そして、むぎせんぱいは一枚の写真を指す

それは、私たち全員が列車の横で旅を終えたむぎせんぱいを囲む一枚

旅で出会った人、唯先輩、律先輩、澪先輩、私

蒼い夏の空の下、みんなで映った写真

中心にいるむぎせんぱいを、みんなが見ている構図

私とむぎせんぱいだけが

まっすぐカメラをみている構図

『最高の一枚』


風子「どうしてみんなむぎさんを見てるの?」

律「シャッター押す寸前に変なこと言ったんだよ、むぎが」

紬「・・・」エヘヘ

風子「梓ちゃん・・・しっかりむぎさんの腕にしがみついてるね」

梓「そうですけど、問題があるんですか?」

風子「ないよ・・・」

梓「じゃあいいじゃないですか」

風子「私たちにはないよ。2年生たちに見せたらどうなるのかなぁ」

梓「問題ありますよ!ダメですっ!」

風子「分かった。・・・みてみて、冬ちゃん」

梓「やめてくださいっ!」

冬「わぁ~・・・立派な列車ですね」

風子「そこじゃないよ、中心の二人を見て」

梓「だから、強調しないでくださいよっ!」

冬「綺麗な人ですね・・・」

風子「むぎさんと梓ちゃんを見て欲しいな」

冬「あ・・・あずさ・・・ったら・・・」

梓「・・・」

澪「ほら、仙台の七夕祭りの写真」ペラッ

梓「澪先輩!?」

風子「むぎさんの両腕に花だね」

冬「・・・」

律「中学生に対抗して梓がしがみついてんのな」

紬「・・・」ポッ

唯「きゅるるるりん!」

梓「・・・くっ」

夏「あっはっは!」

姫子「雨降って地固まる・・・かな」

いちご「・・・うん。よかった」

信代「・・・ふぅ」

春子「結構、荒治療だったな信代」

信代「・・・うん」

夏香「ありがとう」

英子「本当に、ありがとう」

信代「時には急ぎ過ぎて失うこともあるよ・・・仕方ない・・・」

律「・・・」

信代「風子の笑顔に助けられていたから・・・なんて・・・ね」

姫子「・・・へぇ」

信代「今の無しで」

唯「聞いちゃったよ・・・」ジーン

梓「あれ・・・虎徹は・・・?」

澪「さっき出て行ったけど?」

梓「・・・そうですか」

夏「どうして虎徹がここにいたんですか?」

澪「エリが連れてきたようだったな・・・」

梓「よく分からないヤツですね」フッ

虎徹「・・・」ジー

梓「なんでいるの・・・」

虎徹「・・・」フンッ

梓「その反応はなに!?」

エリ「あはは、仲いいよねやっぱり」

アカネ「うん」

唯「あれ、みんなどうしたの?」

三花「コテッチャンに連れて来られたの」

澪「・・・?」

エリ「さっきもね、まっすぐここに走ってきたんだよ・・・虎徹は」

澪「・・・どうして・・・?」

姫子「むぎを呼びに来た・・・?」

律「すげえ!」

純「いや・・・梓を呼びにきのでは・・・?」

虎徹「にゃ~」スリスリ

紬「・・・」ナデナデナデナデ

虎徹「・・・」ゴロゴロゴロゴロ

梓「・・・」

虎徹「・・・」ピョン

梓「・・・」

虎徹「・・・」モゾモゾ

梓「・・・」

虎徹「」ウトウト

梓「なにしにきたの・・・」

虎徹「」スヤスヤ

梓「意味が分からない・・・」

いちご「もう準備は終わったの?」

ますみ「うん・・・大丈夫・・・」

律「あ、私らなんにもしてないなー・・・」

愛「いいですよ。出来ることをしただけですから」

和「えぇ、完成度125%よ」

「「「 そんなにっ!? 」」」

