――――

紬「・・・」チョンチョン

梓「なんですか?」

紬「・・・?」

梓「・・・?」

律「首を傾げあってどうすんだよ」

澪「どこで探すのかって事じゃないの?」

紬「・・・」コクコク

梓「むぎ先輩が決めていいんですよ?」

澪「・・・」

紬「・・・」キョロキョロ

梓「・・・」

紬「!」

唯「発見したようです!」

紬「・・・」スッ

梓「はい、行きましょう」

紬「・・・」ギュ

グイグイ

梓「・・・」

タッタッタ

唯「まって~」

和「・・・病は治ったようにみえるけどね」

律「治ったのに・・・」

澪「・・・らしさもなくなった、かな」

憂「・・・はい」

律「よろしくな鈴木さん」

純「ここは佐々木って言って欲しいですよ・・・」

律「よろしくな沢村さん」

純「誰ですかっ!」


紬「・・・」キラキラ

梓「いいですね」

唯「あずにゃん・・・」

憂(それ・・・きつねだよ・・・)

紬「・・・」キョロキョロ

梓「・・・」

律「・・・」

紬「・・・」ヒョイ

梓「それもいいですね」

唯「・・・」

純(それは・・・かば・・・)

澪「梓、ちょっと来て・・・」

梓「え、・・・はい」

紬「・・・?」

律「むぎー、あっちにもあるから見ようぜー」

和「ストラップって結構種類あるのね・・・」

紬「・・・」コクコク

純「みてください、この守り神シリーズ

唯「おぉ、全国の守り神のみなさんが集結していますよ」

憂「神社の狛犬、朱雀、・・・これも守り神なんですか?」

和「それは、確か・・・獅子だったような」

律「見たことあるんだけどな・・・」ウーム



澪「どうした?」

梓「・・・」

澪「ねこにしたいって言ってたよね?」

梓「・・・むぎ先輩に選んで欲しいから・・・です」

澪「むぎと梓が選ばないと意味無いんじゃないの?」

梓「・・・」

澪「責めたい訳じゃないんだ・・・ただ、むぎもそうしたいはずだ」

梓「・・・」

澪「らしくない・・・んじゃないかな」

梓「・・・・・・らしいってなんですか?」

澪「・・・」

梓「・・・」

澪「むぎのそばにいて、むぎからたくさんの事を教えてもらって、
  それを吸収しようと頑張っている梓・・・かな」

梓「・・・」

澪「ひょっとしたら、そうしたいのは私かも」

梓「・・・」

澪「『今』は『今』しかない事を、夏に学んだはずだよ」

梓「・・・っ」

澪「少なくとも私は、それをむぎから学んだ」

梓「・・・はい」

澪「・・・」

梓「・・・」

澪「どうした?」

梓「・・・なにかしたくても、なにもできなくて」

澪「・・・」

梓「御返ししたいのに、なにもできなくて。合わせる事しかできなくて」

澪「朝、和が言ってた」

梓「・・・」

澪「なにかしようなんて考えないほうがいいって」

梓「でも・・・唯先輩は・・・」

澪「むぎがいつも紅茶を淹れてくれるように、唯はそうしただけ。なんじゃないかな」

梓「・・・っ」

澪「むぎが淹れてくれた紅茶が飲みたいから頼むんだ・・・」

梓「・・・はい」

澪「それ以外に理由はないよな」

梓「はい」

澪「・・・正直、くやしいんだ」

梓「・・・?」

澪「さっき奏でた、むぎの声・・・」

梓「・・・はい」

澪「違うよ」

梓「・・・?」

澪「唯の事も凄いと思ったけど、憂ちゃんと梓が先に聴いたって事だ」

梓「え・・・?」

澪「憂ちゃんは鍵盤で演奏ができるから、だけど。
  梓は音を聴いて、むぎの声を聴いた・・・でしょ」

梓「・・・!」

澪「・・・なんてな」

梓「・・・」

澪「行こう」

梓「はいっ」


――――

梓「こ、これがいいですっ」

紬「・・・」キラキラ

和「あっさりね」

澪「もう決まったのか」

唯「もう一つ買おうよ!」

律「そうだな。全国の神様に守ってもらおうぜ」

純「私は青龍を・・・」

憂「東の守り神だよ」

純「私にピッタリ~」

律「本当だな。じゃあ私は~」

純「・・・」

和「私は北を守るわ」

憂「玄武だね」

唯「ういは、白虎だよ!」

憂「わぁ・・・」キラキラ

律「・・・どうして嬉しそうなんだ?」

澪「じゃあさわ子先生は朱雀かな?」

和「どっちかって言うと黄龍ね」

唯「どして」

憂「東、西、南、北を守る四神の気持ちが一つになったときに現れるそうだよ」

律「総括すんのか」

澪「南の朱雀が余ったな・・・」

紬「・・・」

梓「私たち決めましたよ」

律「え?」

唯「お?」

純「いつの間に?」

和「さっきの獅子ね」

紬「・・・」フルフル

梓「シーサーですよ」

唯「シークワサー?」

憂「それは果実だよ、お姉ちゃん」

純「シークワサー?」

律「帰ってから調べろ、話が進まない!」

紬「・・・」キラキラ

澪「嬉しそうなのはなぜなんだ」

梓「沖縄の家の守り神なんだそうです。屋根に置いてある画像とか見た事ありませんか?」

和「・・・あ、そうね。それだったのね」

澪「ん?口が開いているのと閉じているのがあるんだな」

