―――――茶店


春子「むぎ?調理室に行ったよ」

梓「やっぱり・・・」ガッカリ

虎徹「・・・」ピョン

エリ「そこで大人しくしててね」

虎徹「みゃ」

梓「・・・」ジー

虎徹「・・・」モゾモゾ

梓(福を招いてこないよね・・・)

虎徹「」ウトウト

梓「・・・はぁ」

虎徹「」スヤスヤ

夏香「梓ちゃん、これ4番椅子へ運んでくれるかな」

梓「は、はい!」

ワイワイガヤガヤ

梓(お客さん増えてる・・・みんな頑張ってるのに、私だけ遊んでたみたい・・・)

テクテク

「あ、キタキタ」

梓「お、おまたせしました」

カチャ

「へぇ・・・本格的だ・・・」

「チンビンだって、面白い名だね」

梓「こちらのジャスミン茶とお召し上がりください」

「うん、ありがと~」

「では、さっそく」パクッ

梓「失礼します」ペコリ

「んっ?」

「どう?」

「濃い味・・・」

「お茶と食べてって言ってたよ」

「うん」ゴクゴク

「どれどれ」パクッ

「あ、なんか合うね。爽やかぁ」

梓(ちょっと嬉しいかも・・・)

夏香「ありがと」

梓「いえ、私は律先輩と露店の方へ行ってきます」

夏香「うん。頑張ろうねー」

梓「はい!」

律「お、来たか・・・。わりぃなまだ時間じゃないのに」

梓「律先輩もですよ」

律「私は屋台班だからいいけど、梓は違うだろー?」

梓「いいですよ、これくらい」

「水あめくださーい」

梓「ひとつでいいの?」

「うんー。はいおかねー」

梓「はい、ありがとう。きをつけてね、おとさないでよ?」

「だいじょーぶ。ありがとー」

テッテッテ

梓(いつきちゃんに比べて楽だった・・・)

