462. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 19:30:49.63 ID:u8FaWllJo
―――――昼

唯「むぎちゃんの『最高の場所』ってどこかな」

紬「・・・」チョンチョン

梓(地面を指した・・・って事は)

澪「中庭って事?」

紬「・・・」ニコニコ

唯「そっかぁ〜」

律「待て待て、昨日河川敷でも同じ動作しただろ」

紬「・・・」コクリ

唯「・・・」

梓「たくさんあるって事ですか?」

紬「・・・」ピンッ

澪「一つ・・・?」

紬「・・・」コクリ

律「うん〜?」

澪「変化しているって事かな・・・?」

紬「・・・」

澪「そうでもないのか・・・。分からないな」

梓「ゆっくり聴いていきましょう。時間はまだあります」

唯「そうだよ!」

律「お昼時間はもうすぐ終わるけどな」

澪「うそっ!もう!?」

律「太陽の位置を見れば分かるだろ」

梓「ほんとうですか?」

律「分かるわけないだろ〜?」ウシシ
463. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 19:31:18.75 ID:u8FaWllJo
唯「あと15分あるよ〜」

紬「!」

澪「本当だ!」

律「唯すげえ!」

純「梓・・・どうして私を置いて行ったんだよ・・・」

梓「あ・・・」

純「憂が休んでいるんだからさ・・・」

梓「ごめん・・・」

純「いいけど・・・」ションボリ

律「あと15分しかないぞー」

唯「早食いはいけないよ。ゆっくり食べないと」

紬「・・・」コクコク

澪「ゆっくり食べて・・・。私たち待っているからさ」

純「ぅ・・・」シクシク

唯「寂しいとき・・・。誰かの優しさに触れたら心が解れるのです」

464. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:23:42.36 ID:u8FaWllJo
―――――放課後

ジャジャッジャジャッジャーン

紬「・・・」フゥ

澪「・・・よし」

律「よーし・・・いい感じだ」

唯「・・・」

梓「それでは、休憩してから新曲の練習をしましょう」

紬「・・・」コクリ

タッタッタ

律「よく動くなむぎは」

澪「作曲もしてきてるからすごいな・・・」

梓「もしかすると・・・、作っていたのかも知れませんね」

唯「・・・」

ジャーンジャジャーン

律「唯〜?」

唯「な〜に〜?」

澪「ティータイムなんだけど」

唯「う〜ん・・・」

ジャジャン

梓「憂が心配なんでしょうか」

紬「・・・」コクリ

スッ

律「お、ありがと!」

澪「ありがとう」

梓「ありがとうございます」

紬「・・・」ニコニコ

ジャンジャンジャジャン

唯「・・・」

律「食べちまうか」ウシシ

梓「ダメですよ」

律「分かってるよー」

ガチャ

さわ子「あら、いい時に来たわね」

紬「・・・!」

律「嗅ぎつけたか・・・って珍しいお客さんだな」
465. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:24:20.35 ID:u8FaWllJo
澪「本当だ」

