401. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/03(土) 22:33:49.98 ID:/tE7ZYkDo
律「じゃ、、先に行ってるからな」

さわ子「待ちなさいよ、誰か残りなさいよ」

信代「それは嫌です!」

春子「うん、嫌だ!」

いちご「・・・」スィー

玉恵「しょうがないな・・・。ジャンケンといきますか」

律「しゃあねえな」

玉恵「よーし、じゃーんけん」

律「ほいっ!」

グー

グー

玉恵「引き分け」

律「勝負は簡単にはいかねえか」

玉恵「あれ、どうして一対一になってるの?」

律「あれ・・・?おいてかれた!」

玉恵「・・・」スタコラサッ

律「待てい!」

ガシッ

玉恵「独りぼっちは嫌だもん!」

律「私だって嫌だよ!」

玉恵「まってよ・・・。ここに二人いるってことは」

律「あっちは誰かあぶれるな」

玉恵「あ、澪ちゃんがあぶれた」

律「あははっ、うろたえてる!」

玉恵「幼なじみなんでしょ〜、そんな言い方はひどいよリッチャン」

タッタッタ

玉恵「・・・置いていかれた・・・ひどいよ・・・リッチャン・・・」ズドーン

402. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/03(土) 22:34:34.23 ID:/tE7ZYkDo
―――――深夜

律「う・・・ん・・・」モゾモゾ

紬「」スヤスヤ

澪「」スヤスヤ

梓「」スヤスヤ

風子「」スヤスヤ

憂「」スヤスヤ

律「・・・」ボケー

シャー

律「・・・」モゾモゾ

シャー

スタスタ

和「・・・りつ?」


403. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/03(土) 22:35:27.03 ID:/tE7ZYkDo
―――・・・



律「ふぁ・・・」

和「・・・」

律「どわぁ!」

和「お手洗い?」

律「う、うん・・・」ドキドキ

和「夢遊病かと思ったわよ」

律「心配かけてすいません」ドキドキ

和「いいわ。戻りましょう」

律「そだな・・・ふぁ・・・」

和「・・・ふぁ」

プィープゥー

律「・・・なにか聞こえた?」

和「聞こえたわね・・・。なにかしら」

・・・

律「あれ?」

和「・・・よくある話よ」

律「話を終わらそうとするなよ、逆に怖いから」

和「見て律・・・」

律「ん?・・・空・・・おぉ!」

和「澄んでいてキレイ・・・」

律「あぁ・・・」

和「二人で見るなんてもったいないわね」

律「起こすか」ウシシ

プーピィーププー

和「・・・」

律「あっちだ・・・」
404. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/03(土) 22:36:26.00 ID:/tE7ZYkDo

轍「・・・」ピィープー

ガサガサッ

轍「ッ!?」ビクッ

律「・・・ソーマ?」

和「・・・どうしたんですか?」

轍「び、びっくりした・・・」

律「驚かせて悪かった。音がしたからつられて来たんだけど」

和「ハーモニカ・・・ですね?」

轍「うん・・・久しぶりに吹いてみたくなってね。どうしたのこんな時間に」

律「・・・空がきれいだったからさ」キリ

和「・・・」

轍「確かに・・・。これは滅多に見れない星の数だ」

律「そうなのか?」

轍「今日は安定していて、星のゆらぎもないみたいだ」

和「・・・」

轍「沖縄ではあまり吹かなかったんだけど、北海道の話を聞いていたら懐かしくなって」

律「ふーん」

和「どうしてハーモニカを?」

律「かっこつけたいからだろ?」

轍「違うよ・・・。今は星と月明りがあるからいいけど、曇っていたら夜は闇なんだよ」

律「・・・」

轍「自然に囲まれた闇の中を一人でいる。それって結構不安になるんだ。焚き火があってもね」

和「そうですね・・・」

轍「そういう時はよく吹いていた。自分を励ます為に」

律「・・・一人でキャンプって・・・結構シビアなんだな」

轍「それがいいんだけどね。さて、テントに戻りますか」

和「そうね」

律「あのさぁ」

轍「ん?」

律「ニライカナイ・・・だっけ?どうしてその話をしたんだ?」

轍「話の流れってのもあるんだけど、自分が探していた場所だったからかな」

和「・・・」
405. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/03(土) 22:37:37.32 ID:/tE7ZYkDo
律「よく分かんねえ」

