―――――シュガー車


斉藤「よいしょ」

バタン

斉藤「荷物は全部載りましたでしょうか」

さわ子「はい・・・。忘れ物はないわよね?」

「「 ・・・ 」」シーン

斉藤「・・・」

さわ子「しょうがないわねぇ・・・。それじゃ、あと一時間自由時間って事でいいわよ」

律「っしゃー!」

澪「むぎ!湖へ行こう!」

紬「・・・」コクリ

タッタッタ

さわ子「時間取らせてしまってすいません」

斉藤「いえ、お嬢様も楽しんでおられるならそれで結構です」

玉恵「・・・」

姫子「楽しかった」

玉恵「昨日の夜はしゃいでいたもんね~」ニヤリ

姫子「・・・」カァァ

玉恵「あはは、かーわいいー」

斉藤「失礼ですが・・・あなたは、滝沢様では・・・?」

玉恵「っ!」

さわ子「?」

姫子「最初にここで会った時自己紹介してましたよ?」

斉藤「そうでしたね・・・。大変失礼致しました」

玉恵「斉藤さんが言ったのは昔の『滝沢』・・・今の私はただの『滝沢』です」

斉藤「申し訳ありません。先日の帰りに少しひっかかっていたものでしたから
   不快にさせたのならお詫びを・・・」

玉恵「そんな、お詫びなんて・・・。突然だったのでびっくりしただけですから」

さわ子「隠したいのなら聞かないわよ?」

姫子「玉恵・・・さん?」

玉恵「琴吹グループとは仕事で一緒になっていた・・・そうですね」

斉藤「・・・はい」

さわ子「人に歴史あり、ねぇ」

玉恵「私の親が経営する会社が琴吹グループと提携を結んでいたそうです」

姫子「・・・」

さわ子「その言い方だと、玉恵は無関心のようね」

玉恵「もちろん、今は無関心。だけどね」

姫子「今・・・は?」

玉恵「高校卒業するまでは、家の決めた事に流されて育ってきたの。
   感謝していたし、そうすることが自然だと思ってたからね。21になって・・・結婚が決まったんだ」

姫子「結婚・・・」

玉恵「相手の顔は知らないままでね」

さわ子「!」

姫子「え・・・」

玉恵「文字通り政略結婚。あ、この件は琴吹グループは関係無いからね」

姫子「そうですか・・・」

玉恵「結婚の代わりに条件をつけたの。バイクと北海道へ行く許可をね」

さわ子「・・・」

玉恵「それからは昨日の夜言ったとおりだよ」

姫子「破棄になった・・・んですか・・・?」

玉恵「うん。事故ってしまったからね・・・。相手側が破棄したんだよ」

さわ子「・・・」

玉恵「内心ラッキー!って思ったのは事実だから、そんな」

姫子「な、なんで・・・そんなに・・・軽く言えるの・・・!」

さわ子「姫・・・ちゃん・・・」

玉恵「・・・」

姫子「昨日の話を聞いたからかもしれない。玉恵さんが私の心の内側にいるからかもしれない
   うまく言葉にできないけどっ・・・うまく気持ちの整理が出来ないけど・・・っ」

