9月13日

『ありがとう。さようなら』

姫子(意外と乙女だったみたい・・・)

チュンチュン

姫子「あ・・・。部活行かなきゃ」

ガバッ

姫子「その後に・・・バイト・・・」

ガサゴソ

姫子(忙しい生活だったんだ・・・)

ガチャ

姫子(この感傷的な気持ちも、そのうち薄れていくのかな・・・)

バタン


―――――昼・ファミレス

律「なにをするか!を決める会議を始めます!」

唯「お~」パチパチ

エリ「いえーい」パチパチ

澪「いきなり呼び出したかと思えば・・・」

律「メール送ったのに、集まり悪いなー」

エリ「ほんとうだよね」

律「エリは呼んでないけどな」

エリ「通りがかっただけだけど・・・。その言い方はひどい」

唯「4人でなにを決めるの?」

律「なにかしようぜ!って事。・・・時間少ないだろ?」

澪「・・・うん」

唯「・・・そうだね」

エリ「?」

律「むぎが学校に通うの学園祭までなんだ」

エリ「どういう事?」

澪「喉の治療の為にドイツへ行く事に決まったんだ」

エリ「え・・・」

唯「だから、りっちゃんがなにかしよう!って」

エリ「・・・」

律「なにをしよう!」

澪「今月に入ってしてきた事をまとめてみるか」

唯「えーっと」

エリ「・・・」

律「川で遊んで・・・雨にうたれて・・・キャンプして・・・」

唯「雨の時はむぎちゃんいないよ」

律「あ、そっか」

澪「聞いていたら・・・小学生の夏休み日記みたいだな」

唯「えへへ」

律「照れるとこか!?」

エリ「・・・さびしくないの?」

澪「・・・」

エリ「どうして・・・そんな風に・・・」

唯「・・・」

エリ「今まで部活でも一緒にいたんでしょ?・・・一緒に卒業できないんだよ?」

律「そうだな。心残りになるだろうな」

澪「・・・だな」

唯「あ、閃いた」ピコン

エリ「仲間がいなくなるのは・・・嫌だよ」

律「そうだぞ、だからなにかやろうって」

pipipipipipi

律「空気読めないメールだな・・・。佐々木さんだな」

ピッ

『月見はどう?
 16日が満月だよ』

律「よし、採用」

澪「まて、こっちにも報告しろ」

律「姫子が月見しようって」

唯「採用した!」

エリ「・・・」

律「だからな、エリ。私たちは」

pipipipipipi

律「・・・」ピッ

『月見と来たら次は花見よね』

律「九月に咲く花ってなんだよ」

澪「ひ、彼岸花?」

唯「誰から~?」

律「和・・・だけど、姫子とリンクしてんな」

澪「一緒にいるんじゃないか?」

唯「学校に行くって言ってたよ和ちゃん」

エリ「・・・」

律「保留しておくか・・・。彼岸花眺めてどうすりゃいいのか分からん」

澪「に、日本ではあまり良い意味でとられないからな」ブルブル

律「話が逸れてしまうな・・・。私たちはだな」

pipipipipipi

律「・・・」ピッ

『冗談よ』

パタン

律「・・・私たちは今一緒にいられるわけだから」

澪(今のメールは無視か・・・)

唯(気になる・・・)

