――――

さわ子「誰から送る?」

澪「見切り発車・・・」

紬「・・・」ウキウキ

純「澪先輩、狭くないですか?」ワクワク

澪「う、うん・・・」

律「こっちにも気を使え!」

純「・・・」

姫子「・・・はぁ」

さわ子「あら、疲れたの?」

姫子「・・・バタバタしていたから」

澪「まったく」

律「私をみるな」

純「楽しいですね、ドライブするみたいで」ウキウキ

澪「滅多にないからな」

律「そういやそうだな」

紬「・・・」コクコク

姫子「・・・」

さわ子「あなたたちも免許とったら?」

律「いいなそれ!」

澪「みんなと車で出かけるのもいいな」

純「そ、その時は私たちも!」

律「ごめん、定員オーバーだ」

純「もうちょっと、なんかこう・・・切捨てはやいですよー」

姫子「バイクもいいかな」

紬「・・・」

律「むぎが驚いてるぞ」

姫子「楽しそうじゃない?」

紬「・・・」

澪「姫子は似合いそうだよね」

さわ子「そうね~」

姫子「・・・考えてみようかな」

純「う、後ろには誰を乗せるんですか・・・」ゴクリ

律「なんで意気込んで質問してるんだよ」

純「き、気になるじゃないですか」

姫子「乗せなきゃいけないのかな・・・」

澪「誰かとツーリングしてはどうかな?」

姫子「いいね・・・でも、私らのクラスでいないよね」

紬「・・・」ガサガサ

さわ子「?」

紬「・・・」プップップー

澪「は・・・る・・・?」

律「春子?」

紬「・・・」ププー

さわ子「なるほど」

澪「確かに・・・」

純「・・・?」

律「私を男っぽくしたヤツ・・・って誰を基準にしてんだこらぁ!」

さわ子「りっちゃんもバイク似合うんじゃない?」

姫子「そうだね」

澪「・・・」プクク

律「そうだな、風になるのも悪くないな・・・」キリ

紬「・・・」プー

律「『オギューメントのA』・・・私?」

紬「・・・」プッププー

澪「う・・・しろ・・・?」

純「律先輩の後ろに乗るってことですか?」

紬「・・・」ププー

姫子「・・・」

さわ子「やめときなさい」

律「とめるなよ!」

紬「・・・」ニコニコ

澪(楽しそうだな・・・むぎ・・・)

