ねえ愛ってどういうもの? 一緒にいて幸せだって思うこと? 私恋したことがないから知らないんだあ。

じゃあこの気持ちが愛なんだよきっと。お姉ちゃんとずっとずぅっといたいっていうこの気持ちが。

女の子同士? しかも血の繋がった姉妹?

憂「小さな問題だよ」

唯「……憂?」

憂「おねえちゃん、ギュ~」

唯「うっうい!?やっやめてへんになっちゃう!」

憂「もう心配しないでいいんだよ」

私を振りほどこうとしたお姉ちゃんの動きが止まった。

憂「私もお姉ちゃんのこと愛してたみたい」

唯「…えっ…?」

私はお姉ちゃんから両腕を離すと、お姉ちゃんに向き合う位置に移動した。
赤い目をぱちぱちと瞬かせるお姉ちゃん。

憂「二回も言わせないでね?」

さあ、お姉ちゃんを縛り付ける呪縛を解く魔法の呪文を唱えよう。

憂「私は平沢唯といつまでも幸せに生きたいよ」


唯「…ぅぃ…」

唯「う゛いいい!!!」

憂「わっ」

お姉ちゃんは顔をくしゃくしゃにして私を抱きしめた。とても強く、熱く。

憂「よしよし」

唯「アリガト……アリガトウ…」


――お姉ちゃんの泣き止むのを待って

憂「落ち着いた?」

唯「…えへっ」

憂「ふふっ」

私はお姉ちゃんの顔に両手を添えて鼻先まで持っていった。
混じり合った私たちの息はとってもあったかい。

憂「よろしくね、私の彼女さん♪」

唯「えぇだめ! 憂の方が女の子らしいもん」

憂「それじゃ二人とも彼女で、ね?」

唯「う~ん…いいよ!」

お姉ちゃんの見せるとびっきりの笑顔。つられて私も満面の笑顔ができたと思う。

憂「目っ閉じて」

唯「…とうとう……うん」

憂「そんなに目に力入れなくていいよ。自然に自然に」

唯「…こう?」

返事をせず私は目をつむり、顔を引き寄せて口づけをした。

こころが舞い上がった。至福の時間が流れる。


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||||||||||||||||||||||||||||||||||AFTER THREE MONTHS||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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憂「ほら起きて! 遅刻しちゃうよ!」

唯「んぅぃ~…ん、おはよ~」

憂「おはよ♪ じゃ早く食べにきてね」

唯「ちょっと待って」

憂「なぁにふみゅっ」

唯「~♪」

憂「~♪」

唯「ふぅっおはよ♪」

憂「……」

唯「うい?」

憂「は、キスなら先に言ってよぉ…おはよ♪」

唯「うん!」

テンション上げた私たちは手を繋いで居間に向かった。

あれからお姉ちゃんは恋人らしい絡みを求めるようになった。
といってもせいぜいキスしたり手を繋ぐ程度。あとは一緒に寝る頻度が上がったかな。

お姉ちゃんはプラトニックラブを望んでいたようです。


そう、お姉ちゃんは。


私は二ヶ月前からある悩みを抱えている。


――食事中。

憂「この紙パック、もう牛乳入ってないや」

唯「そう? 私の飲む?」

憂「アリガトウ」

唯「はいどうぞ」

憂「飲ませ…」

唯「?」

憂「…ううんなんでもないよ」

唯「?」

お姉ちゃんの口つけた牛乳を私が飲む。
ささやかで恋人チックなシチュエーションに私の頭はいらん妄想をしたのだ。

――妄想が頭の中をひとり歩きする。

憂「飲ませて」

唯「いいよ!」

唯「~♪」

唯「モゴモゴ」

憂「口いっぱいに牛乳含んだらしゃべれないよぉ」

唯「ん~ん?」

憂「うん」

唯「ん」

憂「ん♪」

お姉ちゃんが私の顔を支えるように両手を添える。両の頬が熱いのは多分この手のおかげだけじゃない。

かがむお姉ちゃんの閉じた唇と、椅子に座っている私のわずかに開いた唇が、隙間を作らないようぴったりと吸着する。
私たちは両目を閉じた。

唯「んんんぉ?」

憂「ん!」

言葉になってない言葉で意思疎通を行い、お姉ちゃんの水門がじらすように開いていく。
すると神秘の液体がこれまたじらすように少しずつ私の口内を通り喉の奥に飲み込まれていく。

