――・・・


エリ「紬さん!」トン

バッ

紬「・・・!」バシッ

ちか「よっ」ポンッ

アカネ「三花!」トン

バッ

三花「っ!」バシッ

ザッ

梓「くっ!」

信代「ピピーッ・・・ヤドカリチーム一点」

ちか「やった!」

三花「ナイスレシーブ」

アカネ「ナイスサーブ」スッ

パァン

潮「6-2でヤシガニチームが押されております」

さわ子「名前負けしてるわね」

梓「小さいから役に立てません・・・。誰か交代しませんか?」

潮「ごめんね、今は跳んだり跳ねたりはできない」

律「私もパスだ」

澪「ごめん、梓」

未知子「ごめんね」

唯「ここは私が」フフン

さわ子「しょうがないわね。多恵ちゃんと代わりましょう」

唯「」ガーン

多恵「・・・」

梓「・・・」

多恵「・・・・・・」

梓「・・・・・・」

多恵「・・・・・・・・・」

梓「お願します」

多恵「私だったんだぁ・・・」

律「気のせいかと思ってたんか」

信代「コート内へ」

多恵「うぅ・・・」トボトボ

梓「さすがですね。ヤドカリチームは運動量が違います」

澪「・・・うん」

信代「試合再開です。ピッ」

潮「頑張れ多恵ー!」

多恵「・・・!」

さわ子「あら、顔つきが変わったわね」

未知子「スポーツ好きなんですよ」

律「へぇ~」

エリ「多恵ちゃん!」トン

バッ

多恵「っ!」ブンッ

スカッ

紬「!」ポーン

律「ナイスフォロー・・・」

さわ子「見てる分には、とか・・・?」

未知子「その通りです」

唯「おぉ・・・」

澪「悪いことではないぞ」

律「誰も悪いとは言ってないだろ」

梓「私にはなにもできないんでしょうか・・・」

唯「ん?」

梓「なんでもないです・・・」

澪「・・・」

律「ゆい~、どうして海に来ようと思ったんだー?」

唯「昨日観覧車の天辺から海が見えたんだよ」

律「ふむふむ」

唯「ずーっと遠くに見えたんだ・・・。そこへ行ってみたくなって」

未知子「・・・それだけなの?」

唯「それだけだよ~」

梓「ここへ来てどうなりましたか?」

唯「そうだね。海の向こうにある場所へ行ってみたくなったよ」

澪「それはどこ?」

唯「分かんない」エヘヘ

律「あずさ~」

梓「なんですか?」

律「キャンプでソーマが沖縄の話したじゃん?」

梓「は、はい」

律「その後に梓がソーマに言った事覚えてる?」

梓「?」

律「『ニライカナイは場所だけを指すのか』って」

梓「???」

律「覚えてないのかよ」

梓「あの人の事はスベテデリートサレマシタ」

澪(『ガイアス』の事は伏せておくか・・・)

唯「それがどうしたのりっちゃん?」

律「いや、人が『最高の場所』になりえるのかなって」

唯「うん???」

律「ソーマが『ニライカナイ』を探して沖縄を旅していたわけだろ?」

澪「そうだな」

律「で、梓はその後こう言ったんだ『災いしかもってこない人がいる』って」

梓「そうでしたっけ?」

律「あぁ、それって梓がソーマを『ニライカナイ』としてみたんだろ」

梓「ちっ、違いますよ!幸福なんてもらってません!!」

律「待て待て、大事な所なんだから・・・。で、だ・・・。その後大爆笑したんだよな」

唯「そだね。ビックリしたから覚えているよ」

梓「・・・」イライラ

澪「確か・・・同じ事を言われたって・・・事だったな」

律「そう、その後に電話で話をしただろ?唯と梓は」

唯「いえす」

梓「はい。海琴さんですね」

さわ子(デリートされてないわね・・・)