轍「そうだよね。キミ達の歳ではあまり惹かれる話でもないよね」

和「いい事ばかりじゃない場所ですよね」

轍「うん。毎日こんな星空だと、つまらないでしょ」

律「そうか?キレイなものを見て心が潤うならそれが一番だろ」

轍「うん。そうだ。・・・だけど、俺には闇の中でコレを吹く時間も欲しいんだよ」

和「・・・寂しいから吹くのに・・・ですか?」

轍「うん。渇いていた方がモノを鋭く捉えられるからね」

律「そういうもんなのか・・・」

和「・・・」

轍「さ、戻ろう・・・」

律「眠いや・・・ふぁ〜」

轍「ふぁ・・・」

和「律のあくびはうつるわよね」

轍「俺が去ってからどうなったの?」

律「フォークダンス踊った」

轍「ブフッ」

和「正しいリアクションよね」

律「いやいや、和も踊ってただろ」

和「そうだったかしら?」

律「過去を改竄すんなよ」

轍「そっ、それで・・・?」

和「踊り終わった後に、梓とむぎの旅の話を聞いたわ」

律「一緒にいたのに視点がまるっきり違うから面白かったぜ」

轍「へぇ・・・」

律「残念だったな」ウシシ

轍「そうだね」

律「そうでもないって声だな」

轍「はは」

和「聞かないでもいいってことですか?」

轍「あの二人の・・・いやキミ達の絆を垣間見れただけで満足したんだよ・・・俺は」

律「・・・」

轍「それ以上踏み込んでいいとも思わなかったからね」

和「そうですか・・・」
406. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/03(土) 22:38:06.50 ID:/tE7ZYkDo
轍「・・・玉恵もフォークダンスを?」

律「あぁ、姫子と楽しそうに踊ってた」

轍「玉恵のヤツ・・・」ヤレヤレ

和「玉恵さんと出会えてよかったですよ」

律「うん、楽しかったぜー」

轍「そっか・・・。キミ達と一緒にいて楽しそうだったのは分かるけどね」

律「あのさ、さっきから気になってるんだけど」

轍「?」

律「キミ達ってなんだよ?」

轍「俺キミの名前知らないよ?」

律「自己紹介してなかったっけ?」

轍「聞いてないね」

和「あら・・・」

律「ま、今さらだな」ウシシ

轍「今さらだよね」

和「それでいいのね」

律「今日は長い一日だったなー」

411. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:41:17.77 ID:u8FaWllJo
9月12日


チュンチュン

憂「ふんふふん〜♪」トントントン

いちご「・・・昨日のオクラホマミキサー?」

憂「そうです」

いちご「・・・楽しかったね」

憂「Oui」

いちご(・・・フランス語で返事?)

憂「〜♪」トントントン

グツグツグツ

いちご「・・・もういいかな」

憂「すいません、手伝ってもらって」

いちご「一人で準備するの大変でしょ。気にしないで」

憂「ありがとうございます」

いちご「・・・うん」

轍「うおっ、はやいな!」

憂「あ、おはようございます」

いちご「・・・」コクリ

轍「まだ朝の6時だよ・・・?」

憂「相馬さんも早いですよ」

轍「俺はこれから帰るから・・・早めの仕度を・・・」

いちご「東京へ?」

轍「うん。・・・そこの火一つ貸してくれるかな?」

憂「あ、ごめんなさい。共同なのに」

轍「昨日のお礼に一品提供させてもらおうかな、と」

いちご「・・・一品?」

憂「?」

轍「朝食のメニューは?」

憂「サンドイッチとコーンポタージュ。おにぎりと味噌汁です」

いちご「・・・あと果物をいくつか」

轍「豪勢だな・・・羨ましい。・・・少なめに作ってみるかな」


――・・・
412. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:42:13.82 ID:u8FaWllJo
憂「・・・」モグモグ

