あなたの明日がきっといい日であるように

あなたと大切な人が笑顔でいられるように

あなたの心の中に優しい雨が降るように

あなたの周りに柔らかな風が吹くように

先輩たちと雲―空を眺めて

少し冷たい雨にうたれて

今を止めて欲しいと心から願った






紬「・・・」

梓「・・・」

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」







トメテシマエバイイ


そんな事できる訳がない


デキル


何を言って


イカナイデホシイトイエバイイ


―。


ソウスレバトジコモッテイラレル


―。


トビラヲトジテソノジカンヲエイエンニオモエバイイ


それは・・・いいね


ジカンガナガレテトシヲトッテモコノジカンハズットクリカエス


素敵な時間だから私の中で永遠に繰り返す


アタラシイキセツガコノジカンヲヌリツブス


新しい経験が楽しかった想い出を押しのけてしまうように


ソレハエイエンダ


うん、この時間を永遠に繰り返すのはいいね。とても捨てがたい


ラクデイラレル


うん


ドイツヘイカナイデクダサイ


もう遅いよ


ズットココニイテクダサイ


私はむぎせんぱいの隣を歩きたいから


ワタシタチトイッショニイマショウ


たとえ、今のこの時間を忘れてしまっても


モットオモイデヲフヤシマショウ


『最高の場所』に辿り着く為に


紬「・・・」

唯「あずにゃん?」

梓「なんですか?って離れてください!」

律「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

唯「泣いてるの?」

梓「違いますよ、これは雨です。唯先輩も泣いてるじゃないですか」

唯「泣いてないよ~」

律「みお・・・」

澪「そんな声で言っても私は泣いてないからな」

紬「・・・」スッ

律「私も泣いてないっつの!」

唯「みんなうちへおいでよっ!」

梓「どうするんですか」

唯「アイロンをかければいいんだよ」

律「私たち3人はすぐ乾くな!いっそげー!」

タッタッタ

澪「まて、りつっ!」ダッ

タッタッタ

紬「・・・!」ダッ

タッタッタ

唯「行こうよあずにゃん!」

ギュ

梓「唯先輩・・・私ウソをツキました」

唯「ん?」

梓「なんでもないです!」


ザァーーー


憂「あめあめふれふれかあさんが~♪ じゃのめで・・・あ」

律「憂ちゃーん!」

・・・タッタッタ

澪「先に行ってるな!」

タッタッタ・・・

憂「どちらへ・・・?」

紬「・・・!」

憂「あ、紬さん・・・どうしたんですか?」

紬「・・・」ニコ

タッタッタ

憂「お姉ちゃんと一緒じゃないのかな・・・?」

唯「うーいー!」

梓「・・・」

タッタッタ

憂「お姉ちゃん・・・。梓ちゃんこの傘使って」

梓「ありがとう」

バサッ

唯「えぇ~、意味無いよ~」

憂「さっき紬さんたちが走っていったけど・・・お家に向かっているの?」

唯「そだよ~。服を乾かさなきゃね」

憂「そっか・・・。ビックリするかも」クスクス

梓「誰が?」

憂「律さん達がだよ」


ピンポーン

澪「なんでチャイムを押すんだ?」

律「おばさんたちがいるかもしれないだろ。風邪をひいたら大変だ」

タッタッタ

紬「・・・」フゥ

ガチャ

いちご「・・・おかえり」

紬「?」

澪「すいません間違えました」ペコリ

律「平沢さんのお宅だと思いました。失礼しました」ペコリ

いちご「・・・そうなんだ」

バタン

紬「???」

澪「ビックリした・・・いちごに似た人が出たからな」

律「そうだな、隣の家か」

澪「しっかりしないとな、行こう律」

律「おぅ!」

タッタッタ

ガチャ

いちご「ここ、平沢家だよ」

紬「・・・」ポカーン

和「どうしたのよ・・・タオル持ってくるわね」

紬「・・・?」

いちご「とりあえず入って」

紬「・・・」コクリ

澪「バカ律!」

律「澪だって間違えただろ!」

唯「ちょいとお二人さん、人の家の前でケンカしないでおくれやす」

澪「律がここを平沢家じゃないというから!」

律「家の形くらい覚えとけよ!」

澪「それはこっちの台詞だ!」

梓「どうしてケンカしているんですか・・・?」

律「それが聞いてくれよ。澪ったらさぁ」

澪「私のせいにするなっ!」

憂「とりあえず中へどうぞ」

スタスタ

唯「風邪ひいちゃうよ~」

澪「律が隣の家のチャイムボタン押したんだよ」

梓「はぁ・・・」

律「押したのは私だけどな、同意したのは澪だぞ」

澪「そしたら中から知らない人が出てきてさ」

ガチャ

唯「どうぞ~」

律「平沢さんのお家はそこですよってここを指すんだよ。当たり前だよな」

澪「あぁ・・・私たち二人勘違いしていたんだよ」

いちご「・・・おかえり」

律澪「「 ただいま 」」

和「ほら、タオル。頭拭いて」

梓「ありがとうございます」

律「まったく」ゴシゴシ

澪「いちごがここにいても不思議じゃないだろっ」ゴシゴシ

律「それはこっちの台詞でもあるんだぜー?」ゴシゴシ

