- 224. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/15(木) 22:14:13.99 ID:IXB7RD5ro
-
唯『 Utauyo!!MIRACLE 』
デンデンデデデデーン デンデンッ
唯『 みんなが大好きっ!!
延々続行ルララMiracle Sing Time
歌って 歌って 愛伝える最強手段
つたない曲でも 微妙な歌詞でも
届けたい 精一杯のSoulをっ! 』
- 226. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/15(木) 22:31:02.74 ID:IXB7RD5ro
- 唯『 どうしてもホームワークよりも重要課題
放課後のお茶 おしゃべり 練習
ユーモア ナチュラル めくるめく笑い ウケ過ぎてお腹痛い 』
律(手・・・震える・・・)
唯『 呼吸(いき)ぴったしexcellent! でも苦手なリフまだあったの
特訓つきあってくれる?も少し 門限まで だって帰りたくない
never never・・・Can't Say Good-bye 』
- 227. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/15(木) 22:32:57.25 ID:IXB7RD5ro
-
唯『 めちゃめちゃ大好きっ!!
超絶ぞっこん ルララWonderfull Show Time
音楽って 音楽って もう私たちまんま
スタンディングオベーション 賞 オーディエンスなしでも
奏でたい 瞬間のrealを
昨日の後悔って明日の心配って
ぶっちゃけぶっちゃけ誰得?何得?
ラッキーはいつだってね“今”つかむもの
頑張れ乙女 与えられん、さらば ッ』
梓(指が・・・動かない・・・!)
紬「・・・」
澪(唯の声が・・・)
唯『 どんな本にも書いてない授業じゃちょっと教わんない
けど一生忘れない
この世にないと思ってた奇跡一緒にね歌えば
信じられるんだ 強くなれる・・・っ・・・だっ 』
- 228. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/15(木) 22:34:10.52 ID:IXB7RD5ro
-
一つずつ
音がこぼれていく
すぐそこにある
終わりが
別れが
みんなのこころをズタズタにしていく
りつ あずさ ゆい
むぎ
澪「―――まだ」
―――まだ終わってない
- 229. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/15(木) 22:34:57.63 ID:IXB7RD5ro
-
律「――ッ!」
梓「――ッ!」
紬「――!」
唯『 みんなが大好きっ!!
延々続行ルララMiracle Sing Time
歌って 歌って 愛伝える最強手段
つたない曲でも微妙な歌詞でも
届けたい精一杯のSoul 等身大のlifeを
今日は昨日みたい?明日は今日みたい?
大丈夫 大丈夫 楽しかったら大正解
ロッカーはいつだってね?今"やんちゃ盛り
進め乙女 抱きしめて 希望をッ 』
澪唯「『 大好き 大好き 大好きをありがとう 』」
律唯「『 歌うよ 歌うよ 心こめて今日も歌うよ 』」
梓唯「『 大好き 大好き 大好きをありがとう 』」
紬唯『 歌うよ 歌うよ 愛をこめてずっと歌うよ 』
- 230. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/15(木) 22:37:32.16 ID:IXB7RD5ro
-
部室に戻って
先輩方は子どものように泣いた
私はむぎせんぱいの涙を拭くことでバランスをとってしまったから
泣けなかった
後になって後悔するんだろうと思った
1人で泣いて後悔するんだろうと思った
泣きつかれたのか唯先輩が寝てしまった
それにつられてむぎせんぱい、律先輩、澪先輩
出店の事なんて忘れて
5人並んで眠ってしまった
目を覚ますと和先輩、憂、純、3年生、2年生、さわ子先生が準備をしていた
その時には学園祭は終わっていた
それからはみんなで打ち上げをしてひたすら騒いだ
楽しすぎて
それらの記憶がない
むぎせんぱいも楽しんでいたから、私もそれ以上に楽しめた