いちご「・・・」モグモグ

轍「どうかな」

憂「意外とあっさりしていておいしいです」

いちご「・・・うん」

轍「よかった」ホッ

憂「これは旅の料理なんですか?」

轍「これも沖縄料理。ヒラヤーチーって言うんだ」

いちご「ひらやーちー・・・」

憂「少ない材料で・・・すごいですね・・・」

轍「おやつみたいなものなんだけどね」

いちご「・・・ニラの香りとツナの味が・・・いい」

憂「はい」

轍「残りの焼く分は任せていいかな?」

いちご「はい・・・」

憂「一緒に食べて行きませんか?」

轍「時間がもうないな・・・。それじゃあね」

いちご「まってください」

轍「?」

憂「どうぞ、お礼のサンドイッチです」

轍「・・・お礼のお礼か・・・ありがと。旅の醍醐味だね」

いちご「・・・」

憂「最後に一つだけ・・・聞かせてください」

轍「?」
413. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:43:56.68 ID:u8FaWllJo
憂「どうして梓ちゃんに不安定な道しるべを示したんですか?」

轍「・・・」

いちご「道しるべ?」

憂「はい。ちゃんと示してくれたら、梓ちゃんだって」

轍「それは俺の役目じゃないから。キミ達の役目でしょ?」

憂「・・・」

轍「俺は外から来た者だから。余所者に踏み込まれるのは嫌だよね」

憂「それなら、知らぬフリをしていればいいのではないでしょうか」

轍「そうだね。・・・だけど、俺とキミ達は出会ったから。袖触れ合うも他生の縁ってね」

憂「おせっかいじゃないですか?」

いちご「・・・」

轍「性分なんだ・・・。俺も旅の中でたくさんの人に助けられたから、そのお返しをだれかにってね」

憂「そうですか」ニコ

いちご「・・・!」

轍「なんて・・・。実は余計なお世話をしたのかもしれないと、気になっていたんだ」アハハ

憂「クスクス」

轍「みんなにちゃんと挨拶が出来ないのは心苦しいけど、伝えておいてくれないかな」

憂「玉恵さんにも挨拶していかないんですか?」

轍「玉恵も旅人なら分かるよ。大丈夫だ」

憂「そうですか」

轍「それじゃ、元気でね。さようなら」

憂「はい、ありがとうございました。さようなら」

いちご「・・・さようなら」
414. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:44:44.23 ID:u8FaWllJo
――・・・



玉恵「えぇー・・・」ガーン

いちご「大丈夫じゃなかったね」

玉恵「せっかく再会したのに〜」シクシク

律「なんで泣いてんだ、玉恵ちゃんは?」

唯「うまさん、帰ったんだ・・・」

憂「うん。みなさんによろしくって」

澪「この料理は置き土産って事かな」

律「朝から重たそうな・・・」

憂「見た目よりは重くないですよ」

唯「それじゃいただきまー」

和「待って、みんな揃ってないわ」

唯「おぉっと危ない危ない」

いちご「憂ちゃん」ヒソヒソ

憂「はい?」

いちご「さっき・・・怒ってた?」

憂「ちょっとだけ」エヘヘ

いちご「・・・羨ましい」ボソッ

憂「?」

玉恵「それで、私がテントへ行った後どうなったの?」

律「梓の話を聞いて、お終い」

澪「といっても2時間くらい話をしていましたけど」

いちご「結構喋っていたよね」

憂「はい」クスクス

玉恵「ふ〜ん・・・」

和「玉恵さんの話を聞いて思うところもあったみたいですよ」

玉恵「思うところ?」

唯「あのね〜・・・」

・・・・・・

・・・

梓「虚無感を・・・やりきれなさを感じたと・・・」

唯「うん」

紬「・・・」
415. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:45:39.44 ID:u8FaWllJo
梓「もし、私が、あの旅を、むぎせんぱいと一緒に行ったあの旅を
    一人で行ったとしたら・・・。と思ったら、とても怖くなりました」

