春子「そ、そんなに面白いかな?」

風子「面白いとは思ったけど・・・、ちょっと違和感があるよね・・・」

さわ子「どういう事?」ヒソヒソ

玉恵「轍さんのご両親は亡くなっているの・・・」ヒソヒソ

さわ子「・・・りっちゃんたちは知ってるのね」

玉恵「恐らく」

いちご「そうだったんだ・・・」

風子「知っているから、笑えるんだ・・・」

梓「ニライカナイは場所だけを指すんですかね」

轍「?」

唯「どゆこと?」

梓「災いしか持ってこない人がいますから」ジロ

轍「・・・え、俺?」

梓「・・・さぁ」

純(梓・・・なにがしたいんだよ・・・)

律「なにを言ってるんだよ!」

紬「・・・?」

轍「グフッ」

憂「?」

轍「あっはっはっは!」

梓「・・・ッ」ムカッ

さわ子「・・・うーん、状況が読めないわねぇ。玉恵知ってる?」

玉恵「分からない・・・。轍さん、どうして爆笑してんだろ」

轍「・・・っはっはは!」ピッピッピ

梓「なんですか!」

轍「待って・・・ッ・・・ふふっ・・・あははははっ!!」ピッ

trrrrrrr

梓「・・・」ムカムカ

律「笑いながらケータイいじって・・・さっぱり分からん」

澪「・・・私たちどうすれば・・・」

唯「うーん・・・」

プツッ

『もしもし~』

轍「あ、あれ?」

『轍さん元気ですか?私です!』

轍「いや知ってるけど・・・どうして?」

『暦さんは今、お風呂に入っているんですよ。変わりに出てくれって』

轍「そっか・・・、でも丁度いいや。ちょっと待ってて」

『はい?』

轍「・・・っ・・・はい。スクガラスのお礼を言ってあげて」スッ

梓「はい?」

轍「アレを作ったのこの子のおばあちゃんなんだよ。伝えてあげるとすごく喜ぶ」

梓「どうして私なんですか」

轍「まぁ・・・その・・・ぐふッ・・・ふふっ」

梓「・・・」イラッ

唯「しょうがないですな。もしもし~」

信代「唯がとるのかよ」

『もしもし~?』

唯「私は平沢唯!けいおん部でギターを弾いてるよ!」

『そうですか。私は上原海琴といいます。民謡で三線を弾いてます』

唯「さんしん?」

律「野球の話してんのか?」

さわ子「違うわよ。三味線と似た楽器よ」

紬「・・・」コクコク

梓「・・・」

唯「それでね、今うまさんとキャンプしてて、ニライハナイの話を聞いてるんだよ」

海琴『そうですか、楽しそうですね~』

春子「打ち解けてんのかな・・・」

轍「カナイね・・・ニライカナイ・・・」

唯「すっごくおいしかったよ!」

海琴『嬉しいです。おばあちゃんとっても喜んでくれますよ~』

唯「最初はとっても塩辛くて変な味ーって思ったんだけどね~」

海琴『それじゃー次はヒージャー汁なんてどうですか?』

唯「ひーじゃーじる?おいしい?」

海琴『とーっても!』

唯「食べたいよ!」

轍「お勧めはしないよ・・・」

『なんてモノを勧めてんのよ!』

海琴『おいしいよ?』

『海琴だけじゃないの!』

唯「? 誰と話してるの?」

海琴『真鶴ちゃんですよ』

唯「か、変わっておくんなまし!」

海琴『?・・・真鶴ちゃん』

真鶴『え・・・?・・・もしもし・・・』

唯「ほったいもいじるなー」

真鶴『・・・nine thirty』

唯「え・・・?」

真鶴『・・・?』

憂「九時半だよ」

唯「おぉ、93って言うからビックリしたよ」

真鶴『言ってない・・・けど・・・。ちょっと海琴・・・この人なに?』

海琴『お話したいんだって』

唯「真鶴ちゃんってハーフなんでしょ?」

梓「・・・」

真鶴『YES.沖縄とアメリカのダブルよ』



・・・・・・



律「目的はなんだよ?」

轍「大分離れたけど・・・中野さんと海琴ちゃんを話させようかと思っていたんだ」

玉恵「・・・なぜ?」

轍「オバァと同じ理由」

澪「・・・その海琴さんと同じ事を梓が・・・?」

轍「うん。それと、海琴ちゃんは音楽の大切さを人一倍知っているからね」

律「・・・音楽の大切さ・・・・・・」

