律「なんだ、この貫禄・・・負けてるくせに・・・」

唯「・・・」スッ

律「ぐっ・・・」

澪「見えないオーラかなにかに圧されています」

梓「得体の知れないモノを感じているんでしょうか」

純「律先輩サービスです」

律「よ、よし。うりゃー」ポン

シュー

唯「っ!」バシッ

シュッ

律「なっ!」スカッ

梓「2-2・・・です」

澪「予想外のスマッシュ・・・」

憂「やった!」

唯「・・・」

澪「喜んですらいない!」

律「わ、私の今までの常識が覆される・・・っ!」

梓「律先輩は自分を見失っていますね」

純「唯先輩が未知なる相手となりて立ちはだかっているのです」

律「おまえは誰だよっ!」

純「おしずかに、今は試合中ですよ」

律「なんか腹立つ!」

唯「・・・」ムズムズ

純「では、最後のサービスです。唯先輩どうぞ」

唯「・・・ひっくしゅん!」

憂「あ・・・集中力切れちゃった」

唯「・・・行くよ、りっちゃん」

律「ココ、コ、コーイ!」

澪「ニワトリみたいだな」プクク

唯「それっ」スカッ

「「 あ・・・ 」」

律「・・・え」

梓「3-2で律先輩の勝ちです」

律「喜べねえー!」

紬「!」

英子「あ、起きちゃった?」

紬「・・・?」

英子「律さんの勝ちみたい」ナデナデ

冬「」スヤスヤ

風子「」スヤスヤ

紬「・・・」ニコニコ

英子「なんだか、可愛いよね」

唯「負けちゃった~」エヘヘ

澪「あの唯はなんだったんだ」

憂「羽をよく見ているうちに集中力が増したんです。あと、勝ったら私のアイスを、と」

梓「さすが姉妹・・・」

律「・・・」ホワーン

澪「どうした、り・・・」ホワーン

唯「きゅるるるりん」

英子「そろそろ起きないとね・・・ほら、ふぅ」ユッサユッサ

風子「ん・・・?」

英子「冬ちゃんも、起きて」

冬「」スヤスヤ

純「気持ち良さそうだなー・・・」

梓「うん・・・」

律「まぶたが重くなってくる・・・」

英子「起きて」ユッサユッサ

冬「・・・ん」

風子「・・・ふぁ」

唯「少し横に・・・」

憂「昼休み終わっちゃうよ」

冬「あ・・・、あ!すいません!」バッ

英子「気にしなくていいよ」

冬「・・・足痛くないですか?」

英子「冬ちゃんの所は大丈夫だけど、ふぅのところが痺れてる」

風子「ごめんね、つい寝ちゃった」

英子「角度が悪かったみたいだね」

唯「よいしょっと」

律「こら、二人が起きたのに唯が寝てどうするんだよ」

唯「寝心地を確かめるんだよ。英子ちゃんの膝枕がどうなのか検証だよ」

澪「眠りたいだけじゃないのか」

純「今日はすんなり起きた」

冬「?」

紬「・・・」ニコニコ

梓「昨日帰る直前に寝ちゃったんだよ、冬は」

冬「・・・」

唯「おぉっと危ない、眠るところだったよ!」バッ

冬「あの・・・昨日私はどうやって帰ったんでしょうか?」

澪「え・・・?」

唯「記憶喪失だって・・・!?」

冬「少し横になる所までは覚えているんです・・・」

律「気づいたらベッドの上だった・・・とか!?」

冬「は、はい。そうなんです」

澪「眠っていただけだから」

冬「・・・」

純「夏に聞かなかったの?」

冬「朝起きたら夏は学校へ行ってて・・・。朝練がありますから」

純「ふーん・・・」

紬「・・・」

律(壁があるな、純にも夏にも)