憂「どういう事?」

梓「きっと玉恵さんとは違う、『何も無かった』を感じただろうから」

純「でも、列車に乗ってくる人たちは同じ・・・。そっか、律先輩が言っていた事は
    そういうことなんだ。一緒にいないと見られない景色・・・」

律「・・・」

梓「うん。旅行が楽しかった。それだけで終わる思い出になっているんだと思う」

澪「そうだな、それは私も同じだ」

唯「うん!」

紬「・・・」コクリ

・・・

・・・・・・

玉恵「・・・」

律「お、来た来た!やっとご飯にありつけるぜ」

純「・・・ふぁ」

梓「いい朝ですね」

紬「・・・」ニコニコ

姫子「すごかったよ」

澪「なに・・・が?」

信代「むぎと梓ちゃんのコンビネーション」

梓「普通ですよ」フフン

憂「満足そうな顔してる・・・」

春子「あ、朝ごはん用意してくれてたんだ・・・。さんきゅー」

唯「えっへへ〜」

和「・・・」

いちご「・・・」

風子「憂ちゃんありがとー」

憂「いえいえ〜、髪形変えたんですね」

風子「ちょっと変えてみました」

さわ子「さて、みんな揃った事だし、いただきましょうか」

玉恵「いただきまーす!」

律「ちょっとま」

風子「ちょっと待ってください」

玉恵「え?どうして〜、冷めちゃうよ」
416. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:46:26.68 ID:u8FaWllJo
律「趣向を凝ら」

風子「趣向を凝らして、私が」

さわ子「別に乾杯の音頭をとらなくてもいいでしょ」

風子「」ガーン

律「さっきから風子!私の言葉をさえぎるなよ!」

風子「」ガーン

澪「同じ事言おうとしてただろ・・・」

律「そうですけど」

玉恵「冷めちゃう〜」

純「・・・いただきまーす」

「「  いただきまーす  」」

梓「おいしいよ、憂」モグモグ

憂「ありがと〜」

姫子「これ、いちごも作ったの?」

いちご「・・・うん」

春子「・・・マジかよ」

信代「おいしいんだけど・・・」

唯「おいしいが一番だよ」モグモグ

風子「」

梓「固まっていないで食べてください。コーンポタージュおいしいですよ」

風子「ハッ・・・。うん、ありがとう」

紬「・・・」ニコニコ

和「むぎ・・・食べないの?」

紬「・・・」イソイソ

澪「すごかったって・・・どうすごかったの?」

姫子「それは・・・」

・・・・・・

・・・

姫子「・・・」シャカシャカ

純「うー・・・ねむい・・・」

信代「夜中に律が起こしてきたから・・・」

風子「はい、歯磨き粉。先にどうぞ」

純「ありがとうございますー」

さわ子「しゃきっとしないと置いてくわよ」

純「置いてかないでくださいよー」
417. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:47:22.81 ID:u8FaWllJo
梓「・・・」スッ

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」シャカシャカ

姫子(阿吽の呼吸・・・)シャカシャカ

紬「・・・」シャカシャカ

信代(言葉は邪魔なのか・・・)シャカシャカ

純「・・・」シャカシャカ

ジャー

姫子「・・・」ブクブク

さわ子「・・・朝は少し冷えるわね」

風子「そうですね・・・。本格的に秋到来です」

ジャー

紬「・・・」スッ

姫子(コップに水をいれて、渡した・・・)

梓「・・・」ブクブク

紬「・・・」シャカシャカ

姫子(ゆすぐタイミング分かっていた・・・?)

さわ子「姫ちゃん、交代しましょ」

姫子「はい・・・」

風子「信代ちゃんも終わったんでしょ?」

信代「う、うん・・・」

梓「・・・」スッ

紬「・・・」ブクブク

姫子(なんでタイミングが分かるんだろ)

信代(すごい・・・)

純「・・・」シャカシャカ

さわ子「・・・ん」スッ

純「・・・?」

さわ子「水よ・・・」シャカシャカ

純「・・・」コクリ

風子「・・・歯を磨きながら喋るのは危険ですよ」シャカシャカ

梓「風子先輩もですよ」
418. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:47:55.71 ID:u8FaWllJo
紬「・・・」スッ