どんな話をしたのか、どんなゲームをしたのか記憶に残ってないけど
楽しかったという確かな思い出だけが生まれた
とうとう来てしまった
別れの日が
- 231. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:49:16.69 ID:5Gr5Uk3Fo
-
9月28日
「・・・」ピップップ
trrrrrr
プツッ
「もしもし」
『もしもし、轍くんかい?』
轍「はい」
『これからフライトなんだね?』
轍「そうです。修平さんにはお世話になりました」
修平『いやいや、キミは仕事をこなしてくれて、僕はそのお礼をしただけだよ』
轍「いえ、夢を繋げる事ができましたので」
修平『ははっ、まぁそれはいいとして』
轍(そんな軽く言わないでくださいよぉ・・・)
修平『暦には電話したのかい?』
轍「後でかけようと・・・」
修平『そうかそうか、義兄としては気になっててねぇ、あっはっは』
轍「・・・」
『お義姉さんと話をさせて』
轍(うわぁ・・・もうすっかり義弟扱いだぁ)
修平『今、葉子に変わるよ。轍くん、応援してるからな』
轍「はい、本当にありがとうございました」
修平『うん。無事に帰ってきてくれよ。それじゃ』
葉子『もしもしー』
轍「お久しぶりです、葉子さん」
葉子『お久しぶりね。これから大変だろうけど、あなたならひょいと乗り越えられるわ』
轍「ははは・・・」
葉子『あと、義妹のことよろしくね♪』
轍「はい」
葉子『またやーたい〜』
轍「それでは、また」
プツッ
- 232. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:50:06.45 ID:5Gr5Uk3Fo
- 轍「・・・ふぅ」
ピッピッピ
轍「敵わないなぁあの夫婦には・・・」
trrrrrr
ドンッ
「にゃっ」
ポロッ
轍「おっと」
カラカラカラ
「すいません」
轍「こっちこそ余所見をしてたから。ごめん」
「いえ」
ヒョイ
轍「シーサー?」
「それ私のケータイで・・・あ・・・」
轍「・・・?」
「相馬・・・轍・・・さん・・・」
轍「中野梓・・・さん・・・?」
梓「は、はい」
轍「・・・」ジー
梓「な、なんでここにいるんですか?」
轍「飛行機に乗るから・・・」
梓「そうですか」
『もしもし、もしもし?』
轍「・・・あ」
梓「どうぞ」スッ
轍「・・・」
梓「?」
轍「キミは・・・旅をしてきたんだね・・・」
梓「は?」
- 233. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:51:32.95 ID:5Gr5Uk3Fo
- 『もしもし・・・轍くん・・・?』
轍「出て」
梓「・・・大丈夫ですか?」
轍「俺の頭は至って通常だよ。なにか伝わるかもしれないよ」
梓「またそれですか・・・」イラッ
轍「・・・」
梓「も、もしもし・・・」
『え!?』
梓「当然こうなるじゃないですか!」
轍「名前を言って」
梓「なにがしたいんですか・・・中野梓です」
『あずさ・・・?・・・え?』
轍「ごめん、貸して」
梓「・・・」スッ
轍「ごめんごめん暦、前に話した子いるだろ?」
暦『・・・』
轍「ごめんって!」
暦『・・・どうしたの?』
轍「中野梓、彼女と空港でまた会ったんだよ」
暦『・・・』
梓「ケータイ返してください」
轍「少し、戸惑ってるみたいだからさ」
梓「なっ!」ムカッ
暦『・・・うん』
轍「少し話をしてみてくれないかな」
暦『・・・』
轍「はい」スッ
梓「そっちのケータイじゃないですよっ!」
轍「キミはこれから、ここで、大切な人と別れるんだろ?あの子と」
梓「ッ!」
轍「そんな顔では、引きずる別れになるよ」
梓「ど、どうしてそう言えるんですか!」
轍「昔の俺のような顔していたから」
梓「なんですかそれは・・・」
轍「大切な親友を失った俺のような顔だよ」
梓「!」
- 234. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:52:17.62 ID:5Gr5Uk3Fo
- 轍「話をしてみて」
暦『・・・』
梓「・・・」スッ
暦『もしもし・・・?』
梓「もしもし」
暦『大切な人と別れるの?』
梓「・・・・・・・・・はい」
