唯「いちごちゃんが作ったの?」モグモグ

いちご「憂ちゃんと一緒に・・・」

姫子「梓から電話をもらって、いちごにメールしたら作ってみようって話になって」

律「いや、姫子は冬の話をちゃんと聞けよ」

姫子「これで3回目だからいいよ・・・」

律「あ、そう・・・」

冬「北海道の記事は自然がテーマでしたから自然の色が強かったんですが、今回は」

澪「『緑』と『風』・・・」

冬「そうです!澪先輩も読んだのですね!?」

澪「あ、いや・・・本人から聞い」フガッ

姫子「み、澪!」

冬「え・・・、あ・・・そうでしたね・・・本人と会ったと言っていましたよね・・・」

未知子「落ち込んじゃったね・・・」

さわ子「いちごちゃん、これのおかわりないの?」

いちご「はい。試食分だけ・・・」

唯「あずにゃんの分がなくなっちゃったよ・・・」

憂「お茶をどうぞ・・・。サーターアンダギー大人気だね」

澪「おいしかったよ」

憂「えへへ、ありがとうございます」

紬「・・・」

律「あ、むぎの分まで食べちった・・・」

いちご「また作るのも・・・ね」

冬「・・・」ズドーン

唯「みんな帰るの?」

姫子「?」

風子「どうしたの?」

唯「な、べ~♪」

律「いいな!」

風子「賛成~!」

冬「・・・姫子先輩」

姫子「この人数じゃ足りないからお鍋持ってきてもらおっか」スチャ

冬「はい!」パァァ

澪「・・・」

多恵「・・・」

未知子「どういう展開なのかな・・・」

さわ子「鍋やるんだって・・・。予定ないなら家に電話しておいてね」

憂「買出し行ってきますね」

さわ子「私も行くわ。車で行きましょ」

紬「・・・」コクリ

唯「どこの店?」

憂「駅前だよ」

唯「おっけ~♪」

和「・・・企んでるわね」

唯「えへへ、さすが和ちゃん」

和「すごい人数よ?今でも12人いるわ」

澪「・・・うわ」

唯「なんとかなるなる~」

冬「ナンクルナイサァーですよ」

唯「そうそうナックルアイアイサァー」

律「ぶっそうだぞ」

さわ子「行ってくるわね」

紬「・・・」ビシッ

冬「行ってらっしゃいませ」ビシッ

律「ノリいいのな」

姫子「テンションが上がったんだよ」

律「どうしてだよ?」

姫子「夏も呼んだから」

澪「冬、もう少し聞かせてくれるかな?」

冬「相馬さんの記事ですね!どんと任せてください」ドン

澪「う、うん・・・。『ニライカナイ』の記事についてなんだけど」

冬「!」

多恵「・・・?」

冬「・・・」

姫子「冬・・・?」

冬「・・・」

風子「どうしたの?」

冬「『ニライカナイ』は・・・死後の世界とも呼ばれているんです」

姫子「・・・!」

澪(しまった!)

律(冬が入院していた頃を思い出させていまった・・・)

和(夏とのすれ違いが生まれたあの時を・・・)

梓「それは先輩たちも知ってるから、説明は飛ばしていいよ」ゴシゴシ

冬「え・・・?」

梓「あれ、むぎせんぱいはどこですか?」

律「風呂からあがってすぐその台詞かよ」

澪「買出しにいったよ」

梓「買出しですか?」

唯「鍋するんだよぉ」

梓「そうですか・・・。『ニライカナイ』の話でしょ?聞かせて」ゴシゴシ

冬「・・・うん。その服・・・憂の?」

梓「う、うん・・・」

唯「かわいいよー!」ダキッ

梓「ちょっ!」

唯「あいにゃんだよ!うずにゃんでもいいよ!」スリスリ

梓「もぅ!離れてくださいっ!!」ググッ

唯「妹が二人だよ!」ムググ

和「暴走してるわね」

多恵「・・・お暇しようか」

未知子「そうだね。みんな明日ねー」

律「待ていっ」ガシッ

多恵未知子「「 っ! 」」

風子「こんなお祭り二度とないよ?」

多恵「お祭り・・・?」

未知子「・・・」

唯「ごゆっくりしていくといいよ~」

梓「いい加減にしてくださいっ!」

唯「よいではないか!」スリスリ

姫子「・・・それで『ニライカナイ』がどうしたって?」

律「そんな軽く聞くような話じゃないぞ!?」

冬「パートナーと旅を続けていたんです」

澪「パートナー・・・1人旅じゃなかったんだ・・・」

冬「北海道では・・・そうでしたけど・・・」

純「話の腰を折って悪いんだけど、北海道での『最高の一枚』を見た?」

冬「ううん・・・。見てないよ」

純「おかしいな・・・撮れたって言ってたのに」

風子「言ってたね」

律「スルーだかんな」

純「構いません。冬、話の続きを」

律(なんか腹立つな・・・)

