・・・・・・



姉「姫子さんがフクロウのストラップを大事に持っている、とか」

夏「なんで知っているんですか!?」

姫子「こっちの台詞なんだけど、夏がどうして知ってるの?」

夏「し、知りません!」

姫子「意味が分からないよ・・・?」

姉「あはは、ごめんねー。実はさっき病院でストラップを拝見したのよ」

姫子「あぁ・・・。あの時」

姉「そう。律ちゃんはヤタガラス」

律「ん?・・・あぁ、これな」フリフリ

姉「澪ちゃんはそれ」

澪「はい。玄武です」

純「和先輩と狛犬を交代したんですか?」

澪「うん。私は北だ・・・」

姉「唯ちゃんが南の朱雀」

唯「もぐもぐ」コクリ

冬「なるほど・・・。守護神?がりですね」

姉「正解。さっすが冬ちゃん」

夏香夏「「 うん・・・? 」」

冬「アイヌ民族の信仰でフクロウは村を守る神様とされているの」

夏香夏「「 なるほど 」」

律「いつの間に買ったんだよ?」

姫子「一ヶ月前くらいかなぁ・・・」

夏「嘘です!先月までは持っていませんでしたから!」

姫子「う・・・」

風子「私もね、買ったんだよ。ほら」フリフリ

澪「風神・・・」

純「雷神様は居られるのでしょうか・・・?」

英子「・・・」

風子「どうして見せないの?」

英子「・・・ちょっと・・・派手だから・・・その・・・」

風子「は、外したんだ・・・」ガーン

英子「着けてはいるけど・・・」

律「で、いつ買ったんだよ?」

姫子「4日に・・・」

律「嘘つく必要あんのかよ・・・」

澪(紙鍵盤を渡した日・・・かな・・・)

冬「みなさんとおそろいですね」

夏「ブフッ」

姫子「っ!」ビシッ ビシッ

冬夏「「 いたっ! 」」

律「冬に手をあげたら後が怖いぞ姫子」

風子「姫ちゃんはいいの」

律「そうか、私はダメなんだ」

姉「ふふ。・・・あれ、風神雷神って悪神じゃなかったかな?」

風子「仏教では千手観音の守り神とされているよ。立派な善神だよお姉ちゃん」

澪(お姉ちゃん・・・?)