暦『・・・』
梓「真鶴は・・・?」
暦『お母さんとアメリカへ帰ったよ』
梓「・・・海琴さんは・・・?」
暦『石垣島へ』
梓「・・・そうですか」
暦『うん』
梓「・・・」
暦『・・・』
梓「あ、あれ?」キョロキョロ
暦『どうしたの?』
梓「あっ!私の事放ったらかしにして手続きしてます!」
暦『ふふっ』
梓「なんなんですかあの人!」
暦『なんなんだろうね』
梓「・・・あなたもなんなんですか」
暦『え?』
梓「顔も知らない私とよく話ができますね」
暦『ふふっ、そうだね』
梓「これからずっと見ることがない私の顔ですよ?」
暦『だからじゃないかな?』
梓「え?」
暦『メールや手紙で、顔も知らない人とよく身の上話とかできるでしょ?』
梓「そう・・・ですね・・・」
暦『顔が見えなくても、心で伝えることができるんだよ』
梓「・・・」
暦『あなたも見てきたんじゃないかな?』
梓「・・・はい」
- 235. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:52:50.56 ID:5Gr5Uk3Fo
- 暦『ごめんね。踏み込んでしまったね・・・』
梓「いいです。相馬さんから聞いたんですか?」
暦『うん・・・』
梓「顔も見えない相手だからこそ、こんな話もできるんですから」
暦『そうだね・・・』
梓「・・・」
暦『どうして、轍くんが私とあなたを繋ごうとしたのか・・・分かるかな?』
梓「・・・?」
暦『あなたの状況は轍くんから少し聞いてるよ』
梓「・・・そうですか」
暦『フェアじゃないから、言うね』
梓「なんですか?」
暦『・・・私、光を失ったの』
梓「・・・?」
暦『盲目』
梓「―――ッ!」
- 236. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:53:33.18 ID:5Gr5Uk3Fo
- 暦『・・・』
梓「・・・っ」
暦『そんな私の居場所を教えてくれたのが轍くんなの』
梓「・・・」
暦『私と兄さん、二人だけの家族で、孤児院で育ったのね』
梓「・・・っ」
暦『兄さんは頑張って、仕事を身に付けて、生涯を共にする人と巡り会えた』
梓「・・・」
暦『自分で見つけることが出来たの。兄さんは』
梓「・・・」
暦『そんな兄に・・・迷惑をかける事になってしまって・・・』
梓「・・・」
暦『・・・梓・・・さん?』
梓「聞いてますよ。・・・どうやってあなたの『居場所』をみつけたんですか?」
暦『まだ見える事ができる先月の夏に、一緒に旅をして、見えてきたの。轍くんと沖縄を走り回って』
梓「・・・」
暦『・・・』
梓「・・・そうですか」
暦『うん』
梓「・・・」
- 237. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:54:00.75 ID:5Gr5Uk3Fo
- 暦『そろそろ切るね』
梓「は、話しないんですか?」
暦『・・・うん。電話すると轍くんの足を引っ張ってるみたいで、ちょっと迷ってたから』
梓「・・・大切な・・・人・・・なんですよね・・・」
暦『うん』
梓「だったら・・・言葉を交わしたいはず・・・です・・・」
暦『また、会って話をするよ』
梓「国際線ですよ・・・」
暦『うん』
梓「遠くへ行っちゃうんですよ・・・」
暦『うん』
梓「大切な人の・・・そばに・・・いられないんですよ・・・」
暦『目指す場所が同じなら、何度別れてもまた道の先で出会えるって信じてるから』
梓「!」
暦『あなたもいい旅をしてきたんだね』
梓「・・・・・・はい」
暦『それじゃ、さようなら』
梓「はい、さようならです」
暦『顔も知らないあなたに』
梓「はい。いつか出会えるかもしれないあなたに」
暦『ふふっ・・・。うん』
プツッ
- 238. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:54:56.95 ID:5Gr5Uk3Fo
- 梓「・・・」
轍「はい、返す」
梓「・・・」
轍「シーサーは一対でなくちゃいけないんだ」
梓「知ってますよ」
轍「・・・そっか」
梓「・・・」
轍「・・・」
梓「どうして、暦さんを置いていくんですか・・・」
轍「・・・」
梓「大切な人をどうして・・・」
轍「俺と相手が同じ価値観を持って
