835. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:43:14.42 ID:fwc/JhO5o
いちご「・・・それでも、他の人の意見は聞くべき」

姫子「・・・逆なんだよ」

いちご「逆・・・?」

姫子「難しい話だから一歩下がって見守りましょうって話じゃないよ
      梓が遠回りしてでも、自分で辿り着かなきゃいけないことだと思う」

いちご「・・・遠回させてるだけ」

姫子「私はそれも必要だと思う」

いちご「時間が無い」

姫子「急いては事を仕損じるって言葉があるでしょ」

いちご「これは仕事や義務なんかじゃない。苦労する必要も無い」

姫子「山の頂上をみて登山するの?足元の花はどうでもいいの?」

いちご「論点がズレてる」

姫子「ズレてないよ。近道することで足元の花を見過ごす事の方が多いんだから」

いちご「どうして登山の話になってるの?」

姫子「ケーブルカーで行くより自分の足で登ったほうが心に残る
      梓にはそっちを選んで欲しいから・・・。例えが下手なのは流して」

いちご「それは梓が決める事。押し付けていい選択ではない」

姫子「そうじゃないと夏と冬の距離が縮まらない」

いちご「・・・それが本音?」

姫子「・・・どうだろ。・・・よくわからない」

いちご「・・・無責任」

姫子「簡単に答えを見つけていい問題ではないと思ってる」

夏香「・・・」

風子「・・・」

いちご「・・・そう、じゃ」

スタスタ

和「唯と圭子ペアが負けたわよ」

姫子「・・・予想を裏切らないね」

風子「ちゃんと話してくる・・・」

夏香「風子」

風子「分かってる・・・。私自身で考えて梓ちゃんに話してみるよ」

スタスタ

姫子「律と澪が相手か・・・。どっちを応援する?」

和「勝つほうね」

姫子「ずるいって」

836. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:44:11.03 ID:fwc/JhO5o
和「珍しいわね、感情を高ぶらせるなんて」

姫子「どうしたんだろうね、いちごは」

和「姫子も少しムキになってたわ」

姫子「そんな事ないよ」

和「自分を客観的に見られないのね」

姫子「和に言われたくない・・・」ハァ

和「?」

夏香「・・・」

和「しっかり風子に意見を伝えてしまったわよ」

姫子「・・・うん。梓は冬が入院して危険な状態になったことを知らない。だから夏と対等に言い合える
      それと似たような事なんだけど・・・難しいね・・・」

夏香「・・・いちごさんの意見も聞いて考えると思うよ」

姫子「それなら・・・いいのかな・・・」

和「どうかしらね」

姫子「・・・」

和「それで、本音は?」

夏香「聞くんだ・・・」

姫子「・・・知らないままでいたほうが冬と夏を引っ張ってくれるような気がする。・・・他力本願だよね」

837. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:46:54.61 ID:fwc/JhO5o

―――――教室


風子「相馬さんの過去を知ると、梓ちゃんは夏ちゃんと冬ちゃんを置いて先に進んでしまうって事かな」

いちご「・・・どうして?」

風子「知ると知らないでは、その人の見方って結構変わるよね」

いちご「・・・」

風子「私もさっきの姫ちゃんとのやりとりで、いちごちゃんが優しいって」

いちご「話がズレてる」

風子「・・・はい」

いちご「・・・」

風子「よくない先入観を持っているけど、そのおかげで少しずつ学んでいけてると思う」

いちご「・・・」

風子「遠回りだけど、辛い道だけど・・・。この道のほうが確実だと思う」

いちご「・・・それじゃ、どうして迷ってるの?」

風子「・・・うん」

いちご「話を聞く限りでは・・・」

風子「・・・うん。人を知らないで嫌いになるのは寂しいよ」

いちご「・・・」

風子「・・・」

いちご「・・・もう会わない人なのに?」

風子「卒業した後に、いちごちゃんに嫌われるのって私は悲しい」

いちご「・・・」

風子「・・・」

いちご「そ、それで?」

風子「意見を貰おうと思って」

いちご「止められたよね」

風子「・・・姫ちゃんの意見も聞いたから、いちごちゃんの意見も聞いて、私が決めれば問題ないと思う
      それに、反対にある意見だから多数で結論を見つけ出すことにはならないよ」