姫子「お邪魔・・・します・・・」ソワソワ

梓「どうしてソワソワしているんですか?」

姫子「その・・・、他の部室に入るの初めてだから」ソワソワ

紬「・・・」ニコニコ

スッ

さわ子「ありがと、むぎちゃん」

律「唯の席に座っていいぜ」

姫子「あれ、唯・・・はどうしたの?」

澪「虫になった」

紬「・・・」ニコニコ

スッ

姫子「あ、ありがとう・・・。これが噂のティータイムだね」

梓「そうです」

ジャンジャジャンジャン

唯「・・・」

さわ子「どうしたの唯ちゃんは?」モグモグ

澪「憂ちゃんが心配みたいです」モグモグ

律「どうしたんだよ、姫子。・・・今日のケーキもまた一段とうめえ」モグモグ

姫子「会議の内容を話そうかと思って・・・。さわちゃん先生に連れてこられたんだよ」モグモグ

梓「・・・」モグモグ

紬「・・・」モグモグ

ジャーンジャンジャン

唯「うーん・・・」

さわ子「明後日の朝、和ちゃんから聞く事になるんだけどね。・・・おいしいわぁ」ズズーッ

澪「わざわざここまで連れてきたんですか?・・・おいしい」ゴクゴク

姫子「茶店チームと屋台チームを決めてきたよ。・・・本当だおいしい」ゴクゴク

律「屋台はなにをするんだ?・・・うめえな紅茶」ズズーッ

梓「・・・」ゴクゴク

紬「・・・」

ジャンジャジャンジャジャン

唯「うんうん・・・」

さわ子「まだ決めていないのよ」

姫子「茶店に合わせるか・・・。それとも別物として企画するか・・・ってね」

澪「確かに・・・。難しい要素だな」
466. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:24:54.59 ID:u8FaWllJo
律「甘いものでいいんじゃないの?クレープとかさ」

梓「和菓子の方が合っていると思いますけど」

紬「・・・」

姫子「それはこれから決めていこうよ。それじゃ、私はこれで・・・。ごちそうさま、むぎ」

紬「・・・」フリフリ

さわ子「部活頑張ってね」

姫子「はい。それじゃ明日ね、みんな」

スタスタ

律「じゃーな」

澪「明日」

梓「明日です」

さわ子「ん?明日?」

バタン

さわ子「明日休みよ?敬老の日なのよ?」

律「そうだぜ」

さわ子「遊ぶ約束してるのね。・・・若いっていいわぁ」

梓「・・・」

ジャンジャジャジャーン

唯「よぉし!」

紬「・・・?」

澪唯「「  さて・・・」

澪「練習するか!」

唯「おやつ・・・えぇ!?」

467. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:25:46.41 ID:u8FaWllJo
―――――平沢邸

ガチャ

唯「ただいまー」

和「おかえり」

唯「今日も頑張ったよ〜」

和「そう・・・。お疲れ様」

唯「えへへ」

律「いやいや、ちゃんとツッコミ入れろよ」

澪「ど、どうして和が・・・?」

梓「?」

紬「・・・?」

和「一足先にお見舞いに来ていたのよ」

唯「そういう事だよ!」

和「唯怒ってるの?」

唯「聞いてよ和ちゃん!みんなひどいんだよ!」プンスカ!

律「だからゴメンって」

和「どうしたのよ・・・」

唯「私が練習している間におやつ食べたんだよ!」

和「そう・・・」

唯「それだけじゃないんだよ!姫ちゃんが来ていたのに教えてくれなかったんだよ!」

和「それはひどいわね」

澪(子どもの愚痴を聞くお母さんみたいだな)

梓(お母さんみたいです)

紬「・・・」コクリ

唯「それだけじゃないんだよー!私が作詞した曲も見送りされたんだよ!」」

和「確か・・・おかずはごはん、だったわね」

468. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:26:16.11 ID:u8FaWllJo
唯「逆だよ!ごはんはおかず、だよ!」

和「それはどうして?」

律「いや・・・むぎが書いてきたのと比べたら・・・むぎかなぁ・・・って」

紬「・・・」テレテレ

梓「です」

唯「ひどいよねっ!?」

和「そうね・・・。でも新曲枠は二つでしょ?あと一つは?」

澪「さっき一生懸命探していたようだったから・・・」

梓「です」

和「その曲分を空けておくのね」

唯「そうなの?」

律「あぁ・・・。それでやろうかと思ってだな」

唯「よぉし!」フンス!

憂「みなさん・・・玄関でお話もなんですから・・・居間へどうぞ」フラフラ

梓「憂!」

憂「お・・茶・・・を・・・お持ちしま」フラフラ

和「ちょっと!」

469. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:27:25.45 ID:u8FaWllJo
―――――・・・憂の部屋

憂「」スヤスヤ

和「・・・後は任せて」ヒソヒソ

紬「・・・」コクリ

ガチャ

バタン

紬「・・・」

澪「それじゃ、お大事に」

唯「うん。一緒におかゆ作ってくれて助かったよ」

梓「・・・」

唯「和ちゃんもいるし、だいじょーぶだよあずにゃん」

梓「は、はい」

紬「・・・」

律「じゃ、私らはこれで」

ガチャ

唯「明日はあずにゃんの街を探索するんだよね」

紬「・・・」コクリ

梓「はい、そうです」

澪「河川敷で待ち合わせだからな」

唯「おっけー。明日には憂も回復してるよきっと」

律「あぁ」

唯「みんなありがとね〜」

律「お大事にな」

澪「ゆっくり寝かせてあげてな」

梓「唯先輩、おやすみなさいです」

紬「・・・」フリフリ

唯「うん、ありがとう。また明日ね〜」フリフリ

バタン

律「帰るか」

澪「うん」

梓「・・・」

紬「・・・」


470. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:27:51.46 ID:u8FaWllJo
スタスタ