英子「・・・」

姉「ふーん。・・・神様を守る神様かぁ」

純「千の手があるんだから自分で守れますよね~」プクク

律「・・・」

シーン

純「あれ、空気が止まった?」

律「そのうち天罰が下るであろう」

冬「千の手で受け止めるんです。純ちゃんの青龍も守ってくれるから大丈夫」

律「なにを受け止めるんだよ・・・」

冬「悪い事すべて・・・です・・・」

純「あ、ありがと・・・楽になった・・・」

律「ははっ・・・」

風子「あ、ヤタガラスが飛んでいった」

律「見捨てないでくださいっ!」



・・・・・・



和「そういうこと・・・ね」

ちか「姫子さんがきっかけを与えたのなら、それが冬ちゃんと夏ちゃんを繋げたことになるんじゃ・・・?」

いちご「・・・ちがう。姫自身はそう思っていない」

未知子「・・・結果的に繋がったから・・・それで・・・良し。じゃない・・・の?」

いちご「姫は繋げたがっていた。けど、それができなくて・・・らしくなかった」

和「いちごはどこまで見ているの?」

ちか「どこまでって?」

いちご「・・・その奥」

ますみ「カレー鍋を囲んでいる・・・」

俊美「紬さんたち・・・?」

いちご「梓・・・と、むぎ」

和「なるほど」

未知子「・・・」

ちか「・・・どういうこと?」

いちご「・・・」

和「私が学んだことを教えるわね、いちご」

いちご「・・・」

和「言葉に出す事」

いちご「!」

和「そうする事で、自分の思っている事を自分と相手で確認できる。旅で出会った人たちはそうしていたわ」

いちご「・・・っ」

和「そうする事で、たくさんの景色をみることができたのよ」

いちご「・・・っ!」

未知子「私たちでは役不足かな・・・」

いちご「ち、ちがう・・・そうじゃ・・・ない・・・」

和「本人を呼ぶわよ?」

いちご「・・・・・・・・・うん」

冬「姫子先輩、呼んでますよ」

姫子「?」

律「ほら、襖の隙間から・・・『おいで、おいで』と白い手が手招きを」

澪「っ!」ゴスッ

律「いたぁ!」

唯「ふすまなんて無いよ」

夏「和先輩が・・・」

姫子「うん、分かった」スッ

スタスタ

唯「私も和ちゃんたちと鍋を囲んでこよー」スッ

テッテッテ

姉「あっち側、少し空気が違うけど・・・大丈夫なのかな」

律「いつつ・・・唯が行ったから大丈夫じゃないかな」

澪「・・・・・・うん」

和「どうして唯まで来るのよ」

唯「ひどいよっ」ガーン

和「真面目な話なのよ?」

唯「尚更ひどいよっ!」ガガーン

姫子「真面目な話って・・・?」

いちご「・・・」

未知子「姫子さん・・・。冬ちゃんと夏ちゃんを―」

和「待って、未知子・・・。今まで代弁してくれていたんでしょうけど、ここからはちゃんと、ね」

未知子「う、うん」

美冬(未知子さんがやけに突っかかると思ったら・・・いちごさんの代弁していたんだ・・・)

いちご「・・・」

姫子「・・・どうしたの・・・?」

いちご「冬と夏を・・・繋いだのは・・・梓・・・」

姫子「!」

いちご「梓の隣にいたのは・・・むぎ・・・。姫子は・・・近くにいて遠い場所に居た。・・・これが・・・事実」

未知子「そ、そんな言い方って・・・!」

唯「・・・」

姫子「・・・うん。事実・・・だね・・・」

いちご「これで・・・よかったの・・・?」

姫子「もちろん」

いちご「っ!」

姫子「もう・・・。鍋を囲んでする話じゃないでしょ」

唯「そうだよ」

和「・・・確かに、そうね」

未知子「唯ちゃんと和ちゃんまでそんな・・・」

美冬「・・・」

ちか「・・・軽く流していいの?」

いちご「・・・」

ちか「いちごさんと姫子さんの間にあるものが何か分からないけど・・・。そんなんでいいの・・・?」

美冬(ちか・・・)

姫子「火まで消しちゃって・・・」カチッ

シュボッ

ますみ「・・・姫子さん・・・本気で流すつもり?」

俊美「ま、ますみちゃん・・・!」

いちご「・・・」

姫子「流せないよ。言ったよね、河川敷で『これでいいや』って。・・・投げやりの意味で言ったわけじゃないんだよ?」

いちご「・・・うん。知ってる」

姫子「冬と夏が繋がった事実。私はこれだけで充分なんだよ」

いちご「・・・・・・この先、あの二人の心に残るのは・・・梓なんだよ?」

姫子「そうだね、夏を引っ張って、冬を引き寄せたんだからね」

いちご「・・・私が忘れそうだった友達と、忘れていった友達のような・・・曖昧な存在になる」

姫子「そう。私はそんな感じだね・・・」

未知子「そんな・・・」

いちご「梓の隣にいた・・・むぎからも何か伝わっていると・・・思う・・・」

姫子「・・・うん、たくさんね」

いちご「・・・それでいいの?」

姫子「・・・うん」

いちご「姫子がどんなに冬と夏を想っても、あの二人は・・・きっと・・・いつか・・・」

唯「・・・」

姫子「まるで経験してきたかのようだね」

ちか(その言葉・・・)

いちご「してきた。・・・昔、小さい頃に私におせっかいをかける子がいて・・・
    文字通りおせっかいだったから、うっとおしくて怒ってしまったことがある」

姫子「・・・」

いちご「『邪魔だから』って怒鳴りつけて・・・。今思えば、私を想ってしてくれた事だと
    そう感じることがいくつかある。・・・なのに私は『それ』を最近まで忘れていた」

