親父「その写真をとったヤツのコメントを読んで
俺もそいつと同じくらいの景色を見たいと思ったんだ」ガチャガチャ
シーン
親父「そのおかげでバイクとも出会えたわけなんだが」ガチャガチャ
シーン
親父「言わば・・・その雑誌があったから今の俺達がいるんだな」ガチャガチャ
シーン
親父「その写った人が、カメラマンの嫁さんという訳だが」ガチャガチャ
「一人で喋って・・・どうしたんですか」
親父「あれ、母さん・・・姫子は?」
母「いませんよ?」
9月9日
姫子「・・・面白くないな」
和「ビンテージ雑誌ね」
唯「希少品だよ」
姫子「おはよ」
和「おはよう・・・どうしたの、それ」
姫子「父さんから借りたんだけど・・・」
唯「どれどれ・・・」ズイッ
姫子「ち、近いよ唯・・・」
和「・・・さて、と」
唯「馬・・・。和ちゃん」
和「なに?」
姫子「?」
唯「この漢字読める?」
和「・・・えーと・・・そうま・・・ね」
姫子「あれ・・・どこかで・・・?」
唯「うまさんだよ」
和「まさか、苗字が一緒なだけよ」
姫子「どこだっけ・・・」ウーム
プッププー
「琴吹さんおはよー」
唯「むぎちゃんおはよ~」
和「おはよ・・・ってそれ持って登校してるの?」
紬「・・・」フルフル
和「そうよね」
姫子「あ、おはよ」
紬「・・・」コクリ
風子「おはよ~、今日はなにを見てるの?」
姫子「・・・20年前の雑誌」
和「ずいぶんと古いわね」
唯「私たち生まれてないね」
紬「・・・」プップププー
風子「・・・?」
唯「き・・・れ・・・い・・・」
和「確かに古い割にはキレイよね」
姫子「・・・内容も古くてつまんないんだけどね」
風子「どうして読んでいるの?」
唯「いい質問だよ」ウンウン
紬「・・・」コクコク
和「・・・」
姫子「旅に興味があるなら読んでみろって・・・」
唯「ほぅ」キラン
和「じゃ、次読ませてね」
紬「・・・」ププッププー
唯「おっと、お二人ともそうはいかないよ」
風子「・・・?」
和「むぎも読みたいそうよ」
姫子「じゃあどうぞ」
紬「・・・」ペコリ
風子「紬さんに渡ったね」
和「あら・・・」
唯「なんと!」
澪「ここはジャンケンじゃないか」
律「うむ」
信代「そうだな」
いちご「・・・」
春子「・・・よし」
紬「!」
律「いやいや、人増えすぎだろ」
澪「興味あるの?」
信代「無いことも無いことも無いかな」
唯「えーと、無いことも無い。は興味あるって事だから、それが無いって事は・・・」
風子「興味無いんだ・・・」
春子「昨日の雑誌は?」
唯「持ってるよ~」
姫子「あ、唯が持ってたんだ」
和「ちゃんと返しなさいよ」
春子「じゃあそれは私が借りるよ~」
信代「本格的に興味もったみたい」
澪「あれ・・・?」
律「むぎは・・・いつの間に席へ!?」
唯「ジャンケンだよ!」
紬「・・・」ペラッ
いちご「・・・あ、ちょっとまって」
紬「・・・」コクリ
いちご「・・・ありがと」
和「二人で読んでいるわね」
姫子「面白いのかな」
律「しゃーない、後で読ませてもらうかな」
信代「活字大丈夫なの?」
律「どういう心配のされ方だよ・・・」
澪「小説にはまったくらいだから・・・大丈夫」
律「あのな・・・」
風子「私も覗いてこよう」
スタスタ
和「そろそろ先生が来るわね」
姫子「和・・・」
和「?」
姫子「私と紬とでは視点が違うの?」
和「・・・当然じゃない・・・私と唯も違うわよ」
姫子「そういう意味じゃなくて」
和「それなら、いちごに聞いてみたら?雑誌の感想を」
姫子「そうか・・・そうだね」
澪「唯はなにをしているんだ?」
唯「来るよ・・・さわちゃんが来る・・・」ムムム
律「当たり前だろ」
姫子「・・・」
唯「今扉を開けるよ!」
ガチャ
さわ子「みんなおはよう~」
