろう」
涙を目一杯に溜めながら、その場で立ちつくしてしまう。
C:「今、どのあたりなんだろう……見渡せば分かるかなぁ?」
きょろきょろと辺りを見回し、現在地の確認を行う。
- 497. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/03(土) 12:40:28.50 ID:0HhMvAz9o
- あえてB
- 502. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/03(土) 14:11:57.47 ID:offcKDGI0
- →B:「うぅ……りっちゃん……どこなんだろう」
涙を目一杯に溜めながら、その場で立ちつくしてしまう。
唯「うっ、ひぐっ、ぐすっ、りっちゃん……りっちゃ……」
「……あのー……」
突然かけられた声に驚いて振り返ると、唯とさほど背丈が変わらない少年が華美を傾げて唯を見ていた。
唯は慌てて涙をぬぐい、鼻をすすってから「な、なに?」と訊ねる。
「その、今言っていた『りっちゃん』って……田井中律のことですか?」
唯「ひっ、ぐすっ、そうだけどっ……どうして?」
「この辺りで『りっちゃん』っていったら姉ちゃんくらいしかいないから……」
唯「え? 姉ちゃん?」
「あっ、いうの忘れてました! 俺、田井中律の弟で聡っていいます」
唯「えっ、ええええ!?」
唯は、泣きやむのも忘れて前に立つ少年の顔を凝視する。
確かに、雰囲気や目元が似ている気がしなくもない。
唯「似ている……? うーん、似てない……? どっちだろう?」
聡「そんなこと聞かれても……あ、あの、姉ちゃんの友達ですよね?」
唯「う、ん。 軽音部で一緒なんだ」
聡「……もしかして、『唯』さんですか?」
唯「ふえ! そうだけど、何でわかったの?」
聡「姉ちゃんがいっつも話しているから……『唯のやつー!』って」
唯「あ、あはははは……」
軽く雑談を終えると、唯は気になっていたことを口に出した。
唯「っていうことは……私、りっちゃんちの近くまで来てるんだね」
聡「すぐ近くですよ。今目の前にある家が澪ねえ……いや、近くの家なので」
唯「そ、そっか」
聡「あれ、来ないんですか? 姉ちゃんに会いに来たんじゃ……」
唯「で、でもりっちゃん私に会いたくないかも……」
聡「? でも、引き返すにしても道が分かりづらいし……いったん来るだけ来てみれば……その方が道案内もしやすいですから」
唯「う……うん、分かったよぉ」
- 503. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/03(土) 14:12:43.80 ID:offcKDGI0
-
聡について行く形で、唯は律の家へと歩いて行った。
数分もせずにたどり着いた。確かに記憶にある通りの律の家だった。
聡「上がってもいいですよー? 姉ちゃん、中にいると思うし……」
唯「えっ、えっ、でも……」
聡「どっちにしても道案内しなくちゃいけ」
ぺらぺらとよくしゃべる聡の言葉を遮るような大きな音が、家の中から聞こえてきた。
驚いて固まっていると、勢いよくドアが開く。
人影が弾丸のように飛び出してくる。
律「あっ、聡! ちょっと留守番しといて! すぐに戻るか……えっ、唯っ!!?」
唯「り、りっちゃん……」
聡「あ、ちょうどよかった……あのさ、姉ちゃん……」
続けようとする聡と、その横に立つ唯を凝視する律。
唯の目元が赤く腫れているのを認めると、聡をぎろりと睨みつける。
律「聡いいいいっ!!! お前人の友達に何したんだよ!!!」
聡「は、はああ? 何もしてないし!」
唯「(……『友達』……えへへっ)」
律「じゃあ、何で唯が泣いて……」
聡「迷って泣いていたから、連れてきただけだよ! ほ、ほら、唯さんもぼーっとしてないで何か言って……」
唯「(えへへ、嬉しいなぁ……)」
律「『唯さん』? いつそんなの知ったんだよ?」
聡「人の話くらい聞けよぉ!!」
てんやわんやの後で、ようやく唯と聡は事情を説明し、律を納得させた。
律「なんだよ、そういうことなら早く言えよな」