いちご「・・・」

風子「どうぞ」メモメモ

いちご「・・・ふざけるなら」

風子「・・・」サッ

いちご「・・・取り返しのつかないことになるのが嫌なだけ。近道でも答えを必ず見つけたい」

風子「・・・」

いちご「・・・」

風子「そっか・・・。ありがと・・・・・・」

いちご「・・・」

風子「・・・どうして突っ掛ったの?」

いちご「・・・・・・・・・姫子のやり方が納得できない」

838. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:47:42.43 ID:fwc/JhO5o

―――――放課後

ジャンッジャンッジャンッ

律「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」

シーン

律「わ、私たち・・・」

澪「あぁ・・・」

唯「プロだよ・・・」ゴクリ

梓「そんな訳ないじゃないですか」

紬「・・・」ニコニコ

律「んだよー。インスピレーションは大事なんだぞー」

澪「・・・むぎ」

紬「・・・」コクリ

コンコン

ガチャ

夏「せんぱーい、お迎えにあがりましたー」

唯「わざわざご苦労様。さ、お茶をお出ししますわ」

夏「お心遣い感謝します。しかし、急がねばなりませんので」

律「あら、大変ですのね」

澪「・・・」ガサゴソ

紬「・・・」ガサゴソ

澪「よいしょ・・・。今日はこれで、解散・・・?」

律「んー・・・。特に予定もないんだよな」

唯「そだね〜」

梓「私はもう少し練習して帰ります」

紬「・・・」コクリ

澪「分かった・・・。じゃあな」

紬「・・・」フリフリ

夏「・・・お、お疲れ様でしたー」

唯「ばいばーい」

バタン

839. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:48:22.93 ID:fwc/JhO5o
澪「みんな集ってるの?」

夏「はい。他の先輩方も待ってますよ」

紬「・・・」

澪「少し遅れたか」

夏「・・・」

スタスタ

夏「・・・」

紬「・・・?」

澪「どうした、夏?」

夏「い、いえ・・・。行きましょう」

澪「夏は毎回会議に参加しているの?」

夏「はい!皆勤ですよ!」

紬「・・・」ニコニコ

夏(なんだろ・・・部室から出るときに感じた違和感・・・)

840. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:49:04.71 ID:fwc/JhO5o

―――――2年生のクラス

ガチャ

澪「遅れました」

紬「・・・」ペコリ

夏「・・・」サッ

テッテッテ

夏「・・・」ストッ

さわ子「ご苦労様、夏ちゃん」

夏「いえいえ、これくらい」

純「そうだ、どうってことないはずだ」

夏「・・・」

澪「・・・」スト

紬「・・・」ガサゴソ

「?」

夏「紬先輩は鍵盤の音を声にするんだよ」

紬「・・・」プッププー

「あ・・・そうだったね・・・」

和「では、学園祭の話を進めたいと思います」

841. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:49:39.88 ID:fwc/JhO5o

――・・・

和「では、これで今日の会議は終わりです」

さわ子「野点班と屋台班はそれぞれ作業を進めておいてね。お互いをフォローできるようにしてあるけど
        要所要所では班長の判断に任せるから」

純「はい」

紬「・・・」コクリ

「・・・」

和「学園祭にむけて頑張りましょう」

夏「はい!」

純「楽しみになってきましたね」

澪「そうだな」

美冬「・・・それじゃ、帰ろうか」

「そうだね」

「お先に・・・」

スタスタ

澪「うん、明日ね」

紬「・・・」フリフリ

純「これから部室へ行くんですか?」

澪「んー・・・、寄ってみる?」

紬「・・・」コクリ

澪「寄ってから帰るよ」

純「そうですかー、それではまた明日」

紬「・・・」フリフリ

和「じゃあね」

夏「おつかれさまでーす」

バタン

「・・・」

さわ子「・・・あなたたち帰らないの?」

「ここ私たちの教室ですから・・・」

さわ子「・・・それもそうね。結局メイド喫茶は無しなのよねぇ」

スタスタ

バタン

純「えーっと・・・」ガサゴソ

夏「なに探してんの?」

純「給食の時に残しておいたパンを」

夏「どうして残したの?」

純「近所に捨てられた猫がいてね・・・。おこづかいでは足りないから」

夏「・・・」プクク

純「名前はね小次郎っていうんだ・・・」

842. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:51:51.48 ID:fwc/JhO5o
夏「調子に乗ったでしょ?・・・名前はいらなかったなー」