澪「さわ子先生が車で運んでくれたんだよ。背負っていたのは姫子だ」

冬「!」

梓「・・・」

英子「じゃ、お礼を言いに行こうか」

冬「え?」

風子「私たちのクラスへ行こう」

澪「そうだな」

紬「・・・」コクリ

律「いい時間だしな」

唯「今日の午後もがんばるぞー!」

律「姫子ー、お客さん来てるぞー」

姫子「お客?」

澪「ほら」

姫子「冬・・・?」

和「どうしたの?」

律「お礼を言いたいんだって」

澪「真面目でしっかりしてる子だよな」

和「そう・・・」

信代「可愛がられてるねぇ」

律「特に風子とお母さんがな」




姫子「どうしたの?」

冬「立花せん」

紬「・・・」チョンチョン

冬「は、はい?」

紬「・・・」フルフル

姫子「あー・・・、言わんとしてる事が分かる・・・」

唯「姫ちゃん先輩でしょ?」

冬「あ・・・う・・・」

純「事情を知らない人が見たら後輩をからかっているように見えますよ」

梓「・・・」

冬「ひ、姫ちゃ・・・ちゃんせんぱ!」

姫子「ブフッ」

純「グフッ」

唯「だめだよ笑っちゃ~」

冬「・・・」

姫子「ごめんごめん、で、用事は?」

冬「昨日は送ってくれてありがとうございました」ペコリ

姫子「え・・・、それを言う為にわざわざ?」

冬「・・・・・・はぃ」

風子「姫ちゃん」

英子「勇気だして3年生のクラスまで来たんだから」

姫子「う、うん・・・」

紬「・・・」チョンチョン

唯「手首?」

梓「時間を示しているんじゃないですか?休み時間も残り少ないですから」

紬「・・・」コクコク

純「教室に戻ろっか」

梓「うん」

冬「し、失礼ちます」ペコリ

紬「・・・」フリフリ

姫子「じゃあね」フリフリ

梓「それでは、放課後・・・」

紬「・・・」コクリ

唯「うん、後でね~」

冬「ぁ・・・」

純「憂はどこへ行った~?」

梓「先に戻ったよ」

スタスタ

冬「・・・」

紬「?」

英子「どうしたの?」

冬「いえ・・・。失礼します・・・」

トボトボ

風子「どうしたんだろ・・・」

姫子「・・・」

唯「部室に行っても姫ちゃんが居ないからじゃないかな」

紬「・・・」コクリ

姫子「引退したからね」

風子「そっか・・・。大丈夫かな・・・」

姫子「大丈夫。夏がいるし・・・。他にも仲間がいるから」

唯「・・・」

姫子「先輩と後輩は友達にはなりにくいんだよね」



―――――放課後

ジャジャッジャジャッジャーン

律「よーし、いい感じだー」

澪「・・・ふぅ」

梓「・・・」

唯「頑張ってるよ私!」

紬「・・・」ポン

律「よっしゃ、おやつおやつ~」

唯「おやつおやっつ~」

澪「一時間通して演奏したからな・・・びっくりだ」

梓「びっくりです」

律「どういう意味だ!」

唯「りっちゃんにしては集中していたって意味だよ」

律「どういう意味だ、ゆいー!」ギシギシ

唯「・・・ギブ・・・ギブだよ」ポンポン

紬「・・・」

テッテッテ

梓「・・・」

律「・・・ったく」

唯「げほっ」

澪「・・・」

唯「・・・ん~」ヒョイヒョイ

梓「どうしたんですか?」

唯「前髪が気になるんだよ」

梓「?」

唯「明日卒業写真の撮影があるでしょ?」

梓「はい」

唯「わたしね小学校、中学校の写真は変な顔ばっかりで困っているのです」

梓「はぁ・・・」

唯「そこで!」ジャジャーン

澪「はさみでどうするんだ?」

唯「ちょちょいと切って、調整します!」

律「マジかよ・・・」

梓「止めておいたほうが・・・」

唯「ちゃんと映りたいもん!」

澪「でも・・・」

唯「だいじょうぶだいじょうぶ~」

チョキン

パサパサ

唯「どうかな」

澪「うん、いいと思うぞ。な、律?」

律「うん、おっけーだ。な、梓?」

梓「はいッ!」

唯「そうかな・・・」

梓「バッチリですよッ!」

唯「もうちょっとだけ・・・」

澪「・・・」ハラハラ

唯「・・・ひ・・・ひっく」

紬「・・・!」

ガシッ

唯「・・・くしゅん!」

澪「あぶなっ!」

律「あぶねえ・・・」

