―――――3年生クラス

律「あのさぁー」

紬「?」

姫子「どうしたの律?」

唯「・・・」

律「最近集りすぎじゃないのか・・・ここ」

風子「そう?」

エリ「りっちゃん達が集ってくるんだよ、ここは元々私たちの席なの」

アカネ「・・・なの」

エリ「む・・・」

律「いや・・・うん・・・」

信代「昨日はボウリングに行ったのか・・・」

潮「そう。2レーン使用で10人対10人のチーム戦」

信代「は?」

姫子「嘘じゃないよ」

信代「疑ってはいないけどさ、なんでそんなまどろっこしい展開なの?」

紬「・・・」キリ

唯「・・・」キリ

信代「そこでしたり顔の二人が分からない・・・・・・」

風子「凄い展開だったんだよ、140-140の大接戦だったんだから」

慶子「それはすごいね。・・・え!?ひゃくよんじゅう!?」

英子「みんな上手だったよ」

律「・・・」

潮「うん。みんな上手・・・ブフッ」

律「潮・・・果たし状を叩きつける」

潮「ふふ・・・いいだろう・・・。この勝負受けて流す!」

唯「・・・」

律「・・・よし。今日のお昼に中庭でバトミントン勝負だ」

潮「ふふ・・・。ツッコミは無しか・・・」

律「私がドベで、潮が2番なんだよ」

潮「え・・・」

律「ついでに風子が3番目」

風子「でも7本倒したよ」

律「ちぇ・・・乗ってこなかったか」

英子「バトミントン勝負したかったの?」

律「うん」

信代「そう言えよ」

紬「・・・」

唯「どうしたのむぎちゃん?」

紬「・・・」スッ

唯「・・・澪ちゃん?」



・・・・・・



澪「・・・」

いちご「・・・どうしたの?」

澪「・・・ちょっと・・・な」

いちご「・・・外になにかある?」

澪「秋らしくなってきたな・・・と、思って」

いちご「・・・うん」

澪「暑くもなく、寒くもなく・・・涼しくてとてもいい時期だ」

いちご「・・・うん」

澪「夏と冬の間ってなんだろう」

いちご「・・・心理テスト?」

澪「いや・・・。ごめん、なんでもない」

和「・・・今なんじゃないの?」

いちご「・・・」

澪「そう・・・だな・・・」

和「この答えじゃないみたいね」

澪「答えて欲しくて聞いたんじゃないのかも」

和「・・・季節の事じゃなかったのね」

澪「・・・」

いちご「春」

和「・・・」

澪「そっか・・・。うん、そうなんだ・・・」

春子「なにが?」ヌッ

澪「っ!」ビクッ

和「季節の話をしていたのよ」

春子「そっか・・・よし」

いちご「なにが、よし?」

春子「夏香ー、アキヨ、美冬!」

澪「なっ!」

夏香「なに~?」

アキヨ「・・・」

美冬「・・・どうしたの?」

春子「よしよし」

いちご「・・・」

澪「ど、どうして集めるんだ」オロオロ

春子「季節を先取り?」

アキヨ「・・・」

スタスタ

和「秋が去って行ったわ」

夏香「・・・ギャグをするために呼んだの?」

美冬「・・・くだらない」

スタスタ

春子「すいません」

澪「・・・」

いちご「・・・」

春子「澪たちが外を眺めて風情を感じているようだったから・・・どうした?」

澪「・・・う、うん」

和「それで、なにが分かったの?」

澪「夏と冬の季節の間に春と秋は必要なんだ」

いちご「・・・うん」

律「・・・澪に気付かれないように席に着いてくれ。さわちゃん来てるぞ」ヒソヒソ

春子「おっけ」ヒソヒソ

澪「秋が去ったら・・・冬が来て」

いちご「・・・」スィー

澪「冬が去ったら春が来て」

「「 ・・・ 」」シーン

澪「春が来たら夏になる・・・こうやって季節がつなが・・・・・・あれ?」

「「 ・・・ 」」ジー

澪「」ボフッ

さわ子「どうしたのあの子・・・外を眺めて物思いに耽っていたようだけど」

律「双子の事考えていたんだよ」

三花「それなのに・・・ひどいよね」

和「そういう意味だったのね・・・」

姫子「なにが分かったの?」

和「なんでもないわ。頑張ってね」

姫子「?」

唯「おぉ・・・」

紬「・・・」


―――――昼・教室

夏香「なに、そのストラップ」

風子「かわいいでしょ?」

夏香「可愛いけど・・・」

澪「・・・ほら、梓たちが待ってるぞ」

律「お待ちになって」

澪「たまに上品になるそれはなんだ」

風子「澪ちゃん、見てこれ」

澪「ん?・・・あぁ」

風子「あれ・・・?」

英子「驚かないね」

澪「昨日梓から聞いたよ。お揃いだな」スッ

風子「うん。鍋パーティしたんだってね」

律「あぁ、うまかったぜー」

夏香「・・・鍋か、いいね」

澪「中庭に行こう、待ってるよ」

風子「うん」

英子「ちょっと待って、聞きたいことが・・・」

律「どした?」

英子「あの二人の様子はどうだった・・・?」

澪「・・・変わらず、かな」

律「・・・あぁ」

風子「・・・」

英子「・・・分かった」

夏香「あ、今日は私も行くよ」



―――――中庭


澪「あ、そうだ・・・明日空いてる?」

風子「明日は英子ちゃんと買い物に行く予定が入ってて」

英子「うん、隣町までね」

夏香「遠出するの久しぶりだよね」

澪「そっか・・・残念」

風子「なにかイベントでもあった?」

澪「イベントというか・・・遊園地へ」

風子「明日の予定は変更ね」

英子「・・・そういう事ならしょうがないね」

夏香「前から約束していた予定だよ?」

澪「無理強いは」

風子「また来月に約束しようよ。今の時間は今だけだよ」

夏香「それって・・・」

英子「・・・うん」チラッ



唯「ひっくしゅん!」

紬「・・・」スッ

唯「あひがほ・・・」ビィィィィ

夏「親子みたいっ」プクク

梓「・・・」

律「どっちかって言うと保護者は和だけどな」

夏「世話焼きさんが多いんですね」

梓「・・・」

純(少し不愉快そうな顔したな・・・)