純「むむ・・・」

夏「給食とかは面白かった。どうしてそんな事やってんの?」

純「律先輩がいきなりフッてくるから、そういう思考に・・・あった・・・。パン」

夏「・・・」

純「お昼食べられなかったから。今食べよーっと」パサ

夏「・・・」ジー

純「なにさ」

夏「・・・純って、こんなアホみたいなキャラだったんだなーって」

純「アホは余計だって!」

夏「あははっ、ごめんごめん」

「・・・あのさぁ」

純夏「「  ん?  」」

「合同企画なのはいいけど、今の流れって完全に3年生の主導じゃない?」

「ちょっと由記!」

純「と、いいますと?」モグモグ

由記「野点茶店も、露店の駄菓子も3年生が決定した事でしょ?」

夏「・・・」

純「・・・」モグモグ

由記「私たちってそれに合わせてるだけじゃない」

「由記!」

純「いいよ、来美・・・。そういう事も聞きたいから。
    ・・・というか、先輩たち何度も確認していたよね『案は無い?』って」

由記「・・・」

純「黙っていたなら案が無いって事で話が進むのは当然。露店だって私たちが決めるはずだったのに」

来美「・・・」

由記「・・・でもさ、カステラや水あめなんかはいいけど、沖縄の料理ってなに?どういう流れなのよ?」

純「それは私にも分からない。食べてないし、どんな風に仕上がるのかも分からない。けど悪くないって話だよ?」

夏「・・・」

「やってみたい料理があるなら提案すればいいじゃん。・・・純の言う通りだよ」

由記「・・・」

純「オーケー?」モグモグ

「私からも一言」

夏「だから、先輩たちがいる時に話せって!」

由記「!」

来美「!」ビクッ

純「怒るなよ、夏。・・・なに、千雨」

千雨「・・・純が班長なのは・・・。まだ分かる」

純「まだ・・・って・・・」

千雨「・・・どうして琴吹先輩なの?」

843. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:52:52.49 ID:fwc/JhO5o
夏「どういう意味・・・」

由記「・・・千雨っ」

千雨「・・・要所要所で伝わらない事の方が多い・・・でしょ」

夏「千雨ッ!」

純「落ち着けって、夏・・・」

夏「純、あんたこんな事言わせて平気なの!?」

純「平気なわけないじゃん・・・。『喋れないから伝わらない』、それが理由で班長の役疑われてんだから」

千雨「そこまでは・・・」

純「そういう事でしょ。野点茶店の班長は紬先輩が適任なんだよ、それは3年生が決めた事」

来美「・・・フォローできるの・・・?」

純「やる。やってみせる・・・って梓が言ってる。・・・実際に聞いたわけじゃないけど」

夏「・・・なにそれ・・・・・・」

由記「・・・」

千雨「・・・」

純「もしかして、私たちのクラスってそんな乗り気じゃなかった・・・?」

来美「ううん、みんなって訳じゃないけど、楽しみにしてる子多いよ」

夏「・・・不満を持ってる子もいると」

来美「・・・うん」

夏「なんで今頃っ」ムスッ

純「今でよかったって事・・・かな。前日にそんな言われたら嫌だなぁ」モグモグ

千雨「・・・」ジー

由記「・・・」ジー

来美「・・・」ジー

純「な、なに・・・?」

夏「・・・別に」

844. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:53:30.82 ID:fwc/JhO5o
―――――廊下

