―――――・・・


ひでこ「今日もわな?」

ふぅ「お母さんが『待っていなさい』って」

なつか「・・・」

ひでこ「またとってきたの?」

ふぅ「うん。セミのぬけがら30ことクマゼミだよ」

ひでこ「どうしてセミをつかまえたの?」

ふぅ「ちかくにいたからだよ。よーしかんせーい」

なつか「・・・」

ふぅ「よいしょっと」ピョン

ひでこ「お姉ちゃんくるかな?」

ふぅ「ぜったいくるよ!」

なつか「・・・こないよ」


――・・・


ふぅ「こないねー・・・」

ひでこ「でかけたんだよきっと」

なつか「・・・」

ふぅ「おなかすいた・・・」グゥゥ

ひでこ「・・・うん」

なつか「もうやめようよ」

ふぅ「ダメ!」

なつか「・・・わたし、いじわるされてないよ?」

ふぅ「いじわるされてないのにどうしてさびしそうなの!?」

なつか「・・・」

ふぅ「お姉ちゃんがわるいんだよ」

ひでこ「わるい人じゃない・・・と・・・おもうよ?」

ふぅ「でこちゃんうらぎったね!」

ひでこ「ち、ちがうよ!」

なつか「・・・あれ?」

ふぅ「どうしたの?」

なつか「ドアのしたに・・・かみが・・・」

ふぅ「ほんとだ・・・」

ひでこ「・・・なにかな?」ヒョイ

『うしろをみろ』

ふぅ「うしろ?」

ひでこ「?」

なつか「???」

『あ゛ぁ・・・う゛ぁー・・・ぁ゛』ドンドン

ふぅ「―――ッ!!!!」

ひでこ「ひっ!」

なつか「ヒィッ!」


「「「 おばけぇぇえええええーー!!!! 」」」


『へっへっへー・・・あれ?』

ふぅ「いやぁああああああああ!!!!」ダッ

ガチャ

バサーッ

なつか「ぎゃああああああああああ!!!!!」

ひでこ「ふえぇぇえええん!」

『あぁ、ごめんごめん!でこちゃん私だよー!!』ドンドン

ひでこ「こわいよぉー!」ウワァン

『やっばー・・・』


ダダダッ

ふぅ「お姉ちゃん!」ドンドン

なつか「たすけてー!!」ドンドン

ふぅ「あけてーー!!!」ドンドン

なつか「おばけがー!!」ドンドンッ

ガチャ

ふぅなつか「「 ! 」」

姉「ごめんねー」

ふぅ「っ!」ダキッ

なつか「ッ!」ダキッ

姉「・・・」

ふぅなつか「「 こわかったよぉー・・・ 」」ボロボロ

ギュウウウ

姉「・・・うん。ごめんね」

ふぅ「あ!ぐすっ・・・ひでこちゃんがいない!」

なつか「あ!」

姉「部屋に行こうか」

ふぅなつか「「 ・・・うん! 」」

スタスタ

ギュウウウウウ

姉「・・・」

なつか「ひでこちゃん・・・」

ふぅ「あ!」

ひでこ「うわぁーーん!」

姉「ごめんね。もういないから」ナデナデ

ひでこ「お、お姉ちゃぁぁあん」ダキッ

ふぅ「よかったぁ」ギュウウ

なつか「・・・うん」ギュウウ

姉「・・・」


――・・・


『ご迷惑ではないですか?』

姉「はい。一日くらいなら私1人でも大丈夫ですから」

『それじゃ、お言葉に甘えて。・・・もう一度風子に代わってくれますか?」

姉「はい。・・・ふぅちゃん」

ふぅ「なんですか?」

姉「お母さんが代わってって」

ふぅ「うん・・・。もしもし」

姉「二人とも落ち着いた?」

ひでこ「・・・ぐすっ」

なつか「すっごくこわかったんだから!」

姉「はい。ごめんなさい」

なつか「もぅ!」プンスカ

姉「ほら、セミついてるよ」ヒョイ

