―――――・・・

玉恵「執事さんだったんだ・・・」

梓「そうですよ」

玉恵「・・・ふーん」

和「どうかしたんですか?」

玉恵「なんでもない。というか、敬語はやめようよ~、私たちこれで最初で最後なんだから
   伸び伸び会話しよう!」

梓「ふふっ」

憂「!」

和「分かりました」

姫子「・・・」

玉恵「滝沢玉恵です。よろしく」

梓「中野梓です」

憂「平沢憂です。よろしくおねがいします」ペコリ

玉恵「れ、礼儀正しい・・・!」

姫子「・・・」

玉恵「和ちゃん達は高校生だよね?」

和「そうです。クラスメイトと後輩達とここへキャンプをしにきました」

玉恵「いいな~そういうの」

姫子「・・・」

憂「姫子さんも湖へ行って来てはどうですか?」

姫子「う、うん・・・」

玉恵「私が見張りしているから憂ちゃんも行ってきていいよ」

梓「つまみ食いしませんよね?」

玉恵「ま、まさか・・・」

梓「どもったじゃないですか」

憂「まだダメですよ~」

和「私が見張っているから平気よ」

玉恵「食べないって」

姫子「じゃ・・・行ってくる」

梓「お願します」

憂「すぐ戻ってくるからね」

和「えぇ」

玉恵「ごゆっくり~」フリフリ

姫子「・・・」

姫子「知り合い・・・じゃないよね?」

梓「玉恵さんですか?」

姫子「・・・うん」

憂「初対面です」

姫子「すごく馴染んでいたから」

梓「きっとそういう人なんですよ。誰にでも気軽に接して、接して欲しいから壁なんて最初からなくて」

憂「そうだね」

姫子「・・・」

梓「うわっ!みんな、もう泳いでる!」

憂「水着持ってきていたんだ・・・」

姫子「・・・」

梓「えいっ」ズババッ

憂「水着着ていたんだ・・・」

梓「先に行ってるから!」

タッタッタ

憂「はいは~い」

姫子「・・・」

憂「湖があるのは知っていたけど、泳げる事は知らなかったのに」クスクス

姫子「・・・」

憂「お姉ちゃんも楽しそう」ニコニコ

姫子「・・・なんか、あの子・・・梓ちゃんと私には人生経験の差を感じたな」

憂「?」

姫子「さっきの人との会話を聞いててさ、私はなりゆきをみていただけ」

憂「・・・」

姫子「和と、憂ちゃん、梓ちゃんの三人と玉恵さんとのやりとりを
   一人外から眺めている・・・そんな気分だった」

憂「そうですか・・・」

姫子「変だよね・・・、疎外感じゃないけど、前から知り合いのような雰囲気を持った4人が少し羨ましかった」

憂「私は・・・梓ちゃんが玉恵さんにすぐ気を許したから、打ち解けられたんだと思います」

姫子「・・・なんか不思議な子」

憂「私は知っていますから・・・普通だと思います」

姫子「知っている・・・?」

憂「あ・・・夏に出会った人がいて・・・その人と梓ちゃん、とても楽しく旅をしていたんです
  その人に似た雰囲気だから、玉恵さんとも馴染めたんだと思います」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

憂「ごめんなさい。知らない話を・・・」

いちご「・・・玉恵さんって?」

玉恵「私」モグモグ

いちご「ッ!?」ビクッ

憂「あ、食べてるじゃないですか~」

玉恵「おいしいよ、この冷やしソーメン」ズルズル

憂「みなさんと一緒に食べましょう」

姫子「・・・」

いちご「・・・」ドキドキ

玉恵「うん、そうだね・・・。お茶碗置いてくる」

スタスタ

憂「・・・やっぱり似てる」クスクス

姫子「いちごはどうしたの?」

いちご「ぇ・・・え?」ドキドキ

憂「・・・?」

姫子「泳がないの?」

いちご「・・・水の中冷たくて、少し日光浴」

憂「台風過ぎた後なのに、今日も日差しが強いですね」

姫子「多分、最後の日差しかもしれないね」

いちご「・・・」

憂「そうですね・・・私も遊びたかったな」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

憂(・・・ビーチ・・・湖バレー・・・?)