「今日姫子さんいなかったよ?」

美冬「バイトじゃないのかな」

「・・・」

和「私は生徒会に行って来るから。また明日ね」

澪「うん、じゃあね」

紬「・・・」フリフリ

澪「私たちも部室行って来るから」

紬「・・・」

美冬「うん、じゃあね」

「・・・バイバイ」

「また、明日」

845. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:54:47.24 ID:fwc/JhO5o

―――――玄関


「あ、やっと来たぁ」

「会議おつかれさま」

「・・・待っててくれてありがと」

「それじゃ行こっか」

美冬「これから遊びに行くの?」

「そう。ボウリングへ!」シュッ

「・・・ここでフォームの確認するのやめたほうがいいよ」

美冬「ふーん・・・」

「一緒に行く?」

「行こう?」

美冬「何人か誘っていい?」

「いいよ。たくさん呼んじゃって」

美冬「・・・うん」ピッピッポ

trrrrrrr

「こうでしょ」バシュッ

「それ、ゴルフ」

「ふふっ」

「久しぶりだね、ボウリング行くの」

『はーい。美冬ちゃん今終わったのー?』

美冬「うん・・・。ちか、今どこ?」

『駅前ー。エリちゃん達と駄菓子屋行った帰り』

美冬「・・・最近・・・・・・置いていかれてるような・・・気が・・・する・・・」

『そっ、そんな事ないよー!?海へ行ったのはたまたまだし・・・鍋パーティもちゃんと!』

美冬「・・・いいんだけどね・・・」

『そっ、それで、なにかなー!?』

美冬「・・・ボウリング」

『ボウリング?・・・またやるんだ!行くよ!』

美冬「あ、今回は・・・。愛さん、つかささん、俊美さん、ますみさんの4人だよ」

つかさ「前回は姫子さんもいたんだよね」

愛「楽しそうな話だったよね」

ますみ「・・・うん」

俊美「こうっ」シュッ

ますみ「それはフリスビー」

愛「ふふっ」

プツッ

美冬「ちかと、エリさん達も一緒に駅前で待ってるって」

846. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:56:15.01 ID:fwc/JhO5o
ますみ「オッケ。それじゃ、行こっか」

俊美「うん」

スタスタ

愛「あのね、一つ気になっているんだけど」

つかさ「どうしたの?」

美冬「?」

愛「2年生の事なんだけど・・・」

つかさ「あ・・・」

美冬「やっぱり気付いた?」

愛つかさ「「  うん・・・  」」

俊美「?」

ますみ「どうしたの・・・?」

美冬「ちょっとした摩擦っていうのかな・・・」

愛「2年生は楽しくないのかな・・・」

つかさ「・・・」

美冬「・・・明日姫子さんに相談してみるよ」

俊美「どうして姫子さん?和さんとか律さん澪さんじゃないの?」

美冬「・・・?がりを持ってるから・・・ね」

つかさ「総合班長だよ」

ますみ「・・・それは初めて知った」

俊美「・・・うん」

美冬「・・・今日もいい点出すよっ」グッ

847. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:57:20.09 ID:fwc/JhO5o
―――――廊下


夏「行こうよ」

純「行きたいけど、私はジャズ研に行くから夏だけで行きなさい」

夏「そんなの次でいいでしょ、あたし1人じゃ色々気まずいからさぁ」

純「子供かあんたは・・・。今日は抜け出せないから無理だっての。次ってなんですか」

夏「小さいところも拾ってくれるのか純は」

純「・・・夏?」

夏「ん?」

純「いや・・・なんでもない・・・。というか、じゃあ!」

タッタッタ

夏「純ッ!」

純「受け入れてくれるってー安心しなさーい!」

夏「・・・考えてみたら純に頼るのもアレだな」ウンウン


848. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:58:31.64 ID:fwc/JhO5o

コンコン

ガチャ

夏「失礼しまー・・・す・・・」

澪「夏・・・?」

紬「・・・?」

夏「・・・えぇと」モジモジ

澪「なにか用事?」

紬「・・・」

タッタッタ

夏「そういう訳では」

ギュ

夏「?」

紬「・・・」グイグイ

夏「・・・っ」

紬「・・・」ポンポン

夏「えーと、座っていいんですか?」

澪「うん」

夏「それでは・・・」ストッ

コポコポ

紬「・・・」スッ

夏「ありがとうございます」

澪「どうした?」

夏「・・・話がしたいなぁと思いまして・・・」

澪「・・・そうか」

紬「・・・」ニコニコ

夏「唯先輩たちは・・・?」

澪「帰ったよ。紅茶と置手紙があったから」

夏「お、置手紙?」

澪「ほら」

ペラッ

『探さないでください』

夏「ブフッ」

849. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 22:59:13.07 ID:fwc/JhO5o
澪「最初はリアクションを見ようと隠れているんだと思ったけど、居ないみたいだ」

紬「・・・」プッププー

夏「?」

澪「その紅茶、律が淹れたんだって」

夏「律先輩が・・・」ゴクリ

澪「味はそこそこだから大丈夫」

紬「・・・」プップププー

澪「・・・おいしいから大丈夫」

夏(言い直したって事は・・・そう言ったのかな・・・なんかいいなぁ)ズズーッ

紬「・・・」ニコニコ

澪「・・・」

夏「・・・おいしい」

澪「2年生は学園祭楽しめそうかな?」

夏「はい!楽しませてやります!」ドン

紬「・・・」キリ

澪「そうか・・・。なら安心だな」

夏(気付いていたのかな・・・)