さわ子「・・・」

玉恵「・・・」

姫子「あんまりっ・・・ですよっ」

玉恵「昨日の夜、さわちゃんが私に聞いたでしょ?」

姫子「・・・はい。旭川に行かなかったことを後悔しているかって・・・」

玉恵「うん。旭川に行ったら、結婚していたと思う。旅を終えて帰宅して、事故る事もないから
   でも、行かなかったからここにいる。姫子ちゃんに出会えた」

姫子「っ!」

玉恵「ありがとう、私の事を考えてくれて」ナデナデ

姫子「・・・・・・子供じゃないんですから」

玉恵「あはは」

姫子「・・・」

玉恵「紬ちゃんの周りは優しい子ばっかりだねぇ」

さわ子「優しいだけじゃないわよ」

玉恵「そうだね・・・。斉藤さーん!」

斉藤「・・・はい」

玉恵「どうして姿を消したの?」

斉藤「私は大体把握しておりますので・・・。気を利かせました」

さわ子「自分で言うのねぇ」

姫子「ブフッ」

玉恵「面白い子ばっかりだ」

さわ子「私たちも湖へ行きましょうか」

姫子「はい」

スタスタ

玉恵「今日もいい天気~」ノビノビ

姫子「昨日の星空見ました?」

玉恵「もちろん、あんなチャンス滅多にないからね」キリ

さわ子「星空・・・?」

姫子「さわちゃん先生起こしたけど起きなかったんですよ」

玉恵「ダメだね~、生徒と同じ時間を共有しなきゃ~」ヤレヤレ

さわ子「運転ばっかりで疲れていたのよ」

斉藤「片道2時間かかりますから」

さわ子「来て、戻って、また来たのよ?6時間よ・・・一人で運転なんて寂しかったわぁ」

姫子「クスクス」

玉恵「寂しかったって大人が言う台詞じゃないよ」

姫子「一人で寝れないと言っていませんでしたか?」

玉恵「誰が?」

姫子「あなたが」

玉恵「そうだっけ」アハハ

姫子「クスクス」



―――――湖


律「やっと来たか」

純「あれ・・・?」

澪「雰囲気が違うな・・・」

紬「?」

梓「そうですね。なにかあったんでしょうか」

唯「ん~?」

憂「今日もいい天気ですね」

いちご「・・・うん」

信代「澪ー、カメラ持って来てないのー?」

澪「あ、うん・・・」

春子「記念に撮りたかったな」

玉恵「ふふん。私の職業をお忘れかねキミ達」

さわ子「・・・なんだったかしら」

風子「ほら、アレだよ和ちゃん!」

和「・・・あぁー、アレね・・・。確か・・・唯」

姫子「キラー・・・」

唯「えぇっと、なんだっけ?」

和「本気で忘れたわね」

唯「ここまで出掛かっているんだよ」チョンチョン

和「そこは腕よ・・・。ちゃんとボケてね」

唯「もぅ~、澪ちゃん」

澪「え!?」

律「いい加減に答えろ、ボケとか・・・いらないからさぁ」ニヤリ

玉恵「私の職業は!?」

紬「・・・」ワクワク

澪「うっ・・・」

「ルポライターです」

玉恵「あ・・・」

「一緒に行きましょうよ」

玉恵「あ、ごめんね~。台風過ぎちゃったから大丈夫だと思ったんだよ」

「先輩・・・楽しそうだからいいですけどね」

唯「おぉ・・・誰?」

玉恵「私の後輩であり、仕事仲間であり、相棒の―」

「――島田光といいます」



―――――駐車場


律「第二回!誰の車に乗るか!くじを開催します!」

梓「・・・」メラメラ

純「ものすっごい気合だな」

律「さわちゃん車、シュガー車どちらの」

梓「前置きはいいです!」メラメラ

律「んだよー、仕切りは大切なんだぞー」

梓「いいから、はやくするです!」メラメラ

律「はいはい。だれから引くー?」

梓「もちろん私から引くです!」ゴゴゴゴ

信代「空回りしそうな気合だけど大丈夫かな」

和「むぎと一緒のシュガー車に乗りたいのよね・・・6/12だから」

紬「・・・」オロオロ

玉恵「なに?シュガー車って・・・斉藤車でしょ?」

純「斉藤・・・さとう・・・シュガーです」

玉恵「なるほど・・・駄洒落なんだね」

澪「安心できないな・・・」

梓「やった!!シュガー車だ!!」キラキラ

憂「すごい嬉しそう」

律「あー・・・」

姫子「どうしたの?」

紬「・・・」アセアセ

唯「むぎちゃん?」

さわ子「むぎちゃんは私の車に乗るのよ?」

梓「」

春子「あちゃー」

風子「空回った・・・」

さわ子「それで、配置はどうなったのよ?」

律「さわちゃん車は、むぎ、風子、和、いちご、憂ちゃん、私」

澪「ときめきシュガー車は」

さわ子「改名したわね」

澪「私、姫子、信代、唯、純、春子・・・梓」

梓「」ピシッ

玉恵「ブフッ」

唯「ダメだよ笑っちゃ」メッ

玉恵「ごめんなさい・・・」

斉藤「それではみなさん、参りましょう」

和「それでは、玉恵さん」

玉恵「うん、みんな楽しかったよ。ありがとう」

唯「・・・っ」

憂「・・・っ」

玉恵「そんな顔しないで~」

唯「だって・・・」

玉恵「旅に出会いがあるように、別れも必然なんだよ」

唯「分かってるけど・・・、私は別れに慣れなかったんだもん」

紬「・・・!」

玉恵「唯ちゃんらしいな」

純「ほら、固まっていないで玉恵さんに挨拶しなよ」ツンツン

梓「はっ・・・。玉恵さん・・・そうです・・・玉恵さん」

玉恵「梓ちゃんも元気で」

梓「私をバイクで連れて行ってください」

律純「「 は? 」」

斉藤「それでは参りましょう」


―――――さわちゃん車

ブォォォオオオ

さわ子「相棒さんのヘルメット借りるなんて名案だったわね」

紬「・・・」コクリ

律「特等席じゃないのか、アレ」

風子「代わればよかったかな」

和「乗りたかったの?」

風子「少しだけ・・・」

いちご「・・・私も」

憂「30分後の休憩所で交代してはいかがでしょう?」

紬「・・・」コクコク

さわ子「むぎちゃんも乗りたいの?」

紬「・・・」フンス!