轍「面白かったから、ね・・・。なにか伝わるものがあるかな、って」

姫子「伝わるもの・・・?」

轍「それは後から中野さん自身に聞いてみて。
  俺はそろそろ引き上げるから。お別れだ」

純「お別れ?」

玉恵「東京へ帰るの?」

轍「うん。記事をまとめないといけないからな。明日の朝で帰るよ」

律「戻るじゃなくて、帰る・・・なのか」

轍「・・・うん。さて、テントへ戻って今日のまとめをしないと」

澪「・・・相馬さん、北海道と沖縄の印象ってどうでしたか?」

和「いい質問ね」

風子「うんうん」

姫子「・・・対照的に位置する場所」

轍「北海道は『風と緑』、沖縄は『水と光』かな」

憂「それじゃそのお魚は沖縄でしか獲れないんですね?」

海琴『そうです。スクというお魚の稚魚なので生まれて3日経つと漬物にならないんです」

憂「そうですか・・・。それじゃあひーじゃーじるというのはなんですか?」

海琴『山羊を煮込んだ汁物です』

憂「う・・・」

海琴『う・・・?』

憂「ういって言います。平沢憂です」

海琴『私は上原海琴です』

真鶴梓『「 なんで二回も自己紹介してるの・・・ 」』

憂「色々と話を聞かせてくれてありがとうございました」

海琴『いえいえ~』

憂「はい、梓ちゃん」

梓「・・・」

海琴『・・・?』

梓「中野梓です」

海琴『上原海琴です。中野さんもスクガラス召し上がったんですか?』

梓「はい・・・。塩辛くて私の口には合いませんでした」

海琴『そうですか・・・。しょうがないですよ。内地の方には合わない料理ですから』

梓「・・・」

海琴『・・・』

梓「・・・」

海琴『・・・』

梓「・・・」

海琴『・・・中野さんも』

梓「・・・?」

海琴『音楽をされているんですか?』

梓「はい・・・。先輩方と部活で演奏・・・して・・・いま・・・す」

海琴『・・・?』

梓「・・・あ・・・すいません・・・電話返しますね」

海琴『・・・梓さん』

梓「は、はい」

海琴『音楽って・・・いいですよね』

梓「はい」

真鶴『アズサ?ちょっと代わって海琴!』

海琴『真鶴ちゃんに代わりますね。それでは、ぐぶり~さびら』

梓「?」

真鶴『ちょっと!どうしてにぃにぃに伝えなかったの!?』

梓「なに・・・を?」

真鶴『電話返したらかけ直させてって言ったでしょ!?』

梓「あの時は・・・その・・・色々あって・・・」

真鶴『・・・』

梓「ごめん・・・ね・・・」

真鶴『アズサ・・・』

梓「なに?」

真鶴『最初に話をした時より、いい風が吹いてるよ』

梓「どういう事?」

真鶴『にぃにぃに聞いてみて、それじゃあ私もこれで、GOOD BYE!』

プツッ

ツーツー

梓「・・・」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・むぎ先輩?」

紬「・・・」ニコニコ

律「北海道は風と緑」キリッ

玉恵「沖縄は水と光」キリリッ

轍「・・・」

風子「宇宙は無限と有限」

和「それは言ってないわ」

春子「風子・・・?」

信代「・・・」

澪「・・・」

いちご「・・・」

さわ子「うふふ、面白いわね~」

梓「どうぞ」

轍「あ、あぁ・・・って切ったのか・・・」

唯「たっくさん話できたよ~」

憂「はい」

轍「それはよかった」

梓「・・・真鶴が言っていた『いい風が吹いている』って・・・なんですか?」

轍「あの子は先見の明を持っているから、そういう事なんだと思う。・・・電話で分かるのかな」

梓「・・・」

純「・・・」

轍「それじゃ俺はこれで失礼するよ
  貴重な話をたくさん聞けてよかったよ。おいしいごはんをごちそうさま」

唯「ふふん」

律「・・・」シーン

唯「りっちゃん・・・無視は嫌だよ・・・」シクシク

轍「テントにいるから、なにかあったら起こしていいからさ。それじゃね」

スタスタ

玉恵「おやすみー」

轍「お前もあまり邪魔すんなよー?」

玉恵「大丈夫だよ~」

唯「おやすみ~」

澪「おやすみなさい・・・」

律「風邪ひくなよ~」