和「・・・」

いちご「人の想いを蹴飛ばしてしまった。それから人に本気で怒れなくなっていたと、『今』気付いた」

姫子「・・・」

いちご「・・・最近、それは寂しいことなんだと知った。感情は心をその場所に残すものだから
    負の感情だけど、それが・・・誰かと一緒に居た証となるから」

姫子「・・・私にはその証が残せないんだね」

いちご「・・・うん。きっと・・・冬と夏の・・・中から・・・。姫子がどんなに二人を想っていても」

姫子「・・・でもね。私の中には残ってくれるよ」

いちご「・・・」

姫子「この一ヶ月は永遠に残ってくれる。今、そう確信した」

いちご「どうして・・・?」

姫子「ありがとう、私の事を考えてくれて」ナデナデ

いちご「ッ!」

姫子「あはは、そうだよね、ビックリするよね」

唯「私もビックリだよ~」

未知子「わ、わたしも・・・」

和「・・・あの人ね」

姫子「そう。玉恵さんにされたことを今したんだよ、いちご」

いちご「・・・手をどけて」

姫子「ごめんごめん。・・・本当の事いうと、悔しかった」

いちご「・・・」

姫子「キャンプで旅の話を聞いて、けいおん部と和、憂、純、さわちゃん先生の間にあるものが眩しくて、羨ましくて」

和「・・・」

唯「・・・」

姫子「大きくなっているみんなに憧れて。私も・・・少しは近づけるかなって」

未知子「・・・」

姫子「冬が入部してきて、夏の雰囲気が変化していたのに・・・その事に触れようともしなかった」

いちご「・・・」

姫子「二人をつなげることが出来れば・・・私が成長した証になれる・・・とか思っていたんだよね
   それは都合がよすぎた。私の為に二人はいるんじゃないのにね」

いちご「・・・そんな風にはみえなかった」

姫子「・・・心のどこかで、そう思っていたんだよ」

いちご「・・・」

姫子「だけど、そうじゃないって、いちごが教えてくれた。『身の丈にあったことを』・・・って」

いちご「・・・言ってない」

姫子「そう受け取った」

いちご「・・・」

姫子「だから、私は冬と夏が繋がった事実があって・・・
   いちごが私の為に考えてくれた事が嬉しいから『今』を一生忘れないよ」

いちご「っ!」

姫子「ありがと」スッ

スタスタ

唯「・・・言うだけ言って行ってしまったよ」

和(さすがに照れたのね)

未知子「・・・」

多恵「・・・」

ちか「・・・」

美冬「・・・」

ますみ「・・・」

俊美「・・・」

愛「・・・」

つかさ「・・・」

いちご「・・・」

グツグツ

唯「味噌煮込みになっちゃうよ、食べようよ」

和「名古屋で澪が食べていたわね」

唯「そうそう。って、違うよあれはうどんだよ」

多恵「名古屋の名物だよね、味噌煮込みうどん」

唯「うん、澪ちゃんおいしそうに食べてたよ~」ヒョイヒョイ

未知子「唯ちゃんは何を食べたの?」

唯「天むすだす!」フンス!

ちか「そういえば、私はまだ聞いてなかったな、旅行の話」

唯「楽しかったよ~。昼食終えた後にね、二つの班に別れたの」

和「動植物園班と遊園地班にね」

ますみ「・・・へぇ」

美冬「あれ、和さんも居たんだ?」

和「えぇ、名古屋では憂、私、山中先生、純も合流したわ」

愛「だからさっき名前が出たきたんですね」

唯「そういう事だよ」モグモグ

いちご「・・・」スィー

未知子「あ・・・」

和「面と向かってあんなこと言われたら、落ち着かないでしょうね。そっとしておきましょ」

未知子「・・・」

潮「・・・」モグモグ

信代(騒ぐと思っていたのに・・・)モグモグ

春子「パウンドケーキかぁ・・・」

千雨「・・・はい。私作れますからお手軽かと」

由記「カステラと被ってない・・・?」

千雨「あ・・・そっか」

春子「お茶だけじゃなく、紅茶もあるから悪くはないけど、他の品がいいな」

千雨「そうですね」

来美「せんべいはどうですか?」

信代「あ、いいね。・・・どうして出てこなかったんだろ」

春子「決定」

来美「言っておいてなんですけど、私作り方知らない・・・ですっ!」

春子「大丈夫大丈夫なんとかなるって」

エリ「安請け合いっぽいよ~」

春子「作り方調べてきてね」

エリ「ラジャッ!」ビシッ

アカネ「・・・」

いちご「・・・横座るね」スッ

憂「どうぞ」

いちご「・・・ふぅ」

春子「顔赤いけど、どうしたの?」ニヤリ

いちご「・・・なんでもない」

三花「なにがあったの?」

いちご「なんでもないよ」

潮「・・・」モグモグ

慶子(畳み掛けると思ったんだけどな・・・)モグモグ

圭子「おいしいね~」

春菜「うん。憂ちゃんといちごさんが作ったんだよね?」

憂「はい。未知子さんも一緒に」

しずか「料理上手だよね。屋台班としても頑張っているから頼りになるよ」

憂「そ、そんな」テレテレ

いちご「・・・」モグモグ

潮「あれ、いちご・・・どうしてここに?」

いちご「・・・」

信代(確かに・・・どうしてここにきたんだろう・・・)


86
最終更新:2011年10月05日 20:19