―――――1時間後

紬「・・・」

律「・・・むぎ?」

紬「・・・?」

律「なにか見えるのか?」

純「未確認飛行物体とか」

紬「・・・」スッ

律「あぁ・・・晴れてきてるな」

澪「台風一過だな」

姫子「うん、いいタイミングに晴れたね」

純「これならキャンプ地は乾きますよね」

斉藤「それはどうでしょう・・・結構な雨でしたから」

澪「うん・・・バケツをひっくりかえしたような雨だった」

律「台風一家・・・」

澪「・・・はいはい」

姫子「?」

律「・・・」

純「どうして繰り返して言ったんですか律先輩」

律「うるさいっ」

紬「・・・?」

澪「むぎも気づいていないのか」

姫子「どういう事?」

純「台風にもお父さんとお母さんが」

律「ボケを説明するなぁ!」

紬「・・・」コクコク

姫子「・・・」

憂「」スヤスヤ

唯「」スヤスヤ

ドルルルルルルル

姫子「あ・・・」

澪「ん?」

姫子「女性ライダーだよ」

純「おぉ、かっこいいバイクだ」

律「どれどれ・・・マジだ・・・かっこいいな」

姫子「・・・気持ち良さそう」

紬「・・・」

律「太陽出てきてるからな」

ドルルルルルルルル・・・

澪「ぐんぐん伸びていったな・・・」

憂「」スヤスヤ

唯「」スヤスヤ


―――――2時間後

澪「起きて、二人とも」

憂「・・・ぁ」

唯「・・・ぉ?」

律「そろそろ着くぞ~」

姫子「雲も少なくなってきたね」

律「純の女の勘とやらも・・・捨てたもんじゃないってことか・・・」ゴクリ

紬「・・・」キラキラ

斉藤「・・・えぇと・・・山中様は・・・」

純「あ、梓がいたっ!」

斉藤「では、そちらへ・・・」

律「梓も運が悪いなー」

純「そうですね」

澪「・・・くじだからしょうがないけど」

斉藤「到着致しました」

ガチャ

純「ありがとうございましたー!」

澪「ありがとうございました」

律「ありがとー!」

憂「・・・ありがと・・・うござ・・・まし・・・」

唯「うい~、ちゃんと目を覚まさないと危ないよ~」

和「寝ていたの?」

唯「えへへ」

憂「・・・」ボケー

律「到着!」

梓「純があのくじ作ったんだってね」

純「そうですよ」

梓「・・・」

純「私は悪くない!」

梓「自分の引きが弱かっただけ・・・誰も責めてはいないよ・・・」フッ

純「ご、ごめんなさい」

梓「・・・帰りもくじ・・・?」

純「そう・・・なります・・・かね・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」イソイソ

梓「手伝います!」

斉藤「場所を確保しておいてくれますか?そちらへ荷物を運びますから」

律「よっしゃー、行こうぜむぎー!」

澪「よし!」

純「いい場所を確保したいなー」

姫子「先ずは下見だね」

紬「・・・」ダッ

タッタッタ

梓「むぎ先輩まってください!」

和「・・・」ダッ

タッタッタ

姫子「和まで・・・」

唯「あれ、りっちゃんたちは~?」

憂「・・・あ、到着していたんだね」

斉藤「皆様向こうへ行かれましたよ」

唯「えー!?」



―――――山中さわ子班


いちご「料理班がいい・・・」

風子「仕方ないよ、くじで決まった事だから」

信代「そうだぞ、諦めて木の枝を集めようじゃないか」

春子「なんで木の枝を・・・」

信代「姫子と澪が言ってたでしょ」

風子「湿った枝で焚き火をするとすぐに火が落ちるから、早めに集めて天日干しするって」

春子「雑誌で得た知識か・・・」

いちご「・・・」スィー

信代「ちょいまち」ガシッ

いちご「・・・テント設営班なんて聞いてない」

信代「しょうがないな・・・あっちの班の誰かと変わってもらうといい」

いちご「・・・うん」

スタスタ



―――――シュガー班


唯「さわちゃんは~?」

律「あれ・・・いないな」

いちご「帰ったよ」

澪「え!?」

梓「正確には一度戻った、です」

紬「・・・?」

梓「学校で用事をすませてくるそうです」

紬「・・・」コクコク

純「大変ですね・・・片道2時間ちょっとの距離なのに・・・」

憂「・・・うん」

律「こら・・・梓といちごはテント設営班だろ」

いちご「誰か変わって・・・」

紬「・・・」ズバッ

いちご「変わってくれるの?」

紬「・・・」キリ

いちご「・・・ありがと」

梓「それじゃあ私も設営班に戻ります」

純「え・・・サボってたの?」

梓「サボってないよ、荷物運びしたから」

憂「・・・うん・・・そうだね」

唯「姫ちゃんと和ちゃんがいないよ」

澪「買出しだよ、斉藤さんと」

梓「あれ・・・、むぎ先輩は?」キョロキョロ

律「とっくに設営に向かったぞ」

梓「もぅ!」

テッテッテ

いちご「・・・あの子・・・紬さんの傍によくいる」

律「まぁ・・・尊敬してんだろ」

澪「・・・うん」

いちご「・・・」