美冬「和さんが、『現在の20%引いておいたらいいのよ』って」

ちか「なるほど、それは名案だね」

憂「おかげで余裕をもって明日を迎えられますね」

曜子「ここがけいおん部・・・」キョロキョロ

「私も初めて入った・・・」

「・・・うん」キョロキョロ

澪「なんだか・・・自分の部屋に友達を招いたかのような気分だな・・・」ソワソワ

律「掃除しておいてよかったぜー」

澪「律はしてないだろっ!」

唯「おぉ、響子ちゃんにキミ子ちゃんウェルカムだよ!」

響子「・・・歓迎してくれるの・・・?」

キミ子「・・・」

律「なんだ・・・ゾロゾロと・・・」

潮「前夜祭しよーぞ!」

律「いーいぞ!」

冬「やったぞ!」

純「・・・え」

夏「頑張ったんだから引かないであげて純!」

姫子「みんなテンション上がってきたね・・・」

春菜「楽しいねー。春子さんのところでやった鍋の時も楽しかったよね」

圭子「うん」

いちご「・・・なにをするの?」

唯「なにしよっか!」

未知子「・・・鍋」ボソッ

律「誰だ鍋って言ったのぉー!」

多恵「・・・」

律「名案だー!!」

さわ子「1時間後に施錠よ」

唯「みんな急いで!」

澪「いや、無理だから」

紬「・・・」ニコニコ

風子「むぎさん」

紬「?」

風子「ありがとう」

紬「・・・」ニコ

梓「・・・」



―――――夜・梓の部屋


結局、前夜祭という事で騒いだ

あの人数で

あの部屋を埋め尽くして


冬とふぅ先輩がはしゃいでいるのを

夏と姫子先輩が見守っていた

その光景をとっても嬉しそうに

むぎせんぱいが眺めていた


胸が苦しかった

この部屋を埋め尽くすほどの人を繋いだのはむぎせんぱいだから

その人が

この場所から居なくなるという事実が

胸を締め付けた


時間が過ぎても

さわ子先生はなにも言わなかった

唯先輩が無茶を言っても

和先輩は止めなかった

憂がそれに加わって

純も調子に乗って

律先輩の勢いが増してしまった

澪先輩がそれを困った風にしながら笑っていた



いよいよ明日

学園祭が始まる




9月26日


今日の担当表を見る限りむぎせんぱいとの店番は無し

ことごとく期待が外れる 望むと裏切られる そんなジレンマ

くじだから文句も言えず 純が悪いわけではないんだけど 誰かに文句を言いたくなる

律先輩と一緒なのが救いかな

憂はいちご先輩と中心になって調理をする事になっている

和先輩は前回の学園祭同様 案内兼見回り

クラスメイトも唯先輩を通して楽しんでくれた

進んで動いてくれた人たちもいたから作業が思いのほか楽だった 困っていた澪先輩には悪いけど

今日もいい陽射しでよかった 絶好の学園祭日和だ


一生の思い出を作ろうなんて、大げさかもしれないけど



梓「頑張ろうっ」グッ

虎徹「みゃーー!!!」

ダダダダッ

梓「はぁ・・・なんで今日もいるの・・・」

虎徹「みゃみゃっ」ササッ

梓「どうしたの?」

虎徹「・・・」ブルブル

「バウバウッ!」

梓「っ!」ビクッ

虎徹「・・・」ガクガク

「バウバウバウッ」

梓「な、なにこの犬・・・」ビクビク

犬「バウバウ!」

虎徹「みゃ・・・」ブルブル

梓(なんで学園祭開始早々こんな目に・・・)ブルブル

犬「バウッ!」

梓(なんでこんな目に合わなきゃいけないんだろ・・・)

