唯「マシュマロあるよ~」

さわ子「焚き火で少し焼くとおいしいのよね~」

律「マジかっ!」

唯「やってみよ~」

ジュー

憂「近づけすぎだよお姉ちゃん」

唯「だいじょうぶだよ~。・・・ふぅちゃん、聞くの疲れちゃった?」

風子「ううん・・・。大丈夫、もっと聞きたい」

律「そんじゃ次は澪」

澪「ライブをやったんだ。名古屋で」

玉恵「聞いたよそれ」

唯「焦げちゃった」

澪「楽しかった」

春子「それも知ってる」

憂「焦げた部分ははがせるんじゃないかな」

唯「おぉ、ほんとうだ」

澪「そう!名古屋の遊園地でジェットコースターに乗ったんだ!」

「「 えぇっ!? 」」

轍玉恵「「 ん? 」」

澪「すっごく楽しかった!」キラキラ

律「あ、やべ・・・」

梓「少しずつテンションが上がってきましたね」

紬「・・・」コクリ

澪「長島スパーランドは・・・私にとって楽園だ・・・桃源郷だ」キラキラ

姫子「ちょっ・・・澪!?」

和「大丈夫よ、正常だから」

信代「いやいや、こんな澪は正常じゃないよ」

澪「スペースショット・・・ホワイトサイクロン・・・ジャンボバイキング・・・」キラキラ

風子「全部迫力のあるアトラクションだ・・・」

春子「おいおい・・・」

いちご「・・・どうしたの」

姫子「和・・・例えじゃなかったの・・・?」

和「例えにしておけば、イメージ崩れないでしょ?」

轍「なるほど」

玉恵「キャラが激変したからみんな驚いているのね」

純「また行きましょうね、澪先輩!」

澪「よしっ!」ガタッ

律「今からでは間に合わねえよ。ってかどこへ行こうとしてるんだよ」

さわ子「・・・こうなると少しやっかいなのよね~」

憂「・・・」モグモグ

風子「み、澪さんがこれくらいハイになる程楽しいんだ・・・」ゴクリ

澪「近いうちに一緒に行こうな、風子!」

風子「うん!」

紬「・・・!」

唯「いいね!」

春子「あはは、紬も便乗したな」

梓「・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

律「・・・」

和「・・・」

姫子「・・・」

さわ子「・・・」

轍「?」

澪「・・・あ・・・・・・」

紬「?」

信代「どうした?」

玉恵「今度は澪ちゃんの話を聞かせて欲しいな~」

澪「はい・・・」

春子「あれ、テンション急降下?」

律「素に戻ってしまったんだ、言ってやるな」

風子「?」

唯「一番最初に乗った絶叫アトラクションがフリーフォールなんだよね」

澪「うん」

いちご「最初は怖くなかったの?」

律「文字通り絶叫してたぜ~」

澪「いうなっ!」

轍「・・・」

唯「あれ、どうして乗ろうと思ったの?」

澪「そ、それは・・・」モジモジ

春子「それは?」

澪「じ、自分を変えたかったから・・・
  り・・・みんなに引っ張ってもらってばっかりで、弱いままだったから」

姫子「・・・」

澪「きっかけが欲しかった。ただ、それだけの理由で乗ったんだ」

さわ子「・・・」

梓「知らなかったです」

紬「・・・」コクリ

律「言ってないからな」

澪「言うものでもないしな」

和「そうね・・・」

憂「・・・」ヒョイ

パキパキパキパキ

唯「うい・・・?」

憂「うん・・・?」

唯「どうしたの?」

憂「ううん・・・なんでもないよ・・・」

唯「・・・」

轍(なんだろ・・・5人を中心としてるけど・・・どこか崩れそうな感覚・・・)

澪「私の旅は・・・列車に乗車する前から始まっていたんだ」

玉恵「・・・どうしてそういえるの?」

澪「乗車する前に出会った人たちがいたから。その人たちと一緒に景色をみてきた」

律「そうだったな。他人にすぐ気を許していたから、むぎと私はびっくりしたんだぜ」

紬「・・・」ニコニコ

澪「その人たちと出会って、私の旅の方向性が決まっていたんだ。その時は全然気づかなかったけど」

春子「方向性・・・」

澪「強くなる事・・・。みんなについて来いって言えるくらいの自信を持つ事」

さわ子「・・・そうだったのね」

澪「その人たちはコンビで、出会って10日くらいでお互いを信頼していて、唯一無二の存在になったんだ」

轍「・・・へぇ」

澪「お互いを引っ張り合って、お互いを高めあって、お互いを補い合って・・・強く突き進んでいくんだ」

律「とても頼りなさそうな雰囲気で、ずっとおちゃらけているんだけど、心の中では支えあっていた」

澪「うん・・・。私もりつと、むぎと、ゆいと、あずさと、そういう関係になりたいと思った」

姫子(澪がこんな事言うなんて・・・)