梓「あ、ありがとうございます」

紬「・・・」ヒョイヒョイ

梓「もうちょっと・・・」

紬「・・・?」

梓「そうです。そこで結ってください」

紬「・・・」キリ

梓「よし、これでおっけーです」

姫子「すごいなぁ」

信代「うむ」

梓「?」

紬「・・・」キラキラ

風子「どうしたの、むぎさん?」

梓「髪を結ってみたいという事だと思います」

風子「私!?」

さわ子「そうねぇ、ふぅちゃんは澪ちゃんと髪型被ってるから、変えましょう」

紬「・・・」キリ

梓「どんな髪型がいいですか?」

風子「ポニーで」

姫子「注文した・・・」

信代「乗り気だ・・・。純はいつまで歯を磨いているの?」

純「・・・」シャカシャカ

・・・

・・・・・・

澪「被っているって・・・」ズドーン

さわ子「おいしかったわよ、憂ちゃん」

憂「お粗末様でした」

玉恵「たまにはこんな豪勢な朝ごはんもいいね」フフフ

律「いつもはどんなの食べてんだよ」

玉恵「トカゲとかカエルとか」

姫子「嘘ですよね」

玉恵「うん」

風子「よかった。食べ終えてて」

さわ子「変なこと言わないでよね」
419. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:48:29.50 ID:u8FaWllJo
唯「・・・」モグモグ

純「まだ食べてる!」

いちご「どうだった?ひらやーちー」

梓「ひらやーちーって言うんですか・・・」

紬「・・・」キラキラ

梓「おいしかったそうです」

和「梓は食べなかったの?」

梓「私の分が無かったので・・・」

憂「少なめに作ったみたいだったから・・・。要望があれば今度作るよ?」

唯「ひゃっほう」

420. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:49:07.07 ID:u8FaWllJo

―――――設営班


紬「・・・」ガタガタ

信代「・・・よし、こうやって」

春子「たたんでしまえば・・・!」

梓「テント班の仕事は終わり・・・!」

風子「ですね!」

和「これでいいわね」

さわ子「あら、手際いいのね」

紬「・・・」コクリ

和「玉恵さんが立てるとき手伝ってくれたので、その要領でやっただけですよ」

さわ子「そうだったわね。それじゃ、荷物を纏めるわよ、行きましょう」

信代「任せとけ!」

春子「頼もしいなー」

風子「ふふっ」

スタスタ

和「よいしょ」

梓「よっと」

紬「・・・」ヒョイ
421. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:49:35.95 ID:u8FaWllJo

―――――料理班


信代「お、片付いてるな」

春子「本当だ、なんかキレイになるとさみしくなるな」

玉恵「キャンプの醍醐味だよ」

純「来たときと同じようにしただけなのに・・・」

憂「うん・・・」

さわ子「私が運んだ荷物を先に載せちゃうわよ」

唯「はいよー」

澪「キャンプも終わりか・・・」

律「寂しがってるヒマねえぞ、これからもっと忙しくなるんだからな!」

澪「そうだな」

和「あら、ずい分片付いてるわね」

梓「よいしょっと、これは斉藤さんの車に載せる分ですよね?」

紬「・・・」コクリ

422. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:50:14.32 ID:u8FaWllJo
―――――シュガー車


