梓「あれは・・・樹ちゃん・・・?」

紬「・・・?」

キキッ

ガチャ

梓「樹ちゃん、どうしたの?」

樹「あ、お姉ちゃん!」

紬「!!!」

梓「あ、いえ。妹じゃないですよ。五年前の学園祭で出会った子です」

紬「・・・」ガッカリ

梓「なんでガッカリしてるんですか」

樹「お姉ちゃん、どこ行ってたの?」

梓「空港に行って、むぎ先輩を迎えに行ってたの」

紬「・・・」ニコ

樹「ふーん。仕事はー?」

梓「や す み」ブイ

樹「それじゃあ今から遊びに行こうよ!」キラキラ

梓「ざーんねん。私たち明日からの準備のために忙しいの」

樹「えー!」ブー

紬「・・・」ツンツン

梓「はい?」

紬「・・・」クイックィッ

樹「?」

梓「一緒にですか?」

紬「・・・」コクリ

梓「ダメですよ!学校があるんですから!」

紬「・・・」ニコニコ

梓「思いつきで言わないでください・・・。って、このやりとり懐かしいぃ」ウルウル

樹「明日からの準備って?」

梓「二人で旅に出るの」

樹「お姉ちゃんも仕事あるよね?」

梓「一ヶ月休むんだよ」

樹「ずるーい!」

梓「この日のために3年間文句も言わずに働いたんだからいいの」

樹「偉い人に怒られるよきっと」

梓「怒られたよ~。でもね、辞表チラつかせたら許可くれたんだよ」

樹「ふーん。すごいね」

梓「分かってないでしょ?」

樹「分かるよー。脅したんだよね?」

梓「人聞きの悪い・・・。風子さんじゃないな・・・純と関わっちゃダメだよ」

樹「どうして?」

梓「よくない言葉を教えるから!」

樹「わたし純ちゃんスキよ?」

梓「・・・分かった。純に言っておくから」

樹「?」

梓「なんでもない」


樹「・・・」ジー

紬「・・・?」

樹「お姉さんがむぎさんね・・・?」

紬「・・・」キリ

樹「いつも話に出てくるよ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・」

樹「お姉さん綺麗・・・」

紬「・・・」テレテレ

梓(仕草も何一つ変わってない・・・)