pipipipipi

さわ子「あら・・・?」

律「電話が鳴る・・・彼女は車を寄せて止める」

紬「・・・」コクコク

ピッ

さわ子「はい、もしもし・・・」

律「男である」

澪「・・・」

さわ子「・・・はい、分かりました」

純「別れを告げられたのである」

律「終わらせるなよ、もっと幅を広げる事が大事だ」

純「す、すいません」

澪「電話中だぞ」

姫子「・・・」

紬「・・・」

ピッ

さわ子「むぎちゃんから送るわね」

紬「・・・?」

さわ子「斉藤さんから・・・近くの駐車場で待ってるって」

紬「・・・」

姫子「・・・」

律「なーんだ」

澪「なにを期待していたんだよ」

純「もう少しドライブできると思っていました」

紬「・・・」コクリ

さわ子「残念ね」


――――

唯「あずにゃん、またあした~」

梓「わざわざ送ってくれてありがとうございます」

和「気にしないで」

憂「明日ね、梓ちゃん」

梓「うん、また明日」


――――

律「明日な、むぎ」

澪「また、明日」

純「おやすみなさい」

姫子「明日ね」

紬「・・・」フリフリ

バタン

斉藤「それでは」ペコリ

さわ子「お気をつけて」

ブオオオオ

澪「・・・」

姫子「・・・」

純「・・・」

律「じゃ、私らの事頼むぜ、さわちゃん!」

さわ子「さ、乗りなさい」

純「失礼しまーす」

ガチャ

律「こら」

純「・・・すいません、勢いって大事かと思って」

律「私も前に座りたいんだよ」

澪「わ、わたしだって」

姫子「・・・」

ガチャ

律「こら」

姫子「後ろに乗ろうと・・・」

律「こういう時はノるのも大事だぞ」

姫子「・・・」

さわ子「早く決めてね」

バタン

純「公平を期するために、ジャンケンでいきましょう」

律「うむ、いいだろう」

澪「よし」

姫子「・・・」

純「ジャーンケン」

澪「ポイ!」

グー

チョキ

グー

ピストル

姫子「いるよね、こういう子」

純「うっ・・・」

律「澪と純は後ろ決定だな」

澪「しょうがないな」

律「よし、勝負だ」

姫子「・・・ジャンケン」

律「うりゃ!」

パー

パー

律「ふむ」

姫子「勝ちたくなってきた」

澪「・・・」

純「では二回戦」

律「ジャーンケン」

姫子「ホイ」

チョキ

チョキ

律「しぶといな」

姫子「律がね」

律「ふっ・・・」

姫子「・・・」

律姫子「「 じゃーんけん 」」

ブオオオオオオオ

澪純「「 おいてかれた! 」」



律「冗談キツイぜ~」

さわ子「長いのよ」

純「中々戻ってこないから私たち冷や冷やしたんですよ」

さわ子「どうでもいい事に熱くなるからよ」

律「熱くなったのは姫子だけだ」

姫子「・・・」

律「・・・」

姫子「・・・」

さわ子「無視されたわね、りっちゃん」

律「・・・」シクシク

純「その気持ち、分かります」

澪「姫子?」

姫子「・・・ん?」

さわ子「走行中に外をボンヤリ眺めるなんて・・・」

律「ロマンティックか!」

姫子「・・・」

律「・・・」シクシク

純「今のは・・・」

律「なんだよ!」

澪「どうかしたの?」

姫子「『旅』と『旅行』は違うの?」

さわ子「あら・・・」

律「なんだ、いきなり」

澪「・・・」

姫子「・・・なんでもない」

澪「梓に聞けば・・・的確な答えが聞けるかも」

律「そうだな」

姫子「どうして?」

澪「梓はむぎの傍でたくさんの景色を見てきたんだ」

純「・・・」

姫子「澪たちは?」

律「まぁ、感覚は分かるけど、言葉にはできない」

澪「説明できるほど、知っていないのかな」

純「・・・」

律「どうしたんだ?」

姫子「ちょっとね」

さわ子「旅を題材にした記事を書いているって人に会ったのよ」

純「?」

律「あ、ひょっとして・・・ソーマ?」

澪「そうま・・・だろ」

さわ子「そうよ」

姫子「知り合いだったんだ」

純「あぁ、ケータイの人か」

さわ子「あの人って、アバンチュールの人なのね」

律「・・・」

澪「・・・」

純「・・・」

姫子「・・・?」

さわ子「なによ、この間は」

律「アバンチュールって言ってるのさわちゃんだけだぜ?」

澪「・・・うん」

純「・・・そうですね」

姫子「???」

さわ子「最初に言い出したの唯ちゃんだからね、私が時代遅れみたいに言われてるけど」

姫子「そうなんですか・・・あ、ここでいいです」

さわ子「分かったわ」

ガチャ

姫子「ありがとうございました。さわ子先生」

純「さて・・・」ガチャ

さわ子「いいのよ、悪いわねつき合わせちゃって」

姫子「いえ・・・」

律「さり気なく前に移動するんだな、純」

姫子「・・・」ボソッ

純「・・・」

律「じゃーな、姫子」

澪「じゃあね」

純「それでは」

姫子「うん、明日ね」

純「聞こえました?」

さわ子「?」

律「なにをだよ」

純「姫子先輩が『楽しかった』・・・って」

澪「・・・」

律「たりめぇよ」

さわ子「なんでべらんめぇ口調になるのよ」

純「・・・うん、楽しかった」

律「そんで、澪を乗せた理由ってなんだよ?」

澪「・・・」

さわ子「梓ちゃんに知られたのかな~と思って」

澪「はい、聞かれました」

さわ子「そう・・・、意外に早かったわね」

澪「え・・・?」

さわ子「あ・・・」

律「なんだよ、早かったって」

純「?」

澪「『時期が来たら話してあげて』って」

さわ子「・・・りっちゃんには知られるだろうとは思っていたけどね」

律「・・・まぁな」

澪「・・・」

純「あぁ・・・、紬先輩の・・・」

さわ子「もう一つ伝える事があってね」

澪「・・・?」

純「・・・?」

律「なんだよ?」

さわ子「・・・学園祭の日取りよ」

――――

純「ありがとうございました」

さわ子「えぇ、それじゃあね」

律「じゃーなー」

澪「明日ね」

純「お休みなさい!」

ブオオオオ

律「そういや、なんで姫子がいたんだ?」

澪「・・・そうだな、自然にいたから気にならなかったけど」

さわ子「むぎちゃんの影響かもね~」

律「どういう事だよ」

さわ子「和ちゃんが鍵盤を勉強してる事が不思議なんだって」

澪「・・・姫子自身もしていたよな?」

律「う、うん・・・昼に少しだけだけど、母音は覚えたって」

さわ子「・・・あの子、最初橋の上から見ていたのよ。あなたたちをね」

澪「・・・」

律「・・・」

さわ子「あ、そうだったのね・・・・ケータイの人が言っていた事はそういう事だったのよ」

澪「?」

律「なんだ?」

さわ子「相馬さん・・・ね、あなたたちの旅の話を聞きたいと言っていたわ」

澪「・・・」

さわ子「記事のネタになる程のモノかと不思議だったんだけどね」

律「・・・そうだよな」

さわ子「姫子ちゃんを通してみたら、興味を引き立てられるわね」

澪「?」

さわ子「外からの視点であなたたちを見たら、その変化が気になるでしょ」

律「分かりやすく頼む」

さわ子「簡単よ。夏の旅をむぎちゃんと梓ちゃんの二人だけで行ったとするでしょ」

澪「はい」

さわ子「帰ってきた二人を見て、あなた達二人はどんな感想を持つ?」

律「むぎにベッタリの梓・・・か」

澪「なにがあったのか、気になりますね」

さわ子「それが姫子ちゃんの視点って訳ね」

律「あー」

澪「なるほど・・・」

さわ子「さっきの姫子ちゃんの質問がそうなんじゃない?」

律「そっか」

澪「相馬さんは、どうしてですか?夏前の私たちを知りませんよね」

さわ子「・・・聞くけど、相馬さんに旅の話をした時の梓ちゃんはどうだった?」

律「あの時間を思い出して、今のむぎと比べてしまったんだろうな」

澪「・・・」

さわ子「・・・そこを察知したのかもね」

澪「・・・」

さわ子「そんな表情をするから、興味を持ったって」

澪「・・・」

律「みお?」

澪「ん?」

律「どうした?」

澪「なんでもない」

さわ子「?」

律「ここでいいぜー、さんきゅー」

澪「あ、ありがとうございます」

さわ子「どういたしまして」

ガチャ

律「さわちゃん」

澪「・・・」

さわ子「なに?」

律「いいクラスに恵まれたな~」ニヤリ

澪「・・・」

バタン

さわ子「そういう事にしておくわ・・・じゃあね~」

ブオオオオオオオオ


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最終更新:2011年10月03日 00:06