律「両手包帯って・・・!」

紬「・・・」フリフリ

梓「大丈夫ですよ。特に異常も無いとの事です。私がお願いしたんです。念のために」

唯「そっかー」ホッ

律「よかったー」ホッ

澪「不幸中の幸いだな・・・。夏も・・・怪我はないみたいだ・・・」

梓「・・・」

夏「・・・」

冬「お母さんは先に帰ってて、行く所があるから」

母「?」

姫子「二人を心配している人たちがいますので・・・」

夏「・・・手・・・・・・はな・・・して・・・・・・」

冬「・・・」フルフル

姫子「ちゃんと掴まえててね」

ギュ

冬「はい」

夏「・・・歩きにくい・・・から・・・」

冬「・・・」

姫子「歩調が遅いんだよ。それではむぎ達を待たせてしまうでしょ」

夏「待たなくて・・・いい・・・」

姫子「・・・」

夏「置いていってください・・・」

冬「梓が言ってくれた事、少しも理解してないんだね、夏は」

夏「!」

姫子「・・・」

唯「おーい!夕陽が沈んじゃうよー」

律「・・・」

澪「・・・」

夏香「・・・」

梓「・・・」

テッテッテ

紬「・・・」

夏「・・・?」

紬「・・・」スッ

夏「包帯・・・巻いているから・・・握れません・・・」

紬「・・・」ションボリ

姫子「代わりに私が」

ギュ

夏「!」

紬「・・・」コクリ

冬「ほらっ、行くよ」グイッ

姫子「行くよ」グイッ

夏「~っ!」



―――――河川敷


風子「なっちゃん、二人は・・・むぎさんの・・・手・・・!」

夏香「大丈夫って姉さんが言ってたから・・・。あれは念のためだよ」

風子「ほ、本当に・・・?」

夏香「うん。安心させる為の嘘じゃないからね」

英子「そうなんだ・・・。よかった・・・」

夏香「先にみんなに知らせておくよ、ビックリするだろうから」

英子「そうだね・・・」

風子「・・・」

夏香「ふぅは・・・風子は一緒にいてあげて」

風子「・・・うん」

夏「みなさんに・・・心配を・・・」

姫子「そうだね、心配かけてしまったから・・・後で謝ろうか」

冬「はい。行こう、なつ・・・」グイッ

グッ

夏「・・・」

冬「?」

夏「あたしが・・・どうして・・・冬ねぇを避けていたか・・・気付いてる・・・?」

冬「・・・ううん。知らない」

夏「・・・」

梓「・・・」

冬「ごめん・・・ね」

夏「・・・!」ズキッ

紬「・・・」

冬「気付いてあげられなくて・・・」

夏「だから・・・なんで・・・謝るの・・・っ!」

冬「え・・・?」

夏「あたしが奪ってきたじゃん!生まれる前から!あたしの分まで冬ねぇに負担かけてるんだよ!?」

冬「・・・」

夏「もう・・・っ・・・奪うのはいや・・・っ・・・」

冬「・・・」

夏「冬ねぇにばっかり嫌な思いを・・・冬ねぇだけ辛い思いを・・・冬ねぇ・・・に・・・あたしは・・・!」

冬「久しぶりだね・・・そう呼んでくれるの・・・」

夏「・・・!」

冬「私が入院してから呼んでくれなくなったよね・・・」

夏「・・・・・・うん」

冬「奪ってないよ。与えてくれたんだよ・・・『最高の場所』を」

梓「!」

姫子(それ・・・)

夏「『最高の場所』・・・?」

冬「うん。その場所があれば、人は強く生きていける」

夏「・・・」

冬「それを見つけたのは・・・『あの時』」

夏「ッ!」

紬「・・・!」

姫子(・・・命を繋いだ時)