虎徹「・・・」ガクガク

梓(こんなに怯えさせて・・・。なんか腹が立ってきた・・・)イライラ

犬「バウバウッ!」

梓「・・・」ジー

犬「バウッ!?」

梓「・・・」ガサゴソ

犬「バ、バウバウ」

虎徹「・・・みゃ?」

梓「ほら、ドーナツ食べる?」

犬「・・・」スッ

梓「威勢はどうしたの・・・。ほら」

犬「・・・」クンクン

虎徹「・・・」

梓「・・・チョコレートとか入ってないから平気だよね?」

犬「・・・」パクッ

梓「あ・・・しまった・・・全部食べちゃった・・・」

虎徹「みゃ」

梓「甘いもの食べちゃダメでしょ、虎徹の分はないよ」

虎徹「みゃー!」

梓「うるさい」

犬「くぅ~ん」スリスリ

梓「馴れ合わないから、あっちいって・・・しっしっ」

律エリ「「 ブフッ 」」

梓「あ・・・」

虎徹「みゃ~」

テッテッテ

エリ「助けてもらってよかったね~」ナデナデ

律「あははっ、きび団子あげた桃太郎のようだったぞ、梓」

犬「わんっ」

梓「なんですかそれは。この犬はなんですか?」

律「あぁ、飼い主と散歩してたんだよ」

「はぁはぁ、やっと追いついた・・・。もぅ、バニーちゃんったら」

梓「犬ですよ!?」

「よく言われます」ニコニコ

バニー「くぅ~ん」スリスリ

梓「懐かないで・・・」

エリ「私に抱えられていた虎徹が飛び降りた先がバニーちゃんの背中だったの」

虎徹「みゃっ」

律「ビックリして、追い掛け回したってわけだ」

梓「・・・」ジー

虎徹「みゃ~」

「ごめんなさいね、校庭走り回っちゃって~」

梓「いえ、こいつ。じゃない、虎徹が悪いんですから」

虎徹「・・・」

「ほら、行くわよバニーちゃん。それでは頑張ってくださいね」

律「ありがと」

エリ「ばいばーい」

バニー「わんっ」

虎徹「・・・」ファー

梓「呑気にあくびなんかして・・・」イライラ

律「昨日に続いて預かってきたのかよ?」

エリ「うん。千客万来招き猫ですから」

虎徹「みゃっ!」

梓「フッ・・・」

虎徹「・・・」イラッ

エリ「さってと、現場へ戻ろうよりっちゃん」

律「そーだな。虎徹の面倒よろしくな梓」

梓「・・・あ、耳鳴りがして聞こえなかったです。私一度教室へ戻りますから」クルッ

エリ「ちゃんと梓ちゃんに付いていくんだよ、虎徹」

虎鉄「みゃー、みゃー」フルフル

梓「こっちだって嫌だよ!」

虎鉄「みゃー!」

梓「ちゃんとエリ先輩に付いて行ってね」

虎鉄「みゃっ」フンッ

梓「腹立つな・・・」

虎鉄「みゃ・・・」

梓「置いていかれてる」プフッ

虎鉄「・・・」ガーン

梓「律せんぱ・・・」

虎鉄「・・・」フッ

梓「・・・」シーン

クスクス

「あの子・・・ネコと会話してる・・・?」

「そんなまさかぁ」

ヤダーカワイイー

梓「・・・っ」ダキッ

虎鉄「みゃっ!?」

ダダダダッ



―――――調理室


唯「どうしたのあずにゃん?」

梓「エリ先輩いますか?」

唯「いないよ~」

憂「梓ちゃん、虎徹ちゃんと入ったらダメだよ。衛生上の問題だからね」

梓「う、うん」

虎徹「・・・」

唯「どうして一緒なの?」

梓「勝手に付いてくるんですよ」

虎徹「・・・」ファー

唯「そっかぁ・・・」

憂「出店場所には行ってみたの?」

梓「まだ。・・・エリ先輩が現場だと言っていたからこっちだと、てっきり」

唯「それじゃ、お店の状況見てきてくれるかな?」

梓「はい、分かりました」

憂「よろしくね」

潮「憂ちゃーん!」

憂「はーい」

タッタッタ

梓「・・・行こうか」

虎徹「みゃ」


11
最終更新:2011年10月06日 18:09