・・・・・・




夏「よく分からない子って・・・?」

純「うん。紬先輩の隣に座っている子」

夏「・・・」

憂「・・・」

姫子「冬」

夏「っ!」ビクッ

姫子「なわけないから、梓ちゃんだよね」

純「?」

憂「・・・」

夏「・・・」

姫子「あの輪の中に入ろうよ」

純「そうですね。お茶無くなったし」

憂「・・・うん」




純「紬せんぱーい、お茶つくっていいですかー?」

紬「・・・」スッ

純「あ、いいですよ、自分で出来ますから」

律「どうせならおいしい方がいいだろ?」

純「う・・・」

紬「・・・」

タッタッタ

冬「『最高の場所』・・・」

澪「どうした?」

冬「はい。4年前と最近読んだ雑誌にそう記されていましたので・・・ビックリしました」

梓「!」

律「ソーマが書いている雑誌ってなんだっけ・・・?」

澪「えー・・・と・・・」

冬「相馬轍さん・・・ですよね?『ふうらい』ですけど・・・どうしてその名が・・・?」

唯「うまさんって有名な人・・・?」

冬「相馬ですよ!」

唯「う、うん・・・ごめんなさい」

冬「あ、ごめんなさい・・・私ってば・・・」

さわ子「ファンなの?」

冬「はい!」

和「タイミングが悪かったわね」

冬「?」

憂「最近までこのまちに来ていたんだよ」

冬「ぇ・・・」

律「呆けたな」

冬「・・・」サラサラサラ

潮「心ここにあらず」

唯「おぉ・・・凄いようまさん」

夏「冬は、何度か入院していました」

姫子「・・・!」

信代「え・・・マジ?」

夏「はい。体が弱くて、小学校の時から入退院を繰り返していたんです・・・」

冬「・・・」

律「おーい、帰ってこーい」

夏「旅行雑誌を読むのが好きで、自分が動けないから雑誌の記事を読んで
  体験者と自分を重ねていたんです」

潮「・・・」モグモグ

純(真面目な話・・・?)

紬「・・・」

夏「ずっと病院のベッドの上で過ごしていたんです
  その中でその人が書く記事が一番のお気に入りで・・・とても楽しみにしているんです」

梓「・・・」

律「ソーマが書いた記事か」

春子「マネージャーをするくらいには回復した・・・と?」

夏「はい・・・」

澪「よかった」

梓「です」

紬「・・・」コクリ

和「小学校の卒業式は?」

姫子(のどか・・・踏み込むんだ・・・)

夏「欠席です」

梓「!」

紬「・・・」

夏「中学の入学式にも参加できませんでした」

風子「人生の・・・節目・・・」

三花「・・・」

夏「はい。節目なのに・・・参加できないのに冬は・・・」

紬「・・・?」

律「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・」

梓(・・・私と同じ事を感じたはず)