律「あ・・・、影が出ていると思ったら・・・」

澪「月明り・・・」

紬「・・・」

梓「キレイですね・・・。雲が青白く反射しています」

紬「・・・」コクリ

律「この空を写真に収められたらいいのにな」

澪「私たちの技術では無理じゃないかな」

梓「残しておきたい空ですね」

律「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」

澪(むぎは・・・今)

むぎは・・・今、何を想っているんだろう

空を眺めて

まだ満ちていない月を眺めて

月が放つ光に染められた雲を眺めて

むぎはなにを想っているのだろう

聞くのは簡単だけど

それを説明させるのは困難だ

梓も似たような表情をしている

律も

私は

この時間が止まればいいなと想う

けど

今は憂ちゃんが風邪をひいて寝込んでいる

その妹を姉はとても心配している

だから止めちゃいけないんだ

時間は―――切ない



最近

むぎはよく空を眺めている


471. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:28:58.93 ID:u8FaWllJo

9月15日


―――――河川敷

律「夏に撮った写真でさぁ」

澪「あの旅の?」

律「うん・・・。出会った人たちと一緒に集合写真撮った写真な」

澪「うん」

律「澪がむぎにカメラ貸したじゃん?」

澪「うん」

律「写真少なくないか?」

澪「・・・うん。私もそう思ったんだ」

律「むぎがカメラを持って、観光して、集合写真を撮ってもらったんだよな?」

澪「そうだよ」

律「他にも写真があるはずなんだけど、見せてもらってない・・・よな」

澪「・・・うん」

律「見たいなーって思わないか?」

澪「思うけど・・・。どうしたんだいきなり」

律「ふと、気になってだな」

澪「・・・」

律「あとで聞いてみてもいいよな・・・?」

澪「どうして慎重になる」

律「むぎが見せたくないのかもしれないじゃん?それを聞くのはアレかなーって」

澪「遠慮する間柄じゃないだろ」

律「そりゃそうだ」

澪「私も見てみたくなった」

律「あ、来た・・・」

キキーッ

梓「お待たせしました」

律「おぅ・・・。梓はマウンテンバイクか」

梓「そうです。・・・ママチャリもあったんですけど、こっちにしました」

澪「運転しやすそうでいいな」

梓「はい!」

律「折りたたみはキッツイかな〜」

澪「多分な」

472. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:29:32.55 ID:u8FaWllJo
梓「澪先輩はモトクロスバイクですね」

澪「うん、パパ・・・いや」

律「・・・」

梓「パパイヤ?」

澪「父さんが持っていたやつを借りたんだ」

梓「どうしてパパイヤが出てきたんですか?」

律「・・・」プクク

澪「た、食べたくなったんだ」

梓「そうなんですか」

律「沖縄では炒め物にも使うらしいぞ」

澪「えっ・・・果物なのに?」

律「あぁ・・・。スクガ・・・なんとかといい、変わった食べ物が多いよな」

梓「・・・」

チリンチリン

梓「あ・・・むぎせんぱいです」

紬「・・・」フリフリ

律「おはよー・・・って、むぎはママチャリか」

梓「選択間違えた・・・っ」

澪「お揃いがいいんだな」

紬「・・・」キリ

律「気合入ってんな」

梓「後は・・・唯先輩と・・・」

唯「みんなー!」

キキーッ

唯「またせたよっ!」

律「揃ったし行くか」

澪「そうだな」

唯「ちょっとおまちよ」

律「なんだよ」

唯「今のかっこよかったでしょ?」

紬「・・・」コクリ

梓「そうですね」

澪「それじゃ行くか」

473. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:30:00.12 ID:u8FaWllJo
唯「ちょいとおまちよ」