憂「おやすみなさい」

梓「・・・」フゥ

紬「・・・?」

純「・・・」

さわ子「最後まで妙な空気を纏っていたわねぇ」

風子「・・・そうですね」

姫子「どんな空気なのか分かったの風子?」

風子「なんというか、玉恵さん以外は近づけない、近づかせないというか」

春子「歳の差があるからでしょ?」

信代「玉恵さんと電話相手以外は敬語だったな・・・」

いちご「・・・それだけなのかな」

和「・・・」

律「なんで喋らないんだよ?眠いのか?お子様か?」

純「まだ眠る時間じゃないですよ」ヒョイ

パキパキパキ

律「じゃ、なんなんだよ?言ってみろって~」

純「梓がいまいち分からなくて・・・。なんなんでしょうね」

律「あぁ・・・確かに」

澪「・・・電話でどんな話をしたんだろ」

玉恵「はぁ~、あまぁ~ぃ」モグモグ

唯「あー!私の分がなくなってる!」

澪「さっきたくさん食べただろ・・・」

紬「・・・」モグモグ

律「とろけるマシュマロ・・・うめぇ・・・!」

春子「・・・おいしいな」モグモグ

さわ子「玉恵・・・ひとつ聞いていいかしら?」

玉恵「・・・ん?」モグモグ

さわ子「・・・旭川に行かなかったことを、後悔してる?」

玉恵「してないよ」

姫子「即答だね」

玉恵「まぁね。どんな自分になっているんだろうって興味はあるけど
   ありもしない自分を想像するのは旅をする上で足かせにしかならないよ」

さわ子「どうしてよ、次の行動へのヒントになるかもしれないでしょ」

玉恵「旅は現実を一つ一つ確実に与えてくれるんだよ。楽しいことも辛いことも
   それを遮るのはやっぱり損だよ。つまらなくするだけだよ。前だけみないと」

梓「・・・」

姫子「・・・」

さわ子「振り返ることはないの?」

玉恵「バイクの運転中は危ないでしょ」

さわ子「そうね~、前方不注意で事故ってしまうわね」

律「納得しないでくれますかね。よく分からないんですけど」

澪「玉恵さんは・・・バイクに旅そのものを重ねているんだと思う」

純「なるほど・・・。旅と人生を重ねて、旅とバイクを重ねて・・・ですね」

信代(今日はみんな語るなぁ・・・焚き火のせいかな・・・)

唯「はいっ、私からも質問です!」

玉恵「うむ、許可しよう」

唯「玉恵ちゃんの旅の終着点はどこですか!?」

梓「・・・」

紬「・・・」コクコク

玉恵「うーん・・・終着点・・・」

姫子「・・・」

玉恵「まだ見つけてないし、どこにあるのか見当もつかないや」アハハ

いちご「終着点って?」

和「文字通り旅の終わりとなる場所ね」

いちご「・・・」

律「唯にしてはいい質問だったんだけどな~」

唯「そうでしょ」エッヘン

梓「胸を張るところじゃないですよ」

玉恵「轍さんは見つけたみたいだけど」

澪「どうしてですか?」

玉恵「4年前とは違ったからね」

また、かき乱していった

宿題と言わんばかりにモヤモヤを残していった

なんだろう、すごく嫌だ・・・あの人


澪「梓?」

梓「・・・え?」

澪「聞いていなかった?」

梓「なんですか?」

純「ぼーっとしているから澪先輩の声が聞こえないんだよ~」

律「電話で話してなにか伝わったのか・・・って事だよ」

梓「海琴さんと・・・」



・・・・・・



紬「・・・」ニコニコ

唯「むぎちゃん?」

紬「・・・?」

唯「いい事あったの?」

紬「・・・」コクリ

和「なにがあったのよ」

紬「・・・」

ギュ

和「・・・」

紬「・・・」スラスラ

和「た・・・び・・・が・・・」

紬「・・・」スラスラ

和「は・・・じ・・・ま・・・っ・・・た・・・。むぎの?」

紬「・・・」フルフル

唯「ん~?」

姫子「誰の旅が・・・?」

紬「・・・」スッ

唯「内緒・・・?」

紬「・・・」ニコニコ

和「・・・見当はつくけどね」

姫子「・・・誰なの?」


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最終更新:2011年10月03日 23:03