澪「2年生は学園祭楽しめそうかな?」

夏「はい!楽しませてやります!」ドン

紬「・・・」キリ

澪「そうか・・・。なら安心だな」

夏(気付いていたのかな・・・)

紬「・・・」スッ

夏「いただきまーす」モグモグ

澪「・・・」

紬「・・・」

夏「おいしいですね~。梓は毎日こんなおいしいおやつを食べているんだ、ずるい」

澪「ふふっ」

紬「・・・」ニコニコ

夏「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

夏「・・・?」

澪「紅茶が温かいから隠れていると思ったんだけどな」

紬「・・・」ププップップー

澪「そう、楽器と鞄もないから帰ったんだ・・・」

夏「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

夏(話すの待っててくれているのかな・・・)

紬「・・・」プップップー

澪「昨日いちごが作ったヤツ?」

紬「・・・」コクリ

夏「沖縄の料理でしたよね?」

澪「うん。おいしかったよ、むぎ」

紬「・・・」コクリ

澪「これから練習で何度も作るから、その時食べればいいよ」

紬「・・・」ニコニコ

夏「沖縄・・・・・・」

澪「行った事ある?」

夏「ないです。遠方なら北海道に親戚はいますけど」

紬「・・・」コクコク

澪「北海道か・・・。駄菓子として料理できる一品とかないかな?」

夏「そうですねぇ・・・。じゃがいもを使ったお菓子とか乳製品を主とした品が多いような」

紬「・・・」ププッププップー

澪「ポテチ・・・は、うーん・・・駄菓子として認められるのかどうか判断に困るな・・・」

夏「素材を活かした料理が多いような気がします。現地で作るからおいしいっていうか」

澪「そうか・・・。それだとここで手に入る材料では難しいな」

紬「・・・」

夏「すいません・・・。独特な料理を知っていればよかったんですけど」

澪「ううん。駄菓子とは言っても、おやつ感覚だからな。料理としてみると難しくなる」

紬「・・・」コクリ

夏「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」プップップー

澪「・・・『約束』?」

夏「!」

紬「・・・」ププップップー

澪「誰との約束?ってさ」

夏「・・・」

紬「・・・」フンスフンス!

澪「落ち着けむぎ・・・」

夏「小学校に上がる前、私たち二人・・・私と冬ねぇは北海道の親戚に預かってもらった事があるんです」

澪(冬ねぇ・・・。そう呼ぶの初めて聞いたな・・・)

紬「・・・」コクリ

夏「うちの両親は商社関連の仕事をしていて、家を空けていることが多かったんです
  ある事が起きてからは、母さんは仕事を辞めましたけど」

紬「・・・」

澪(ある事・・・か・・・)

夏「それで長期間両親が留守になるから、と北海道へ預けられたんですね」

紬「・・・」コクリ

夏「何日か過ぎて私が駄々をこねたんです。『お母さんとお父さんに会いたい』って泣きじゃくって」

澪「・・・」

夏「そしたら冬ねぇが『夕陽を見に行こう』って、手を引っ張ってくれて」

紬「・・・」ニコニコ

夏「・・・その夕陽がとっても綺麗で・・・。寂しい気持ちなんて飛んでいったんです
  握ってくれる手の暖かさと、夕陽の暖かさが私を満たしてくれて」

澪「・・・」

夏「冬ねぇがその時言ったんです。『また、見に来ようね』って」

紬「・・・」

澪「それが『約束』・・・」

夏「はい。・・・でも、私たち間が抜けてて・・・。その『約束の場所』を覚えていないんです」

紬「・・・」

夏「冬の体力の事もあって、・・・探しに行く事すらできませんけど」

澪(戻った・・・。無意識なのか・・・)