律「んだよー」

唯「ギューンと来てキキイーッ・・・だよ?」

紬「・・・」コクリ

梓「そうですね」

澪「憂ちゃんは来なかったの?」

唯「うん、病み上がりだからね」

律「治ってよかったな」

唯「うん!」

律「じゃ行くか」

唯「もぉー」ブーブー

紬「・・・」プッププー

唯「えへへ」テレテレ

梓「・・・」

律「褒めてもらえてよかったな・・・。いい加減に出発するぞ」

澪「ちょっとまって」

紬「・・・?」

梓「どうしたんですか?」

律「あ、忘れてた」

澪「エリ・・・」

エリ「」スヤスヤ

梓「こんなところで・・・。先輩方のクラスの方ですよね?」

紬「・・・」ププップー

梓「たき・・・エリ・・・さんですか」

律「起きろ!」

エリ「・・・ぅ・・・んー?」

475. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:40:51.18 ID:u8FaWllJo
チリンチリン

紬「・・・」ニコニコ

エリ「ポカポカ陽気だからつい寝ちゃった」アハハ

律「なにが『つい』だよ。しっかり横になっていただろ」

エリ「休みの前の日って夜更かししちゃうよね」

澪「最近はそうでもないけど」

エリ「高校生らしくしようよ」

律「高校生らしく忙しくしているんだぜー」

エリ「それならいいんだけどー」

澪「あ・・・、二人ともストップ」

律「お、なにか見つけたのか」

エリ「・・・?」

澪「どうした?」

唯「あずにゃんがね〜」

梓「いえ・・・」

紬「・・・」

律「ここになにかあるのか?」

梓「あったんです。一本の木が」

エリ「なるほど、その木は梓ちゃんにとってとても大切な思い出があったんだね」

梓「それが、ないんですよ」

紬「?」

律「それじゃどうして止まったんだよ」

梓「そんなに大きいわけでもなくて・・・。注目されるような木ではなかったんです」

澪「うん」

梓「違いますね・・・。悪いほうで注目されていました」

紬「・・・」プッププー

梓「はい。木の実がよく落ちて、道路を汚していたんです。木の実を食べる動物もいなくて
    靴に着いてしまうから、その時期になると大人はこの木の下を避けていました」

エリ「・・・」

476. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:41:56.99 ID:u8FaWllJo
梓「私の記憶はそれだけなんです。ここにあった木とはそれだけ・・・」

唯「他にもいい思い出になることはなかったの?」

梓「はい。私が物心ついたころからありましたけど・・・。特別なものはありません」

紬「・・・」プップー

梓「え・・・?」

エリ「紬さんはなんと・・・?」

唯「それが」

紬「・・・」プッププー

梓「そうですか・・・。そうだとしたら・・・ちょっと寂しいですね」

エリ「・・・?」

唯「それが特別な思い出なんだって」

エリ「えぇと・・・、どういう事?」

梓「失ったものを思い出した事が、木と私の思い出になったんです
    木がここに存在し続けていたら、この記憶は甦らなかった訳ですから・・・」

澪「そうか・・・。だから寂しいのか」

梓「はい。いつなくなったのかさえ知らないですけど、私の中では存在している木です」

紬「・・・」コクリ

梓「発見がありましたね」

律「あぁ・・・。じゃ次行こーぜ!」

唯「行こう行こう!」

澪「さ、騒ぐな」

エリ(・・・失って存在する・・・・・・)

477. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:42:29.94 ID:u8FaWllJo
カランカラン

「いらっしゃいませ〜」

唯「ジャンボパフェ!」

「え、えぇと・・・」タジタジ

律「ねえよ。とりあえず7人ですけど」

「後から一人いらっしゃるんですね?」

紬「・・・」コクリ

澪「大所帯だな・・・。二席に別れるか」

「7人席ありますよ」

梓「あるんですか。そこでお願します」

「こちらへどうぞ〜」

スタスタ

エリ「ジャンボなパフェってどういうんだろ」

紬「・・・」プッププー

(鍵盤ハーモニカ持参!?)

478. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:43:09.14 ID:u8FaWllJo
唯「木以外になかったの?」

梓「ない事もなかったんですけど」

澪「小さいことでも聞かせてくれないか?」

梓「聞いてもつまらないと思いますけど・・・」

紬「・・・」

エリ「どうしてみんな興味津々なの?」

律「少しでもヒントになれるものは無いかと探しているんだよ」

エリ「・・・そっか〜」

「こちらの席です」

姫子「ありがとう」

唯「こんにちは、姫ちゃん」

律「おう・・・って、珍しい組み合わせだな」

澪「本当だ」

「そこで姫子さんと一緒になって」

紬「・・・」フリフリ

「こんにちは紬さん」

エリ「どうしたのお母さん」

母「散歩していてね、せっかくだからって顔を出しただけなんだよ」

唯「ゆっくりしていきなされ」

姫子「みんなご飯食べたの?」

梓「まだです」

母「外食ばっかりでは体によくないよ」

律「お母さんか!」

澪「だからお母さんだろ」

姫子「今は飲み物だけでいいかな。唯ボタン押してくれる?」

唯「はい、りっちゃん!」

律「またこの流れかよー!」

紬「・・・」ワクワク

エリ「なにが始まったの?」

母「?」

梓「律先輩の一人ボケツッコミ大会です」

律「勝手に規模を大きくするな!」

姫子「・・・」ソォー

紬「・・・」ガシッ

姫子「ご、ごめん・・・」

母「流れを止めようとした姫子さんを紬さんが止めた・・・」
479. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:44:22.62 ID:u8FaWllJo
律(うぅーん・・・。デコピンで押しても痛いだけで見た目地味だしなぁ)

澪「・・・」

梓「・・・」

律(期待してない顔してんな・・・。確かに外してばっかりだからな)

エリ「・・・」

母「・・・」

律(ちょっと期待している顔だな・・・。嬉しいかも)

姫子「・・・」

律(部活帰りで早く飲み物頼みたいって感じか・・・。なんかごめん)

唯「・・・ふぁ」

律(ぐっ・・・)

紬「・・・」チラッ

律(ん?・・・割り箸・・・よし、やってみるよむぎ)コクリ

紬「・・・」スッ

律「さーんきゅ」

唯「さぁ、割り箸を手に入れたりっちゃんです。それを使ってどうボタンを押すのでしょうか」

澪「楽しみですね」

律「・・・」タンタンタタタン

エリ「机を叩いて・・・」

母「リズムを取っている?」

タンタンタンカンカンタンタタン

律「〜♪」

梓「リズムに乗ってきましたね」

姫子「この曲は・・・」

紬「・・・」ルンルン

唯「カレーのちライスだよ」

澪「〜♪」トントントン

梓「〜♪」トトトントン

紬「〜♪」トントトントン

唯「〜♪」トトントントトン

律「〜♪」タンタカンタタカンカン

エリ「演奏してる・・・」
480. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:45:07.00 ID:u8FaWllJo
タンタンタタタン

澪(なんか楽しくなってきた)トントン

梓(演奏したくなってきた)トトトントトン

紬「♪」トントトントトン

唯「〜♪」トトントン

律「・・・」タタタタタタタン

ポチッ

ピンポ〜ン

「はーい!」

澪「」ズルッ

梓「」ズルッ

紬「・・・」コクリ

唯「そうきましたか」

律「どうだー」

「ご注文ですか?」

姫子「アイスティーと英子は?」

英子「アップルティーを」


481. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:45:51.88 ID:u8FaWllJo
英子「私の地元がこっちだから」

律「そうだったのか・・・。梓とお母さん一緒だったのか」

梓「そうみたいですね」

英子「どうしてみんな集っているの?」

姫子「記憶の掘り起こしかな」

梓「ブフッ」

紬「・・・?」

姫子「どうして笑ったのか・・・気になるなぁ」

梓「な、なんでもないですよ!」アセアセ

姫子「ほんとかなぁ・・・」

梓「ほ、本当です」

姫子「ふーん・・・」

梓「・・・」アセアセ

英子「・・・」

唯「今日はあずにゃんの『最高の場所』を探す日です」

エリ「次は?」

律「土曜日は私と澪、日曜日は唯だ」

エリ「紬さんは?」

澪「もう見つけたそうだ」

紬「・・・」キリ

姫子「・・・それはどこなの?」

律(ここを指すのかな・・・)