律「マジかよ」
澪「まだ時間あるのに・・・」
信代「ど、どうして分かった唯!?」
唯「分かりませんよ」フフフ
姫子「分からない事に自信を持ってる・・・」
和「なかなか涼しくならないわね」
澪「季節を気にしている和はすごいなぁ」
―――――昼
姫子「面白かった?」
紬「・・・」コクリ
いちご「・・・うん」
姫子「どこが面白かった・・・かな?」
紬「・・・」プッププー
いちご「・・・」
姫子「・・・」
紬「・・・」
いちご「・・・唯が居ないからこれに書いて」
紬「・・・」コクリ
姫子「・・・」
唯「ちょっと待ったー!」
いちご「!」ビクッ
唯「ダメだよ、練習にならないよ!」メッ
いちご「ご、ごめんなさい・・・」
紬「・・・」プッププー
唯「分かればいいんだよ」
姫子「・・・じゃあいちごから聞いていい?」
いちご「・・・女性が一人写った写真が良かった」
紬「・・・」コクコク
唯「なんの話?」
姫子「この雑誌の感想聞いてるの」
唯「読み終わったなら貸して~」
姫子「どうぞ」
唯「ありがと!」
テッテッテ
和「・・・唯はまだ読んでなかったのね」
姫子「写真が良かったのは分かるけど・・・」
紬「・・・」プププップー
和「そうね・・・。カメラマンの恋人みたいね」
いちご「・・・うん。いい笑顔だったから、納得した」
紬「・・・」コクコク
姫子「・・・」
いちご「他の写真も良かった・・・建物や風景、動物」
紬「・・・」プププッププー
澪「むぎは空の写真がお気に入りらしい」
律「褪せてたぞ、あの写真のページ」
紬「・・・」プッププー
律「・・・そ、そうか」
姫子「・・・なんて言ったの?」
律「だからいいんだってさ」
和「元の写真は評価できなくなるわよ、それだと」
紬「!」
いちご「写真を撮った人のコメントもよかった・・・」
和「そうね、その瞬間を撮るために何ヶ月も待ったという人もいれば、
偶然撮った瞬間がかけがえのない時だったとか・・・」
姫子「・・・ちゃんと読んでいなかったのかな」
澪「多分、写真に興味が無かったからじゃないかな」
律「私もないけどな!」
姫子「じゃあ律は面白くなかった?」
律「いや、コメントが面白かったな」
姫子「・・・」
和「いちごはどうして面白いと思ったの?」
いちご「その写真だけだから・・・人一人だけ写っているの」
澪「そういやそうだ」
律「おぉ、マジだ・・・」
紬「・・・」コクリ
姫子「・・・読んでくる」ガタッ
―――――放課後
唯「おまたせ」
紬「・・・~」ノビノビ
澪「今日も終わったな」
梓「帰りましょう」
スタスタ
律「部活も勤しんだし、私ら学生の本分を全うしてんな!」
唯「そうだね・・・」
梓「どうしたんですか?」
唯「うーん・・・なにかひっかかっているんだよ」
澪「昼からこんな感じだな」
紬「・・・?」
梓「悪いものでも食べたんですか?」
律「いくら唯でも拾い食いはしないだろ」
唯「うーん」
梓律「「 ・・・ 」」
澪「無視されたな」
紬「・・・」
斉藤「・・・」ペコリ
律「あ、斉藤さん」
澪「じゃあな、むぎ」
梓「明日です」
律「じゃーな~」
唯「あ、むぎちゃん明日ね~」
紬「・・・」フリフリ
スタスタ
梓「どうして私の家は学校から歩いて帰れる距離なんですかね!」プンスカ
律「知らねえよ」
澪(・・・すっかり戻ったな)
唯「なんだろう・・・このモヤモヤ・・・」ウーン
梓「電車通学なら一緒に帰れるのに」ブツブツ
律「・・・なにもいうまい」
ドルルルルルル
梓「む・・・、それじゃ私はこっちから帰りますから」
澪「え?」
キキーッ
轍「こんばんは」
律「女子高生に気軽に声をかけるなよ」
轍「う・・・」グサッ
唯「うま・・・さん・・・」
轍「相馬だってのに・・・」
澪「・・・」