潮「・・・」モグモグ

慶子「ごちそうさま~」




澪「急な話だから、無理にとは言わない」

夏香「そうだね、無理に合わせる必要もないし」

風子「・・・!」

夏香「私はパス」

澪「・・・うん、分かった」

風子「そっかぁ・・・」ションボリ

夏香「みんなと楽しんできて」

英子「季節・・・双子・・・一つした・・・」

澪「?」

夏香「・・・」

英子「・・・あの二人の事だったんだ・・・どうりで気になる訳だよね」

風子「どうしたの?」

夏香「たいした事じゃないよ。姉さんの受け持った患者だっただけ」

澪「・・・」

風子「あの病院に入院していたんだ・・・」

英子「・・・よく話してくれてたよね、夏香のお姉さん」

夏香「・・・うん」

風子「わ、私知らないんだけど・・・」

英子「中学校時代の話だから・・・」

澪「・・・最近の話は聞いてる・・・?」

夏香「ううん。二人が中学に上がって、退院したところまで」

澪「・・・」

風子「澪ちゃん・・・?」

英子「どうしたの?」

澪「いや・・・なんでも・・・ないよ・・・」

夏香「・・・」

潮「もぐもぐ」スッ

律「・・・ちゃんと飲み込めよ」

潮「・・・ごくり」

律「3点先取だぜ・・・?」

潮「・・・」

律「・・・」

ビュウウウウ

潮「勝負」

律「来い」

紬「・・・!」

唯「や、やめようよ・・・」

潮「勝負の世界は非情なんだよ、唯」

律「そうだぜ」

慶子「二人が争うところみたくない・・・」

潮「・・・慶子の願いでも避けては通れないのさ」

律「よく言った潮・・・それでこそ好敵手だ」

澪「卒業写真の撮影行くぞ」

潮律「「 あ、はい 」」

夏「・・・」プクク

梓「・・・」

純「昼休みに撮るんですか?」

紬「・・・」コクリ


―――――放課後

唯「・・・」ジャンジャンジャン

澪「・・・」デンデンデン

律「・・・」タンタンタタタン

カシャッ

梓(あ・・・)ジャンジャジャン

紬「・・・!」ポロンポロロ

ジャジャッジャジャッジャーン

唯「よーし・・・いい感じだよ」

律「ふぃ~、そうだな」

澪「少し走ってたぞ律」

律「うそおっしゃい!そんなはずはないわ!」

澪「だからそれはなんだ」

カシャッ

澪「ッ!?」ビクッ

唯「おぉ、カメラ屋さんだよ」

律「お昼の・・・」

カメラ屋「どーも。いい写真撮れたよ」

梓「・・・」

紬「・・・」コクコク

唯「・・・うふふ☆」ウィンク

律「・・・えへっ☆」ウィンク

澪「・・・」ビクビク

カメラ屋「えー・・・と」

梓「内緒にしておいてよかったです」

紬「・・・」ポロンポロロン

梓「え?・・・あ、私がクラスの担任に要請していたんです。先輩方には内緒で」

紬「・・・」ポンポロロンポロ

梓「むぎせんぱいも頼んでいたんですか・・・ふふっ、私が動く事でもなかったんですね」

紬「・・・」ポロロポンポロポロ