澪「だから私はその二人に付いて行って、一緒に観光地を周ったりして、学んでいったんだ
  とても楽しかった。二人といるのが・・・、お互いを引っ張り合っていく二人をみているのが」

春子「・・・」

澪「でも、そんな二人がなんの前触れも無く、別れる事になった
  二人でいればどこまでも突き進んでいけるのに、お互いを支えあえるのに
  足りないものを補っていけるのに、強く・・・いられるのに・・・だ」

梓「・・・っ」

澪「一緒に自分の夢を追いかけ続ける選択肢もあったと思う。
  けど相棒の将来を大切に想って決断したんだ。別れる事を」

風子「・・・」

澪「二人は全く同じ景色をみて、同じ経験を積んでいたんだ。だからこの先もずっと繋がっていける」

いちご「別れたんでしょ?」

澪「うん・・・。別れても、二人は互いを想っている。それほど強固な絆なんだ」

信代「・・・」

澪「私は焦っていたんだ。旅をしてきて、りつもゆいもあずさもどんどん自分を高めていった
  先を歩くみんなに置いていかれるような気がして・・・な」

律「・・・」

澪「だけど、あの二人をみて、それぞれの道を歩んでいった姿をみて・・・私は震えて立ち止まってしまった」

純「・・・」

澪「私は・・・嫌なんだ、大切な人と別れるのが。お互いを高めていける存在を失うのが
  私には耐えられない事だと・・・知った」

梓「・・・!」

澪「みんなに追いついて、別れの時がくる事が。離れてしまう時が、怖くなった」

轍「・・・」

和「・・・」

澪「だけど、迎えに・・・っ・・・来てく・・・っ・・・れた・・・人がいた・・・っ」

玉恵「・・・」

澪「・・・」スゥ

唯「・・・」

澪「・・・」ハァ

律「・・・」

澪「むぎ・・・なんだ」

紬「・・・!」

澪「むぎは・・・私に・・・手を・・・差し伸べてくれた・・・私の手を掴んでくれた・・・私を引っ張ってくれた
  みんなと一緒にいると、教えてくれたんだ」

梓「・・・」

澪「人と人は必ず別れる時がくる。どんなに望んでいなくてもだ
  だけど、むぎが教えてくれた。それは意味のあることなんだって」

玉恵「・・・」

澪「とても・・・大切な事なんだって」

紬「・・・」

澪「今、変われた自分がいるのは・・・あの二人と・・・むぎの・・・おかげなんだ」

紬「・・・」

澪「・・・」フゥ

唯「・・・」ジーン

純「・・・」ジーン

姫子「・・・」ジーン

轍(・・・うん)

