唯「すごー・・・い」
律「すげえなアンタのお父さん・・・あの写真は私も惹かれるものがあったぜ」
姫子「・・・うん」
和「当時は恋人同士だったわけですね」
轍「・・・うん」
唯「いい写真だよね~」
轍「・・・」
律「うむ」
轍「・・・」
姫子「うん、とてもいい写真だと思う」
轍「・・・ありがと」
和「?」
轍「面白い、な。・・・ありがと、返すよ」
唯「はいよ・・・。今でもらぶらぶなんでしょうな」ニヤニヤ
律「そりゃそうだ、こんなにいい写真が撮れる関係なんだからな」ニヤニヤ
轍「うん・・・。親父は・・・お袋を笑顔にさせる事が出来た。
お袋は親父を信頼しているから、笑顔を出せる事が出来た」
和「・・・」
轍「・・・親父の・・・『最高の一枚』なんだ」
姫子(遠い目をしている・・・?)
律「親のなりそめを恥ずかしげも無く」
和「り、律・・・!」
律「な、なんだよ?」
唯「ど、どうしたの和ちゃん・・・?」
轍「あ、ごめん・・・。いきなりだったから油断してたな・・・気にしないでいいよ」
和「・・・いえ」
律「えぇと?」
唯「?」
姫子「・・・」
轍「・・・鎖になっているわけじゃないから大丈夫だよ、ありがとね」
和「そういう訳じゃ・・・」
轍「お袋は俺が幼い頃に亡くなっているんだ
親父も俺が高校に入った頃に亡くなった」
律「!」
唯「え・・・」
姫子「・・・」
和「・・・」
律「ご、ごめん」
唯「ご、ごめんなさい」
姫子「・・・」
轍「いや、あの世でらぶらぶなら俺も安心・・・って自分の親がらぶらぶってのもなんか嫌だな」
和「キレイな人だから、絵になりますよ」
姫子「変なフォロー・・・」
唯「私の両親もらぶらぶなんだよ」
律「よく旅行に行ってるもんな」
轍「・・・」
和「巧いフォローってどうやるのよ」
姫子「フッてもやらないよ」
唯「また海外行くとか言ってるんだよ」
律「またか!」
轍(バラバラなようで・・・纏まっているんだな・・・)
律「その・・・なんだ・・・私だけでも話してやってもいいぞ」
轍「?」
和「話って?」
唯「夏の旅の話だよ!」
姫子「・・・聞きたいかも」
律「無神経な事を言ってしまったお詫びもかねてな!ファーストフードでな!ソーマ持ちでな!」
轍「あ、ごめん」
唯「しょうがない・・・アイスで手をうつよ~」
和「お詫びする気あるの?」
轍「時間が無いんだよ、今日はもう戻らないと」
律「戻る?帰るじゃなくて・・・」
轍「あぁ、一応旅としてここに来てるからね俺は」
姫子「・・・」
唯「テント?」
轍「うん・・・、キャンプというより野宿だけど」
律「ここらへんでテント張れる場所なんてあったかな」
和「たしか・・・離れたところにキャンプ場があったわね」
姫子「・・・どのくらい離れているの?」
和「えぇと・・・」
轍「俺がテントを張る場所は、バイクで2時間ちょっと」
唯「今から戻っても間に合うの?」
轍「今日は戻ってネタをまとめるだけだから・・・少し食べて寝るだけだな」
律「ふ~ん・・・」
和「時間が無いってそういう事なんですね」
唯「どうしてそんな事してるの?」
轍「この方がリアリティのある記事が書けるからね」
律「・・・」
姫子(あ・・・面白い事おもいついた・・・けど・・・・・・)
和(・・・唯が言いそうね・・・だけど・・・面白いわ)
唯「むふふ~」
―――――森林公園
澪「河川敷じゃないんだ」
梓「た、たまには違う場所でもいいじゃないですか」
澪「・・・そうだな。いい場所だなここも」
梓「はい・・・開けた場所ですから、のんびりできていいです」
澪「梓は・・・答えを見つけたのか?」
梓「・・・・・・・・・はい」
澪「そっか・・・」
梓「・・・」
澪(やっぱり・・・むぎがいると梓は強くなるな・・・夏の時と一緒だ)
pipipipi
澪「?」スッ
ピッ
梓「・・・」
澪「唯から・・・メール来たんだけど・・・」
梓「どうしたんですか?」
澪「・・・読んで見て、どういう事か分かる?」
梓「?」