紬「・・・」スッ

夏「いただきまーす」モグモグ

澪「・・・」

紬「・・・」

夏「おいしいですね〜。梓は毎日こんなおいしいおやつを食べているんだ、ずるい」

澪「ふふっ」

紬「・・・」ニコニコ

夏「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

夏「・・・?」

澪「紅茶が温かいから隠れていると思ったんだけどな」

紬「・・・」ププップップー

澪「そう、楽器と鞄もないから帰ったんだ・・・」

夏「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

夏(話すの待っててくれているのかな・・・)

850. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:00:25.13 ID:fwc/JhO5o
紬「・・・」プップップー

澪「昨日いちごが作ったヤツ?」

紬「・・・」コクリ

夏「沖縄の料理でしたよね?」

澪「うん。おいしかったよ、むぎ」

紬「・・・」コクリ

澪「これから練習で何度も作るから、その時食べればいいよ」

紬「・・・」ニコニコ

夏「沖縄・・・・・・」

澪「行った事ある?」

夏「ないです。遠方なら北海道に親戚はいますけど」

紬「・・・」コクコク

澪「北海道か・・・。駄菓子として料理できる一品とかないかな?」

夏「そうですねぇ・・・。じゃがいもを使ったお菓子とか乳製品を主とした品が多いような」

紬「・・・」ププッププップー

澪「ポテチ・・・は、うーん・・・駄菓子として認められるのかどうか判断に困るな・・・」

夏「素材を活かした料理が多いような気がします。現地で作るからおいしいっていうか」

澪「そうか・・・。それだとここで手に入る材料では難しいな」

紬「・・・」

夏「すいません・・・。独特な料理を知っていればよかったんですけど」

澪「ううん。駄菓子とは言っても、おやつ感覚だからな。料理としてみると難しくなる」

紬「・・・」コクリ

夏「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」プップップー

澪「・・・『約束』?」

夏「!」

紬「・・・」ププップップー

澪「誰との約束?ってさ」

夏「・・・」

紬「・・・」フンスフンス!

澪「落ち着けむぎ・・・」

夏「小学校に上がる前、私たち二人・・・私と冬ねぇは北海道の親戚に預かってもらった事があるんです」

澪(冬ねぇ・・・。そう呼ぶの初めて聞いたな・・・)

紬「・・・」コクリ

851. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:03:13.11 ID:fwc/JhO5o
夏「うちの両親は商社関連の仕事をしていて、家を空けていることが多かったんです
    ある事が起きてからは、母さんは仕事を辞めましたけど」

紬「・・・」

澪(ある事・・・か・・・)

夏「それで長期間両親が留守になるから、と北海道へ預けられたんですね」

紬「・・・」コクリ

夏「何日か過ぎて私が駄々をこねたんです。『お母さんとお父さんに会いたい』って泣きじゃくって」

澪「・・・」

夏「そしたら冬ねぇが『夕陽を見に行こう』って、手を引っ張ってくれて」

紬「・・・」ニコニコ

夏「・・・その夕陽がとっても綺麗で・・・。寂しい気持ちなんて飛んでいったんです
    握ってくれる手の暖かさと、夕陽の暖かさが私を満たしてくれて」

澪「・・・」

夏「冬ねぇがその時言ったんです。『また、見に来ようね』って」

紬「・・・」

澪「それが『約束』・・・」

夏「はい。・・・でも、私たち間が抜けてて・・・。その『約束の場所』を覚えていないんです」

紬「・・・」

夏「冬の体力の事もあって、・・・探しに行く事すらできませんけど」

澪(戻った・・・。無意識なのか・・・)

紬「・・・」
    
夏「あの日の約束を・・・私は・・・」

紬「・・・」プップッププー

夏「?」

澪「諦めたら見つけられない。・・・ってさ」

夏「!」

澪「・・・そうだな。探さないと見つからないよな」

紬「・・・」コクリ

夏「ふふっ」

澪紬「「  ?  」」

夏「あ、ご、ごめんなさい・・・。冬ねぇと同じ事言ったんでつい・・・」

澪「そうか・・・」

紬「・・・」ニコニコ

852. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:04:29.60 ID:fwc/JhO5o
夏「私が食べたアイスの当たり棒を失くしてしまったんですよ。
    明日交換しに行こうと思って置いておいたそれを」