ガサガサ

なつか「あ・・・」

ひでこ「ぐすっ・・・」

姉「逃がしてくるね」

スタスタ

ひでこ「もうこわくないんだ・・・ぐすっ・・・」

姉「それっ」

バサバサッ

なつか「・・・」

姉「きょ、今日はご馳走にしちゃうよ」

なつか「りょうりできないでしょ!」

姉「ちゃんと出来ます」

なつか「うそつき」

姉「む・・・」カチーン

なつか「したことないくせにー」

姉「学校で習ってるから」

なつか「・・・ふんっ」

姉「よぉし・・・」

ひでこ「ケンカしちゃやだー」

姉「とっておきの作ってやる」

なつか「・・・」

ふぅ「・・・どうしたの?」

ひでこ「・・・・・・ごはんつくるって」

ふぅひでこ「「 いただきまーす 」」

なつか「・・・」

姉「たんと召し上げれ」

ふぅ「もぐもぐ」

ひでこ「もぐもぐ」

姉「どう?」

ひでこふぅ「「 おいしぃ~ 」」パァァ

姉「くふっ・・・可愛い・・・」

なつか「・・・」

姉「冷めちゃうよ」

なつか「・・・」

姉「温かいうちに食べて欲しいな」

なつか「・・・」

姉「・・・」

ふぅ「お姉ちゃん」

姉「なに?」

ふぅ「お母さんが『繋がっていないなら繋げればいい』っていってたんだけど」

姉「!」

ふぅ「なっちゃんとお姉ちゃんのちがつながっていないのとかんけーあるの?」

なつか「・・・!」

ふぅ「・・・?」

ひでこ「おいしぃ~」パァア

ふぅ「そもそも、ちがつながっていないってなに?」

姉「ふふっ、哲学者だね。ふぅちゃんは」

なつか「・・・」

ふぅ「お姉ちゃん、おりょうりじょうずだね」

姉「ありがと。ほら、なつも食べて」

なつか「うん・・・」パクッ

姉「どう?」

なつか「おいしいよ・・・。ぴんきら」

ひでこ「きんぴらごぼうだよ~」ウットリ

ふぅ「もぐもぐ」

姉「明後日なつの誕生日会しようか」

なつか「・・・ありがと、・・・・・・お姉ちゃん」

姉「・・・うん。ありがと」

ふぅ「おいしぃね~」パァァ

なつか「・・・うん」

・・・

・・・・・・

夏香「――で、姉さんとちゃんと話ができるようになったの」

梓「・・・」

唯「ひっぐ」シクシク

夏香「その後もいじわる合戦が続くんだけどね」

和「・・・意地悪というよりイタズラね」

姫子「そうだね」

冬「はい。可愛いイタズラ合戦です」

夏「うん、可愛い・・・」

夏香「という、お話でした」

唯「ういっ!」ダキッ

憂「お、おねえちゃん!?」

梓「真面目な話をしているんですよ?」

唯「あずにゃんもひどいよっ!?」

姫子「和・・・律は?」

和「聞くことは無い。そう言って澪と帰ったわ」

純(本気で怒っているのかな・・・)

夏香「聞くことって?」

唯「えへへ、もうないよ~」

憂「風子さんの話を聞きたかったので」

夏香「そっか・・・。姫子さんは?」

姫子「唯たちと一緒。ね、冬」

冬「は、はい」

夏「あのですね、意見というか・・・口ごたえをするようでなんですけど」

夏香「?」

夏「人は変わらずにはいられないじゃないですか」

梓「・・・」

夏「律先輩には悪いと思いますけど、風子先輩がそう決意したのなら、それは認めるべきなのでは?」

夏香「・・・」

梓「律先輩がどうして、あんな事言ったのか・・・」

夏「・・・」

純(・・・今は梓に同意)