憂「・・・ふぁ」トントントントントン

純「あくびしながら見事な包丁裁きで・・・」

唯「あいたぁ!」

澪「ヒィ!」

唯「皮擦りむいちゃった」

澪「聞こえない聞こえない」ガタガタ

律「邪魔だなぁ・・・」

いちご「・・・」スラスラスラスラ

純「見事な皮剥きです!」

律「・・・嘘だろ・・・?」

いちご「・・・どうして?」

律「・・・すまん、みくびってた」

いちご「?」

律「いちごのキャラはそんなんじゃないと思ってた」

いちご「む・・・」

唯「あっつー!」

憂「お、お姉ちゃん・・・まだ火を点けちゃダメだよ」

唯「えへへ、やってみたくて~」

澪「唯はあぶなっかしくて見てらんない」ブルブル

律「あなたたち二人設営班に行ってくれませんかね」

唯「どして~」ブー

澪「な、なんでだよ」

律「邪魔だ!」

唯澪「「 」」ガーン

純「ひどい事いいますね」

律「で、純はなにをやってんだよ」

純「全体の状況を」

律「行って来い!」

純「な、なにかやりますよ」

律「今は下準備だから手は足りてる、後で手伝ってくれ」

純「うぅ・・・」

憂「・・・」トントントン

いちご「・・・」スラスラスラスラ

律「・・・」トントントントン



―――――設営班


紬「・・・」

梓「薪はこんなもんでいいですかね」

唯「そだね~」

信代「結構集まった」

風子「多すぎるんじゃないかな」

春子「余って困る事はないからいいんじゃない?」

澪「・・・よし、次はテントを張るか」

純「地盤ぬかるんでません?」

紬「・・・」コクリ

澪「まだ早いか・・・」

梓「夕方まで待ってみませんか?」

唯「そうしましょう!」

純「それまでどうしましょう」

風子「あれ、料理班は三人?」

純「そうですよ」

春子「ちょっとまて!律はどこだよ!!」

信代「ま、まさか」

澪「そのまさか・・・です」

信代「」

春子「」

唯「絶句だよね」ウンウン



―――――買出し班


キキッ

斉藤「到着致しました」

ガチャ

姫子「ありがとうございました」

和「ありがとうございました」

斉藤「いえいえ」

和「よいしょ」ガサガサ

姫子「・・・」

和「言っておくけど・・・私が、じゃないわよ」

姫子「・・・分かってるよ。唯のために買ったんでしょ、花火」

和「・・・」

斉藤「お荷物大丈夫ですか?」

姫子「大丈夫ですよ」

和「えぇ、そんなに重くはありませんから」

斉藤「そうですか。・・・それでは参りましょう」

和「色々と手伝ってくれてありがとうございます」

斉藤「いえ・・・」

姫子「あ、見て和・・・」

和「バイク?」

斉藤「こちらへ向かう途中に追い越して行った型のようですね」

姫子「はい・・・。運転していた人もここにいるんだ」

和「あ、見て姫子」

姫子「人?」

「・・・」

斉藤「倒れていますね」

和「行き倒れかしら」

姫子「・・・大変な事なんだけど」

「・・・うぅ」

姫子「・・・」

和「その格好暑くないですか?」

「・・・うぅ?」

和「日陰で寝たほうがいいですよ」

「・・・うぅ」

斉藤「どうなされましたか?」

「・・・うぅ」

和「どうしたものかしら・・・」

グギュルル

「・・・ぅう」

和「お菓子でよければ」

ガバッ

「ください!」

姫子「び、びっくりした」

和「・・・チョコですけど」

「ありがとー!」

斉藤「お腹が空いていただけのようですね」

「うまうま」ムシャムシャ

和「・・・」

姫子「・・・」

「はぁ~、助かったー」

斉藤「なによりです」

「お店があるだろうと探していたんだけど、見当たらなくて大変だったよ」

和「・・・この辺りは自然が多いですから」

「そうそう、いくら走っても緑ばっかりで」

和「もう一度聞きますけど、暑くないですか?その格好」

「うん・・・。バイクで走っているといいくらいだよ」

姫子「・・・」

和「やっぱり・・・あなたがあのバイクの持ち主なんですね」

「そうだよ。私の名前は滝沢玉恵・・・24歳独身、よろしくー!」

姫子「・・・」



―――――料理班


和「みんなは?」

憂「湖の方へ行ったよ」

姫子「そこでなにを・・・?」

梓「泳ぐと言っていました」

憂「止めたんですけど・・・」

玉恵「おいしそうなにおい~」クンクン

梓「え、と・・・?」

玉恵「お呼ばれしました」

和「一人分くらいは余るわよね?」

憂「うん、斉藤さんと山中先生の分もあるから大丈夫だよ」

斉藤「・・・私はこれで失礼します。せっかくのご招待を無下にしてしまい申し訳ありません」

憂「そうですか・・・」

斉藤「明日のお昼にお迎えにあがります。紬お嬢様にお伝えください」

玉恵「・・・」

和「ありがとうございました」

斉藤「それではこれで・・・」

梓「斉藤さん・・・お聞きしたい事が・・・」


23
最終更新:2011年10月03日 00:21