冬「パートナーの方が悩んでいたんです。音楽を楽しめないと」

梓「!」

唯「それって・・・」

律澪「「 海琴・・・ 」」

冬「そうです・・・。上原海琴さん・・・。知っているんですね」

律「いや、少し会話しただけだ。旅の内容は知らない」

冬「・・・そうですか。相馬さんと旅をする事で学んでいくんです
  沖縄の魅力を・・・そして、沖縄の音楽に対する心を」

『音楽って・・・いいですよね』

梓「音楽の心・・・」

冬「そして気付くんです。音楽が好きだという自分の気持ちを」

唯「・・・」

いちご「それが・・・『ニライカナイ』とどう結びつくの?」

和「そうね、音楽と、死後の世界は繋がるようには思えないわ」

冬「はい。音楽の中にその場所、『ニライカナイ』を見たのではないでしょうか。相馬さんの視点でしたけど」

梓「記事にはそう書かれていたんだ」

冬「・・・うん」

梓「ルポライターが聞いて呆れますね」

姫子「あ、梓・・・」

律「梓!」

唯「あずにゃん・・・」

冬「海琴さんが得た力なんだから、それは相馬さんが書ける訳無いでしょ」

梓「そうかな・・・。パートナーだったら同じ景色をみて当然だと思うけど」

純(また始まった・・・)

姫子「・・・」

冬「海琴さんと相馬さんは別人なんだから、全てを代筆する事なんてできないよ」

梓「私は気持ちを共有できる。旅を通して人と繋がる事の大切さを知っているから
  代弁できる。表現は難しいけど不可能じゃない」

冬「不可能じゃない・・・?それは思いあがりだよ、梓」

『怖いのが分かるって?それは思いあがりだよ梓』

梓「!」

冬「人と人は一つじゃない。一緒に生まれた双子でも不可能だよ」

梓「っ!」

冬「海琴さんと相馬さんは・・・行き着くところ他人なんだから代筆できないのが当たり前なんだよ」

梓「・・・」

冬「人の心なんて読めないのが普通なの・・・。共有はできても、決して同じではないの」

梓「・・・ッ!」

冬「だから、人と人は出会えるの・・・。出会った人が自分と同じじゃ・・・つまらないよ」

梓「・・・」

冬「上原海琴さんは、色褪せていた沖縄の景色を相馬さんと同じ視点に立つことで
  色を取り戻していったの。相馬さんが海琴さんの景色に気がつけなかったら
  『ニライカナイ』を見つけることは不可能だったんだよ」

