604. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/05(月) 00:57:23.36 ID:NUpxWQ2Z0
→C:ぼふんっ。
    ん?  ソファーの裏から音が聞こえてきたけど……。


唯「うん?  何の音だろう?」


背後のソファーから、バウンドするような音が聞こえ、唯は思わず振り向いた。
しかし、そこから見る限りでは、特に変わったところはない。
背もたれから、わずかにギー太がはみ出しているのが見えるだけだ。


唯「……気のせいかな」


唯が気を取り直して下敷きを振っていると、今度は何かがこすれるような音がした。
ぴくっと唯は反応し、下敷きであおぐ手を中断する。


唯「な、なに!?」


よく耳を澄ませてみると、わずかに息遣いも聞こえる。
唯はごくりと唾を飲み込み、正体を確かめんと、音を頼りにソファーへと近づいて行った。
部室のドアや、机からも死角になっているところに、何かが寄りかかっているようだ。
意を決して足を踏み込み、寄りかかっているものを視界に入れた。
見るなり、唯は驚きの余り目を丸くする。


唯「……り、りっちゃん!?」


そこには、ソファーのひじ掛けのあたりに頭をもたれるようにして、地面に尻をついてすやすやと眠る律の姿があった。
胸を規則的に上下させ、鞄を膝の上に置いて、安らかな表情をしている。


唯(もしかして、りっちゃんが部室の鍵を開けていたのかな?)


それを証明するかのように、律の手には部室の鍵が握られていた。


唯「ま、まさかりっちゃんがいたなんて……気づかなかったよぉ」


困惑する唯を前に、律は相変わらず気持ちよさそうに眠りについていた。


*選択肢*

A:律を起こす。

B:律を起こさないで、そのまま作業を続ける。

C:律を起こさないで、全て着て教室に戻る。


606. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/05(月) 00:58:56.69 ID:BgHDKzmDo
B
611. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/05(月) 01:47:00.69 ID:NUpxWQ2Z0
→B:律を起こさないで、そのまま作業を続ける。



悩んだ結果、唯は再び下敷きを手に取った。


唯「こんなに気持ちよさそうに寝てるのに……起こすのも悪いもんね」


ふふふ、と微笑ましく見つめた後、唯はまたブラウスに風を送り始めた。
なるべく音をたてないように気をつけてはいるものの、どうしても下敷きがしなる音がわずかに響く。


唯「うーん、早く乾かないかなぁ?  もういいかなぁ?」


大きく広がった染みには、さほどの変化は見られない。
二の腕が少しずつ辛くなっていくのを感じていたとき、ごそごそと音がして、律が寝がえりをうつのが見えた。
くるり、と顔を反対側に向けようとしたそのとき、ごつん、という鈍い音が聞こえた。


律「いぅっ!?  〜〜〜〜〜〜〜っ!」

唯「わわっ!?  りっちゃん、大丈夫!?」


痛みで目が覚めたらしく、やや赤くなったおでこを、苦悶の表情で抑えていた。
駆け寄ろうとした唯だが、その前にやや涙目の律が唯に視線を向ける。


612. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/05(月) 01:47:28.74 ID:NUpxWQ2Z0

律「ってぇー……って、あれ、唯!?」

唯「りっちゃん大丈夫?  おでこ真っ赤だよ!」

律「いや、大したことない……って、なんでお前水着なの?  ん?  今夏だっけ?」

唯「りっちゃんまだ寝ぼけてるねえ……。これは下着だよー」

律「ああ、下着か……ってそっちの方がおかしいだろ!!」

唯「なんで?  可愛いでしょ?」

律「……いや、忌々しいだけだな……くそ、いつの間に私よりでかく……」


ぶすっとしながら唯の下着姿を凝視する律。
見られているうちに何となく恥ずかしくなってきたのか、慌てて手で上半身を隠す唯。


唯「あんまり見ないでよぅ……」

律「だったらだすなよ!!  こっちが恥ずかしくなるわ!  昨日も言ったけど、色々油断し過ぎだろお前!」

唯「こ、これにはのっぴきならない事情がありまして……」


唯が水滴の事故(唯談)を説明すると、律は呆れたような顔をした。


律「だらしないやつだなー。だったらジャージとかに着替えればよかったじゃん」

唯「朝から部室で寝てるりっちゃんに言われたくないもんねー」

律「うっ……眠かったんだからしょうがないだろ」

唯「でもあんなとこで熟睡なんて〜」

律「……そうだな。誰かさんがあんな遅くに会いに来てしかも自転車で送ってやったから疲れたのかもなー?」

唯「……うぅ……えっと、ごめんなさい」

律「……くく、冗談だよばーか」

唯「だよね!」

律「おいこら」


いつもどおりに軽口をたたき合っていると、唯が突然体を震わせ、「くしゅん!」と大きくくしゃみをした。
それを見た律が、心配そうに言う。


律「……ほら、いわんこっちゃない。早く服着ろっつーの。……そろそろ目のやり場に困る」

唯「うう、でもまだ乾いてないかも……」

律「それで風邪ひいてちゃ、元も子もないだろ?」

唯「うー……」


*選択肢*

A:「分かったよう、さむいし着ようっと」
      まあ、少しは乾いたかもしれないしね。服を着て教室へ。

B:「もうちょっと!  もうちょっとだけ!」
      時間ぎりぎりまで乾かしていたいな……。ねえ、りっちゃん手伝って!