樹「お姉さん、初めまして。樹といいます」ペコリ

紬「・・・」ペコリ

梓「・・・」

樹「そっかぁ・・・。お姉さんがむぎさんなんだね」ウンウン

紬「・・・」コクコク

梓「二人でなにを頷き合っているんですか・・・。って、なんか楽しいぃ」ウルウル

樹「二人旅ってどこに行くの?北海道?」

紬「!」

梓「どうして分かったの?って、二択の内の一つだけど」

樹「オーロラ探そうよ!オーロラ!」

紬「?」

梓「だから、学校があるでしょ・・・。どうしてオーロラなの?」

樹「昨日姫ちゃんと読んだ雑誌にあったの。北海道で二人で探したオーロラって」

梓「あー、あの人の記事かぁ・・・」

紬「・・・」

樹「わたし、まだオーロラ見た事ないんだよね」

梓「私も無いよ」

紬「・・・」ツンツン

梓「?」

紬「・・・」クイックィッ

梓「ここに残っている人たち、姫ちゃんさん、いちごさん、風子さん、春子さん、信代さん
  5人はこの子と顔見知りなんです。この子の母親とも仲良くて・・・」

紬「・・・」コクコク

梓「たまに帰ってくる、純と和さんとも遊びに行った事ありますよ」

紬「・・・」

樹「北海道行こうよ!摩周湖も見たい!」

梓「摩周湖・・・その記事も読んだの?」

樹「ううん。なんとなく行きたい」

梓「意味が分からない・・・。情報源はなんなの?」

樹「前世?」

梓「意味知ってて言ってるの?」

樹「もちろん。今学校でブームなんだよね」

梓「・・・フッ」

樹「見ててよ。お姉さんの前世を占ってあげる」

紬「・・・」ワクワク

樹「むむむ・・・」

紬「・・・」ワクワク

樹「クレオパトラです」

紬「・・・」キラキラ

梓「私は?」

樹「カマキリだよ」

梓「あらかじめ用意してあったよね?ね!?」

樹「スフィンクスでいい?」

梓「なにそれ、同意したら決まるの?」

樹「しょうがないね。この中から選んで」ズラー

梓「それ動物占いのカードでしょ・・・。動物限定なんだ・・・」

紬「・・・」スッ

樹「ねこちゃん!」

梓「・・・」

樹「ねこちゃん大好き!」

紬「・・・」コクコク

樹「お姉ちゃんと出会ったのもねこちゃんのおかげなんだよ~」

紬「・・・」ニコニコ

樹「一緒に遊んだんだよね、お姉ちゃん」

梓「私は遊んでないけど・・・」

樹「仲良かったよー?」

梓「あれ、なんの話をしてたっけ・・・?」

紬「・・・?」

「樹~、帰るわよ~!」

樹「あ、お母さん!」

梓「あ、こんにちは」

紬「・・・」ペコリ

母「こんにちは。また遊んでもらってたのね」

樹「うん! お母さん、私北海道へ行ってくるね!」

母「あら、どうやって行くのかしら?」

樹「お姉ちゃんの運転する車で!」

母「それなら時間がかかって学校をたくさん休まなきゃいけないわね~」

樹「うん!学校辞める!」

母「うふふ、そうはさせませんよ」

樹「えー!?」

母「お姉ちゃんの力を借りずに自分で行きなさい」

樹「・・・はい」

母「よろしい。それでは梓さん、後ほど」

梓「はい。また、後で」

樹「お姉さんもパーティに行くの?」

紬「・・・」コクリ

梓「そうだよ。今日の主役だから」

樹「主役は春さんじゃないの?」

梓「じゃないよ」

樹「そうなんだ」

母(オリンピック出場よりメインなのね・・・)

樹「お姉ちゃん、お姉さん、また後でね」フリフリ

紬「・・・」フリフリ

梓「うん」フリフリ

紬「・・・」

梓「夏休みだったら一緒に行けましたけど・・・」

紬「・・・」コクリ

梓「少し残念ですね」

紬「・・・」

梓「春さんって言うのは春子さんですね。柔道オリンピック出場が決まった」

紬「・・・」コクリ

梓「言ってましたよ。『律を投げた日から人生変わっちゃった』って」プクク

紬「・・・」ニコニコ

梓「それを聞いたちかさんが笑い転げてましたね」

紬「・・・」ニコニコ

梓「樹ちゃんの話なんですけど、この河川敷で過ごす事があるんですよ」

紬「・・・」コクリ

梓「私だけじゃなく、姫ちゃんさん、風子さん、いちごさんとも。
  私がいなくても樹ちゃんは懐いてて楽しくやってるみたいです」

紬「・・・」

梓「みなさん樹ちゃんを妹のように接してくれているから、見ていて微笑ましくなるんですよね」

紬「・・・」コクコク

梓「この前、と言っても半年くらい前なんですけど、樹ちゃんが私のアパートに泊まりに来たんですよ
  それを聞いた風子さんが夏香さんと英子さんを連れて来たんです」

紬「・・・」コクリ

梓「ボードゲームまで持ってきて・・・。ビックリしましたよ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「何周もして私と夏香さんが飽きてきた頃にですね、信代さんがお酒をもって来たんです」

紬「・・・」ニコニコ

梓「それからは宴会になっちゃって、樹ちゃんがいるから私と英子さんは控えましたけど
  風子さんがお酒に強いの知ってました?」

紬「・・・!」フルフル

梓「夏香さんはマイペースで風子さんに付き合っているようです。信代さんが意外と弱いんで面白いですよ」

紬「・・・」コクリ

梓「その後みんなでDVDを鑑賞したんですよ。恐怖の心霊動画ってやつです」

紬「・・・」ゴクリ

梓「風子さんが変な事言うから、樹ちゃんが笑ってしまって、恐怖なんてどこかいっちゃいましたよ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「みなさんお酒との付き合いが上手なんで、酒癖が悪い人はいないんですよね」

紬「・・・」コクコク

梓「大抵、信代さんと風子さんが揃うと宴会になってしまうから
  誰の部屋で飲んでも次の日は重たい体を引きずる事になるんですよね」

紬「・・・」ニコニコ

梓「そうそう、エリさん、アカネさん、慶子さん、潮さんと私で居酒屋で飲んでる時にですね
  夏と姫ちゃんさんが遅れて来たんですけど・・・ブフッ」

紬「?」

梓「あ、いえ・・・。後で夏の前で話しますね」ウシシ

紬「・・・」クイックィッ

梓「はい。月に一度、むぎ先輩のクラスの方と会ってますね」

紬「・・・」クイックィッ

梓「いつも誘いがかかってきて・・・っていうのも、律さんが勝手に広告塔にしたからなんですよ
  『むぎの近況を知りたかったら梓まで』とか言って
  その本人は1年半くらい前から音沙汰無しなんですけど」

紬「・・・」

梓「澪さん曰く、『便りが無いのは良い便り』だとか」

紬「・・・」コクリ

梓「むぎ先輩に手紙を送っているようですから、私も心配はしていないんですけどね」

紬「・・・」ニコニコ

梓「実は、手紙にしようって言い出したの唯さんなんですよ」

紬「!」

梓「『電子メールは便利だけど、真心篭ってないよ!』とか言い出して」

紬「・・・」

梓「言いたい事は分かるんですけどね」

紬「・・・」

梓「私の仕事も文字を扱うから、それを伝える側から受け取る側へ繋げる役目として頑張ってますよ」

紬「・・・」ニコニコ

梓「むぎ先輩の翻訳という仕事もそうですよね」

紬「・・・」キリ

梓「・・・」

紬「?」

梓「あ、いえ・・・。懐かしい表情するなぁ・・・と思って」

紬「・・・」ポッ

梓(少しも変わらない・・・。それがとっても嬉しいな・・・)

紬「・・・」

梓「まだまだ時間ありますから、五年間の話を聞いてください」

紬「・・・」コクリ

梓「――と冬が言ったそうです」

紬「・・・」ニコニコ


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最終更新:2011年10月06日 18:26