夏「・・・っ・・・・・・ッ・・・!」

冬「なつ!?」

紬「!」

風子「夏ちゃん!?」

夏「だっ・・・だい・・・じょう・・・ぶっ!」

姫子「なにこの震え方・・・っ!」

冬「ひどい汗だよっ!?」

夏「・・・っ・・・っ!」

ギュ

梓「だいじょうぶ・・・。ちゃんといるから。むぎせんぱいと、姫子先輩とふぅ先輩とここにいるから」

紬「・・・」コクリ

風子「・・・うん」

姫子「うん」

夏「・・・っ・・・」

梓「ちゃんと冬の手を握ってて」

夏「う・・・っ・・・うんっ」

ギュウ

梓「ちゃんと私たちの中にいるよ・・・冬は」

冬「!」

夏「うん・・・・っ・・・」ボロボロ

冬「『あの時』ね・・・」

夏「・・・っ」ズキィッ

ギュウ

冬「真っ暗で、とても寒くて、とても寂しいんだけど、なぜか居心地のいい所にいたの」

夏「・・・ッ」ズキィッ

冬「このままそこに居てもいいと思っていたの」

夏「―ッ!」ズキィッ

冬「でもね、一箇所だけ・・・違った・・・」

夏「ぇ・・・?」

冬「ほんの小さな・・・暖かい場所があった・・・」

夏「・・・」

冬「その場所へ引き寄せられるように辿り着くとね・・・。声が聞こえるの・・・」

夏「・・・」

冬「『ふゆ』って私の名を呼ぶ声が・・・」

夏「ッ!」

冬「目を開けると・・・夏が手を握っていてくれたの」

夏「―ッ!」

冬「そこが私の『最高の場所』・・・」

夏「ぅ・・・」ボロボロ

冬「今の私がこの場所に居られるのは・・・夏が『最高の場所』をくれたからなんだよ」

夏「・・・ッ」ボロボロ

冬「だから・・・夏は私にとって大切な場所」

夏「・・・・・・うん」ボロボロ

冬「・・・っ」

夏「あたし・・・っ・・・冬ねぇに・・・なれたら・・・ってずっと思ってた」グスッ

冬「・・・」

夏「あたしが・・・全部持っていけばいいって・・・思ってた・・・!」グスッ

冬「・・・っ」

夏「でも・・・無理だ・・・っ・・・冬ねぇ・・・に勝てないっ」グスッ

冬「・・・」

夏「あたしは・・・妹でいい・・・っ・・・!」

冬「うん。私も姉がいい・・・」

夏「あり・・・がと・・・・・」

ギュウ

冬「ううん・・・。ありがとうは・・・私だよ・・・なつ・・・」

梓「・・・」

姫子「・・・っ」

風子「・・・ッ」グスッ

紬「・・・」

律「メール送っただろ?」

信代「まぁ・・・ねぇ・・・。でも心配するでしょ?」

唯「そうだよね~」

和「びっくりしたわよ・・・。でも何事も無くてよかったわ」

澪「・・・うん」

ちか「みんな心配して、作業に手がつかなかったんだよ」

憂「はい。私たちも・・・ね」

由記「・・・うん」

三花「・・・ここ、よく来るの?」

純「はい、のんびりするには最適な場所なんですよ」

未知子「確かに、川のせせらぎ・・・太陽の傾き・・・どれもいい感じだね」

風子「・・・っ」グスッ

夏香「変わらないね、ふぅは」ナデナデ

風子「嬉しいっ・・・」ボロボロ

英子「・・・うん」

風子「・・・ちゃんと・・・っ・・・繋がった」ボロボロ

夏香「・・・」ナデナデ

風子「うれしいっ」ボロボロ

英子「うん。嬉しいね」

いちご「・・・」

春子「・・・いちごが背中を押したお陰なんじゃないのかな」

いちご「・・・さぁ。それは分からないよ」

春子「本人に聞くわけにもいかないよねぇ」

・・・・・・

・・・

唯「姫ちゃん!夏ちゃんがっ!」

姫子「?」

唯「病院へ!」

憂「え・・・?」

文恵「なにがあったの・・・?」

唯「脚立から落ちて気を失ったんだよ!むぎちゃんも一緒に!」

姫子「!」

律「行くぞ姫子!」

唯「さわちゃんと向かうから一緒に行こうよ!」

姫子「・・・」

いちご「・・・行ってきて」

姫子「・・・」

いちご「後はやっとくから」

姫子「・・・うん」

タッタッタ

いちご「・・・」

・・・

・・・・・・

姫子「よいしょ」スト

いちご「・・・」

姫子「河川敷か・・・。いい場所だね」

いちご「・・・」

姫子「私が出来ることなんてほんの些細な事なんだけどさ・・・」

春子「・・・」

姫子「それでも、そんな些細な事ができる事に気付けた事が嬉しいよ」

いちご「・・・そう」

姫子「・・・うん」