立ち止まらないで歩き続けていれば
きっとまた何処かで、何度でも・・・会えるから」
梓「・・・」
轍「『帰る場所』を暦は与えてくれた」
梓「『帰る場所』・・・」
轍「暦の隣だ」
梓「・・・」
轍「いや、リアクションが欲しいな」
梓「・・・」
轍「キミの先輩達なら、きっとなにかしら言ってくれるんだと思うけど・・・」
梓「それはどうでもいいです。これからどこへ?」
轍「・・・アラスカへ」
梓「・・・」
轍「おっと、時間だ。それじゃあね」
梓「それでは」スッ
轍「・・・え?」
梓「握手です。なんですかその反応」
轍「いや・・・嫌われているかと思っていたから・・・」スッ
梓「さようなら、です」
ギュ
轍「あぁ、さようなら。元気で」
- 239. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:56:46.62 ID:5Gr5Uk3Fo
- 梓「・・・」
「・・・」
梓「私、憧れていたんです。あの人の背中に」
「・・・」コクリ
梓「様々な『別れ』を通してでも、前を向いているから」
「・・・」
梓「真っ直ぐに顔を向けて進んでいくから」
「・・・」コクリ
梓「その背中を追いかけたくて、その見ている景色を、私も見たくて・・・」
「・・・」
梓「行きましょうか。先輩達が待ってます」
「・・・」コクリ
梓「これ、持っててください」スッ
「・・・?」
梓「シーサーは一対でいなくちゃいけないんです」
「・・・」
梓「あなたの道の先を守ってもらうんです」
「・・・」コクリ
梓「ありがとう、むぎせんぱい」
ギュ
紬「・・・?」
梓「行きましょう、むぎ先輩!」グイッ
紬「・・・!」
- 240. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:58:12.17 ID:5Gr5Uk3Fo
-
「どこ行ってたの二人とも」
梓「野暮用ですよ。唯先輩・・・お二人は?」
紬「・・・?」
唯「どこか行っちゃったよ」
梓「ど、どこへ・・・」
紬「・・・」
唯「はい、むぎちゃん!」
紬「?」
梓「・・・」
唯「今日ここへ来れなくて、学校で学園祭の後片付けしてくれているみんなからのお手紙だよ」
紬「!」
唯「空の中で読んでね」
紬「・・・」コクリ
「なんかつまんねえな、見たことあるお土産ばっかだ」
「当たり前だ」
梓「お土産覗いていたんですか・・・?」
「そうだぜ!」
「クラスのみんなで食べようってさ・・・」
梓「律先輩・・・」
律「なんだよその目は!」
梓「澪先輩・・・」
澪「うん。変なの買うところだったけど、止めたから大丈夫」
唯「りっちゃんなにしにきたの?」
律「見送りだよ!」
紬「・・・」ニコニコ
澪「最後までこのノリか・・・」
梓「そうですよ」
律「私悪くないもーん」
唯「もぅ〜」
紬「・・・」
梓「・・・」
律「・・・」
澪「・・・」
唯「・・・」
紬「・・・」チラッ
梓「そろそろ時間ですね」
紬「・・・」コクリ
- 241. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:58:49.23 ID:5Gr5Uk3Fo
- 唯「・・・」
律「・・・」
澪「・・・」
梓「・・・」
紬「・・・」クイッ
唯(メジャーのC#・・・唯)
紬「・・・」クイッ
律(オギューメントのA・・・律)
紬「・・・」クイッ
澪(特別コード・・・澪)
紬「・・・」クイッ
梓(メジャーのA・・・梓)
紬「・・・」ペコリ
唯「・・・っ」
律「・・・」
澪「・・・」
梓「・・・」
紬「・・・」クイックイッ
唯「『忘れない』」
律「『この季節を』」
澪「『過ごせた時間を』」
梓「・・・」
紬「・・・」ニコニコ
- 242. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 00:59:29.67 ID:5Gr5Uk3Fo
-
澪「ありがとう、むぎ」スッ
紬「・・・」スッ
ギュ
澪「昨日の演奏の中で見つけることができた」
紬「・・・」
澪「私の『最高の場所』がそこにあったよ」
紬「・・・」
澪「放課後ティータイムの演奏の中にそれは生まれた」
紬「・・・」
ギュウ
澪「ありがとう」
紬「・・・」コクリ