斉藤「よいしょ」

バタン

斉藤「荷物は全部載りましたでしょうか」

さわ子「はい・・・。忘れ物はないわよね?」

「「  ・・・  」」シーン

斉藤「・・・」

さわ子「しょうがないわねぇ・・・。それじゃ、あと一時間自由時間って事でいいわよ」

律「っしゃー!」

澪「むぎ!湖へ行こう!」

紬「・・・」コクリ

タッタッタ

さわ子「時間取らせてしまってすいません」

斉藤「いえ、お嬢様も楽しんでおられるならそれで結構です」

玉恵「・・・」

姫子「楽しかった」

玉恵「昨日の夜はしゃいでいたもんね〜」ニヤリ

姫子「・・・」カァァ

玉恵「あはは、かーわいいー」

斉藤「失礼ですが・・・あなたは、滝沢様では・・・?」

玉恵「っ!」

さわ子「?」

姫子「最初にここで会った時自己紹介してましたよ?」

斉藤「そうでしたね・・・。大変失礼致しました」

玉恵「斉藤さんが言ったのは昔の『滝沢』・・・今の私はただの『滝沢』です」

斉藤「申し訳ありません。先日の帰りに少しひっかかっていたものでしたから
      不快にさせたのならお詫びを・・・」

玉恵「そんな、お詫びなんて・・・。突然だったのでびっくりしただけですから」

さわ子「隠したいのなら聞かないわよ?」

姫子「玉恵・・・さん?」

玉恵「琴吹グループとは仕事で一緒になっていた・・・そうですね」

斉藤「・・・はい」

さわ子「人に歴史あり、ねぇ」
423. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:50:59.37 ID:u8FaWllJo
玉恵「私の親が経営する会社が琴吹グループと提携を結んでいたそうです」

姫子「・・・」

さわ子「その言い方だと、玉恵は無関心のようね」

玉恵「もちろん、今は無関心。だけどね」

姫子「今・・・は?」

玉恵「高校卒業するまでは、家の決めた事に流されて育ってきたの。
      感謝していたし、そうすることが自然だと思ってたからね。21になって・・・結婚が決まったんだ」

姫子「結婚・・・」

玉恵「相手の顔は知らないままでね」

さわ子「!」

姫子「え・・・」

玉恵「文字通り政略結婚。あ、この件は琴吹グループは関係無いからね」

姫子「そうですか・・・」

玉恵「結婚の代わりに条件をつけたの。バイクと北海道へ行く許可をね」

さわ子「・・・」

玉恵「それからは昨日の夜言ったとおりだよ」

姫子「破棄になった・・・んですか・・・?」

玉恵「うん。事故ってしまったからね・・・。相手側が破棄したんだよ」

さわ子「・・・」

玉恵「内心ラッキー!って思ったのは事実だから、そんな」

姫子「な、なんで・・・そんなに・・・軽く言えるの・・・!」

さわ子「姫・・・ちゃん・・・」

玉恵「・・・」

姫子「昨日の話を聞いたからかもしれない。玉恵さんが私の心の内側にいるからかもしれない
      うまく言葉にできないけどっ・・・うまく気持ちの整理が出来ないけど・・・っ」

さわ子「・・・」

玉恵「・・・」

姫子「あんまりっ・・・ですよっ」

玉恵「昨日の夜、さわちゃんが私に聞いたでしょ?」

姫子「・・・はい。旭川に行かなかったことを後悔しているかって・・・」

玉恵「うん。旭川に行ったら、結婚していたと思う。旅を終えて帰宅して、事故る事もないから
      でも、行かなかったからここにいる。姫子ちゃんに出会えた」

姫子「っ!」

玉恵「ありがとう、私の事を考えてくれて」ナデナデ

姫子「・・・・・・子供じゃないんですから」

玉恵「あはは」

姫子「・・・」
424. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:51:54.68 ID:u8FaWllJo
玉恵「紬ちゃんの周りは優しい子ばっかりだねぇ」

さわ子「優しいだけじゃないわよ」

玉恵「そうだね・・・。斉藤さーん!」

斉藤「・・・はい」

玉恵「どうして姿を消したの?」

斉藤「私は大体把握しておりますので・・・。気を利かせました」

さわ子「自分で言うのねぇ」

姫子「ブフッ」

玉恵「面白い子ばっかりだ」

さわ子「私たちも湖へ行きましょうか」

姫子「はい」

スタスタ

玉恵「今日もいい天気〜」ノビノビ

姫子「昨日の星空見ました?」

玉恵「もちろん、あんなチャンス滅多にないからね」キリ

さわ子「星空・・・?」

姫子「さわちゃん先生起こしたけど起きなかったんですよ」

玉恵「ダメだね〜、生徒と同じ時間を共有しなきゃ〜」ヤレヤレ

さわ子「運転ばっかりで疲れていたのよ」

斉藤「片道2時間かかりますから」

さわ子「来て、戻って、また来たのよ?6時間よ・・・一人で運転なんて寂しかったわぁ」

姫子「クスクス」

玉恵「寂しかったって大人が言う台詞じゃないよ」

姫子「一人で寝れないと言っていませんでしたか?」

玉恵「誰が?」

姫子「あなたが」

玉恵「そうだっけ」アハハ

姫子「クスクス」
425. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:52:46.24 ID:u8FaWllJo
―――――湖