紬「・・・」ニコニコ

夏「秋の終わりごろだったんで、私は適当に探していたんですけど、冬ねぇが
    『諦めたら、見つからないよ』って・・・的外れな励ましをくれたんですよ」

澪「ふふっ」

夏「結局見つからなくて・・・。次の日・・・わざわざ買ってきてくれたんです
    『見つけられなくてごめんね』って・・・」

紬「・・・」

夏「実はその時、少し悔しかったんです」

澪「?」

夏「当たりが出たとき『冬ねぇにあげよう』って思っていたのに・・・。
    失くして、『まぁ、いっか』って思った自分に」

澪「・・・」

夏「いっつも私の先にいる冬ねぇに・・・」

紬「・・・」ププッププッー

澪「暖かな記憶・・・」

夏「・・・・・・はい」

紬「・・・」ニコニコ

853. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:06:01.48 ID:fwc/JhO5o
―――――玄関


夏「不思議な人ですねー。私の想い出話を楽しそうに聞いてくれて」

澪「・・・そうだな」

夏「ついつい喋ってしまうんですよねー」

澪「うん」

夏「梓が懐くわけですよ」

澪「・・・」

夏「お昼にも一緒に遊んで」

澪「なにかあった?」

夏「ないですよ」

澪「・・・そっか」

夏「・・・」

澪「やけに、むぎの事を喋るから」

夏「・・・」

澪「なんでもない。気にしないでくれ」

夏「・・・・・・少し・・・嫌な事があって」

澪「そうか・・・」

夏「・・・」

タッタッタ

紬「・・・」プップププー

澪「歩きながら吹くと危ないぞ」

紬「・・・」ププップー

夏「・・・」

紬「・・・」ガサゴソ

澪「夏・・・」

夏「はい」

澪「一緒に居ないと知らない事、見えないことが増えるんだ。
    失って気付く事もあるけど、な・・・」

夏(分かったんだ・・・)

紬「?」

澪「なんでもない。行こう」

夏「・・・」

854. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:06:57.47 ID:fwc/JhO5o

―――――河川敷・橋の上


澪「水切りしてるのか」

夏「・・・」

紬「・・・」

澪「・・・」

夏「梓に気付かれた・・・。どうして分かったんだろ」

紬「・・・」フリフリ

澪「私たちも降りよう」

紬「・・・」コクリ

夏「私はここで失礼します。・・・では、明日」

澪「・・・」

紬「・・・」

夏(・・・部室で先輩たちは別れの挨拶してなかったから、違和感を感じたんだ)