エリ「・・・」

律「今のうちに」

pipipipipipi

律「・・・」ピッ

『ライブに行きましょう!あと、鈴木ですから!!』

律「なんで分かったんだ・・・。却下だな」

澪「なんだって?」

律「すず・・・島根さんから・・・。純からライブに行こうって」

唯「夏フェスに行ったよ」

澪「クラシックのコンサートに行こうって話していたんだったな」

エリ「・・・」

律「どこまで話したっけ・・・」

唯「今のうちに想い出を増やそう。一緒にいられる今を大切にしようってとこまで」

律「そこまで言ってねえ!」

pipipipipipi

ピッ

『どうして言い直したんですか!澪先輩の案に賛成~(^^)ノ』

律「近くにいるな・・・」

純「えへへ」

澪「来ていたんだ」

純「もちろんですよ!」

エリ「・・・」

律「まぁ・・・唯が全部言った訳なんだが・・・」

pipipipipipi

『ボウリングに行こう』

律「華の高校生活エンジョイか!」

純「・・・」

エリ「・・・」ピッピッピ

pipipipipipi

『その後に海へ行こう』

律「どの後だよ!いちごと風子リンクしてるぞ!これボケなのか!?」

澪「律がテンパってるな」

唯「面白いね、見物していよう」

pipipipipipi

『その前に買い物に行こう』

律「勝手に行け!・・・春子もリンクしてんな!」

pipipipipipi

『山へ行きなさい』

律「担任による指令!?なぜ山!?」

pipipipipipi

『なにをするの?』

律「それを聞いたんだよ信代!」

pipipipipipi

『鈴木です』

律「うるせえ!」

純「すいません」

pipipipipipi

『お姉ちゃんと一緒の案です』

律「う・・・!うん!」

澪「勢い削がれたな」

pipipipipipi

エリ「・・・」ピッ

律「私じゃなかった!」

澪「お、落ち着け」

エリ「私たちも参加で」

純「おっけーです!」

澪「うん。一緒に残していこう」

律「あぁ・・・」

唯「・・・うんっ!」

律「・・・憂ちゃんが唯と同じ案だって言ってたけど、なにか考えていたのか?」

唯「さっき閃いたんだけどね~」

pipipipipipi

ピッ

律「お、梓のはいいな」

唯「私たちの―――」

『最高の場所を探しましょう』

――・・・

唯「むぎちゃんの『最高の場所』は河川敷なの?」

律「あぁ、そう言ってた」

澪「私は部室かと思っていたんだけどな」

唯「・・・」

純「私はどこだろう・・・」

エリ「『最高の場所』ってなに?・・・想い出深い所とか?」

律「うん・・・。いや、違うか」

澪「大切な場所だ」

唯「うん・・・」

純「最近よく行っていますけど・・・。河川敷だとちょっと不自然な感覚ですね」

エリ「なんだか霧の中に手を伸ばしているような話だね」

唯「・・・」

律「唯?」

唯「ん?」

澪「もしかして・・・」

純「もしかして?」

エリ「?」

澪「なにか気づいた?」

唯「ううん。最近むぎちゃんの考えが分からなくて・・・。分かるような気がするけど」

律「けど?」

唯「分からないや」

澪「それは・・・伝える手段が限られているから分からないの?」

律「み、みお・・・?」

唯「ち、ちがうよ!・・・ただね、むぎちゃんが・・・見せては隠すを繰り返すんだよ」

エリ「・・・」

純(それって・・・梓があの人を毛嫌いする理由と似てる・・・?)

唯「うーん・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

エリ「子どもみたい・・・」ボソッ

律「・・・」

エリ「あ・・・、ほら!無邪気な子どもって宝物を隠しては見せてちゃんと見せないでしょ!?」

澪「あぁ・・・」

唯「な、なるほど」

律「むぎの性格からして、それはアリかもしれないな」

純(あの人はそんなんじゃないから全く別か・・・)



―――――夜・梓の部屋

『最高の場所』を探そうと言ってはみたものの

見当がつかない

一度は見つけたと思っていたんだけど

昨日のむぎせんぱいが示した場所で分からなくなってしまった

行動範囲を広げれば見つかるのかな


ヒントすらくれなかった

あの人は

だから嫌なんだ

あの人が


勝手に踏み込んできて

勝手に去って行った

この中途半端な距離感

なんなんだろう

あの人は


本当にヒントはなかったのかな

どこかで見落として、聞き落として、いたのかな




9月14日

澪「憂ちゃんが風邪!?」

唯「うん・・・キャンプの疲れが出たみたいなんだよ」

律「そういや・・・準備を任せっぱなしだったからなー」

紬「・・・」コクリ

唯「ううん。ういは『好きだからやっただけ』って言ってたよ」

澪「私たちが気にする事を見越していたみたいだな」

律「学校終わったらお見舞いに行くか」

紬「・・・」コクリ

澪「そうだな」

唯「ありがと~」

律「よし、話を変えるぞ。各自作詞してきたな?」

紬「・・・」プッププー

澪「もうできたのか、むぎ」

唯「一つできたよ~。後で部室にて発表します」フンス!

澪「唯も!?」

律「新曲を2曲と、あとなにを演奏するかだな」

紬「・・・」ププッププー

唯「そだね。あずにゃんも一緒に考えよう」

澪「そうだな」

唯「くるよっ!」

ガチャ

さわ子「はーい、みんな席について~」

律「なんだこの意味の無い能力」

――・・・

さわ子「これでお終いっと。それじゃ後は真鍋さんに任せます」

和「はい」ガタッ

スタスタ

唯「学園祭の出し物だね」

姫子「・・・」ボケー

唯「姫ちゃん?」

姫子「・・・ん?」

唯「どうしたの?」

姫子「はは・・・、ちょっとセンチになってたみたい」

唯「・・・」

姫子「あれ?どうして和が教壇に立ってるの?」

唯「学園祭の出し物だよ。うちのクラスだけまだみたいだから」

姫子「余裕だよね」

唯「・・・うん」

姫子「・・・」フゥ

唯「・・・」

アカネ(風子と姫子の様子が変・・・)



風子「・・・ふぅ」

澪「・・・」

信代「どうしたの風子は?」ヒソヒソ

澪「・・・分からない」ヒソヒソ

信代「キャラが戻ったみたいだけど」ヒソヒソ

澪「多分・・・戻っていないと思うよ」ヒソヒソ

信代「どうして?」ヒソヒソ

澪「さ、さぁ・・・」ヒソヒソ

信代「あ、とぼけた」

澪「いちごも同じみたいだけど」ヒソヒソ

信代「ん?」

いちご「・・・はぁ」


―――――・・・


和「ロミオとジュリエットでいいですか?」

「それなら澪さんがロミオね!」

澪「ゑ゛!?」

律「言葉にならない驚きだな」ウシシ

紬「・・・」キラキラ

澪「ちょっ」オロオロ

律「大丈夫だって、今の澪ならできるって」

澪「人事だと思って・・・」

春子「じゃあジュリエットは律だな」

律「意義あり!」

澪「自分に降りかかったら抗議するのか!」

律「わ、私よりいちごの方が似合ってるじゃんか」

いちご「・・・はぁ」

律「あれー、拒否もしないんですかー・・・」

紬「・・・」プップププー

「?」

和「脚本を私がする・・・と琴吹さんが仰っていますが・・・」

さわ子「生徒の自主性を尊重するわよ」



・・・・・・



唯「練習の時間大丈夫かな」

姫子「専念したい?」

唯「そうだね・・・。最後の演奏だから・・・」

姫子「・・・そっか」

唯「でもでも、クラスの出し物も頑張りたいよ!」フンス!

姫子「両方・・・頑張れるように・・・」


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最終更新:2011年10月03日 23:12