聡「ひ、ひでえ……ひどすぎる」
律「ご苦労。さっさと家の中入れ」
聡「ひどすぎる姉だよ……ううう」
- 504. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/03(土) 14:13:12.31 ID:offcKDGI0
-
恨み事を言いながら家の中へと退散していく聡を見届けると、律は唯に向き直った。
はーっ、と大きくため息をついて口を開く。
律「……迷ったくらいで泣くなっつーの」
唯「だ、だって色々不安で……りっちゃん、電話に出てくれないし……」
律「う……でも、そのあとで思い直してお前にメール送っただろ?」
唯「えっ? メール?」
律「なかなか返事が来ないから、携帯に電話かけても出ないし……」
唯「で、電話?」
律「……なんで知らないわけ? ていうか、こんな時間に何してたんだよ……何かあったのか?」
唯「じ、実は……携帯を家に置き忘れてきちゃったみたいで……ポケット探ってもなかったから……そっか、もう少し家で待っていればよかったんだ」
律「……え、携帯置き忘れた?」
唯「うん……電話がつながらないから、だったら直接りっちゃんに会いに行こうって思って……でも持っていくの忘れちゃって……」
律「あーっ、なんだよ、そういうことかよ……」
唯の言葉を聞くと、肩の力を抜いてその場でへたりと座り込む律。
呆れた表情ながらも、どこかに安堵したような笑みを浮かべていた。
唯「??? そういえばりっちゃん、どこかに出かけるところじゃなかったの?」
律「……もう済んだ」
唯「ふえ? なんで?」
律「……唯を探しに行こうと思ったんだよ」
唯「えっ?」
- 505. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/03(土) 14:13:44.18 ID:offcKDGI0
-
思いもよらない言葉に、唯は思わず訊き返す。
律は少し照れくさそうにしながらぽつりぽつりと話しだした。
律「……やっぱりまだ、お前からの電話出にくくて……でもこのままじゃいけないって思ってメールとか電話とかしたけど出ないしさ……」
唯「うぅ、ごめん……」
律「最初は唯、怒ってんのかなって思ってたんだけど……でも、そんなことで怒る奴じゃないって思い直してさ」
唯「(……そうだったんだ)」
律「じゃあ、何で出ないんだって思って……平沢家自体に電話かけたら憂ちゃんがでてさ、それで唯は出かけてるっていうし」
唯「あ、うちにまで電話かけてくれたんだ……」
律「もしかして、外で何かあって……襲われたりとかして、電話に出られなくなったんじゃないかって思ったらその、勝手に体が動いてさ」
唯「りっちゃん……」
律「で、泣きそうな顔しながら聡と一緒にいるのを見つけたから何があったんだと思ったら……単に携帯忘れただけかよ、まったく」
唯「ごめんね……りっちゃんがまだ怒っているのかと思って直接話したくて」
律「……メールにも書いたけどさ、怒ってないよ……ていうか、修学旅行のとき謝っただろ」
唯「うん、でも……」
律「あのときもいったかもしれないけど、お前とこじれるの、もう嫌なんだ」
唯「……うんっ」
律「だから、そのっ、もう、変な遠慮とかやめろよなっ。前みたいに自然にしろよなっ」
頬をかきながら、照れくさそうにいう律に、唯もようやく笑顔になった。
- 506. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/03(土) 14:14:12.37 ID:offcKDGI0
-
唯「……うんっ。りっちゃん」
律「ん?」
唯「仲直りできて、すごく嬉しいよ。ありがとう」
律「……私もな」
顔を見合わせると、思わずぶはっと二人は吹き出した。
シリアスな空気を吹き飛ばすように、しばらく笑い合っていた。
*選択肢*
A:「仲直りできてよかった……じゃあ、りっちゃんまた明日ね」
やっぱり会いに来てよかったよ! 地図を借りて、憂の元へと急ぐ。
B:「地図だけじゃ分かんないや……ねえりっちゃん、送って!」
えへへ、友達だもん。わがままいっちゃおう!
