唯「なに聴いてるの、モーツァルト?」

姫子「・・・」

唯「・・・」

姫子「・・・」

唯「・・・」シクシク

律「誰も・・・悪くないんだよ・・・唯」

唯「うん・・・」

姫子「律から借りた曲だよ」

和「カーテン閉めましょうか?」

姫子「・・・いい」

澪「暑くない?」

姫子「大丈夫」

律「さっきの授業でわからない所があったんだよ」

姫子「先生に聞いて」

信代「昼は何を食べたの?」

姫子「・・・サンドイッチ」

唯「サンドウィッチ伯爵」キリ

和「エドワード・モンタギューね」

律「猿だか牛だかワカンネーな」

姫子「・・・」ガバッ

信代「寝るの諦めたか」

律「信代はどうしたんだよ?」

信代「姫子をイジっているから面白そうだと思って来ただけ」

唯「だめだよ。これから寝るんだから」メッ

和「さ、うちわで扇いであげるから・・・オヤスミ」パタパタ

サヤサヤ

姫子「・・・いい風だけどさ」

信代「いいお母さんだな」

和「なんだか眠たくなってきわ・・・ふぁ」

唯「私もだよ・・・」

澪「みんなで仮眠とろうか」

律「だな」

姫子「・・・」

信代「・・・一斉に伏せたけど」

澪「・・・」

和「・・・」

律「・・・」

唯「・・・」

信代「どうすんのこれ?」

姫子「人の眠気を払っておいて寝るんだ・・・」

律「冗談だよ~ん」

澪「・・・うん」

唯「」スヤスヤ

和「」スヤスヤ

信代「二人は本当に寝たね」

姫子「・・・」

信代「紙に書いた鍵盤・・・」

律「そうだぜ」

信代「・・・音をどうするの?」

姫子「・・・」

澪「声として聴くんだ」

信代「・・・そっか」

姫子「・・・」フゥ

律「あんまり悪いほうに考えないでくれ・・・な?」

澪「・・・」

姫子「・・・」

信代「・・・」

和「」スヤスヤ

唯「・・・ん」

律「起きたか」

澪「そろそろ先生来るぞ」

姫子「のどか・・・熟睡してるね」

唯「勉強してるからね・・・ふぁ」

姫子「・・・勉強」

信代「勉強・・・か・・・」

唯「和ちゃん起きて~」ユッサユッサ

和「・・・ぅ・・・ん?」

律「すごい現象が起きています」

澪「滅多にないな」

姫子「・・・律」

信代「・・・澪」

律「ん?」

澪「?」

姫子信代「「 それ、一枚ちょうだい 」」



―――――放課後

律「みんな土日はどーするんだ?」

梓「私は明日CDショップへ」

唯「それなら一緒に行こうよ」

梓「はい。いいですよ」

律「そっか~」

澪「なにかしたいのか?」

律「そういう訳じゃないんだけどー」

唯「りっちゃんはどうするの?」

律「散歩でもすっかなー」

澪「それなら付き合うよ」

律「うむ。よきにはからえ」

澪「・・・」

唯「よきにはからえってなに?」

梓「好きにしろって事ですかね」

律「偉そうだな」

澪「言ったの誰だよ」

唯「りっちゃんです!」

律「私だよん!」

澪「・・・知ってるけどな」

梓「・・・」

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

梓「・・・」

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・あのさ」

律「なんだ?」

澪「いや・・・なんでも・・・ない・・・」

唯「・・・」

梓「・・・」

澪「・・・」

律「・・・」


コンコン

ガチャ

純「こんにちはー」

憂「こんにちは」

唯「どうしたの~?」

純「梓、いつ帰るのかなーって」

梓「先に帰ってていいよ」

憂「うん、分かった」

律「あ、ちょっとまって、蝉時雨れさん」

純「夏は終わったんですよ!」

梓「・・・」

純「って、そんな苗字の人いませんよ」

律「あだ名だ。今日はもう帰ろうぜー」

澪「そうだな」

唯「そだね~」

律「と、言うわけだから。せ・・・聖歌隊のみなさん」

純「ネタを捻りすぎて自滅しましたね」

憂「クスクス」

律「次は『そ』だかんな!」ビシッ

純「・・・」

梓「それでは、これで失礼します」ペコリ

唯「あとでメールするね~」

梓「はい」

テッテッテ

純「帰ろう帰ろう」

憂「それでは、失礼します」

澪「来週な」

律「月曜日な~」

唯「バイバーイ」

バタン

律「・・・」

澪「・・・」

唯「あれ、帰らないの?」

律「梓を帰らせる口実だ」

澪「今は、純と憂ちゃんの二人といたほうがいいと思ってな」

唯「・・・そっか」

律「変に気を使いやがって・・・」

澪「それは・・・しょうがないと思うけど」

唯「・・・うん」

律「・・・」

澪「・・・」

唯「気づいた事があるんだ~」

律「ほぅ」

澪「気づいた事?」

唯「わたしたちの言葉をクッションのように受け止めてくれる存在・・・だよ」

律「あぁ・・・そうだな」

澪「・・・うん」

唯「・・・」

律「さー・・・て」

澪「する事ってないな」

唯「どうしよっか?」


――――

純「~♪」

梓「・・・」

憂「純ちゃん、最近その曲をよく口ずさむよね」

純「あ、分かる?マイフェーバリットソングなんだよね~」

梓「・・・」