唯「りっちゃーん、パース」ポンッ

律「よっしゃー!」ポンッ

梓「むぎ先輩!」

紬「・・・!」ポンッ

春子「っしゃー!」バシッ

澪「ちょっ!」

ボフッ

澪「っ!」

バッシャーン

純「大丈夫ですか!?」

律「倒れただけだ、心配はいらねえ」

澪「りつー!」バシッ

律「私じゃないだろ!」ポンッ

風子「そろそろこっちにもボールを回してほしいんだけどなぁ~」

信代「突っ立ってるだけだよ私たち」プンスカ

唯「それじゃボールもう一個追加だよっ」ポーン

梓「面白いですね」ポンッ

澪「りつー!」バシッ

律「そんな攻撃でやられるほどヤワじゃ」

春子「りつー」バシッ

律「ずりぃ!」ポンポンッ

純「対応しましたね」

風子「きたきた」

信代「よしよし」

スッ

紬「・・・!」バシッ

サッ

唯「それっ!」バシッ

風子信代「「 うーん・・・ 」」



姫子「みんな一生懸命楽しんでるって感じ」

いちご「・・・うん」

憂「・・・」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

憂「姫子さん・・・」

姫子「?」

憂「梓ちゃんと、その人を紡いだのは・・・紬さんですよ」

姫子「・・・そうなんだ」

憂「はい」

いちご「・・・尊敬しているって・・・そういう事なのかな」

姫子「・・・?」

憂「・・・」

玉恵「ごめんね、憂ちゃん・・・勝手に食べちゃって」

憂「いえ、おいしいって言ってくれて嬉しかったです」

玉恵「本当においしかったよ」

憂「えへへ、・・・私、和さんの所へ行ってきますね」

玉恵「うん」

いちご「・・・」

憂「反省する所とか、すっごく似ています」ヒソヒソ

テッテッテ

姫子「・・・」

玉恵「みんな楽しそうだね~」

いちご「・・・」

玉恵「キミは行かないの?」

いちご「・・・今は嫌」

姫子「なんか・・・ボールのぶつけ合いになってるからね・・・」

玉恵「あはは」

いちご「・・・」

姫子「・・・」

玉恵「いい所だここは~」ゴロン

姫子「・・・」

いちご「・・・」

玉恵「・・・寝ちゃいそう・・・・・・」ウトウト

『とても楽しく旅をしていたんです』

姫子(けいおん部が変わった理由がそこにあるのかも・・・いや、ある)

玉恵「・・・ふぁ~」

いちご(なんで私たち三人並んで座っているんだろ・・・一人は知らない人)

姫子「あの・・・玉恵さん?」

玉恵「ぅん?」

姫子「えっと・・・その・・・バイクに乗って・・・どう変わりましたか?」


―――――・・・


―――――設営班

律「ねみぃ・・・」

唯「眠いよ・・・」

澪「ダメだぞ!」

風子「テント立てるよ!」

信代「そうだ!」

純「なんか怒ってます?」

風子「そんな事ないよ!」

信代「ないよ!」

純「怒ってますね・・・」

紬「・・・」

梓「こうですか?」ググッ

紬「・・・」コクリ

梓「では行きます、せーっの!」

ボンッ

春子「お、いいぞー」

澪「そのままそのまま」

紬「・・・」ググッ

バサー

梓「あっ」

唯「あらら」

律「うまくいかねえな」

澪「手伝わないからだろ」

律「立て方分かんねーよ」

唯「・・・うん」

風子「説明書読んでも要領得ないね」

信代「力はいらないんだけどなー」

玉恵「そこで私の出番ですよ」フフン

紬「・・・?」

梓「さきほど出会いました、滝沢玉恵さんです」

紬「・・・」ペコリ

玉恵「よろしく~」

律「・・・出番って?」

玉恵「これくらいのテントなら私に任せてよ」ドン

澪「頼りになる!」

唯「お手並み拝見といきましょうか」フンッ

律「なんで偉そうなんだよっ」

風子「・・・」

春子「・・・」

信代「・・・」

玉恵「それじゃそこの・・・えぇと・・・」

純「鈴木純です。よろしくお願します」

玉恵「よろしくね。えぇと髪の毛ボンバーな子」

純「自己紹介したでしょ!」

玉恵「そこを・・・えぇと・・・」

澪「田井中律です」

律「田井中律は私だ。あなたは秋山澪だ」

玉恵「澪ちゃんはそこを持ってて」

澪「はい」

玉恵「よいしょっと」

唯「おぉ・・・それらしくなったよ!」

律「あとはなんとなく分かるな」

玉恵「そう?」

澪「はい、大丈夫です」

紬「・・・」フンス!