梓「・・・」

冬「大事なのは自分の真実を見失わないこと」

梓「―――ッ!」

冬「相手の景色が自分と同じだと思い込むのは危険だよ。そう、上原海琴さんは教えてくれた」

姫子「ほら、熱くなりすぎ・・・。少し冷まそうよ」

冬「・・・あっ!」

梓「外出てきます・・・」トボトボ

冬「わ、私ってば・・・」オロオロ

澪「・・・」

律「・・・」

唯「・・・」

テッテッテ

冬「す、すいません・・・」

律「それはソーマが悪く言われたから?」

冬「はい。・・・でも、それだけではないと思います・・・」

姫子「夏と関係してるんだよね」

冬「・・・・・・はい」

ザァーーー

梓「・・・唯先輩・・・私は・・・見えるモノを見えなくしているんでしょうか」

唯「・・・」

梓「むぎせんぱいの気持ちが知ることが出来たと浮かれていたんです・・・」

唯「うーん・・・」

梓「冬と夏の間にある溝を見ていたのに・・・。あの二人に諭そうとしていたんです・・・」

唯「そっか・・・」

梓「これでは隣を歩けない・・・」

唯「そうかな?」

梓「・・・」

唯「それは悪いことじゃないと思うよ」

梓「1人で彷徨っているのにですか?」

唯「うん。だって・・・人を想う事に悪い事なんてないよ」

梓「!」

唯「冬ちゃんはそれを教えてくれたんだよ」

梓「・・・・・・・・・遠いなぁ」

唯「・・・」

梓「でもっ、諦めません!」

唯「私も!」

ザァーーー

夏「・・・二人でなにしてんの?」

梓「別に・・・」

唯「おぉ、ウェルカム!」

夏「お鍋もって来ました~!」

――・・・ 

グツグツ

律「いただきまーす!」

信代「いただきます!」

英子「いただきます」

エリ「いただきまーす!」

「「 いただきまーす!! 」」

夏香「人多いねぇ・・・」モグモグ

夏「お姉さんは!?」

夏香「仕事中」

夏「がっかり」

美冬「唯ちゃんのお家はじめて来た・・・」

冬「そうなんですか、私もです」キラキラ

美冬「・・・?」

春子「シーズン同士仲良くしようか」

律「なんでいんだよ」

春子「いいじゃん、食材持ってきたでしょ」

姫子「・・・野菜が少ないね」

アカネ「ほら、もやし」

さわ子「ちゃんと買ってきてあるわよ・・・もやし」

潮「緑黄色揃えないとね、もやしでしょ」

ちか「あと、もやしとか」

慶子「それともやし」

三花「ほらほら、もやし」

律「誰の入れ知恵だよ」ジー

潮「・・・」シラー

夏「もぐもぐ・・・おいし~」

冬「・・・」チラッ

梓「あっちはもやし鍋でいいですね。こっちは普通の鍋でいきましょう」

紬「・・・」チラッ

梓「もやし鍋がいいんですか!?」

紬「・・・」コクリ

澪「・・・斬新な鍋だ」

和「ここは石狩鍋で行きましょ」

信代「味付けバラバラで準備するの大変だったんじゃない?」

憂「そんなに大変でもないですよ」ニコニコ

唯「鮭、大根、ニンジン、しいたけどかして、豆腐」ヒョイヒィ

和「唯、終わったらおたま貸してくれる?」

唯「はいよ~。どうぞ」

和「しいたけがかわいそうよ」ヒョイ

唯「なんとっ!」

玉恵「スパルタだね・・・」

和「未知子もよけたわよね。じゃがいも」ヒョイ

未知子「・・・はい」

英子「鍋奉行なのかな?」

夏香「お母さんなんだよ」

姫子「・・・保護者かぁ」

夏「もぐもぐ」

冬「・・・」チラッ

梓「うわっ、本当にもやし鍋になってる!」

さわ子「どうするのよ、このもやしだけの鍋」

律「悪ノリするからだろ!」

ちか「・・・せめて豚肉と人参と豆腐と」

潮「真心の半分があれば・・・」

律「責任を取らせるべきだと私は思うんだ」

エリ「異議なし」



美冬「こっちはチゲね・・・ナイスチョイス」グッ

いちご「・・・ありがと」

純「こっちは真面目に食べましょうね」

春子「まて、それはなんだ」

純「鮭ですけど・・・」

いちご「・・・」

夏香「却下!」

純「返してきます」

スタスタ

春子「慶子ー、こっち座ってー!」

慶子「・・・いいの?あっちはもやしオンリー鍋だから助かるけど」

いちご「・・・座っていいよ」

純「あぁ・・・ひどいっ、せっかく豚肉ももらってきたのにぃ」

アカネ「・・・」モグモグ

風子「それはトウモロコシかな?」

純「・・・はい」

美冬「鍋はいいね、冬の醍醐味だよ」

春子「まだ秋だけどな。慶子、この白菜おいしいよ」

慶子「もぐもぐ・・・うん、おいしい」

純「お邪魔します」

律「わざわざもやし食べに来たのかよ」

純「お土産です。豚肉とトウモロコシ」

さわ子「トウモロコシは石狩へ返しなさい」

ちか「・・・もやし飽きたよー」

夏「もぐもぐ・・・そうですね」

姫子「・・・」

冬「・・・」チラッ

梓「むぎせんぱい・・・」

紬「・・・」ヒョイ

エリ「わざわざもやしだけを・・・」

紬「・・・」シャクシャク

梓「私も食べてみます・・・」ヒョイ

紬「・・・」パァァ

澪「・・・隠し味が効いてるとか?」

三花「そんなはずは・・・」

梓「ないです。普通のもやしの味がします」シャクシャク

潮「シャキシャキしてて歯ごたえあるけど、もやしだよね」

さわ子「なんなのよこの苦行は・・・」

姫子「・・・誰も得しないし、乗り越えてどうするのって話だよね」

夏「ですよね」シャクシャク

冬「・・・」チラッ

梓「乗り越える必要ないですよ、さっさと他の食材を追加するです」

紬「・・・」コクリ

律「むぎも折れるの早かったな」

夏「・・・」

憂「和さん・・・気になることが・・・」ヒソヒソ

和「どうしたの?」

憂「冬ちゃんが一口も手をつけていないんですけど・・・
  私たちが買い出しに行っている間になにかありました?」

和「たいした事じゃないわ。梓とケンカをしただけ」

憂「冬ちゃんが・・・・・・」

唯「・・・」モグモグ



姫子「夏、ちょっとこっちにきて」

夏「・・・なんですか?」

純「・・・」

姫子「・・・冬はどうして手をつけないのかな?」

夏「どうしてそれを私に聞くんですか?」

姫子「知ってるでしょ」


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最終更新:2011年10月04日 23:35