律「玉恵ちゃんよく引き受けたよなー」

いちご「・・・うん」

さわ子「相棒さんに頼まれていたわよ、買出しとか写真とか」

風子「優しそうな人でしたね」

憂「バンダナが似合っていました」

紬「・・・」コクリ


―――――30分後・さわちゃん車

梓「どうしてバイクに乗っているのがむぎせんぱいなんですか!!」

律「ジャンケンで決まったことだからしょうがないだろー」

和「シュガー車でもジャンケンしていたのには驚いたわ」

風子「姫ちゃんに勝ったむぎさん・・・」

憂「紬さんジャンケン強いですよね」

さわ子「憂ちゃんも乗りたかったのね」

憂「はい」エヘヘ

梓「次の30分が長いです!」

さわ子「あら・・・、意外と話聞かないのね」

梓「え?」

風子「あ、赤信号で三台とも並んだね」

律「次は1時間後だぞ。むぎの体力に合わせた」

梓「むぎせんぱーい!」フリフリ

律「本当に聞かねえー」


―――――ときめきシュガー車

姫子「玉恵さーん!」フリフリ

信代「この人誰だ?」

澪「姫子・・・だと思う・・・」

純「私の目に狂いが無ければ・・・」

春子「現実が狂っているかもしれないだろ」

斉藤「発車致します」

姫子「はい」

純「戻った!」

唯「」スヤスヤ

澪「唯はよく寝るな・・・」

姫子「向かう時にも寝ていたんだってね」

澪「うん・・・。夜にみた星空のせいかな」

春子「あれはすごかったなー!」

信代「うんうん。キレイだった」

唯「」スヤスヤ



―――――45分後・休憩地点


さわ子「運転疲れたの?」

玉恵「いやいや、これくらいへっちゃらだよ。紬ちゃんが疲れていないか気になってね」

律「そうだよな、1時間はさすがに・・・」

紬「・・・?」

律「大丈夫みたいだぜ」

姫子「む、むぎ・・・どうだった?」

紬「・・・」キラキラ

姫子「た、楽しかったんだ?」

紬「・・・」コクリ

姫子「か、風になれた?」

紬「・・・」グー

春子「マジか・・・。これはジャンケンにも気合が」

姫子「・・・」メラメラ

憂「えー・・・と、私は辞退させていただきます」

純「私も・・・」

姫子「・・・」キッ

風子「わ、私も・・・」

律「乗ってみたいなぁ・・・程度だったんで・・・姫子は」

姫子「乗りたい!」

律「分かった!」

信代「最後まで乗ってていいと思われます」

春子「右に同じく」

姫子「ほんとうに!?」パァアア

律「眩しい!」

純「光り輝く先輩がもう一人いた!」

澪「あれ・・・梓は?」

紬「?」

風子「車で寝てるよ」


―――――45分後・河川敷

「みんな遅いな~」

「集合時間間違えたんじゃない?」

「そうかも・・・律さんにメールしてみるよ」

「キャンプ楽しみ」ルンルン


・・・・・・


律「」スヤスヤ

梓「」スヤスヤ

紬「」スヤスヤ

憂「」スヤスヤ

いちご「・・・終わる」

和「もうそろそろ河川敷に着きますね」

風子「起こしたほうがいいよね?」

さわ子「お願いね」

pipipipipipipi

律「・・・ぅ・・・ん・・・」

ピッ

律「」スヤスヤ

風子「みんな起きて~」ユッサユッサ

憂「・・・・・・はぃ・・・」

紬「・・・?」

梓「」スヤスヤ

風子「そろそろ河川敷に着くよ~」

律「」スヤスヤ

憂「あ・・・到着しますね・・・」

紬「・・・」ボケー

いちご「・・・あ」

さわ子「あら・・・、あの二人・・・?」

和「・・・どうして今頃・・・ちょっと律!!」

律「ぅ・・・ん・・・?」

梓「」スヤスヤ



・・・・・・



「なんで・・・みんな車に乗って・・・?」

「まさか・・・時間間違えたんじゃなくて・・・日にち間違えたんじゃ・・・」

「そ、そんな・・・」

「・・・」

キキーッ

ガチャ

さわ子「・・・こ、言葉が出ないわ」

和「律に連絡・・・したでしょ?」

「・・・うん」

「でも、台風だから一日ずらすと・・・思ってて・・・」

律「いや、『行けたら行く』って言ってただろ」

「「 そんなー!! 」」

憂「・・・」

律「河川敷に集合ってメールを唯が送ったはずだし、来ないから欠席だと思い込んでた」アハハ

和「連絡ちゃんと取りなさいよ・・・」

風子「・・・」

紬「・・・」アセアセ

「うそでしょー!」

「えぇー・・・」


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最終更新:2011年10月03日 23:09