憂「どんな曲なの?」

純「ダンスクラシックやアシッドジャズを取り入れたバンドなんだって」

梓「・・・」

憂「アシッドジャズ・・・?」

純「私もよく知らないジャンルなんだけどね」

梓「色々なジャンルを混ぜ合わせたのがアシッドジャズ」

純「へぇ~」

憂「ダンスクラシックは?」

梓「知らない・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

梓「・・・」

純「色々なジャンルって?」

梓「純はジャズ研でしょ」

憂「・・・」

純「話題を探そうとしていたんじゃん」

梓「・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

梓「・・・」

憂「ここ、いい所だね」

純「うん。新学期が始まってから梓と毎日来てる」

梓「・・・」

憂「上流では雨が降ったのかな?」

純「勢いがある・・・」

梓「・・・遠雷」

憂「・・・鳴った?」

純「聞こえなかったな・・・」

梓「・・・気のせいかも」

憂「・・・」

純「・・・」

梓「憂・・・」

憂「?」

梓「唯先輩、ギターの練習してる?」

憂「ううん、してないよ」

純「・・・?」

梓「そっか・・・」

憂「変わりにキーボードとにらめっこしてるんだよ」

純「・・・」

梓「そう・・・なんだ・・・」

憂「梓ちゃんはしてる?」

純「・・・」

梓「してるよ。鍵盤の」

憂「違うよ。ギターの練習だよ」

純「・・・」

梓「・・・してない」

憂「お姉ちゃんと一緒?」

純「?」

梓「・・・多分」

憂「そっか・・・」

純「こら、二人で納得しないでくれないか」

憂「お姉ちゃんがね」

梓「今は音を出したくない」

純「・・・」

憂「・・・」

梓「・・・出せない」

純「・・・」

憂「・・・」

梓「澪先輩が練習しようって言わない・・・」

純「え・・・」

憂「紬さんがいないから・・・?」

梓「・・・どうなんだろ。5人揃ったら言ってくれるのかな」

純「律先輩は?」

梓「・・・ドラムには触っていない」

憂「・・・」

純「・・・そっか」

梓「・・・」

憂「梓ちゃん」

梓「?」

純「?」

憂「梓ちゃんとお姉ちゃんが楽器を触らない理由は同じじゃないよ」

梓「え・・・?」

純「・・・」

憂「どうして音を出したくないの?」

梓「・・・それは・・・・・・」

純「紬先輩と演奏したいから・・・とか?」

憂「・・・」

梓「・・・うん。一緒に練習して、一緒に間違えて、一緒に補っていきたい・・・から」

純「・・・」

憂「澪さんと律さんもそうだと思うの?」

梓「・・・うん」

純「・・・」

憂「お姉ちゃんはね、ただ、『鍵盤に集中したいから』それだけなんだよ」

梓「・・・っ!」

純「・・・あらら、まーた霧に迷い込んじゃったか」

憂「もー、純ちゃん」

梓「・・・」

純「えっへへ、ごめんごめん」

憂「でも、根本的なところは同じだよね」

梓「・・・」

純「うんうん」

ゴロゴロゴロ

憂「あっ」

梓「鳴ったね」

純「結構重たい雲がきましたね」

憂「夏は終わったのに・・・ね」

梓「うん・・・」

純「いやいや、のんびりしている場合じゃないでしょ!」

ザァーーーーーーーーー

憂「橋の下行こう!」

梓「うんっ」

純「うわーっ」

タッタッタ

ザァーーー

憂「日没までは時間があるけど・・・」

梓「止まないね」

純「予報では夜からって言ってたのに」プンスカ

憂「しょうがないよ~」

梓「・・・」

純「走って帰りますか?」

憂「雨の中、傘をささずに踊る人がいてもいい・・・よね」

梓「・・・」

純「よーし行くぞー」

タッタッタ

pipipipi

憂「あ・・・」

ピッ

憂「もしもし、お姉ちゃん?」

梓「純ー、戻ってきてー!」

タッタッタ

純「どしたー?」

憂「うん、河川敷の橋の下で雨宿りしてるとこだよ」

梓「・・・」

純「だれ?唯先輩かな」

憂「ありがとー。それじゃ待ってるね」

ピッ

梓「なんだって?」

憂「傘持ってきてくれるって」

純「ちょっと雨にうたれちまいました」

梓「・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

ザァーーーー

憂「雨にうたれて歩く機会なんて、これから無くなるんだろうね」

梓「そうだね。これからは、『あの人どうしたんだろ』って見られるよ」

純「子供なら、それだけで許される光景なんだけどね」

憂「・・・」

梓「・・・」

純「・・・」

憂梓純「「「 三人で歩けば・・・ 」」」

憂「ふふっ」

純「あははっ」

梓「・・・」

憂「・・・」ウズウズ

純「私もそうしたいけど」

梓「唯先輩が来てくれるんでしょ」

憂「そうだけど~」

純「最後のチャンスみたいな・・・そんな感じ」

憂「そうだよね~」ウズウズ

梓「・・・姉妹だね」

純「うんうん」

憂「どうしよっか?」


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最終更新:2011年10月02日 23:45