『キャンプをします!』
梓「分かりません」
pipipipi
梓「?」スッ
ピッ
澪「律じゃない?」
梓「そうです・・・えぇー・・・」
澪「どうした?」
梓「見てください」
『今週末開催!』
澪「えぇー・・・」
―――――夜・山中邸
『もしもし、さわちゃん~?』
さわ子「なによ・・・もう寝るんだから用件は短めにお願いね」
『早寝はNO NO NOだよ』
さわ子「明日遅刻したらおやつ私が食べるからね」
『そんな!って遅刻なんてしないよ~』
さわ子「分かったから、なによ」
『今週末って空いてる~?』
さわ子「今週末って・・・土日よね・・・」
『金曜日の夜から土曜日だよ』
さわ子「学校終わってから・・・?」
『そうだよ』
さわ子「空いてるっちゃ空いてるけど・・・」
『学校は行かなくていいの?』
さわ子「生徒に言われるとおかしな気分になる台詞ね・・・」
『うん?』
さわ子「・・・なにがあるの?」
『キャンプしようよ!』
さわ子「・・・」
『みんなでやろうよ!』
さわ子「あなたたちだけ贔屓しているみたいで気が引けるわ」
『姫ちゃんも来るよ~、いちごちゃんも誘ったら来てくれそうだよ』
さわ子「・・・」
『どうかな?』
さわ子(・・・このタイミングなのね)
『さわちゃん?』
さわ子「しょうがないわね・・・みんなが乗れる車借りてくるから、ありがたく思いなさいよ」
『ひゃっほぅ!』
『ガンッ』
『あいたぁ!』
『お、お姉ちゃん大丈夫!?』
『だ、大丈夫』
さわ子「あれ・・・?今週末って言ったわよね・・・」
『言ったよ』
さわ子「明日木曜日よ!?」
『そうだよ?』
さわ子「あのねぇ・・・」
『楽しみだなぁ~♪』
さわ子「明日一日で全ての準備しなきゃいけないのよ?」
『ばっちりだす!』
さわ子「・・・」
『ありがとね、さわちゃん』
さわ子「・・・お礼なんていいわよ」
『おやすみ~♪』
さわ子「えぇ、おやすみなさい」
プツッ
さわ子「唯ちゃんはまだ、むぎちゃんの治療の事知らないのよね・・・」
カチッ
さわ子「よいしょ」ファサ
さわ子「・・・このタイミングなのね」
9月10日
さわ子「もぐもぐ」
『・・・発生した台風28号ですが、沖縄を直撃しており』
さわ子「毎年毎年大変ね沖縄は」
『・・・このままの進路を進みますと』
さわ子「・・・」
『11日に通過するものと見られております』
さわ子「このタイミングなのね~」
さわ子「車の予約・・・するべきかどうか悩むわね・・・」
ピッピッピ
―――――3年生のクラス
紬「・・・」キラキラ
澪「嬉しそうだなむぎ・・・」
紬「・・・」プッププー
唯「私も楽しみだよ!」
信代「姫子も行くの?」
姫子「そうみたい」
信代「なんで他人事?」
姫子「その場に居たから数に入れられたようなものかな」
和「・・・そうね」
姫子「・・・っ」ギクッ
和「その場にいた・・・だけ・・・で数に入ったのよね」
姫子「・・・そ、そうだよ」
和「そうよね・・・」
信代「なに・・・この雰囲気は」
律「えーと、むぎ、唯、梓、姫子、さわちゃん、和、憂ちゃん、純、私・・・9人か」
紬「・・・?」
律「あぁ・・・澪はだな」
澪「行かないって言ってないだろっ!」
信代「10人か・・・大所帯だな」
紬「・・・」プップププー
唯「一緒に行こうよって」
信代「私?」
紬「・・・」コクリ
信代「定員オーバーじゃない?」
唯「さわちゃんに相談しよう」
紬「・・・」コクコク
姫子「今日は父さんからキャンプ雑誌を借りてきたよ」
澪「用意がいいな!」
和「・・・」
姫子「ちょっと古いけど、テントを張る場所の選び方とか」ペラッ
澪「なるほど・・・あ、カレーの作り方まである!」ウキウキ
姫子「本当だ・・・やっぱりカレーが定番だよね」
澪「うんうん」
姫子「夜はみんなで焚き火を囲んでね」
澪「いいな・・・それ・・・」ジーン
姫子「ギターなんか弾き・・・なが・・・ら・・・」
澪「いい時間だ」ウットリ
姫子「・・・」
和「続けていいのよ?」