律「まだこの街にいたのか?」
轍「昨日は一山越えたまちまで行っていたんだけどね」
律「行動範囲広いのな」
轍「足で稼がないとね」
澪「・・・」
唯「・・・」ジー
律「私らの話が聞きたいって?」
轍「あぁ・・・キミ達の担任の先生に会ったよ。その時に少し話をしたんだ」
澪「・・・」
唯「・・・」ジー
律「で、何を聞きたいんだよ」
轍「話を聞かせてくれるの?」
律「タダじゃないけどな~」ニヤリ
轍「・・・しっかりしてるね」
律「当然!」
澪「・・・」
律「あれ・・・?どうした澪」
澪「・・・なんでもない」
律「いつもなら・・・」
唯「・・・」ジー
轍「な、なにかな・・・?」
唯「うまさん・・・写真の人に似てる」
轍「写真?」
澪「ごめん律・・・先に帰ってて」
タッタッタ
律「ありゃ?」
唯「あれ・・・あずにゃんもいない」
轍「話聞けないかな・・・・・・」
律「・・・」
タッタッタ
澪「まって、梓」
梓「澪先輩・・・」
澪「ちょっと寄り道しよう」
梓「遠回りになりますよ?」
澪「それは梓もだ・・・行こう」
梓「・・・はい」
――――
轍「旅の話」
律「・・・」
唯「しょうがないですな」
轍「いいの?」
律「そこで慎重になるのはどうしてだよ」
轍「気軽に聞いていいものかと・・・」
律「記事のネタになりそうなんだろ?」
轍「そうなんだけど・・・、さっきの髪の長い子は触れて欲しくなさそうだったから」
律(読み取るのはやいな・・・何者だよ・・・)
唯「?」
轍「中野さんも俺を避けたわけで」
律「はは、しょうがねえよ」
轍「・・・無理強いはしたくないからさ・・・縁が無かったという事で諦めるよ」
唯「・・・」
律「記事はどうすんだよ」
轍「昨日行った場所で発見があったから、そこをつついていくかな」
唯「・・・」
律「そっか・・・」
・・・・・・
和「一人で読んでいたの?」
姫子「うん・・・私だけ読み取れていないみたいで・・・疎外感を感じたから」
和「教室で一人・・・」
姫子「絵になってたでしょ?」
和「・・・そうね」
姫子「流したよね?」
和「・・・あれ、唯たちよね」
姫子「唯?」
律「それじゃーな」
轍「うん、それじゃ」
唯「最後に聞いていいかな?」
轍「ん?」
唯「しんひかりてんって知ってる?」
律「なんだよそれ・・・」
轍「???」
唯「心ひかり展だよ!」
和「心光展でしょ」
轍「!」
唯「そ、そうだよしんこうてんだよ」
姫子「いつぞやの人・・・」
轍唯「「 なんで・・・ 」」
唯「姫ちゃんと和ちゃん一緒なの?」
轍「心光展を知っているんだ・・・?」
和「帰ろうとしたら姫子が教室にいたのよ」
姫子「唯・・・姫ちゃんって・・・」
律「雑誌を読んだ」
唯「そうなんだ・・・、姫ちゃん雑誌貸して?」
姫子「小学校以来だよ・・・それ浸透させてほしくないな・・・。はい、どうぞ」
轍「・・・」
唯「ありがと~・・・えぇとね」ペラペラッ
轍「ここでその言葉を聞くとは・・・」
律「呆然としてんな・・・大丈夫か?」
轍「あ、あぁ・・・」
和「・・・」
唯「あったあった、やっぱり似てるよ」
姫子「あの笑顔の写真?」
轍「か、貸してっ!」
唯「ど、どうぞ」
轍「・・・・・・ここで出会えるなんて・・・」
姫子「?」
唯「やっぱりうまさんだったよ、和ちゃん」
和「・・・偶然ね」
姫子「でも、その雑誌20年前のだよ・・・?」
唯「あれ・・・写真に写った人がうまさんに似ていて、写真を撮った人がうまさん・・・?」
律「唯の言葉だけ聞いたら奇想天外な想像してしまいそうだ・・・」
轍「この写真に写っている人は俺のお袋で、撮ったのは親父だよ」
律唯和姫子「「「「 え!? 」」」」
轍「・・・」
最終更新:2011年10月03日 00:16