風子「・・・っ」グスッ

澪「・・・え!?」

憂「感動しちゃいました」

和「えぇ・・・」

信代「胸にきたよ」

いちご「・・・いい経験だったんだね」

春子「・・・なるほど、納得だ」

梓「・・・」

澪「・・・ぁ・・・ぅ・・・」オロオロ

律「と、まぁ・・・大して変わっているわけでもなく」

澪「うるさいっ」バシッ

律「あいたぁ!」

紬「・・・」

さわ子「・・・」モグモグ

玉恵「いい具合に焼けてるよ」

梓「・・・そうですね」

澪「よし、これおいしそうだ・・・。・・・はい、むぎ」

紬「・・・」

澪「・・・」

純「なんか会話してるっ!」

玉恵「じゃあ私達もこころで会話してみよう」

轍「は・・・?」

玉恵「・・・」

轍「・・・」

唯「・・・」ゴクリ

玉恵「・・・」

轍「なにも考えてないだろ?」

玉恵「うん」

律「くだらねえ・・・」

姫子「ふふっ」

いちご「クスクス」

信代「いい話の後だけに・・・」

春子「脱力感が・・・」

梓「・・・」

さわ子「順番的には梓ちゃんじゃないの?」

風子「聞きたいな」

梓「・・・」

澪「梓・・・?」

紬「・・・?」

梓「わ、私・・・みなさんの飲み物もってきます」

憂「私も手伝うよ」

テッテッテ

唯「おぉ、もうなくなってたよ」

純「手伝ってやるかなー」

テッテッテ

律「梓のヤツ・・・」

玉恵「なにかあったの?ずいぶんと毛嫌いされてるけど」

轍「・・・プライバシーに触れてしまってな。・・・真鶴ちゃんに注意されていたのに」

さわ子「しょうがないわねぇ」

梓「『勇気を貰ったから・・・貰っているから』・・・むぎ先輩が言うハズだった言葉だよ」

憂「お姉ちゃんの話を聞いたとき?」

梓「うん」

純「それで、どうしてイラついてんのさ」

梓「知らないよっ」

憂「知らないままだと、焚き火の場所へは戻れないよ?」

純「そうだよ、一人だけ変な空気纏っているわけにいかないじゃん」

梓「・・・」

憂「相馬さんのどこが嫌なの?」

純「ストレートな疑問だな」

梓「・・・外から入ってきた人なのに、知ったモノの言い方するから」

憂「相馬さんがどういう人か知らないからじゃないの?」

梓「憂は知ってるの?」

憂「・・・知らない・・・ね」

純「・・・私もよく知らない。・・・けど」

梓「けど?」

純「玉恵さんの事も知らないじゃん」

梓「!」

憂「うん・・・。あの旅で梓ちゃんが出会ってきた人も最初はそうだったよね」

梓「・・・っ」

純「なんだ・・・、梓の一人相撲か~」

梓「違うよ・・・ただ、一つ一つ的を射た言葉が嫌なんだよ」

憂「・・・」

梓「私たちは一緒に悩んで、行動して、辿り着いたんだよ
  それをあの人は一足飛びで辿り着いちゃう・・・。私たちが苦労しているのに」

純「苦労ねぇ・・・」

梓「別に、答えを出して欲しいわけじゃなくて・・・。楽をしたいわけでもないんだけど」

憂「玉恵さんと同い年くらいだよね」

純「そうだな・・・。年が近いと気軽に話せるって気いた事がある」

梓「・・・」

憂「私たちより7つ上・・・。7年の経験差があるから、それはしょうがないんじゃないかな」

梓「・・・うん」

純「解決した?」

梓「・・・」

憂「もう大丈夫だよね、戻ろうよ」

純「紬先輩と一緒にみてきた旅の話・・・するの?」

梓「・・・分からない」



・・・・・・



轍「封印するの?」

律「しないっ!」

轍「どうして?結構固い決意に見えたけど」

律「もっと高みへ連れていってくれそうなんだ
  なくした歌を取り戻す為に・・・なんつって」

轍「そうか・・・」

律「なんだよ、変な事言ったのに納得すんなよー」

轍「なんとなく、意味は分かったから。さっきの話を聞いててさ」

律「あっそ・・・」

轍「そろそろ俺は失礼しようかな」

律「ひき止めはしないぜ」

轍「キミ達面白いよね」

律「お褒めに預かりまして嬉しく思いますわ」オホホ

澪「・・・」

律「そこ!変な目で私をみない!!」

轍「玉恵も、あまり邪魔するなよ」

玉恵「え、邪魔ってなに?」

轍「学校?がりで来ているんだから、部外者が入ると変な空気になるだろ」

玉恵「そうなの?」

さわ子「どうなの?」

風子「え・・・と春子ちゃん、どうなのかな?」

春子「えーと・・・唯どうなんだよ?」

唯「ん・・・?澪ちゃんどうしたの?」

澪「・・・変な空気になってないかって話だよ・・・どうなんだろ?」

姫子「変な空気・・・なにがあったの?」

いちご「・・・なにもないけど・・・なにかやるの信代?」

信代「・・・まだイベントがあったのか・・・あ、アレかな?」

和「・・・実行するの?」

純「アレってなんですか?」

憂「さっき言ってたフォークダンスだよね、梓ちゃん」

梓「それはないよ」

紬「・・・」ガーン

玉恵「ないんだってさ!」

轍「話の流れみてただろ」

律「なにやってんだか」

純「みなさんどうぞ~」

風子「ありがと~」

玉恵「気が利く後輩ちゃんですね~」

轍「まったく・・・」

憂「あ、相馬さん・・・。相馬さんの旅の話を聞かせてくれませんか?」

梓「・・・」

轍「え・・・?」

玉恵「いいじゃん、話なよ」

轍「玉恵もそういう仕事してるんだろ、俺よりそっちがいいんじゃないか?」

唯「それじゃ北海道の話も聞きたいな~」

轍「・・・」

玉恵「私が北海道で、轍さんが沖縄の話ね」

轍「はいはい」

律「お、興味あるな~。北海道は4年前なんだよな」

澪「沖縄は・・・?」

轍「先月だよ」

さわ子「新鮮なネタじゃない。みんな、おやつ用意して!」

唯「なにを言ってるんだい、さわちゃん」

轍「真剣に聞いてくれるんだね・・・それはこっちも気が抜けないな」

玉恵「そうだね」

律「あ、なんかスマン」

唯「うちの妹を甘く見てもらっては困るよ!」

憂「ど、どうぞ・・・」

さわ子「あら、言うまでもなかったのね」

和「・・・気を取り直して・・・、どうぞ」

轍「・・・」

玉恵「4年前、私は釧路港に辿り着いた。一台のバイクと共に」

姫子「・・・」

玉恵「その時の私は、無知で、世間知らずで、無謀そのものだった」

紬「・・・」

梓(雰囲気が・・・)

澪(さっきまでとは全然違う)

律(なんだ・・・?)

玉恵「どうして無謀かといったら、買ったばかりのバイクで北海道を走ろうとしていたから」

風子「・・・?」

春子「よく分からないな。どうしてそれが無謀なの?」

玉恵「バイクのメンテナンスなんてした事なかったからだよ」

轍「・・・うん」


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最終更新:2011年10月03日 22:57