澪(多分ここを指すはず・・・)

唯「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」スッ

律澪「「  外!?  」」

紬「・・・」ニコニコ

唯「うぅ〜ん」

梓「・・・」

482. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:46:37.78 ID:u8FaWllJo
英子「風子がね・・・。昔の風子に戻ったような気がして」

エリ「昔の風子さん・・・?」

姫子「風子と英子って幼馴染だったの?」

唯「意外だよ!」

澪「うん・・・意外だ」

英子「と、言っても中学3年間は会っていないの」

紬「・・・」

梓「・・・」

英子「高校で・・・この学校で再会して驚いた。大人しくなっていたから」

律「へ、へぇ・・・」

英子「小学校時代の風子は子供が子供をしているって感じで、子供だった」

澪「分かる、分かるよ。見本がいるからな」

律「だってさ梓」

澪「おまえだっ!」

梓「・・・」

エリ「・・・」

英子「再会してから話をしていると、面影はあったから、お互い成長していたんだと思った」

唯「・・・うん」

英子「たまに子供っぽいところ見せるでしょ?あの子」

姫子「うん」

483. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:47:56.61 ID:u8FaWllJo
英子「でも、昨日の風子を見て、みんなと一緒にキャンプへ行ったふぅを見てビックリした」

梓「・・・」

英子「あの『ふぅちゃん』に戻っていたから」

紬「・・・!」

英子「だから・・・とっても懐かしい気持ちになれたんだよ。昨日の朝」

エリ「・・・」

英子「誰がそうさせたのかなぁ・・・って気になっているんだけどなぁ」

エリ「キャンプへ行った内の誰かって事だ?」

英子「うん」

澪「むぎ・・・か?」

紬「?」

律「思い当たる人がもう一人」

梓「・・・はい」

英子「だれ?だれなのかな?」

唯「それはね〜」

姫子「一人じゃないよ律。二人だね」

律「え?」

英子「教えて、姫子さん」

姫子「英子には面識が無い人だよ」

英子「あ、そういえば聞いた事がない名前が二つ出てきていたっけ・・・」

姫子「そう。その人たちだよ」

英子「へぇ〜」

姫子(と、梓ちゃんとむぎ・・・かなぁ)

梓「演奏したくなりましたね」

紬「・・・」コクリ



484. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:49:36.59 ID:u8FaWllJo
「ありがとうございました〜」

唯「ごちそうさま〜」

律「よーし、続けるかー!」

澪「ご飯も食べたし、夕方までまだまだ時間あるな」

エリ「行きましょー!」

英子「私も参加するよ」

梓「私の思い出探しのようなものですよ?」

英子「私の地元でもあるからいいよね」

梓「はぁ・・・そうですか」

姫子「英子自転車持ってないでしょ」

英子「姫子さんの後ろに乗るよ」

梓「!」ピコン

澪「ん?」

梓「ひ、英子先輩使ってください!」

英子「ありが」

梓「むぎせんぱい!後ろに乗っていいですよね!?」

紬「・・・」コクリ

律「すっげえアグレッシブ」

唯「あずにゃん私のうし」

梓「乗れませんよ」

澪エリ「「  バッサリだー!  」」

485. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:50:24.41 ID:u8FaWllJo
チリンチリン

梓「風景が違って見えます!」

紬「・・・」ニコニコ

キィコキィコ

梓「あ!昔あの家には太った猫が住み着いていたんですよ!」

紬「・・・」ニコニコ

キィコキィコ

梓「私たちからは絶対餌を貰わないんです!だけどずーっと太ってて!」

紬「・・・」ニコニコ

キィコキィコ

梓「それなのに動きは俊敏で!誰も撫でた事なんて無かったんです!」

紬「・・・」ニコニコ

キィコキィコ

梓「あ!あっちの大きい木がありますよね!あの木には毎夏セミが大合唱するんです!」

紬「・・・」ニコニコ

キィコキィコ

梓「今年の大合唱もすごかったですよ!」

紬「・・・」ニコニコ

486. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:51:40.59 ID:u8FaWllJo
律「すっげえ楽しそう」