夏「どうってことないって・・・笑うんです・・・」

紬「・・・」

梓「多分・・・」

律「起きろっ!」

ビシッ

冬「った!・・・え???」

英子「あまりひどいことしないでね、律さん」サスリサスリ

冬「だ、大丈夫です・・・。ありがとうございます」

律「梓が大事なことを言うみたいだから、ちゃんと聞きなさい」

梓「な、なんですかそれはっ」

冬「?」

夏「・・・」

いちご「・・・多分?」

梓「えぇと・・・」

紬「・・・」チョンチョン

梓「はい・・・?」

ギュ

紬「・・・」スラスラ

梓「・・・夏・・・がいるから・・・」

夏「・・・」

冬「?」

紬「・・・」スラスラ

梓「どうってことない・・・。だ、そうです」

紬「・・・」コクリ

夏「そんな事は・・・」

冬「すいません、なんの話をしているんですか?」ヒソヒソ

澪「冬の話をしているんだよ」

冬「ウィンターですか?」

律「ユウだよ!わざとボケてんのか!?」

澪「うるさいぞ律」

律「ぐっ・・・」

エリ「あはは」

アカネ「・・・」

和「ここでボケているとしたら中々の資質ね」

姫子「・・・」

夏「私は・・・そんな・・・」

唯「・・・そんなに背負っちゃだめだよ」

夏「!」

唯「もっと冬ちゃんと話をすればいいんだよ」

夏「・・・」

冬「・・・」


――・・・


さわ子「さて、そろそろお開きね」

春子「もうこんな時間か」

律「月見会というより、ただのお茶会だったな」

澪「月の下でお茶を飲むことに意味があるんだ」キリ

紬「・・・」キリ

純「かっこいいです」キラキラ

さわ子「ほら、遊んでいないで片付けなさい」

唯「はいよ!」

エリ「そーっれ」

アカネ「声だけ働いてもしょうがないよ」

冬「あの・・・」



・・・・・・



夏「あの・・・」

姫子「・・・どうしたの?」

夏「最後に・・・変なことを言ってしまって・・・ごめ」

姫子「ストップ」

夏「・・・」

姫子「今、謝ろうとした?」

夏「・・・」

姫子「あの場にいたむぎ達に対して失礼な事をしたと思っているんだ」

夏「あんな事言わなければ・・・」

姫子「・・・」

夏「最後まで楽しめた・・・はず・・・です・・・」

姫子「あの話をしなければ、夏と冬はすれ違ったままでしょ」

夏「・・・」

姫子「おせっかいかもしれないけど、そろそろ自分を見つめなおしなよ」

夏「え・・・?」

姫子「私には夏がぼやけてみえる。あの薄雲に隠れた月のように」

夏「・・・」

姫子「・・・なんて」

夏「・・・ありが・・・とう・・・ございます」

姫子「うん。お礼なら受け取る」

夏「・・・」

姫子「片付け手伝おう。私たちの仕事までなくなるよ」

夏「・・・はい!」



・・・・・・



冬「あ、あの~」

唯「なんだい!?」

冬「こ、これを持っていけばいいですか?」

唯「ダメだよ!」

冬「ご、ごめんなさい」

紬「・・・」キラン

梓「任せてと言ってます」

律「通訳!」

信代「私が持つよ」ドン

潮「重そうだね、斉藤さん呼んでこようか?」

冬「はい。では・・・」グッ

律「あほー!」バシッ

冬「いたっ!・・・???」

律「体弱いって聞いたばっかりだろ。大人しくしてろ」

冬「」ガーン

英子「心配しているんだよ。気にしない気にしない」

律「そこ!変な事吹き込まない!」

澪「うるさいぞ律」

律「私が悪いのか・・・?」シクシク

紬「・・・」

スタスタ

信代「持って行っちゃった」

慶子「あらら、いい働きするんだね」

和「人が多いと捗っていいわね」

姫子「・・・人数少ないよね?」

唯「あれ、本当だ・・・ういが居ないよ!」

律「なに!?」

澪「いちごと春子・・・エリ、アカネ三花・・・」

唯「事件ですりっちゃん警部補!」

律「よし、捜査本部をここに設置する!」

信代「お手洗いだよ」

律「解散だー!」

純「この間3秒である」

冬「クスクス」

梓「冬ってもっと大人しいのかと思ってた」

冬「?」

風子「大人しい子だよ」

冬「本ばっかり読んでいますから・・・」

夏香「うんうん。お手本どおりの大人しさだよね」

梓「少し活発な雰囲気ありませんか?」

紬「・・・」コクリ

冬「そ、そうでしょうか・・・」

梓「同い年なんだから敬語は変だよ」

冬「え・・・と、はい」

純「分かってない!」

夏「・・・」

姫子「・・・」

夏「・・・」

姫子「夏の先輩として一つ指示を出すね」

夏「?」

姫子「学園祭の出店は梓ちゃんと同じチームに入って」

夏「別々になっていますけど」

姫子「無理言って変えてもらって」

夏「・・・」

さわ子「もうそろそろ消灯よ?早く帰りましょう」

信代「えーと、まだ揃っていないんですよ」

潮「もう少し待ちましょう」

慶子「丸い月 兎が跳ねて 餅を搗き」

紬「・・・」ピョンピョン

和(この団結力・・・)

さわ子(なにかあるわね・・・)

唯「座ってまちますかね」

梓「そうですね」

紬「・・・」

澪「むぎはいつまで着けているんだ?ウサミミ」

紬「・・・」ピョンピョン

律「さわちゃん、懐中電灯とか持ってんの?」

さわ子「えぇ、ちゃんと持ってきてるわよ」

澪「私も小さいのだけどあるよ。ほら」カチッ

律「・・・」

澪「あれ?」カチッカチッ

紬「・・・?」

澪「・・・」パカッ

律「あらー・・・」

澪「これはな、違うんだ」

和「どういう事よ」

澪「ちゃんと電池買ったんだ」

純「はい。澪先輩は悪くありません!」

律「電池を入れないと点きませんよ。という世の真理を教えてくれたんだろ?」

澪「・・・そうだぞ」

風子「意味無いよね」

澪「うっ・・・」グサッ

梓「ふぅ先輩意地悪ですよね」

英子「そうだね。これは擁護できないな」

風子「そんなことないよ・・・」

冬「・・・ふぁ」

夏香「眠たいの?」

冬「少しだけ、眠りたいです」

唯「少し横になろー」ゴロン

和「シート敷いていないんだから」

唯「大丈夫だよ~」

冬「・・・よいしょ」ゴロン

紬「・・・」ゴロン

梓「よいしょ」ゴロン

さわ子「背中チクチクするでしょ?」

唯「します!」

紬「・・・」コクリ

夏「・・・」

唯「夏フェスを思いだすね」

澪「あぁ・・・」

律「灯りが邪魔だな」

姫子「もうそろそろ消灯じゃないかな」

信代「・・・潮」

潮「・・・」コクリ

信代「・・・」ピッピ

trrrrr


フッ


唯「あー、消えちゃった」

澪「く、暗いな・・・」

律「目が慣れれば月明りだけでも」

潮「あー!ユーフォーだー!」

紬「・・・!」ガバッ

律「どこだ!」

夏「UFO!?」

冬「」ウトウト

澪「・・・」

梓「そんなのいませんよ・・・あ!」

澪「流れ星!」

紬「!」

姫子「あ・・・!」

律「おぉ!」

純「・・・!」

風子「平和平和平和」

英子「あ・・・」

夏香「うわ・・・」

夏「・・・」

冬「」スヤスヤ

さわ子「・・・」

和「この瞬間を共有できるなんて・・・」

唯「・・・よかった」

潮「・・・ビックリしちゃった」

慶子「・・・うん」

信代「観た?」

『観たよ』

信代「それじゃお願い」

『OK』


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最終更新:2011年10月03日 23:41