スタスタ

855. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:08:34.44 ID:fwc/JhO5o

冬「えいっ」シュッ

チョン  チョン  ポチャ

冬「・・・」

律「まだまだ修行が足りんようじゃのう」

風子「どうぞ」

律「うむ・・・。って、これでやんの?」

風子「はい」

律「ごつごつしてて・・・不向きかなぁって・・・」

風子「修行は伊達じゃなかったと、私どもにお見せ下さい」

律「う、うむ」

冬「・・・」

律「おりゃっ!」シュッ

ポチャン

風子「見て見て、これ綺麗な石だよ」

冬「は、はい」

律「水切れるわけないだろー!」

風子「耳に当てると潮騒が・・・」

律「聞こえるわけないだろ!」

風子「しずかに・・・」ウットリ

冬「え・・・?」

律「そ、そんなわけないだろ・・・」

風子「耳に当ててみて」

律「ま、マジかよ・・・」ゴクリ

シーン

律「・・・・・・聞こえないぞ・・・?」

風子「そこの石の裏にカニいそうだよね」

冬「ふ、風子先輩・・・」

律「悪かったからさぁ・・・冬をいじめたの謝るからさぁ・・・」シクシク

紬「・・・」シュッ

チョン  チョン  チョン  チョン  チョン  チョン  コロコロ

律「向こう岸まで渡りやがった・・・」

紬「・・・」フンス

風子冬「「  すごい・・・  」」

856. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:10:17.52 ID:fwc/JhO5o

唯「おぉ」

憂いちご「「  すごい  」」

澪「な、なんだ今の・・・」

英子「・・・奇蹟とか」

唯「川を渡った小石さん」

憂「澪さんと紬さんはどうしてここへ・・・?」

澪「むぎと夕陽を見に・・・ね。みんなは?」

憂「のんびりしてました」

英子「部室で少しお話して、ここへ来たの」

澪「・・・そっか」

唯「帰るのもったいなくて」エヘヘ

いちご「・・・」

律「何気に風子ひでえな・・・」

澪「どうせ冬をからかっていたんだろ」

律「そうですとも。・・・って梓は?」

澪「夏を追いかけて行った」

律「・・・それ、何かの歌詞みたいだな」

いちご「・・・」


857. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:12:01.90 ID:fwc/JhO5o

夏「ん?梓か・・・」

梓「・・・」

夏「どうした?」

梓「それが『夏』なの?」

夏「・・・ん?」

梓「遊園地で話を聞いてから、・・・夏がハッキリ見えてきたような気がする」

夏「言ってる事が分からないんだけど???」

梓「『夏』の中に『冬』を見ているような時があって」

夏「・・・」

梓「・・・」

夏「な、なにそれ・・・」

梓「自分でもよく分かってないから、説明・・・しづらい・・・」

夏「へ、変な事言うなよな・・・。びっくりするだろ・・・」

梓「その口調とか・・・」

夏「・・・」

梓「・・・・・・」

夏「姫子先輩から聞いたの?」

梓「?」

夏「・・・この髪の毛の話・・・とか」

梓「???」

夏「知らないのか・・・。・・・梓って変なヤツだよね」

梓「・・・初めて言われた・・・。どうして?」

夏「見抜かれた感じがしたからさ・・・。私たちの事って何も聞いてないの?」

梓「・・・うん」

夏(入院の事聞いていたとしたら、夏香先輩のお姉さんくらい・・・かな)

梓「夏と冬の事・・・でしょ?」

夏「あのさ・・・実は・・・わた・・・俺・・・」

梓「俺!?」

夏「・・・うん。俺この顔だろ?だから、よく女に間違えられてさ」

梓「!!!」

夏「実は・・・」

梓「・・・っ!」

夏「ブフッ」

梓「・・・」

夏「くだらない話は置いといて、・・・入院していた頃の話も聞いていないんだ?」

梓「・・・からかっておいて、話続けないでくれる?」

夏「顔真っ赤にしてたから、やめたんだけど?」

梓「人をおちょくっておいて偉そうにしないで」

夏「あっはっは!梓おもしろーい!」

858. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:13:17.28 ID:fwc/JhO5o
梓「・・・で?」

夏「起こるなよ〜」

梓「聞いてあげるから話続けていいよ」

夏「えっらそう!」

梓「夏に言われたくないけど」

夏「・・・そうだよね」

梓「また、そうやってからかう」

夏「ううん、あたし・・・。人にモノを言う資格なんてないんだ」

梓「・・・」

夏「冬がマネージャーとして入部してから、髪を切った。元は今の冬と同じ長さ」

梓「・・・」

夏「どうして切ったのか。それは、『冬』がここにいるから」

梓「?」

夏「あたし達さぁ、よく間違えられるんだよね。親父でさえ、あたしの事冬と呼ぶ時がある」

梓「・・・」

夏「呼ぶことがあった・・・。でも、こうすれば判別つくでしょ」サラサラ

梓「・・・うん」

夏「どうして切らなかったのか。それは、『冬』がそこにいなかったから」

梓「・・・」

夏「あたしが『冬』としてそこに居れば・・・。誰かの・・・っ・・・こころ・・・っに・・・いて・・・くれる・・・」

梓「・・・」

夏「『冬』を・・・っ・・・見てくれる・・・っ・・・て・・・そう・・・思った」

梓「・・・」

859. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:16:09.94 ID:fwc/JhO5o
夏「バカ・・・だよ・・・な・・・っ・・・。・・・こんな事してさっ・・・」

梓「うん。バカだね」

夏「っ!」

梓「それは冬の居場所じゃないよ。・・・人の居場所は他人が作れるモノじゃない・・・」

夏「でもっ・・・そうしてでも・・・誰かに・・・冬を・・・見て・・・欲しかった・・・」

梓「夏の居場所がなくなるでしょ」

夏「そんなの・・・いらない」

梓「冬はそう思ってないよ」

夏「そんな事はどうでもいいよ。あたしの・・・意思なんだから」

梓「本人の意思を無視して言い訳がない。それは自分勝手な行い」

夏「梓はさ・・・。紬先輩がいるから・・・先輩たちがいるからそう言えるんだよ」

梓「・・・」

夏「普通に過ごして来た梓と、冬とあたしの価値観は違うよ」

梓「価値観・・・」

夏「病室には気の合う人。優しい人。暖かい人。たくさんいたよ。
    けど、冬とケンカできる人なんていなかったよ・・・。価値観を押し付けられて怒る冬じゃない
    価値観を押し付けてくる人も居ない。みんないい人・・・。楽しい人・・・」