- 243. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 01:00:05.38 ID:5Gr5Uk3Fo
-
律「あーぁ、結局見つけられなかったぜー」
紬「・・・」
律「でも、探す楽しさはやめられないからずっと求め続けるよ」
紬「・・・」ニコニコ
律「バトミントン勝負・・・決着つかなかったから、帰ってきたら勝負だからな」
紬「・・・」コクリ
律「むぎ」スッ
紬「・・・」スッ
律「へへっ、やっぱり私はこの別れ方が合ってるや」
パァン
律「ありがとう」
紬「・・・」コクリ
- 244. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 01:00:43.89 ID:5Gr5Uk3Fo
-
唯「むぎちゃん!」ガバッ
紬「!」
唯「泣かないって決めたのにっ、やっぱりダメだったっ!」グスッ
紬「・・・」ナデナデ
ギュウウ
唯「解散しても・・・っ・・・再結成があるんだからね・・・!」ボロボロ
紬「・・・」コクリ
唯「『音楽を続けて欲しい』ってアキヨちゃんが言ってくれたから」ボロボロ
紬「・・・」
唯「わたし・・・やめないからね・・・っ」グスッ
ギュウウウ
紬「・・・」
唯「またみんなで演奏しようねっ!」グスッ
紬「・・・」コクリ
唯「えへへ、また甘えちゃった」グスッ
紬「・・・」ニコニコ
唯「ありがとぉ」
紬「・・・」コクリ
- 245. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 01:01:31.74 ID:5Gr5Uk3Fo
-
梓「・・・」
紬「・・・」
梓「甘えていたのは私だったんです」
紬「・・・」
梓「むぎ先輩の後ろを付いて行って、それが自分の旅路だと、そう思っていたんです」
紬「・・・」
梓「でも、私は私の道を行くんです」
紬「・・・」ニコ
梓「いつか、その道がむぎ先輩の道と交わるその時まで・・・待っています」
紬「・・・」コクリ
梓「むぎ先輩の言葉をお借りします」
紬「・・・」
梓「『いつかみた、あの大好きな、空の下で』」
紬「・・・」
梓「『もう一度出会いましょう』」
紬「・・・」
梓「さようなら、です」
紬「・・・」
- 246. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 01:02:12.89 ID:5Gr5Uk3Fo
-
そして あなたは優しく 微笑を返してくれる
振り返ることなく 進む その姿を目に焼き付けて
私は 約束を胸に刻み 隣にいないあなたを想い 私の道を進みます
必ず もう一度出会いましょう
End
- 250. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/16(金) 20:38:02.54 ID:5Gr5Uk3Fo
- 読んでくださった方ありがとうございました
風雨来記チームのシナリオが重過ぎる為
作中はどんより空気一色です。でも、これが風雨来記の魅力でもあるんですよね
※欝ゲーではない
伝わりにくさを演出したつもりだったんですが
読み手に伝わらないのですから本末転倒ですよね・・・
もっと巧く表現できた部分もあったと思います
自分が扱うテーマとしては荷が重かったようです
読み手には色んな意味で苦痛を与えた作品になってしまいました
不親切な箇所、遠回りな展開、主軸の不安定さなどなど
どうしてもだらだら、gdgdと長い作品になってしまいます
私はそのウダウダと話をするが好きなんです すいません
それに付き合わせてしまいました。猛省しております
梓にあの一言を言わせる為の長さなんです
それでも前フリが長すぎました
風雨来記のネタバレのオンパレードでした。未プレイの方にお詫びを
海琴にもちょっと台詞を与えたかったです
まだ梓は『最高の場所』に辿り着けていません
後日談を21日に
- 253. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 18:53:17.21 ID:pC/YcMsoo
-
あれから五年
時は巡り
とても長い時間が流れた
聞いて欲しい出来事がたくさん起きた
伝えたい事がたくさんある
ようやく会える
――いた!