澪「お互い止めなかったからこうなったんだ」ゴシゴシ

律「・・・うん」ゴシゴシ

憂「お茶持っていきますから、居間で座っていてください」

澪律「「 ありがと 」」

梓「・・・」

澪「・・・ふぅ」

律「・・・無駄に疲れた」

姫子「全部聞こえてたよ。仲いいね」

風子「羨ましいよね」

冬「・・・っ」プクク

律「なんでここにいんだよ」

姫子「憂と和に誘われただけだよ」

梓「冬は?」

冬「病院の帰りに風子さんと会って、風子さんと買い物してる時に憂と和さんといちごさんに会ったの」

澪「なるほどな」ゴシゴシ

梓「あれ、唯先輩とむぎせんぱいは?」

憂「二人ともお風呂入ってるよ」

梓「なんと・・・」

冬「あ、続きみていいかな?」

憂「あー・・・、今度にしよっか」

姫子「・・・」ニヤリ

風子「どうして?」

澪「映画・・・?」

律「邪魔したな。続き見ていいぞ」

憂「えー・・・っと・・・」

姫子「大丈夫、本人の承諾を得たから」

澪「?」

憂「あ・・・私、和さんとアイロンかけてきます」

スタスタ

澪「急いでどうしたんだろ・・・」

律「?」

冬「次は大阪でしたね」

姫子「そうだね~・・・名古屋までみたよね」

澪「もしかしてっ!待つんだ冬!」

冬「え?」

風子「再生~」

ピッ

 律『私は田井中律!』

 澪『秋山澪です』

 唯『平沢唯!』

 唯律『『放課後ティータイムです!』』

 梓『むぎ先輩がいないじゃないですか!』プンスカ

 澪『まぁまぁ』

澪「見られたぁ・・・」ヘナヘナ

冬「見てて楽しいですよ?」

澪「見てる分にはね・・・こっちは恥ずかしいんだ・・・」

姫子「梓・・・見られる?」

梓「・・・はい」

風子「よかった・・・」

冬「・・・あ、すいません・・・無神経でした」

梓「むぎせんぱいも見ることができると思う。だって、強い人だから」

姫子「・・・」

律「・・・」

澪「そうだな・・・」

梓(記憶の中のむぎせんぱいも、DVDに写る夏のむぎせんぱいも、今のむぎせんぱいも
  全部がむぎせんぱいなんだか)

――・・・

冬「楽しそうな旅でしたね」

姫子「うん。みんな活き活きしてた」

律「そう言われると照れるな」テレテレ

澪「・・・」カァァ

梓(やっぱり・・・心が痛い・・・)

いちご「・・・お待たせ」

律「なんだこれ」

いちご「さーたーあんだぎー」

澪「え?」

いちご「・・・さーたーあんだーぎー」

律「ごめんもう一度言って」

いちご「・・・・・・さーたあんだーぎー」

姫子「毎回発音が違うよね」

冬「・・・っ」プクク

いちご「コホン・・・さーたーあんだぎー」

風子「さぁたぁーあんだぁぎぃ」

いちご「・・・怒るよ?」

風子「バカにしてないよ!」

冬「ブフッ」

律「ドーナツ?」

いちご「うん。これを学園祭に出そうかと思って」

姫子「他にもカステラ、プリン、水あめ、・・・ベッコウ飴」

律「うわっ、懐かしい!」

澪「理科の実験で作ったよなりつ!」

律「あぁ作った!焦げたんだよな!」

澪「そうそう!」

梓「同窓会みたいですね」

唯「おや、楽しそうですな」ゴシゴシ

紬「・・・」ゴシゴシ

憂「梓ちゃん、お風呂どうぞ」

梓「いいの?」

和「風邪ひいたら学園祭に支障をきたすわよ」

梓「お言葉に甘えます」ササッ

風子「猫の如し・・・」

律「もぐもぐ・・・うめえ!」

憂「お茶用意しますね」

紬「・・・」スタスタ

憂「紬さんも座っててください」

紬「・・・」キリ

憂「それでは、お願します」ニコニコ

スタスタ

冬「おいしいですね」モグモグ

律「あぶらっこくないか?」

いちご「それがいいんだって」

律「ふーん・・・沖縄の料理って濃いのばっかりだな」モグモグ

唯「それがいいんだよ」モグモグ

澪「あ、冬に聞きたいんだけど・・・。『ガイアス』って知ってる?」

冬「知ってますよ。相馬さんの記事をアップロードした会社ですよね」

澪「あ、そう・・・さすがだ・・・」

さわ子「知ってたのね」

澪「ッ!?」ビクッ

唯「うまさんがどうしたって?」

冬「相馬です!」

唯「う、うん・・・」

律「さわちゃんどこから・・・」

さわ子「秘密よ」

和「秘密にされると平沢家が困りますよ」

未知子「玄関から・・・」

姫子「・・・未知子と多恵も?」

多恵「さわ子先生が来いって・・・」

さわ子「予定が無いならいいじゃない」

唯「万来万来~♪」

澪「記事を読んでどうだった?」

冬「いつも相馬さんの記事には心が踊らされます・・・。自分が旅をしているような気持ちになれるんですよ
  それが楽しくて、心が弾んで、読む度に新しい発見があって・・・。他の読者の心も掴んで」

律「スイッチ入ったとか・・・?」

姫子「入ったねぇ」

冬「文字の一つ一つが情景と変わるんです。それはもう目の前に鮮明に・・・。北海道の記事もそうでしたけど
  4年の月日が相馬さんを更に磨き上げたといいましょうか」

澪「・・・」

和「・・・」


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最終更新:2011年10月04日 23:34