紬「・・・」

夏「あの日の約束を・・・私は・・・」

紬「・・・」プップッププー

夏「?」

澪「諦めたら見つけられない。・・・ってさ」

夏「!」

澪「・・・そうだな。探さないと見つからないよな」

紬「・・・」コクリ

夏「ふふっ」

澪紬「「 ? 」」

夏「あ、ご、ごめんなさい・・・。冬ねぇと同じ事言ったんでつい・・・」

澪「そうか・・・」

紬「・・・」ニコニコ

夏「私が食べたアイスの当たり棒を失くしてしまったんですよ。
  明日交換しに行こうと思って置いておいたそれを」

紬「・・・」ニコニコ

夏「秋の終わりごろだったんで、私は適当に探していたんですけど、冬ねぇが
  『諦めたら、見つからないよ』って・・・的外れな励ましをくれたんですよ」

澪「ふふっ」

夏「結局見つからなくて・・・。次の日・・・わざわざ買ってきてくれたんです
  『見つけられなくてごめんね』って・・・」

紬「・・・」

夏「実はその時、少し悔しかったんです」

澪「?」

夏「当たりが出たとき『冬ねぇにあげよう』って思っていたのに・・・。
  失くして、『まぁ、いっか』って思った自分に」

澪「・・・」

夏「いっつも私の先にいる冬ねぇに・・・」

紬「・・・」ププッププッー

澪「暖かな記憶・・・」

夏「・・・・・・はい」

紬「・・・」ニコニコ



―――――玄関


夏「不思議な人ですねー。私の想い出話を楽しそうに聞いてくれて」

澪「・・・そうだな」

夏「ついつい喋ってしまうんですよねー」

澪「うん」

夏「梓が懐くわけですよ」

澪「・・・」

夏「お昼にも一緒に遊んで」

澪「なにかあった?」

夏「ないですよ」

澪「・・・そっか」

夏「・・・」

澪「やけに、むぎの事を喋るから」

夏「・・・」

澪「なんでもない。気にしないでくれ」

夏「・・・・・・少し・・・嫌な事があって」

澪「そうか・・・」

夏「・・・」

タッタッタ

紬「・・・」プップププー

澪「歩きながら吹くと危ないぞ」

紬「・・・」ププップー

夏「・・・」

紬「・・・」ガサゴソ

澪「夏・・・」

夏「はい」

澪「一緒に居ないと知らない事、見えないことが増えるんだ。
  失って気付く事もあるけど、な・・・」

夏(分かったんだ・・・)

紬「?」

澪「なんでもない。行こう」

夏「・・・」



―――――河川敷・橋の上


澪「水切りしてるのか」

夏「・・・」

紬「・・・」

澪「・・・」

夏「梓に気付かれた・・・。どうして分かったんだろ」

紬「・・・」フリフリ

澪「私たちも降りよう」

紬「・・・」コクリ

夏「私はここで失礼します。・・・では、明日」

澪「・・・」

紬「・・・」

夏(・・・部室で先輩たちは別れの挨拶してなかったから、違和感を感じたんだ)

スタスタ

冬「えいっ」シュッ

チョン チョン ポチャ

冬「・・・」

律「まだまだ修行が足りんようじゃのう」

風子「どうぞ」

律「うむ・・・。って、これでやんの?」

風子「はい」

律「ごつごつしてて・・・不向きかなぁって・・・」

風子「修行は伊達じゃなかったと、私どもにお見せ下さい」

律「う、うむ」

冬「・・・」

律「おりゃっ!」シュッ

ポチャン

風子「見て見て、これ綺麗な石だよ」

冬「は、はい」

律「水切れるわけないだろー!」

風子「耳に当てると潮騒が・・・」

律「聞こえるわけないだろ!」

風子「しずかに・・・」ウットリ

冬「え・・・?」

律「そ、そんなわけないだろ・・・」

風子「耳に当ててみて」

律「ま、マジかよ・・・」ゴクリ

シーン

律「・・・・・・聞こえないぞ・・・?」

風子「そこの石の裏にカニいそうだよね」

冬「ふ、風子先輩・・・」

律「悪かったからさぁ・・・冬をいじめたの謝るからさぁ・・・」シクシク

紬「・・・」シュッ

チョン チョン チョン チョン チョン チョン コロコロ

律「向こう岸まで渡りやがった・・・」

紬「・・・」フンス

風子冬「「 すごい・・・ 」」

唯「おぉ」

憂いちご「「 すごい 」」

澪「な、なんだ今の・・・」

英子「・・・奇蹟とか」

唯「川を渡った小石さん」

憂「澪さんと紬さんはどうしてここへ・・・?」

澪「むぎと夕陽を見に・・・ね。みんなは?」

憂「のんびりしてました」

英子「部室で少しお話して、ここへ来たの」

澪「・・・そっか」

唯「帰るのもったいなくて」エヘヘ

いちご「・・・」

律「何気に風子ひでえな・・・」

澪「どうせ冬をからかっていたんだろ」

律「そうですとも。・・・って梓は?」

澪「夏を追いかけて行った」

律「・・・それ、何かの歌詞みたいだな」

いちご「・・・」

夏「ん?梓か・・・」

梓「・・・」

夏「どうした?」

梓「それが『夏』なの?」

夏「・・・ん?」

梓「遊園地で話を聞いてから、・・・夏がハッキリ見えてきたような気がする」

夏「言ってる事が分からないんだけど???」

梓「『夏』の中に『冬』を見ているような時があって」

夏「・・・」

梓「・・・」

夏「な、なにそれ・・・」

梓「自分でもよく分かってないから、説明・・・しづらい・・・」

夏「へ、変な事言うなよな・・・。びっくりするだろ・・・」

梓「その口調とか・・・」

夏「・・・」

梓「・・・・・・」

夏「姫子先輩から聞いたの?」

梓「?」

夏「・・・この髪の毛の話・・・とか」

梓「???」

夏「知らないのか・・・。・・・梓って変なヤツだよね」

梓「・・・初めて言われた・・・。どうして?」

夏「見抜かれた感じがしたからさ・・・。私たちの事って何も聞いてないの?」

梓「・・・うん」

夏(入院の事聞いていたとしたら、夏香先輩のお姉さんくらい・・・かな)

梓「夏と冬の事・・・でしょ?」

夏「あのさ・・・実は・・・わた・・・俺・・・」

梓「俺!?」

夏「・・・うん。俺この顔だろ?だから、よく女に間違えられてさ」

梓「!!!」

夏「実は・・・」

梓「・・・っ!」

夏「ブフッ」

梓「・・・」

夏「くだらない話は置いといて、・・・入院していた頃の話も聞いていないんだ?」

梓「・・・からかっておいて、話続けないでくれる?」

夏「顔真っ赤にしてたから、やめたんだけど?」

梓「人をおちょくっておいて偉そうにしないで」

夏「あっはっは!梓おもしろーい!」

梓「・・・で?」


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最終更新:2011年10月04日 23:44