澪「ん?」
姫子「・・・」カァア
律「澪がはしゃぐのは分かっていたんだけど」
澪「・・・」カァァ
紬「・・・」コクリ
信代「で、どうしたんだよ唯?」
唯「来る・・・来るよ・・・」ムムム
律「またか・・・、そう何度も当たらねえよ」
唯「浅はかだよ・・・おそまつだよりっちゃん」
信代「さてさて、今日はどうなるかな」
唯「今扉が開くよ!」
紬「・・・」ワクワク
ガチャ
唯「ふふん」
信代「マジで・・・?」
律「・・・後ろの扉から入るのかよ」
梓「せんぱ~ぃ」コソコソ
唯「っ!」サッ
律「梓?」
信代「先生じゃないじゃん・・・って・・・あれ、唯?」
紬「・・・?」
梓「ちょっ!」ジタバタ
唯「どうしたんだい~」スリスリ
梓「唯先輩に用はありません!」
唯「」ピシッ
紬「・・・」ププップップー
梓「あ・・・えと・・・一緒にお昼ご飯食べませんか?」
紬「・・・」コクコク
律「どうしたんだ、わざわざ」
梓「たまにはいいじゃないですか、お昼に来ますから!」
タッタッタ
唯「」ピキーン
信代「積極的な後輩だな」
律(私も見習うか・・・)
紬「・・・」チョンチョン
唯「・・・はっ」
ガチャ
さわ子「席に着きなさーい」
ザワザワ
―――――昼・中庭
紬「・・・」モグモグ
梓「外で食べるのもいいですね」
紬「・・・」コクリ
梓「・・・」モグモグ
紬「・・・」モグモグ
梓「まだまだ暑さは続きますね・・・」
紬「・・・」コクリ
梓「続くというより残るって方があってますかね」
紬「・・・」モグモグ
梓「・・・」モグモグ
紬「・・・」モグモグ
梓「えと・・・」
紬「?」
梓「いえ・・・むぎ先輩じゃないです」
紬「・・・」モグモグ
梓「どうして喋らないんですか・・・」
律「いや・・・まったりしてんなーと思って」
梓「してましたけど・・・」
純「なにかを口に出したら壊しそうだったからさ」
梓「なにそれ・・・」
紬「・・・」ニコニコ
唯「喋っていいの?」
梓「どうぞ」
澪「それじゃあ、明日のキャンプについて話そうか」
律「そうだな、決めとくか」
憂「私たちも参加していいんですか?」
純「そうですよ」
紬「・・・」コクリ
梓「行きたくないのならいいけど」
純「そんな事は言っていなーい」
澪「さわ子先生が移動手段を確保してくれているんだよな」
唯「うん!」
律「結構人数多いぞ」
憂「だ、大丈夫なんでしょうか」
紬「・・・」ドン
梓「どうしたんですか?」
紬「・・・」ペラッ
澪「紙鍵盤・・・」
紬「・・・」トントントトン
唯「う・・・」
梓「斉藤さん・・・ですか」
紬「・・・」コクリ
律「なるほど、運転手は二人で分担できるというわけか」
純「こういう時頼りになりますよね、免許所持者って」
唯「うぅ・・・音じゃないから聞き取れなかったよ」
梓(充分すごいと思いますけど・・・)モグモグ
紬「・・・」
ギュ
唯「ん?」
紬「・・・」スラスラ
唯「えへへ」
紬「・・・」ニコニコ
澪(・・・あれ・・・私だけ掌に書いてもらった事ない・・・?)
律「テントは足りるのか?」
澪「姫子が一つ持っているんだって」
唯「持っていたんだ~、意外だね」
律「意外だ・・・。さわちゃんが夏フェスで使ったヤツもあるからなんとかいけるか?」
純「食事はどうするんですか?」
澪「カレーだ!」
純「ですよね!」
梓「決定しちゃいましたね」
紬「・・・」トントトントン
梓「いえ・・・特に食べたいものがあるわけでもないですよ」
唯「冷やしソーメンとか」キラン
憂「・・・夏にたくさん食べたよ」
純「それもいいかなと思った」
律「どっちでも楽しめそうだけどな」
澪「カレーだ!」
純「そうだそうだ!」
唯「いいや、ソーメンだよ!ざるそばも可!」
純「そうだそうだ!」
律「じゃあカレーソーメンだな」
純「・・・」シーン
律「最近こんなのばっかり」シクシク
紬「・・・」トントントトン
唯「・・・両方?」
紬「・・・」ニコニコ
最終更新:2011年10月03日 00:19