梓「・・・」

夏「それは間違いを正せる機会が少ないって事・・・」

梓「・・・」

夏「あたしは学校で同じ歳の子達とたくさんバカできた」

梓「・・・」

夏「冬は・・・違う歳の子達と接してきた。たまに妹になったり、姉になったり、孫になったりってね」

梓「・・・」

夏「それもいつまでも続かない。・・・あたしは」

梓「そんな事はどうでもいいよ」

夏「なっ!」

梓「旅の途中で大事なのは前を見ること」

夏「・・・?」

梓「過ぎ去った場所での楽しかった思い出に耽って、到着した場所で時間を潰す?
    私は嫌だ。その場所でしか楽しめないことがたくさんある。そう、むぎせんぱいは教えてくれた」

夏「・・・」

梓「それを思い出させてくれたのは冬だよ」

夏「!」

梓「今までの冬を・・・っ!」

夏「・・・」

梓(私にそれを言う資格は・・・ない・・・。・・・苦い言葉・・・・・・)

夏「・・・」

梓「何時まで、過去の冬を見てるの?」

夏「・・・っ!」

梓(・・・私が言っていい言葉では・・・ない・・・よね・・・)

860. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:18:20.17 ID:fwc/JhO5o
夏「あたしは・・・今の・・・冬を・・・見られない・・・」

梓「?」

夏「・・・・・・奪ってしまう・・・とこ・・・だ・・・ッ・・・た」

梓「夏っ!」

夏「今の・・・っ・・・ふゆ・・・のっ・・・いば・・・しょを・・・」

梓「いいからっ!」

夏「・・・・・・それ・・・がっ・・・とても・・・こわ・・・い・・・っ」

梓「・・・」

夏「・・・た・・・ま・・・・・・らな・・・く・・・怖いッ!」

梓「いるから」

夏「・・・っ・・・!」

梓「ちゃんといるから、大丈夫だよ」

夏「・・・っ・・・」

梓「『冬』は私たちと一緒に・・・いるから」

夏「・・・っ・・・うん」

梓「ずっと私のこころの中にいるから」

夏「ほん・・・と・・・?」

梓「うん。私は、この季節を一生忘れない」

夏「き・・・せつ・・・」

梓「夏から冬へかけて」

夏「・・・」

梓「絶対に忘れない」

夏「・・・うん」

梓「だから、絶対にいなくならない」

夏「・・・うん」グスッ

梓「・・・」

夏「・・・ありがと、梓・・・っ」グスッ

梓「・・・別に・・・気にしなくていいよ」

夏「・・・っ・・・・・・ありがとぉ」ボロボロ

梓「な、夏が泣くなっ・・・調子・・・狂うっ」グスッ

夏「ふゆと・・・あず・・・さが出会えて・・・よか・・・っ・・・たぁ」ボロボロ

梓「っ!」

861. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/09(金) 23:20:49.82 ID:fwc/JhO5o

――・・・

夏「目真っ赤」

梓「そっちもね」

夏「プールから出た後みたいになってるよ」

梓「だから、そっちもね」

夏「・・・」

梓「・・・」

夏「・・・・・・」

梓「・・・・・・・・・」

夏「ここは同時に笑うとこじゃないの?」

梓「は?」

夏「ほら、漫画とかであるでしょ。笑いあって爽やかな風が吹いて」

梓「くだらない・・・。行くよ」

夏「『おまえやるな』・・・『おまえもな』・・・」

梓「・・・」

スタスタ

夏「『いや、俺の方がやるな』・・・『はぁ?』・・・二人はまた殴りあう」

梓「・・・っ」

スタスタ

夏梓「「  ブフッ  」」

梓「うわ・・・。自分で言って笑ってる・・・」

夏「想像したらさ、すっごいくだらないじゃん?・・・空気に負けたってヤツ」

梓「あっそ・・・」

夏「『俺らの事夕陽が祝福してくれてんぜ』・・・『ははっ』・・・」

梓「夏バカの対処法は確か」

夏「なにその夏バテみたいな括り・・・」

梓「バカ夏」

夏「常夏みたいに言わないでくれるかな」



最終更新:2011年10月06日 01:54