- 254. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 18:54:18.05 ID:pC/YcMsoo
-
9月28日
梓「むぎ先輩!」
紬「・・・!」
梓「お、お久しぶりです!」
紬「・・・」ニコニコ
梓「髪を切ったんですね!」
紬「・・・」コクリ
梓「似合ってますよ!」
紬「・・・」ニコニコ
梓(17の私だったら抱きついてたのに!)
紬「・・・」
梓(お、落ち着け・・・私・・・)フゥ
紬「・・・」クイックイッ
梓「はい。私も切りました。少しは大人っぽくみえますか?」
紬「・・・」コクリ
梓「あはは、視界は相変わらずですけど、気持ち的には大きくなりましたよ。なんて」
紬「・・・」ニコニコ
梓「ちょうど五年前の今日、この場所で別れたんですよね」
紬「・・・」コクリ
梓「帰国するのはこの日と決めていたんですか?」
紬「・・・」コクリ
梓「・・・そうですか」
紬「・・・」ニコ
梓「あ、荷物持ちますね。行きましょう」
紬「・・・」
- 255. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 18:57:15.79 ID:pC/YcMsoo
-
結果として
治療の甲斐は無く
声を取り戻せてはいない
なにが原因なのか、なにが足りないのか
あの学園祭までの時間がそうさせてしまったのか
誰にも分からない
昔の私なら 恨みもしただろう
こんな悲しい道 誰も望んでいないのだと
- 256. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 18:58:16.82 ID:pC/YcMsoo
- 梓「あと一年でゴールド免許なんですよ」
紬「・・・!」
梓(ふふっ、驚いてる)
紬「・・・」クイックイッ
梓「はい。在学中に取ったんです。さ、乗ってください。私の愛車です!」
紬「・・・」コクリ
ガチャ
梓「よいしょっ」
バタン
梓「さて、どこへ行きましょう」
紬「・・・」ガサゴソ
梓(あ・・・鍵盤ハーモニカ・・・)
紬「・・・」プップププー
梓「懐かしいですね・・・。それで会話をしていたんですよね」
紬「・・・」ニコニコ
梓「・・・あ、もう一度お願いします」
紬「・・・」プップププー
梓「唯さんのコードボイスですか?・・・私もキーボード弾いているんですよ
ですから聴き取れるんですね」
紬「!」
梓「とりあえず、車を発車させますけど・・・。向かう先は『あの場所』でいいですか?」
紬「・・・」コクリ
梓「はい。それでは発車します」
ブォォオオオオオ
- 257. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 18:59:16.19 ID:pC/YcMsoo
-
私とむぎ先輩の時間は止まってしまった
唯先輩から唯さんへ呼び方が変わった
それは、私の先輩ではなくなったから
高校の外で先輩と呼ぶことに違和感を感じて以来
さん付けで呼ぶようになっていた
私とむぎ先輩の時間はあの時から進みだした
むぎ先輩だけ、まだ先輩付けで呼んでしまっている
これは嬉しいことなのかな 寂しいことなのかな
- 258. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 18:59:59.72 ID:pC/YcMsoo
- 梓「澪さんも違うバンド組んでて、キーボードを弾いているそうですよ」
紬「!」
梓(驚いているんだろうなぁ・・・。多分、私と一緒で澪さんもむぎ先輩に教えていないはず)
紬「・・・」
梓「腕が鈍らないように、ですね・・・」
紬「・・・」プップププー
梓「律さんですか?・・・連絡来ないんですよ。どこを旅しているんでしょうね」
紬「・・・」
梓「むぎ先輩に手紙届きましたか?」
紬「・・・」プップッププー
梓「届いていたんですか!?」
紬「・・・」プッププー
梓「エジプト・・・って・・・」
紬「・・・」
梓「澪さんは『心配いらない』と言っていたから・・・心配はしていなかったんですけど」
紬「・・・」
- 259. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 19:00:49.64 ID:pC/YcMsoo