律「やっと来たか」

純「あれ・・・?」

澪「雰囲気が違うな・・・」

紬「?」

梓「そうですね。なにかあったんでしょうか」

唯「ん〜?」

憂「今日もいい天気ですね」

いちご「・・・うん」

信代「澪ー、カメラ持って来てないのー?」

澪「あ、うん・・・」

春子「記念に撮りたかったな」

玉恵「ふふん。私の職業をお忘れかねキミ達」

さわ子「・・・なんだったかしら」

風子「ほら、アレだよ和ちゃん!」

和「・・・あぁー、アレね・・・。確か・・・唯」

姫子「キラー・・・」

唯「えぇっと、なんだっけ?」

和「本気で忘れたわね」

唯「ここまで出掛かっているんだよ」チョンチョン

和「そこは腕よ・・・。ちゃんとボケてね」

唯「もぅ〜、澪ちゃん」

澪「え!?」

律「いい加減に答えろ、ボケとか・・・いらないからさぁ」ニヤリ

玉恵「私の職業は!?」

紬「・・・」ワクワク

澪「うっ・・・」

「ルポライターです」

玉恵「あ・・・」

「一緒に行きましょうよ」

玉恵「あ、ごめんね〜。台風過ぎちゃったから大丈夫だと思ったんだよ」

「先輩・・・楽しそうだからいいですけどね」

唯「おぉ・・・誰?」

玉恵「私の後輩であり、仕事仲間であり、相棒の―」

「――島田光といいます」
426. ただの同姓同名です 2011/09/04(日) 18:53:38.97 ID:u8FaWllJo
―――――駐車場


律「第二回!誰の車に乗るか!くじを開催します!」

梓「・・・」メラメラ

純「ものすっごい気合だな」

律「さわちゃん車、シュガー車どちらの」

梓「前置きはいいです!」メラメラ

律「んだよー、仕切りは大切なんだぞー」

梓「いいから、はやくするです!」メラメラ

律「はいはい。だれから引くー?」

梓「もちろん私から引くです!」ゴゴゴゴ

信代「空回りしそうな気合だけど大丈夫かな」

和「むぎと一緒のシュガー車に乗りたいのよね・・・6/12だから」

紬「・・・」オロオロ

玉恵「なに?シュガー車って・・・斉藤車でしょ?」

純「斉藤・・・さとう・・・シュガーです」

玉恵「なるほど・・・駄洒落なんだね」

澪「安心できないな・・・」

梓「やった!!シュガー車だ!!」キラキラ

憂「すごい嬉しそう」

律「あー・・・」

姫子「どうしたの?」

紬「・・・」アセアセ

唯「むぎちゃん?」

さわ子「むぎちゃんは私の車に乗るのよ?」

梓「」

春子「あちゃー」

風子「空回った・・・」
427. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:54:44.16 ID:u8FaWllJo
さわ子「それで、配置はどうなったのよ?」

律「さわちゃん車は、むぎ、風子、和、いちご、憂ちゃん、私」

澪「ときめきシュガー車は」

さわ子「改名したわね」

澪「私、姫子、信代、唯、純、春子・・・梓」

梓「」ピシッ

玉恵「ブフッ」

唯「ダメだよ笑っちゃ」メッ

玉恵「ごめんなさい・・・」

斉藤「それではみなさん、参りましょう」

和「それでは、玉恵さん」

玉恵「うん、みんな楽しかったよ。ありがとう」

唯「・・・っ」

憂「・・・っ」

玉恵「そんな顔しないで〜」

唯「だって・・・」

玉恵「旅に出会いがあるように、別れも必然なんだよ」

唯「分かってるけど・・・、私は別れに慣れなかったんだもん」

紬「・・・!」

玉恵「唯ちゃんらしいな」

純「ほら、固まっていないで玉恵さんに挨拶しなよ」ツンツン

梓「はっ・・・。玉恵さん・・・そうです・・・玉恵さん」

玉恵「梓ちゃんも元気で」

梓「私をバイクで連れて行ってください」

律純「「  は?  」」

斉藤「それでは参りましょう」

428. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:55:36.00 ID:u8FaWllJo
―――――さわちゃん車