いちご「・・・」

姫子「・・・私が出来ることなんてさ、ほんっとうに小さくて、それに気付く人なんているのかなってくらい」

いちご「・・・」

姫子「ちっぽけだった・・・。むぎとは正反対で」

いちご「・・・」

姫子「それでもいいやって思えた。たくさん教えてもらおうって、吸収していこうって」

いちご「・・・」

姫子「そして、少しずつかえして行こうって」

いちご「・・・そう」

姫子「そう・・・」

いちご「・・・」

姫子「私がさ、迷っていたらまた・・・声かけてよ」

いちご「・・・?」

姫子「いちごの意見を聞きたいから」

いちご「・・・私が間違っていたら・・・余計に迷うよ」

姫子「その時は一緒に迷ってくれると助かる・・・かな」

いちご「・・・なにそれ」

姫子「・・・そうしてくれたら・・・確実に残るから」

いちご「・・・」

姫子「先の事なんて分からないから・・・『さようなら』も言えないで、いちごと別れる時が来るかもしれない」

いちご「・・・!」

姫子「でも、今この時は残る。二人でこんな風に話した時が」

いちご「・・・」



・・・・・・



律「どうした?」

梓「・・・」

律「唯から聞いた・・・。その時の状況をさ」

梓「・・・私も聞いてましたから」

律「傍にいれば、防げたかもしれない・・・か?」

梓「はい・・・」

律「・・・」

梓(夏に注意もできなくて・・・周りに助けを求める事もできなくて・・・
  ただ支えている事しか・・・って、思いつめているのかな・・・むぎせんぱい)

律「・・・」

梓「声をかけられないです・・・」

律(落ち込んでるってレベルじゃないもんな・・・)

梓「・・・」



・・・・・・



紬「・・・」

夏「あ、あの・・・」

紬「・・・?」

夏「す、すいませんでした」ペコリ

紬「・・・」ニコ

冬「・・・」

夏「・・・」

紬「・・・」

冬「そうじゃないよ」

夏「あ、うん・・・」

紬「?」

冬夏「「 ありがとうございました 」」

紬「・・・」フリフリ

冬「いいえ!夏の恩人です!」

夏「ぜひお礼を!」

紬「・・・」アセアセ

冬「その手ではなにかと不自由だと思いますので、メイドなりなんなりやります!」

夏「はい!・・・ん?」

唯「おぉ、それはいいね!」

紬「・・・」アセアセ

冬「困ってる事ありませんか!?」

唯「私も手伝うよ!」



・・・・・・



律「困らせてんだけどなー」

梓「その手があった!」ダッ

タッタッタ

律「はは・・・」

澪「モテるなむぎは」

律「でも、あの押しの強さは救われたな」

澪「・・・うん」



・・・・・・



姫子「ミッシングリンクを作りたくないからね」

いちご「・・・?」

姫子「・・・思い出を失って、その先に居る自分は納得できるのかなって」

いちご「・・・分かりづらい」

和「失われた環・・・。連続性の中にある非連続性・・・。言いたい事は分かるけど」

姫子「う・・・」



・・・・・・



アキヨ「・・・それじゃ」スッ

信代「どこへ行くの?」

アキヨ「・・・帰る」

潮「ちょいまちっ!」クイッ

アキヨ「?」

信代「昨日の夜、律からメール来てさ」

ちか「これから何かするんだ!?」

信代「そういう事」

美冬「付き合おうかな」

三花「定員数決まってるのかな?」

春子「大丈夫だよ」

潮「もうちょっと増えても平気じゃない?」

春子「うん。平気平気~」

慶子「あはは、大変だね春子も」

春子「空いてたからいいんだけどね」

圭子「増えてもいいの?」

春子「呼んじゃって」

圭子「ありがとー」ピッピッピ

未知子「ところでなにを・・・?」

春子「まだ決めてないみたいよ。主催者はその場のノリで決めちゃうから」

多恵「・・・もしかして」

アカネ「多分合ってると思うよ」

エリ「なにをするか予想ついてるの?」

アカネ「・・・うん」

つかさ「姫子さんも?」

春子「うん。間違いなく行くと思うよ」

愛「なにがあるのか知らないけど・・・」

俊美「行きたい・・・!」

ますみ「・・・うん」


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最終更新:2011年10月05日 20:11