梓「ふぅ先輩の為だけに言った言葉じゃないよ」

夏「紬先輩の為?大成功にして一生の思い出にする為?」

梓「・・・うん」

夏「風子先輩は淡々とその準備していたじゃん。確かに、準備中は物足りなさを感じていたけど
  風子先輩が身に着けた強さを否定するのはお門違いだよ」

純「・・・」

梓「否定してないよ。律先輩はむぎせんぱいと最高の学園祭を目指している。それは私も同じ。
  だけど、律先輩が目指しているのはそれだけじゃないよ」

夏「・・・」

梓「みんなで目指しているんだから」

憂「風子さんも含めてだよね?」

梓「うん」

純「うむ」

夏「それはまた・・・途方も無い」

冬「諦めたら見つからないよ」

夏「うん。そうだね」

梓「・・・」

唯「・・・」グゥ~

和「早く帰りましょ」

唯「若いっていいですな」

和「食べ盛りよね」

唯「そっちじゃないよっ!」

夏香「・・・」

姫子「もうこんな時間だから気をつけてね」

純「はいっ」

憂「はい」

夏冬「「 おやすみ 」」

唯「おやすみ~」フリフリ

純「おやすみなさい」

梓「二回目の挨拶・・・」

夏香「・・・」

純「私たちも帰りましょう」

夏香「うん」

梓「・・・夏香先輩は、ふぅ先輩と風子先輩のどっちと一緒にいたいですか?」

夏香「それは・・・」




9月25日



風子「おはよう、紬さん。今日は早いんだね」

紬「・・・」プッププー

風子「梓ちゃんと?」

紬「・・・」コクリ

風子「そうなんだ・・・」

紬「・・・」ププッププップー

風子「うん。明日だね」

紬「・・・」ププップップー

風子「うん。頑張ろうね」

紬「・・・」ニコニコ

風子「・・・」

スタスタ

ガチャッ

律「よっしゃー、一番乗りー・・・じゃねえ・・・」

澪「おはよう。はやいなむぎと風子」

風子「おはよう。昨日の時点で75%って聞いて・・・」

紬「・・・」

律「ふーん。風子だけでやろうとしてたのかよ?」

風子「英子ちゃんと夏香ちゃんも後から来るよ」

澪「・・・」

ガチャ

梓「むぎせんぱい!行きましょう・・・え・・・?」

律「ん?私の顔を見て驚いたのか?」

梓「まだ7時になっていませんよ?澪先輩はともかく・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

律「誰か私をフォローしてくれ。明日が本番だから、私も張り切って来たんだよ」

梓「はぁ・・・。行きましょうむぎせんぱい!」

紬「・・・」コクリ

風子「調理室だよね、私も一緒に行くよ」

梓「はい。行きましょうふぅ先輩」

風子「・・・」

紬「・・・」ルンルン

スタスタ

律「澪は行かないのかよ」

澪「私はセットの作業だから・・・。昨日の続きを終わらせるのが先だ」

律「・・・」

澪「風子も頑張ってくれてるんだな」

律「・・・そうだな。まずは席寄せようぜー」

澪「うん。私たち二人分くらいの作業スペースを確保しよう」

律「おっしゃ」

夏香「おはよ。はやいねー二人とも」

英子「おはよう」

律「おっはよん」

澪「おはよう」

夏香「さっそく始めるんだ」

律「おうよ!あ、風子たちは調理室向かったぞー」

英子「うん、ありがと。行ってくるね」

澪「行ってらっしゃい」

スタスタ

夏香「『たち』?」

律「むぎと梓だ」

澪「よいしょっ」ガタッ

ワッセワッセ

ゴト

澪「ふぅ・・・」

律「おんどりゃあ」ガタッ

ワッセワッセ

ゴト

律「もぅだめ・・・」ヘナヘナ

信代「早起きなんかするからだなー」

潮「・・・フッ」

慶子「芸が細かいね」

律「お、3人ともはやいな」

信代「75%だよ?ありえないって」

慶子「うん。ビックリだよね」

澪「確かに・・・」

純「澪先輩おはようございます!」

律「おいこら。私たちは視界に入っていないのか!」

純「先輩方!」

潮「よいしょっ」ガタッ

ワッセワッセ

ゴト

潮「望みどおり机は動かしたぞ!虎徹を返すんだ!」

律「誰が1つだと言った・・・。あと、2つだ」

潮「卑劣なっ!」

信代「なんで虎徹なのか・・・。少し面白かった」ガタッ

慶子「ネコの為に必死になるところが、なんかツボを抑えているって感じだよね」

夏「おはよーございます!皆さんはやいですね~」

純「夏が遅いんだよね」

夏「道具を取ってきたからだよ」

澪「ナイスだ、夏」

純「ぬかった!」

潮「・・・どうだ」ゼェゼェ

律「うむ。・・・駅前の駄菓子屋だ」

潮「そこに虎徹はいるんだな!?」

律「あぁ、ウソはつかないさ」

潮「遠いからいいや」

律「だな。さぁ、始めようぜー」


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最終更新:2011年10月06日 18:02