ブォォォオオオ

さわ子「相棒さんのヘルメット借りるなんて名案だったわね」

紬「・・・」コクリ

律「特等席じゃないのか、アレ」

風子「代わればよかったかな」

和「乗りたかったの?」

風子「少しだけ・・・」

いちご「・・・私も」

憂「30分後の休憩所で交代してはいかがでしょう?」

紬「・・・」コクコク

さわ子「むぎちゃんも乗りたいの?」

紬「・・・」フンス!

律「玉恵ちゃんよく引き受けたよなー」

いちご「・・・うん」

さわ子「相棒さんに頼まれていたわよ、買出しとか写真とか」

風子「優しそうな人でしたね」

憂「バンダナが似合っていました」

紬「・・・」コクリ

429. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:56:20.82 ID:u8FaWllJo

―――――30分後・さわちゃん車

梓「どうしてバイクに乗っているのがむぎせんぱいなんですか!!」

律「ジャンケンで決まったことだからしょうがないだろー」

和「シュガー車でもジャンケンしていたのには驚いたわ」

風子「姫ちゃんに勝ったむぎさん・・・」

憂「紬さんジャンケン強いですよね」

さわ子「憂ちゃんも乗りたかったのね」

憂「はい」エヘヘ

梓「次の30分が長いです!」

さわ子「あら・・・、意外と話聞かないのね」

梓「え?」

風子「あ、赤信号で三台とも並んだね」

律「次は1時間後だぞ。むぎの体力に合わせた」

梓「むぎせんぱーい!」フリフリ

律「本当に聞かねえー」
430. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:57:00.88 ID:u8FaWllJo

―――――ときめきシュガー車

姫子「玉恵さーん!」フリフリ

信代「この人誰だ?」

澪「姫子・・・だと思う・・・」

純「私の目に狂いが無ければ・・・」

春子「現実が狂っているかもしれないだろ」

斉藤「発車致します」

姫子「はい」

純「戻った!」

唯「」スヤスヤ

澪「唯はよく寝るな・・・」

姫子「向かう時にも寝ていたんだってね」

澪「うん・・・。夜にみた星空のせいかな」

春子「あれはすごかったなー!」

信代「うんうん。キレイだった」

唯「」スヤスヤ

431. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 18:58:21.28 ID:u8FaWllJo
―――――45分後・休憩地点


さわ子「運転疲れたの?」

玉恵「いやいや、これくらいへっちゃらだよ。紬ちゃんが疲れていないか気になってね」

律「そうだよな、1時間はさすがに・・・」

紬「・・・?」

律「大丈夫みたいだぜ」

姫子「む、むぎ・・・どうだった?」

紬「・・・」キラキラ

姫子「た、楽しかったんだ?」

紬「・・・」コクリ

姫子「か、風になれた?」

紬「・・・」グー

春子「マジか・・・。これはジャンケンにも気合が」

姫子「・・・」メラメラ

憂「えー・・・と、私は辞退させていただきます」

純「私も・・・」

姫子「・・・」キッ

風子「わ、私も・・・」

律「乗ってみたいなぁ・・・程度だったんで・・・姫子は」

姫子「乗りたい!」

律「分かった!」

信代「最後まで乗ってていいと思われます」

春子「右に同じく」

姫子「ほんとうに!?」パァアア

律「眩しい!」

純「光り輝く先輩がもう一人いた!」

澪「あれ・・・梓は?」

紬「?」

風子「車で寝てるよ」



最終更新:2011年10月05日 23:58