C:「りっちゃん、早速なんだけど、コーチになって下せえ!」
そうそう、元々は運動したかったんだもんね。お願いしますっ!
D:「聡君にお礼いってから帰ろうかなー?」
連れてきてくれてどうもありがとう! さすがりっちゃんの弟だね!
- 507. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/03(土) 14:18:12.82 ID:offcKDGI0
- あ、ちなみに聡はゲストキャラであって対象キャラではありませんのでご心配なく。
スレタイ通りこのSSはまじりっけなしの百合でございます。
- 517. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/03(土) 15:11:49.96 ID:kzitsSbDO
- B、きっかけはBからだなここは
運命の指示に従って唯律で固めて行こうや
- 521. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/03(土) 15:35:52.38 ID:offcKDGI0
- →B:「地図だけじゃ分かんないや……ねえりっちゃん、送って!」
えへへ、友達だもん。わがままいっちゃおう!
律「おい、なんか急に図々しくなったぞ」
唯「えぇ〜。これがいつもの自然な私の姿だよぉ〜?」
律「確信犯かよ……ったく、ちょっと待ってろ」
律はそういうと、少し歩いて何やらガタガタとし始めた。
すると、後ろ向きに自転車を引き、唯の近くまで来て停める。
律「ほら、後ろのれ」
唯「わお! いいの?」
律「憂ちゃん心配そうな感じだったし、早く帰った方がいいだろ? ま、お前の重みで自転車が潰れないかどうか心配だけどな」
唯「失礼だなあ。何度も言ったけど、私、いくら食べても太らないんだよ!」
律「澪とムギには言ってやるなよ……よいしょっと」
唯が後ろの荷台に座るのを確認した後、律もサドルにまたがった。
律「ちゃんとつかまるんだぞー」
唯「あいあいさー!」
律の掛け声を皮切りに、自転車はゆっくりと動きだした。
落ちないよう、とっさに律の腰に両腕をまわしてバランスをとる。
唯「わわっと」
律「落ちろ落ちろー」
唯「り、りっちゃんひどーい!」
律「あははっ」
けらけらと笑いながら、夜の道をこいでいく律。
唯は振り落とされないようにつかまりながら、声をかけてみる。
- 522. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/03(土) 15:36:52.59 ID:offcKDGI0
-
唯「りっちゃーん」
律「んー?」
唯「ありがとねー」
律「片道一万円なー」
唯「ぼったくり! ぼったくりだよりっちゃん! 姫ちゃんと乗った人力車でもそんなにかからなかったのに!」
律「人力車?」
唯「姫ちゃんと乗ったんだー。修学旅行のときに」
律「……ふーん」
唯「そのときに歩いているりっちゃん達が見えたんだよー」
律「そっか、それでか……」
唯「うん? なあに?」
律「……ありがとな」
唯「ふえ?」
律「……なーんでもないっ」
言って、律はさらにスピードを上げて行った。
きゃーきゃーいいながら唯は楽しそうに笑う。
唯「そういえばさ、りっちゃんと聡くん、似てないようで似てるね」
律「どっちだよ」
唯「道端で泣いている、はたから見たら不審な女の子に普通声かけないでしょ?」
律「……お前にとっちゃ、聡の方が不審じゃね?」
唯「りっちゃんの弟ですっていうから、そうなんだー、って思ったよ」
律「もっと警戒しろよ! 本当に弟だったからいいけど、そうじゃなかったらどうしたんだよ!」
唯「本当の弟さんでよかったよー」
律「あほかっ!」
唯「でも、本当に案内してくれて助かったよー」
律「ま、それくらいはな」
唯「だからね、りっちゃんに似てるなー、って。親身になって、ちゃんと相手の気持ち考えてくれるところが」
律「…………あほ」
唯「あっ、りっちゃん照れてる?」
律「てっ、照れてねーし!」
唯「なでなでしてあげようか?」
律「だからやめろっつーの、それ!」
最終更新:2011年09月30日 01:31