梓「こちらこそです」

カメラ屋「さっきのように自然体に演奏できないかな・・・?」

律「もう無理だな・・・。澪が動揺してる」

澪「・・・」オロオロ

唯「それじゃティータイムの様子を撮ってもらおうよ」

梓「いいんですかね」

紬「・・・」コクリ

さわ子「ダメに決まってるじゃない。持ち込みしておやつを楽しんでるなんて載せられないわ」

カメラ屋「それじゃ私はこれで」

さわ子「ありがとうございました」

唯「ありがと~」

バタン

律「いい頃合だから、ティータイムだ!」

紬「・・・」キリ

タッタッタ

さわ子「あれ・・・?」

梓「どうしたんですか?」

さわ子「しょうがないわね」

ガチャ

さわ子「ほら、入ってきなさい」

「で、でも・・・」

唯「お客さんだね。最近よく来るよね」

律「私の分が減るから困るな」

澪「あ・・・」

梓「・・・だ、誰ですか・・・?」

「え、えぇと・・・初めましてだね・・・」

律「え!?」

唯「おぉ!?」

さわ子「私のクラスの遠藤未知子よ」

未知子「・・・」

澪「珍しい・・・」

紬「・・・!」

梓「むぎせんぱいもビックリするほどの事なんですか?」

律唯「「 どうした(の)!! 」」

未知子「や、やっぱり帰ります」

ガシッ

さわ子「ゆっくりしていきなさい」

未知子「・・・」

唯「ささっ、どうぞどうぞ」

律「梓!すぐにおしぼりを!」

梓「ありませんよ」

紬「・・・」スッ

コト

さわ子「ありがとむぎちゃん」

未知子「ありがとう」

紬「・・・」ニコニコ

律「で、どうしたどうした!」

澪「おまえがどうした」

唯「用があるんだね!なにかな!?」

未知子「えぇと・・・」

梓「どうしたんですか、唯先輩と律先輩は」

澪「多分・・・嬉しいやら楽しいやらでテンションが高いんだ」

さわ子「部室の前で中を伺っていたのよ」

律「ほぉー!」

紬「・・・」ズイッ

さわ子「身を乗り出すほどの事なの?」

未知子「うぅ・・・言いづらい・・・」

澪「言いにくい事なら無理には」

唯「相談事なんだね!?私たちの口は堅いから大丈夫だよ!りっちゃんが居ない時」

梓「唯先輩!」

律「え・・・?」

唯「ぴぃ~ぷぅ~」

さわ子「予想通りの軽さね」

律「え、何?なにがあったの?」

澪「律、気にする、私たち、困る」

律「困るって!?なんでカタコト!?私、とても、寂しい!」

未知子「クスクス」

紬「・・・」ニコニコ

律「おーしーえーろー!」ユッサユッサ

梓「どっ、どうしてわたしっなんですかっ」グラグラ

さわ子「りっちゃんが居ない時どうしたの?」

澪「・・・私の口からは」シンミリ

紬「・・・」シンミリ

唯「・・・ごめんね、りっちゃん」

律「ぇ・・・」


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最終更新:2011年10月04日 23:12