梓「唯先輩!今危なかったですよ!」

唯「ご、ごめんね・・・」

紬「・・・」フゥ

澪「髪も無事だし・・・よかった」

律「あぁ・・・」

唯「ありがとむぎちゃん」

紬「・・・」ニコ

コンコン

澪「?」

唯「さわちゃん?」

律「さわちゃんはノックしないだろ?」

梓「どちらさまですか?」

「・・・」

シーン

澪「・・・」ブルブル

律「な、なんだよ・・・」

唯「誰~?」

梓「鍵開いてますよ?」

バタンッ

「動くな!」

澪「ヒアッ!」

唯「おぉ!」

律「なんだ、エリか・・・」

梓「なんだ、エリ先輩ですか」

エリ「仮面の意味はないの?」

律「声で分かるからな。髪型でも分かる」

エリ「覆面の方がよかったかな」

唯「きぐるみあるよ」

エリ「貸して貸して」

紬「?」

梓「なにかするそうです」

紬「・・・」コクリ

エリ「このネコ?のきぐるみ借りるね。そんじゃテイク2行ってみよう」

バタン

澪「聞こえない聞こえない・・・」ガクガク

律「まだ気づいてないのか澪は・・・」

梓「エリ先輩ヒマなんですかね・・・」

紬「・・・」

唯「迎撃するよ」

コンコン

律「律儀だな」

バタンッ

「手を上げろ!」

律「少しだけ付き合ってやるか・・・」スッ

ササッ

エリ「よーし動くなー」

梓「あれ、二人・・・?」

紬「・・・?」

「・・・」

エリ「そこのおいしそうなおやつをいただく!」

紬「・・・」チョイチョイ

エリ「?」

梓「そこに座ってくださいって意味かと・・・」

エリ「あ、ありがとう・・・」

律「もう一人は誰だ・・・?」

澪「・・・」ブルブル

唯「そうはいかないよ!」

「・・・!」

唯「ぶちかまして!My Dear,My ギー太!」

ジャーン!

エリ「この仮面邪魔」ポイッ

「・・・」ヨロヨロ

律「効いたのかよ」

澪「・・・エ、エリ?」

エリ「もぐもぐ・・・おいしい~」

紬「・・・」ニコニコ

梓「平和的に解決ですね」

「・・・」バタン

澪「ヒィッ!」

梓「それで、誰なんですかねこのきぐるみの人は・・・」

唯「私とギー太の敵じゃないよ・・・」フッ

律「純か?」

「・・・」シーン

エリ「紬さんの淹れた紅茶、おいしい」

紬「・・・」ニコニコ

澪「だ、誰だ・・・?」ガクガク

律「アカネ?」

「・・・」シーン

梓「姫ちゃん先輩」

「・・・」ピク

唯「反応したね。姫ちゃんだよ」

「・・・」スク

梓「無言で起き上がれると怖いですね・・・」

「・・・」ジー

律「無言でこっちをみるなよ。怖いな・・・。姫子だって分かってるんだからさっさと脱げよ」

「・・・」

梓「もしかすると・・・。姫ちゃん先輩」

「・・・」

梓「姫ちゃん先輩!」

「・・・」

梓「姫ちゃん先輩!姫ちゃん先輩!!」

「・・・」

梓「違いますね・・・」

姫子「大きな声で連呼されると恥ずかしいなぁ・・・」

梓「ッ!」ビクッ

「・・・」

律「姫子じゃない!?」

エリ「これが夏の旅の写真なんだ・・・」

唯「そうだよ~、それは名古屋城での写真だね」

エリ「たくさんの人が写ってるね」

紬「・・・」コクリ

律「おぉい!正体を教えろエリー!」

「・・・」

澪「・・・」ガクガク

姫子「・・・」ジー

梓「ごめんなさいごめんなさい」

律「誰も気にしてないのか!」

「・・・」

律「喋れよ!」

「・・・」ブイッ

律「ピースされてもな・・・。って多分そうなんだろうけど」

「・・・」

律「うぅ・・・正体不明だから動作がなくなると怖ぇ・・・」

「・・・」

律「当てるまで喋らない気だな・・・」

「・・・」コクリ

律「じゃあヒントくれよ」

「・・・」コクリ

律「今まで上げた人の名ではない?」

「・・・」コクリ

律「純、アカネではないんだな・・・。ヒント少なっ!」

「・・・」

律「なんで無言きぐるみと対峙してんだよ私は・・・。・・・さわちゃん?」

さわ子「こっちよ」

律「えっ!?」


49
最終更新:2011年10月04日 22:47