-
『つまらん。ちょっと旅してくる』
律さんはそう言うなり旅立って行った
澪さんも唯さんも地元から離れてしまったから当然なのかもしれないけど
まさか、まだ世界を旅していたなんて
- 260. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 19:01:39.48 ID:pC/YcMsoo
-
紬「・・・」プップップー
梓「澪さんから葉書届いたんですね。私にも届きましたよ」
紬「・・・」ププップップー
梓「はい。利尻島での夕焼けを背景にした写真ですね」
- 261. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 19:02:12.09 ID:pC/YcMsoo
-
澪さんは札幌の大学へ進学した
むぎ先輩がドイツへ旅立った後
『北海道へ行きたいんだ』
部室で宣言された
律さんはすんなり受け入れて
背中を押した
- 262. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 19:02:52.99 ID:pC/YcMsoo
- 梓「私たちが卒業して、一年後の夏に姫ちゃんさんも北海道をバイクで走りましたよ」
紬「!」
梓「あれ、手紙に書かれていませんでしたか?」
紬「・・・」ププッププー
梓「秘密だったのかな・・・。どうしよう・・・」
紬「・・・」プップッププー
梓「あ、えぇと・・・玉恵さんを覚えていますか?」
紬「・・・」プップー
梓「はい。あのキャンプで出会った玉恵さんです
姫ちゃんさんが『澪に会ってくる』と言って・・・。船に乗るところを私見送りましたよ。
北の大地へ期待あふれる表情をしてました。印象的で、今でも覚えています」
紬「・・・」
梓「玉恵さんの轍をなぞったみたいです
細岡展望台、和琴半島でキャンプ、ナラワナ、多和平、神の子池、カムイワッカ
ワッカ原生花園、コムケ、常盤公園・・・などなど」
紬「・・・」プップププー
梓「はい。冬と夏も一緒にです。二人とも北海道の大学へ進学しましたから
澪さんが運転する車に3人で乗って・・・。想像したら楽しそうですね」
紬「・・・」コクリ
梓「釧路の市場にですね、勝手丼と言って、店先でどんぶりにご飯をよそってもらい、
市場をまわって新鮮な海産物を少しずつ盛っていくという独特のメニューを堪能したらしいです。
夏がはしゃいで食べていたとか・・・」
紬「・・・」コクコク
梓「釧路湿原でカヌーに乗ったり・・・
岬周りもして、霧多布岬やアゼチの岬を見て周ったらしいです。道北、道東を中心に」
紬「・・・」プップップップー
梓「むぎ先輩覚えていたんですね・・・。二人の『約束の場所』の事を・・・」
紬「・・・」
梓「それが、葉書の写真の利尻島になるんですけどね」
紬「・・・」コクコク
梓「夏がいちいち『楽しい』って報告メールを入れてくるから、少し鬱陶しかったです」
紬「・・・」ニコニコ
- 263. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 19:06:34.20 ID:pC/YcMsoo
- 梓「帰ってきた姫ちゃんさんから写真を見せてもらいましたけど、雄大って言うんですかね。
私もその場所に立ってみたくなりました」
紬「・・・」
梓「野付半島にナラワナっていう名所があるんですけど、海の中に突き出た細い半島なんですね
走っていると視界の両側に海が見えそうなんです」
紬「・・・!」
梓「その先にトドワラという名所もあるんですけど、そこへ向かう道がすごく楽しかったそうです。
両端にハマナスなどの花が咲いてて、澪さんと冬は感動したそうですよ
とてもいい旅をしてきたみたいです」
紬「・・・」コクリ
梓「あ、しまった・・・」
紬「?」
梓「自分でその感動を伝えたいから・・・姫ちゃんさんはむぎ先輩に報告してなかったんですよ」
紬「・・・」
梓「すいませんけど、今の話聞かなかったことにしてくれませんか・・・」チラッ
紬「・・・」ニコ
梓(ひきつってる・・・。後で同じ話聞かされるんだから困るよね・・・。ごめんなさい!姫ちゃんさん!)