律「そこなんだよ。海琴って人は・・・『ニライカナイ』をみつけたんじゃないのか?」

梓「!」

さわ子「どうしてそう思うのよ?」

律「海琴と梓が被ったからソーマは笑ったんだろ?」

澪「そうか・・・。でも相馬さんがその場所を見つけたことには・・・」

律「そこは知らない。てか、ソーマの旅は壮大すぎて私では把握できない」

梓「どういう意味ですか・・・?」

律「話がズレるから、それは後回しだ。・・・ソーマの話を聞く限りでは
  『ニライカナイ』イコール『最高の場所』だと思うんだ」

唯「おぉ!という事は人が『最高の場所』になりえるんだね!」

律「と思った!・・・んだが・・・腑に落ちない点がいくつか・・・」

梓「人・・・ではなく・・・その隣ではどう・・・ですか・・・?」

律「あぁ・・・・・・、納得だ」

唯「そっか、人が居ないとそこはただの場所だもんね」

澪「相馬さんのお父さんの写真がそうだったからな」

梓「むぎせんぱいの隣が私の『最高の場所』」

律「・・・」

唯「・・・」

澪「・・・」

さわ子「・・・」

未知子「・・・」

梓「そう思っていたんです・・・。だけど、それは・・・私にとって都合のいい場所でしかなかったんです」

唯「あずにゃん・・・」

梓「手を引っ張ってくれて、たくさんの景色を見せてくれて・・・
  居心地がいいから、そこを私の『最高の場所』として名付けただけなんです」

律「『最高の場所』ではないのか・・・?」

梓「今疑っているから・・・、きっと違うんです」

澪「・・・」

『怖いのが分かるって?それは思いあがりだよ梓』

梓「昨日、夏と話をして気付きました・・・
  私はむぎせんぱいに甘えているだけなんだって」

唯「!」

律「梓・・・」

澪「・・・」

梓「むぎせんぱいの居る場所が私の『最高の場所』で間違いないんです
  でも、今のままでは・・・手を引っ張ってもらっている今のままでは
  そこには絶対に辿り着けないんです」

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・辿り着くには、どうすればいい?」

梓「先を歩くむぎせんぱいの隣を歩けるようにならないと・・・」

澪「・・・そうか」

梓(あの旅で一番近づいたのが澪先輩・・・)