律「成長したなぁ」シクシク

梓「なんですかそれは」

虎徹「」スヤスヤ

「これください」

律「いらっしゃいませー」

「休憩所ってどこかな?」

律「あー、この店の裏になるんですけどー、蛇の絵が描かれた傘がありますんで」

「? 分かった、ありがとう」

律「ありがとうございましたー」

梓「野点班の隣に休憩所を設置するなんて、さすが和先輩ですよね」

律「あぁ、店の機能と休憩所の空気が混じって商売繁盛だ」ウシシ


――・・・


虎徹「」スヤスヤ

由記「梓、交代しよ」

梓「まだ時間じゃないよ?」

由記「そうだけど、梓は早めに入ったでしょ?」

律「そうだな、こっちは落ち着いてきたから茶店の方加勢してやってくれ」

梓「は、はい」

虎徹「」ピクピク

梓「それでは」

スタスタ

「これなんですか?」

由記「サーターアンダギーと言う、沖縄のお菓子なんです」

「へぇ・・・」

由記「・・・」

律「材料はドーナツと同じなんですけど、独特の味がしておいしいですよ!」

「そうか、それなら一つ頂戴」

律「ありがとございまーす!」

由記「・・・」ゴソゴソ

「沖縄のお菓子か・・・」

律「このお店の裏側に休憩所もありますよ」

由記「はい、どうぞ」スッ

「休憩所行ね、情報ありがと」

スタスタ

由記「り、律先輩、ありがとうございました」

律「ん?」

由記「言葉が詰まってしまって・・・」

律「慣れだ、慣れ!」

由記「ふふ・・・」

律「千客万来のネコだな、虎徹は・・・あれ?」

由記「いないですね・・・」

「見てみて」ヒソヒソ

「あ、ほんとだ~」

「ちゃんと後をつけてる、かわいい~」

梓「?」

虎徹「?」

夏「いや、あなたたち二人を指しているのかと」

梓「・・・二人?」

虎徹「みゃ?」

梓「あっちの机の下でじっとしててよ。蹴られるよ?」

虎徹「みゃっ」

テッテッテ

夏「これ、どこに持っていけばいいかな?」

梓「虎徹が居る机の上にお願い。今取りに行こうと思っていたところだった、ありがとう」

夏「いえいえ。もうちょっとペース上げたほうがいい?」

梓「えーと・・・」

アカネ「そうだね、そう伝えておいてくれるかな」

夏「ラジャッ」ビシッ

テッテッテ

澪「次、これ持っていくな」

未知子「お願いねー」

美冬「未知子はこれ。3番椅子ね」

未知子「うん」

澪「お、おまたせしましたー」

「お、ありがとう」

「おねーちゃん、ありがとー」

澪「ふふっ、ゆっくりしていってね」

「うん!」

未知子「よいしょよいしょ」

スタスタ

梓「未知子先輩、茶店衣装似合いますね」

多恵「うん・・・。いいなぁ」

梓「多恵先輩も似合ってますよ」

多恵「あ、ありがと」テレッ

憂「梓ちゃん、紬さんの居場所知ってるかな?」

梓「教えて欲しいくらいだけど」

憂「そっかぁ・・・」

梓「・・・エリ先輩は調理室?」

憂「うん。しばらくは虎徹ちゃんよろしくねって」

梓「・・・はぁ~」

テッテッテ

虎徹「みゃ?」

梓「呼んでないって」

さわ子「あ、梓ちゃん、ここにいたのね」

梓「な、なんですか」

さわ子「構えないでよね」

梓「・・・」

さわ子「校門にお客さんが帰るから、見送ってあげて」

梓「お客さん?」

さわ子「ひ・み・つ☆」ウィンク

虎徹「・・・」

さわ子「なによ」

虎徹「みゃ・・・」

憂「あ・・・!」

さわ子「憂ちゃん」

憂「は、はい」クスクス

梓「?」



―――――校門


梓「わざわざ見送れって・・・どういう事だろう・・・」

虎徹「・・・みゃ」

姫子「梓・・・?」

梓「あ、姫ちゃん先輩」

姫子「・・・どこへ行くの?」

梓「すぐそこまでです。誰かを見送れと」

姫子「見送れ?」

虎徹「みゃっ?」

スッ

梓「みゃっ!」

「ふふ、だーれだ?」

梓「だ、だれですか!目隠しする人なんていないはず!」アセアセ

姫子「・・・誰?」

虎徹「みゃ?」

和「よく知っている人よ、梓」

梓「和先輩?」

「私が誰か当ててね」

梓「・・・?」

姫子「???」

和「そうね、姫子も分からないでしょうから、ヒントをあげるわ」

「和さん、ダメ」

梓「え・・・その声・・・」

「久しぶりね、と言っても・・・1ヶ月とちょっとだけど」


梓「さとみさん!?」

さとみ「あたり~」

梓「・・・ど、どっどど!?」

和「姫子、夏の旅で出会った、千歳さとみさん」

さとみ「はじめまして、さとみです」

姫子「立花姫子です・・・」

虎徹「みゃ?」

さとみ「かわいい~」ダキッ

虎徹「みゃっ!」

さとみ「梓ちゃんの後ろをちゃんと付いて来ていたわ~」スリスリ

虎徹「みゃぁ~」ジタバタ

梓「どうしてここに!?」

和「学園祭を遊びに来たらしいわ」

梓「知りませんでしたよ!?」