姫子「クスクス」

エリ「紬さんの表情見えないはずなのに・・・」

澪「聴いてくれているって安心しているんだ」

英子「いい関係だねあの二人。お互いを信頼しているんだね」

律「達観してるな!お母さんか!」

澪「だからお母さんだろ」

唯「み・・・んな・・・まってぇ・・・」ゼェゼェ

姫子「大丈夫?はい、水だよ唯」

唯「あり・・・がとぉ・・・」ゴクゴク

姫子「唯・・・」

唯「なぁに〜」ゴクゴク

姫子「その場所は終着点になるの?」

唯「・・・うん」

姫子「そっか・・・」

唯「でもね・・・。私たちまだ若いから、そう簡単には見つからないと思うよ」

姫子「でも、むぎは・・・」

唯「むぎちゃんは私たちの先を歩いている人だから」

姫子「・・・」

澪「おーい!」

律「早く来ないと置いていかれるぞー!」

エリ「はやくこーい!」

英子「おいで〜!」

律「お母さんか!」

姫子「みんなで追いかけている・・・と」

唯「そだよ〜」

姫子「最後まで付き合うよ」

唯「えへへ、ありがと姫ちゃん」

姫子(私自身のためにも・・・ね)

487. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:53:40.63 ID:u8FaWllJo
―――――夕方

律「今日はこれで  解  散  ッ!」

唯「ハッ!」ビシッ

紬「・・・」ビシッ

澪「・・・」

エリ「・・・」ビシッ

姫子「・・・」

英子「・・・」

梓「・・・」ビシッ

姫子「じゃあね、また明日」

シャー

律「姫子は、急いでんのか?」

澪「キャンプで撮った写真を受け取りに行くんだって」

紬「・・・」ワクワク

梓「私も見るの楽しみです!」

唯「楽しみだよ!」

律「写真か・・・」

エリ「それじゃ姫子さんについて行こうっと!みんな、明日ねー」フリフリ

紬「・・・」フリフリ

シャー

澪「エリ・・・河川敷の写真は無いんだけど・・・いいのかな・・・」

英子「?」

律「湖で撮った写真だからな・・・置いていかれた事を思い出さなきゃいいけど」

紬「・・・」ゴクリ

英子「・・・よく分からないけど、私もこれで・・・みんなおやすみ」

唯「また明日ね〜」フリフリ

梓「私もこれで失礼します」

紬「・・・」コクリ

梓「また、明日です」

澪「あぁ、また明日な」

英子「一緒に帰ろうか」

梓「はい」

スタスタ

律「あの二人が並んで歩くなんて・・・なんていうか、凄いな」

紬「・・・」ニコニコ

488. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:54:22.71 ID:u8FaWllJo
唯「私も帰るよ〜、あでぃお〜す」フリフリ

紬「・・・」フリフリ

シャー

澪「・・・」

律「むぎー」

紬「?」

律「夏の旅の写真さー」

紬「・・・」コクリ

律「集合写真以外にもあるだろ?」

紬「・・・」コクリ

律「見せてくんない?」

紬「・・・」コクリ

澪「やった!」

律「まてまて、私が最初だかんなー」

澪「どんな写真なんだろう」ワクワク

紬「・・・」ニコニコ

律「じゃ、明日なむぎ」

紬「・・・」フリフリ

澪「明日な!」

チリンチリン


489. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:55:19.16 ID:u8FaWllJo
英子「まさか梓ちゃんまで敬礼するとは思わなかった」

梓「一応ノリですから」

英子「うん・・・合わせることも大事だよね」

梓(お、お母さんだ・・・雰囲気がそう思わせるんだ・・・)

英子「あ・・・」

梓「あ・・・」

風子「あ・・・!」

英子「これからお出かけ?」

風子「ううん・・・。帰る所だけど・・・。珍しい組み合わせだね」

梓「そうですね」

風子「もしかしてけいおん部と・・・!」

英子「その通りだよ」

風子「・・・」ゴゴゴゴ

梓「え?・・・え!?」

英子「私はたまたま会っただけだよ、ふぅ」

風子「え・・・?」

英子「久しぶりだね、この呼び方」

風子「・・・うん」

梓「??」

風子「梓・・・ちゃん・・・」ユラリ

梓「っ!」ビクッ

風子「なにかやるなら呼んでって言ったのに・・・」

梓(怖いっ!)

490. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:55:52.75 ID:u8FaWllJo
英子「ふぅは今日用事あるって言っていたでしょ?」

風子「だけど・・・」

英子「だけどじゃないの、後輩を怯えさせるのはよくないよ」

風子「・・・はい」

梓「・・・」ホッ

風子「ごめんね梓ちゃん」

梓「いえ・・・。明日の夜は月見ですよふぅせんぱ・・・!」

英子「・・・」プクク

風子「うん」ニコ

梓「・・・」フゥ

英子「月見するの?」

梓「はい・・・。学校終わって河川敷近くの森林公園で・・・です」

風子「団子は用意するの?買うの?」ウキウキ

梓「えぇと・・・唯先輩と憂が用意すると言っていましたけど・・・」

英子「・・・」

風子「それじゃ飲み物だね。なにがいいかな」

梓「むぎせんぱいがお茶を用意しますから、それはいいかと」

風子「手ぶらで参加するのも・・・ね?」

英子「そうだね」

梓「あ、それなら風子せんぱ」

英子「ダーメ。さっきの呼び方がいいよ」

梓「で、でも・・・」

風子「許可するよ」ニコ

梓「そ、そうですか・・・ふぅ・・・先輩・・・」

風子「うん」ニコニコ

英子(なるほど・・・この子も数に入っていたんだね。・・・姫子さんってば)


491. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:56:51.48 ID:u8FaWllJo
和「あら・・・」

唯「おかえり〜」

和「ただいま。唯もおかえり」

唯「ただいま〜」

和「見つかった?」

唯「えへへ」

和「ヒントは見つかったみたいね」

唯「うん!」

和「よかったわね」

唯「・・・うん」

和「・・・」

唯「・・・」

和「・・・」

唯「風のようにね」

和「?」

唯「風のように時が流れていくんだよー」

和「風のように・・・」

唯「うん。あずにゃんが坂道の場所を教えてくれたんだ」

和「・・・」

唯「坂の下から坂の上へ風が流れる場所なんだよ
    とってもゆるやかに流れるんだ・・・」

和「・・・」

唯「自転車を降りて、坂を歩いて登ってみたんだ。風が背中を押してくれるんじゃないかって」

和「・・・」

唯「そんな事はなくて・・・。私の横をするりと駆け抜けていくだけだった」

和「そう・・・」

唯「・・・・・・うん」

和「・・・」

唯「時間が・・・今が・・・・・・わたしの・・・っ・・・よこを・・・」グスッ

和「・・・」

唯「するって・・・・・・風のように・・・っ・・・なが・・・っ・・・れて・・・」グスッ

和「・・・」

唯「いって・・・しまう・・・よ・・・」グスッ

和「・・・」

唯「いや・・・だよぉ・・・」ボロボロ

492. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/04(日) 20:57:17.97 ID:u8FaWllJo
和「・・・うん」

唯「・・・はなれるるの・・・やだ・・・よぉ」ボロボロ

和「うん」

唯「・・・っ」ボロボロ

和「・・・」

唯「・・・ごめ・・・ん・・・ね」ボロボロ

和「風が背中を押してくれるように」

唯「・・・?」グスッ

和「唯の背中を押してくれるように、私が唯と一緒に歩くわ」

唯「??」グスッ

和「風を受け止める面積が広ければ・・・少しは押してくれるでしょ?」

唯「うん・・・」

和「二人じゃあまり遮れないから・・・人数を増やせばいいのよ」

唯「うん」

和「風が・・・時間が駆け抜けていかないように・・・ね」

唯「うんっ」

和「・・・何を言っているのかしら」

唯「えへへ、変な和ちゃん」

和「唯の喩えがおかしいのよ」

唯「そんなことないよっ!」

和「でも、時が風のように・・・。いい言葉ね」

唯「そでしょ・・・。って違うよ!」

和「え?」

唯「風のように時が。だよ!」

和「一緒よ」

唯「ぜんっぜんちがうよー」

和「・・・」

唯「えへへ、ありがと」

和「帰りましょ」

唯「うん!」



最終更新:2011年10月06日 00:15