梓「純・・・そっちお願い」

純「任せとけ!」

春子「・・・」

信代「・・・」

風子「・・・手伝えないまま出来上がってしまうよ」

春子「手伝うよー!」

信代「出遅れてしまう」

紬「・・・」

コンコンコン

梓「おっけーです、むぎ先輩」

紬「・・・」コクリ

唯「出来た!」

玉恵「立派なもんだね」

律「そんじゃ私はあっちへいくから、次のテントも頼んだぞ~」

澪「私も料理班だ」

唯「おぉっと、私もだよ」

純「あ、私もだ・・・」

律「戻るか」

スタスタ

信代「・・・え?」

風子「どうしたの?」

信代「私と紬・・・風子、春子、梓ちゃんの5人?和は?」

紬「・・・?」

春子「そろそろ来るんじゃないか?」

梓「そうです。次立てましょう」

玉恵「手伝おうか?」

梓「というか、玉恵さんはどうしてここにいるんですか」

玉恵「和ちゃんに『働かざるもの食うべからず』って言われたんだよ~」

和「そういう事ね」

梓「なるほど・・・いえ、そうじゃなくてですね」

風子「和さん・・・自然に混ざった・・・」

紬「・・・」ニコニコ

玉恵「なぁに?」

梓「玉恵さんの予定はどうなんですか・・・って意味ですよ」

紬「・・・」コクコク

玉恵「あぁ、私も今日はここでテント張って寝るから気にしないでいいよ」

春子「バイタリティある人だな」

玉恵「ありがと」

和「褒めてないけどね」

玉恵「褒め言葉だよ今の!」

風子(和さんも打ち解けてる・・・)

梓「陽が傾いてきましたから急ぎましょう」

和「えぇと・・・どうやるの?」

玉恵「紬ちゃん、そっち持ってくれる?」

紬「・・・」ビシッ

玉恵「そこを・・・えぇと、髪を両方結って」

梓「自己紹介しましたからね」

玉恵「・・・梓ちゃんはそこ持ってー」

梓「やる気だしてください」

玉恵「ボケを潰されたんだよ、やってらんないよ」ツーン

梓「いいですから、次の指示を」

玉恵「もぅ・・・。和ちゃんそっちを・・・うん。・・・よいしょっと」

信代「おぉ・・・形になってきた」

和「的確な指示ね・・・」

玉恵「そこを・・・えぇと・・・」

風子「風子です」

玉恵「ふぅちゃんお願い」

風子「・・・は、はい」テレッ

春子「リアクションおかしくない?」


―――――・・・


紬「・・・」

コンコンコン

梓「・・・」

紬「・・・」フゥ

梓「出来ましたね」

信代「紬といちごを交換してよかったな」

風子「うん」

春子「さて、料理班を覗いてくるか」

紬「・・・」スタスタ

和「?」

シャー

紬「・・・」モゾモゾ

風子「?」

モゾモゾ

信代「え?」

春子「どうして中に入ったのあの子」

梓「恒例行事みたいなものです」

和「行事なの?」

梓「夏フェスでテントを立てたときもやったんです」

風子「へ、へぇ・・・」

梓「玉恵さんは・・・?」

和「いないわね・・・自分のテントでも張りに行ったんじゃないかしら」

梓「手伝ってきます」

風子「どこ行ったか分かるの?」

梓「一緒にご飯食べるといいましたから、その辺だと思います」

テッテッテ

紬「・・・?」ヒョコ

和「梓なら玉恵さんの所へ行ったわよ」


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最終更新:2011年10月03日 00:22