和「私たちも知らなかったわ」

さとみ「朝一で来たのよ~」スリスリ

虎徹「みゃみゃー!」

姫子「・・・」

さとみ「さわちゃんに高校繋がりで誘ってもらってね」

和「そうだったのね」

さとみ「澪さん、律さん、唯ちゃん、憂ちゃん、純ちゃん、みんなに会えたわ」

梓「い、いつの間に・・・!」

さとみ「むぎさんとずっと一緒にいたの」スリスリ

梓「・・・」

さとみ「全然変わらないのね。なんだか、嬉しくなっちゃった」

梓「・・・」

さとみ「?」

梓「私は変わってしまうところでした」

さとみ「・・・」

梓「いえ、失うところでした」

さとみ「・・・そう」

梓「むぎせんぱいが隣に居てくれたから、自分を失わずにすみました」

さとみ「うん」

梓「・・・」

さとみ「そろそろ帰らなくちゃ」

梓「明日の演奏見ていきませんか?」

さとみ「・・・」

梓「私たちの・・・」

姫子「・・・」

和「・・・」

さとみ「やめとくわ」

梓「・・・」

さとみ「一つの区切りになるのよね?」

梓「はい」

さとみ「私の中の区切りは、あの旅の中にあったから」

梓「・・・」

さとみ「あなたたちの区切りを、大切にしてください」

梓「はい」

和「・・・」

姫子「・・・」

さとみ「・・・なんて」

梓「ずっとむぎせんぱいと一緒に?」

さとみ「そうよ。楽しかったわ~。夏ちゃんとお化け屋敷に行って、
    冬ちゃんとプラネタリウムに行って、和さんと写真展へ行って
    ちゃんとサーターアンダギーも食べて」

梓「学園祭満喫ですか!」

さとみ「うん!」キラキラ

梓「ぐっ・・・」

和「来てくれてありがとう。楽しかったわ」

さとみ「うん。とっても楽しかった」

和「むぎも、楽しそうだった」

さとみ「そう言ってくれると、とっても嬉しいわ」

和「また、どこかで会いましょう」

さとみ「えぇ、きっとね」

梓「・・・」

さとみ「梓ちゃん」

梓「『別れ』は『終わり』じゃないですよね」

さとみ「そうね」

梓「また、です!」

さとみ「えぇ、またね」

姫子「・・・」

さとみ「さようなら、姫ちゃん」

姫子「ちょっ!」

梓「さとみさん、虎徹を置いていってください」

虎徹「みゃー・・・」グッタリ

さとみ「うふふ」

姫子「変な人」

梓「ブフッ」

和「ふふっそうねっ」

姫子「・・・不思議な人」

梓「はい」

和「えぇ、・・・素直に表現して、素直に受け止めて。あの子は変わったわ」

姫子「・・・」

梓「ひょっとして・・・星奈さんと緑さんも来ているんですか?」ワクワク

和「来てないわよ」

梓「そう・・・ですか・・・」ガッカリ

姫子「私も、その夏を過ごしたかったな」

冬「夏とですか・・・?」

虎徹「みゃ~」スリスリ

姫子「夏は関係ないよ」

梓「ややこしい・・・」

和「私は見回りを続けるわね」

姫子「うん。頑張ってね」

和「えぇ、ありがと」

スタスタ

冬「いい子いい子~」ナデナデ

虎徹「みゃ~」ゴロゴロ

姫子「冬は休憩?」

冬「はい。1時間くらい自由時間を貰いました」

梓「ふーん・・・」

姫子「むぎと一緒に行ったプラネタリウムはどうだった?」

冬「綺麗でしたよ~。低予算の仕掛けなんだそうですけど、手間をかけて創りあげていました。
  制作者の熱意と情熱と気持ちが詰まっていたような気がします」

梓「ふーん・・・」

姫子「今いい事言ってたよ?」

虎徹「・・・」フンッ

梓「・・・」

冬「さて、っと。どこに行こうかな」ルンルン

姫子「うちのお店に来た?」

冬「まだなんですよ」

梓「それじゃ、行こうか」

虎徹「みゃ~」

澪「あ、帰ってきた」

梓「?」

冬「こんにちは~」

未知子「あ、冬ちゃん」

律「一杯やってくかい?」クィッ

澪「 や め ろ 」

律「なんだよ、お茶を一杯どうですか?って意味だぞー」

姫子「代わろうか、澪」

澪「うん、お願い」

律「梓も自由にしてていいぞー」

梓「私なんにもやってませんよ?」

純「どっちかって言うと、歩いてて欲しいんだよね。宣伝としてさ」

梓「・・・」

虎徹「・・・」クシクシ

律「梓のその和服の衣装がこの店の宣伝になっててさ~」

梓「そうですか・・・」

アカネ「律さん、交代しようか」

律「マジ?サンキュー」

澪「一緒に見て回ろうよ、梓」

梓「は、はい!」

冬「付いて行っていいかな?」

梓「う、うん・・・。食べていかないの?」

冬「後でまた来るから大丈夫」

虎徹「・・・」クシクシ

梓「・・・どこへ行くか決まっているんですか?」

律「どうなんですか?」


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最終更新:2011年10月06日 18:12