紬「・・・」
梓「冬は・・・ウィンターシーズンはスノボを楽しんでいるそうですよ」
紬「・・・」プップッププー
梓「手紙に書かれていましたか。澪さん、冬、夏、春子さん・・・あと、あの人」
紬「・・・」コクコク
梓「春子さんは何度か遊びに行ってますね。私も冬たちに呼ばれた事ありますけど、我慢していました」
紬「・・・?」
梓「・・・」
- 264. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 19:07:08.91 ID:pC/YcMsoo
-
私はこの場所で時が過ぎるのを待っていた
律さんもいなくなってしまったこの場所で
ただ、1人
待っていた
- 265. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 19:08:23.59 ID:pC/YcMsoo
-
紬「・・・」プップッププー
梓「沖縄からの手紙ですか?」
紬「・・・」プップー
梓「はい。私のところには葉書が・・・。唯さん、憂、いちごさんと風子さんが写った写真ですよね?」
紬「・・・」プップププー
梓「し、知らないですよ!?」
紬「・・・?」
梓(暦さんとも会っていたなんて・・・聞いてないですよ!唯さん!!)
紬「・・・」ププップップー
梓「真鶴とも会っていたんですか!?」
紬「・・・」プップー
梓「・・・多分。風子さんの意地悪だと思います。『教えないでおこう』とか
そんな風に吹き込んだんですよ・・・もぅ」
紬「・・・」プップッププー
梓「はい。沖縄にも、憂に何度か誘われましたけど、我慢しました」
紬「・・・?」
梓「・・・」
- 266. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 19:09:29.27 ID:pC/YcMsoo
-
澪さんの宣言の後
唯さんが感化されたようにつぶやいた
『そうだ、沖縄の大学に行こう』
と
私はなぜかすんなり受け入れられた
海の向こうを見ていた人だったから
- 267. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/21(水) 19:11:01.70 ID:pC/YcMsoo
- 梓「暑いの苦手なのに、クーラーも付けられないハズなのに・・・夏の時期は頑張ってるようですね」
紬「・・・」ニコニコ
梓「でも、暑いけど風があって、カラッとしてるから不快じゃないと言っていました」
紬「・・・」コクコク
梓「いちごさんと風子さんが帰ってきて話を聞いたんですけど
金髪の女性に案内されて世界遺産になっている斎場御獄へ
その後にグスク巡りをしたそうです。グスクというのはお城の事ですね
やっと謎が解けましたよ。金髪の女性って真鶴だったんですね・・・」
紬「・・・」プッププー
梓「はい。唯さんがグスクに興味があるって・・・。仙台の青葉城址にも観光で行ってましたから
なぜか、楽しいんでしょうね」チラッ
紬「・・・」
梓(ふふ、驚いてる。五年の月日はあまりにも長いから。時間は人と場所を変えてしまう)
紬「・・・」
梓(唯さんが行ったという、東御廻りの事話すべきかな・・・
むぎ先輩の為に、聖地巡礼をして、声を取り戻すために祈願をしたという)
紬「・・・?」
梓「あ、そうか・・・。真鶴にむぎ先輩の事を伝えたから、斎場御獄・・・聖域を案内されたんだ」
紬「???」
梓「あれ・・・、律さんってもしかして、太陽神を探しているとか・・・?」ブツブツ
紬「・・・」
梓「純から天照大神の話を聞いた後に・・・旅立って行ったから・・・間違いない・・・?」ブツブツ
紬「・・・」
梓「北海道から帰ってきた姫ちゃんさんから、澪さんが律さんに渡して欲しいと・・・トカプチュプカムイ・・・」
紬「・・・」
梓「これも太陽神のはず・・・。守ってもらうように・・・」
紬「・・・」
梓「あ、すいません。1人で喋ってしまって」
紬「・・・」プップップー
梓「いえ、今は言えません。後でちゃんとお話します」
紬「・・・?」
最終更新:2011年10月06日 03:13