さわ子「・・・」

唯「くはっ」バタン

律「くふっ」バタン

澪「どうした・・・」

唯律「「 遠いっ! 」」

澪「本当に・・・大変だな追いかけるのは・・・」

未知子「どうしてその場所を探しているの・・・?」

梓「むぎせんぱいを・・・笑顔で見送りたいからです」

未知子「・・・」

梓「その場所を見つけて強くならなきゃいけないんです」

未知子「・・・っ」バタン

さわ子「あら・・・?」

未知子「話が大きくてついていけない・・・!」グルグル

さわ子「お疲れ様」

信代「ピッピーッ!試合終了ー!」

エリ「やった!紬さんナイスファイトォ!」

紬「・・・!」ニコニコ

多恵「勝ったぁ!」

律澪唯梓「「「「 えぇっ!? 」」」」

潮「15-13でヤシガニチームの勝ちです」

さわ子「なにが起きたのよ」

信代「ヤドカリチームが10点取るまでは点差が開いていたんですけど
   その後から粘って・・・スタミナが著しく低下しました」

ちか「っはぁ・・・疲れたー!」

アカネ「あのしぶとさは怖かった・・・」

三花「打っても打っても多恵ちゃんが拾うんだもん・・・」

未知子「間近で見ながら吸収するタイプです」

潮「マジか・・・」

さわ子「潮ちゃん、誰かに似てるわね」

潮「誰ですか?」

律「聞かないほうがいいぞ」

エリ「やったやった!」ピョンピョン

紬「・・・!」ピョンピョン

多恵「やった!」ピョンピョン

未知子「多恵ちゃんがあんなにはしゃぐなんて・・・」

梓「そういう人なんです・・・むぎせんぱいは・・・」



―――――駅


澪「これから出かけるの?」

潮「うん。信代と買い物する約束があってね」

信代「それなのに、私をほったらかして電車に乗ったもんな、ビックリしたよ」

ちか「ごめんね~」

信代「いいよ。今からでも間に合うし、楽しかったから」

律「だよな!」

潮「じゃ、行こう信代!」

信代「うん、じゃ明日ねみんな」

唯「ばいば~い」

紬「・・・」フリフリ

信代「慶子に連絡した?」

潮「・・・」

信代「後先考えないで行動するのやめなよ・・・。フォローしておいたから」

潮「かたじけない」

スタスタ

エリ「私たちも帰るね~」

ちか「ばいばーい」

アカネ「明日ね」フリフリ

三花「アディオース」

澪「ばいばい」

梓「また、明日です」

紬「・・・」フリフリ

唯「気をつけて帰るんだよ~」

ちか「あはは、だいじょーぶだよー」

さわ子「元気ねぇ・・・。二人は送るわよ」

未知子「・・・?」

多恵「?」

律「贔屓だ・・・!」

唯「贔屓だー!」

さわ子「あなたたちはどこかより道するんでしょ?」

梓「はい」

澪「あ、そうだったんだ。知らなかった」

さわ子「か弱い子を放ってはおけないわ~」キラキラ

律「はいはい。じゃあな」

未知子「う、うん。明日ね」

多恵「ばいばい」

唯「GOODBYE!」

紬「・・・」フリフリ

さわ子「じゃあね」

スタスタ

律「わたくし達はこれからどこへ行くというのかしら」

澪「・・・」

唯「そうですわね、あずにゃんさん、どこかお決まりになって?」

梓「河川敷でぼんやりしましょう、むぎせんぱい」

紬「・・・」コクリ

律「ご覧になってゆいさん、夕刻ですわ」

唯「ご覧になってりつさん、あちらの雲はどんよりですわ」

澪「・・・行くぞ」



―――――河川敷


ザァーーー

梓「そんな・・・」

紬「・・・」

澪「着いた途端に雨・・・か・・・」

律「この中に雨女がいるのですわ!」

唯「まぁ、その人は年中テルテル坊主を持参させなきゃいけませんことよ!」

梓「台詞が適当になってますよ。唯先輩飽きてませんか?」

唯「・・・うん」

律「私が無理やり付き合わせたみたいじゃないか!」

唯「・・・」

律「否定しろー!」ギャー

澪「通り雨だろうな・・・。向こうは晴れてる」

紬「・・・」コクリ

唯「ういに傘を持ってきてもらおう」ピッピッ

梓(あの時もこうやって憂と純と・・・)

紬「・・・」ジー

梓「どうしたんですか?」

ギュ

梓「?」

紬「・・・」グイグイ

タッタッタ

澪「・・・」

律「雨降ってんだぞ?」

紬「・・・」キリ

梓「・・・私着替え持ってきていないんですよ?」

ザァーーーー

紬「・・・」スッ

唯「ん?両手を上げて・・・降参?」

律「なににだよ」

紬「・・・」クイッ

梓「・・・」

ザァーーー

澪「風邪・・・ひくぞ・・・」

紬「・・・」クィックィッ

律「なにしてんだよむぎ・・・」

唯「ひょっとして・・・」

澪「鍵盤を弾いているのか・・・?」

紬「・・・」クィックィッ

梓「・・・・・・うん」

紬「!」

律「マジか・・・」

澪「唯・・・今の聴こえた・・・?」

唯「・・・多分・・・うんって言ったんだと思う」

紬「・・・」コクリ

律「・・・」

紬「・・・」クィックィッ

梓「・・・こっちの台詞ですよ」

澪「・・・どうしたの・・・かな」

唯「う、うん・・・」

律「・・・」

紬「・・・」

梓「どうして、私たち雨にうたれているんですか?」

紬「・・・」クィックィッ

律「・・・梓が・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」クィックィッ

唯「今考えて・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」クィックィッ

澪「いる事を・・・」

紬「・・・」クィックィッ

澪律唯「「「 教えて・・・ 」」」

梓「・・・」

紬「・・・」


はぁ・・・

どうしていつも先を行かれるのかな

こっちが聞きたかった事なのに


砂浜で一点を取ってはしゃぐ私たちを見てなにを思っていたのかを

どう聞き出そうかと考えていたのに

それを先に聞かれたら困るじゃないですか


前ここで雨宿りをした時のように

雨にうたれるのもいいかなと思っていた時に手を引かれた


この気持ちを伝える言葉を私は知らない

嬉しい、楽しい、照れる、こそばゆい、清々しい、恥ずかしい、晴れる、くすぐったい

どれも合っていてどれも違う


もう!

あなたのことを考えていたんですよ、むぎせんぱい!


ザァーーーー

梓「あなたのことを考えていたんですよ、むぎせんぱい!」

紬「・・・」ポッ

梓「なんですか、その反応は!・・・もぅ」

唯「あっずにゃーん!」ダキッ

澪「ふふっ、バカだな私たち。雨にうたれてなにしてんだろうな」

律「へへっ、まったくだ」

紬「・・・」クィックィッ

梓「空中で鍵盤を弾かないでください、難しいですよ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「はぁー・・・」

唯「空になにが見えるの、あずにゃん?」

梓「雲しかないじゃないですか」

澪「本当だ・・・」

律「雲だけだなー」

紬「・・・」


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最終更新:2011年10月04日 23:32