C:「だいじょう……へくしゅっ!  ……ぶじゃないかも……寒いよぉ」
      自分の体を抱きかかえて、二の腕をさする。あっ、ちょっと鳥肌立ってる……。

D:「まだ濡れてるかな……なにかドライヤーとかアイロンとかあればいいのに……」
      何かそういうのないかなー。まあ、今の状態じゃ出られないけど……。


630. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/05(月) 07:15:28.58 ID:IMX4L+JDO
俺はバカ丸出しでも声を高らかに叫びたい。
王道止まりはイヤだ!
マイナーじゃないとオカシイ!
ハーレムを目指したい!

Cで。

658. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/09(金) 00:36:21.74 ID:e3jUc0TB0
→C:「だいじょう……へくしゅっ!  ……ぶじゃないかも……寒いよぉ」
      自分の体を抱きかかえて、二の腕をさする。あっ、ちょっと鳥肌立ってる……。


ずずず、と鼻をすする音と共に、唯がまた一つぶるりと震えた。
それを見て、律が「おいおい」と注意するように声をかける。


律「そんな格好でいるからだよ。本当に風邪ひいたかもしれないぞ」

唯「ずずっ、だってえ、着たらもっと寒くなっちゃうよぉ……」

律「何だそのおかしな理論」

唯「だってまだ濡れてるんだもん」


ブラウスを撫でながら唯が言う。


律「だからって、ずっと下着姿のままじゃしょうがないだろ?」

唯「分かったよう……ぶつぶつ」


律に促され、しぶしぶブラウスをはおろうとする唯。
すると、背中の濡れた辺りがぴとりと肌に触れ、唯は「ぎゃっ」と奇声を上げて、すぐさまブラウスを脱ぎすてた。


唯「うぅ〜……寒い、寒いよぉ……どうしよう……我慢して着ようかな……へっくちゅっ」


下着姿のままで寒さの余りそわそわし始める唯を、ため息をつきながら見つめる律。
またため息をつき、律は手に持っている鞄のチャックを開け、何やら探り始めた。
すでに下敷きで風邪を送る気力もなく、唯は二の腕をさすりながら懸命に暖を取ろうとしていた。


唯「あっ、予鈴だ……」


不意に、チャイムの音がして、はっと顔を上げた。


*選択肢*

A:「寒い……けどしょうがないよね。じゃありっちゃん、先に行くね!」
      りっちゃんのいう通り、下着姿のままじゃね……予鈴も鳴ったし、早く行かないと!

B:「うぅ……寒過ぎて動けない……」
      梅雨ってだけでこんなに寒くなるものなのかな?  歯がカチカチしてきたよう……さぶい……。

C:「りっちゃん、何探してるの?」
      なんだろう?  忘れもの?  探しものかな?

D:「りっちゃーん……お願いあっためて!」
      だって寒いんだもん……人肌で温まりたいなぁ。
659. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) 2011/09/09(金) 00:37:44.62 ID:d+kc6n2w0
迷うけどCで!
665. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/09/09(金) 02:12:14.27 ID:e3jUc0TB0
→C:「りっちゃん、何探してるの?」
      なんだろう?  忘れもの?  探しものかな?


唯が訊ねると、律は「んー、ちょっとな」と顔を上げずに答え、また鞄を探り始めた。
ぷるぷると震えながらその様子をうかがっていると、不意に律が視線を上げる。


律「いいから、とりあえずブラウス着てろって」

唯「うう……ほーい」


再三の律の言葉に、生乾きにすらなっていないブラウスを着こみ、また体を震わせる唯。
ブラウスの上から体をさすっていると、律の方から歓声が上がった。


律「おっ、あったあった!」


すると律は、鞄の中から四角い袋状のものを取り出し、満足げに笑った。
何度か袋を振ると、一声唯を呼び、投げてそれを寄こす。


唯「わわっ!  いきなり投げないでよー」

律「一声かけただろー?」

唯「もう、何を投げて……あっ、これ」


平べったい袋状のものを握ると、それはほのかに温かった。


律「カイロ。冬に余っていたのが鞄に入れっぱなしだったなー、って思いだしてさ。ま、ないよりマシだろ」

唯「ええ〜。ずっと入れていたものなの?  なんかなぁ〜」

律「あっそ。じゃあ没収な」

唯「うっ、うそうそうそですっ!  非常に助かりましたっ!  ありがたき幸せっ!」

律「うむ。苦しゅうない。初めから素直にいえばいいんだよ」




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最終更新:2011年09月30日 01:42