紬「・・・」コクコク

梓「口の開いた方がオスで、福を呼び込むそうです。それはむぎ先輩」

紬「・・・」ニコニコ

梓「口が閉じた私のは、福を逃がさないメスとなっています」

憂「一対なんだね」

澪「じゃあ、南はそれでいいか」

唯「朱雀さん可哀相だよ」

和「じゃあ唯が引き取りなさいよ」

唯「・・・」

律「おぉい!守り神!神様だから!!」

唯「沖縄は南だもんね。よし、決めたよ!」

澪「律は?」

律「八咫烏だぜ」

唯「澪ちゃんは?」

澪「こ、狛犬」

紬「・・・」コクコク

和「なにかを悟った表情ね」

律「よし、さわちゃんの分も買ったし、任務完了だ」

憂「山中先生の分も買ったんですか?」

律「うん、ついでに私のもって、お金渡された」ウシシ

澪「ついで・・・な」

純「おー・・・」

唯「かわいいよあずにゃん!」

紬「・・・」コクコク

梓「そうですね、可愛いです」

和「それぞれの守り神と、同一のねこ・・・ね」



斉藤「それでは、これで失礼します」ペコリ

紬「・・・」フリフリ

唯「じゃあね~」フリフリ

梓「また、明日です」

紬「・・・!」

斉藤「・・・」

律「どうしたんだ?」

澪「?」

斉藤「明日は一日中検査となりますので・・・」

唯「えぇーッ!!」

梓「・・・」

憂「・・・」

和「・・・」

純「・・・」

紬「・・・」

律「じゃあ、明日も授業受けられないのか・・・」

紬「・・・」ションボリ

澪「・・・」

唯「じゃ、明後日だね!」

紬「・・・」コクリ

梓「それじゃ、明後日です。むぎ先輩」

和「学校で会いましょう」

紬「・・・」フリフリ

純「それでは!」

憂「明後日、学校で」

律「じゃーな」

澪「じゃあね」

唯「バイバイ~」フリフリ

紬「・・・」

ギュ

唯「・・・ん?」

紬「・・・」スラスラ

唯「・・・いえいえ、どういたしまして~」

紬「・・・」ニコニコ

唯「・・・」

斉藤「どうぞ」

ガチャ

紬「・・・」

バタン

斉藤「それでは、失礼します」

梓「はい・・・」

バタン

ブオオオオオ



―――――夜


帰り道

誰も喋らなかったなぁ・・・

口を開く元気がなくなったのかな

言葉を出すことがまるで悪いことのような

そんな

気がした


『完全におかしくなりました』

そんなことはないよ

だって、わたしたち一緒にいるもん

むぎちゃんも、澪ちゃんも、りっちゃんも、あずにゃんも

ういも和ちゃんも純ちゃんもさわちゃんも

一緒にいるもん

だいじょうぶだよ・・・

だいじょうぶ




自分の言葉を信じられる勇気が



―――欲しい



9月3日


澪「・・・」

ジリリリリリリリ

カチッ

澪「・・・」

ガバッ

澪「・・・」

スタスタ

シャーッ

澪「・・・」

チュンチュン

澪(・・・一日をリセットしてくれる朝陽が・・・)

チュンチュンチュン

澪「・・・朝陽が・・・少し重たい気がするな・・・」

律「おまたせ」

澪「うん」

律「登校します」

澪「誰に言ってるんだ?」

律「いや・・・」

澪「行くぞ」

律「・・・」

澪「・・・」

律「さっきのさ、みおに言ったんだけど」

澪「なにが?」

律「いや・・・気づかないのか?」

澪「?」

律「自分の格好」

澪「え・・・」

律「・・・」

澪「えっ!?」

律「早く着替えて来い」

澪「う、うん」

タッタッタ

律「ジャージで登校って・・・。ボケじゃないんだろうなぁ・・・」


――――

澪「おはよう」

唯「おはよー」

和「おはよう二人とも」

律「おはー」

唯「いつもより少し遅かったね」

澪「う、うん・・・ちょっとな」

和「律が歩きながら何かに気をとられた、とか?」

澪「うん」

律「・・・へー」

澪「わ、私が寝坊したんだ」

唯「そっか、一緒だ」

律「寝坊したのか?」

唯「うん・・・」

和「唯、席に着くわよ」

唯「はいよー」

テッテッテ

澪「・・・」

律「・・・」


さわ子「今日も休むと連絡が入りました」

ザワザワ

チョンチョン

澪「ん?」

「何か聞いてる?」

澪「・・・え、と」

「風邪にしてはしつこくないかなってさ」

澪「そうだね・・・」

「・・・」

澪「・・・」

「ごめん、鎌をかけた」

澪「え?」

「昨日さ、駅前であんたらを見たんだわ」

澪「!」

「一緒に歩いていたから、治ったと思ってた」

澪「・・・」

「で、今日も休む」

澪「・・・うん」

「だから、おかしいなってさ」

澪「・・・」

「・・・」

澪「・・・今は」

さわ子「秋山さん、中島さん、HR中ですよ」

澪「・・・はい」

信代「すいません」

澪「・・・」

信代「ごめんねー」ヒソヒソ

澪「いや・・・」

信代「・・・今は?」ヒソヒソ

澪「・・・時間をちょうだい」

信代「・・・分かった」

「・・・」


6
最終更新:2011年10月02日 23:37