コクンコクンと、私の喉の骨が動く。私の中をお姉ちゃんの唾液を含んだ生ぬるい牛乳が満たされていく。

憂「んん…」

少し息が苦しくなるけどかまわない。それすらも心地良い。
少量でも絶え間なく流れる液体の味を舌で入念に堪能する。

憂「ん……」

長いようで短い時間が過ぎた。
少し名残惜しい。
私は目をひらいた。ゼロ距離のお姉ちゃんと目が合う。その目が優しくほほ笑んだ。

瞬間お姉ちゃんの舌が私の唇を押し分け口内に侵入する。

憂「んぅ…!」

唯「ん…」

その舌は積極的に私の舌に「ううういいいい!!!」

憂「キャア!!?」

唯「やっと帰ってきた……」

憂「へ? そうだ今なんじ!?」

唯「うん…確実に遅刻…」

憂「…ごめんなさい!!」

遅刻は遅刻でも私たちは走って学校へ向かった。お姉ちゃんは私についていくため、私は煩悩を振り切るために。


――そう。私の悩みは、お姉ちゃんのふとした仕草に肉体的行為を妄想してしまうこと。そのたびに後悔が残る。

初めは抱き合うぐらいだったし実際に変な時に抱きしめたことがあった。そういう時お姉ちゃんは少しだけ困った顔で笑う。

それがディープキス、首筋なめなめ、乳揉み、乳しゃぶりとどんどんエスカレートしていった。

妄想だけで済ますことができず自慰行為もした。刺激がとてつもなく快感だった。この快楽がまた妄想を促進させた。


こうして性のスパイラルが完成した。6月の終わりには行為の最後まで妄想する淫脳になってしまった。

あの頃のお姉ちゃんより「うい!!」

憂「ひゃい!!?」

梓「やっと戻ってきた…」

憂「また…」

梓「また?」

憂「ううんなんでもないよ」

梓ちゃんとは新歓ライブを通じて仲良くなった。最初は人見知りっぽかったけど、そこまでじゃなかった。
今度一緒に遊びに行きたいな♪

憂「ってもうお昼休み!?」

梓「休み時間のたびに呼んだんだけどね、ごめん」

憂「梓ちゃんは悪くないよ」

梓「そう聞くと安心した。 お弁当いっしょに食べない?」

憂「いいよ。ん、ちょっとトイレ」

梓「じゃわたしも」

梓ちゃんとは軽音部の話で盛り上がる。最近ではプライベートの話も多い。なぜかお姉ちゃんの話で私が悦に浸ると梓ちゃんの顔は若干引きつるけど。

軽い雑談をしながら廊下を歩いていると、嫌でも反応してしまう言葉が通りすぎた知らない女子達から聞こえた。


女同士で? きもちわるーい!


思わず振り返った。その女子のグループは私に気づいたと思うと足早に去って行った。

梓「どしたの?」

憂「! ううん大丈夫、蚊がいた気がしただけ」

梓「そういえばそろそろだね、蚊」

私があの子たちをどんな顔で見てたのかは私も梓ちゃんもわからない。
ただ日に日にああいう発言に対して過剰に反応するようになっていったのはわかる。


――トイレに入ると自然に右手が股間に向かった。お姉ちゃんのことで悩んでいたら、それが原点になって妄想の螺旋を描いたのだ。

憂「はぁっはっはっ…!」

入る前からすでに濡れかけていたアソコの…クリトリスを右手でいじめた。

お姉ちゃんのあの笑顔は卑怯だ。
あの日からいつもいつも幸せそうに笑って……私の気も知らないで…って待ってだからってもう泣いて欲しくない…。


二度とお姉ちゃんを泣かせないって誓ったじゃないかわたし!

だから肉体関係になりたくてもしない! お姉ちゃんが純愛を欲してるから! このままでも幸せなはずだから!!


頭がピリピリしてきたのを感じ、クリトリスをいじっていた人差し指の第二節までを十分に濡れきった穴の入口に挿入した。
背徳の快楽が走った。それでも私の人差し指は仕事であるように穴へ出し入れされる。

その指が入るのを見計らってさらに奥へと押し込んだ。
指を除く全身が麻痺したようだった。あつい…。あつい!

ああお姉ちゃんおねえちゃん!!

憂「ヒッヒャアアアァァン!!!」

梓「ういだいじょうぶ!!?」

妄想と思考の結合が、トイレの扉を叩く梓ちゃんの声で切れた。
アレの跳びはねた便座を拭きながら、真っ白な頭で梓ちゃんへの言い訳を考えた。


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||||||||||||||||||||||||||||||||||NIGHT|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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唯「ごちそうさま!」

憂「…ごちそうさま」


唯「? 憂、最近元気なくない?」

憂「そっそんなことないよ」

学校のトイレでナニしたのは初めてだ。いつも自分の部屋かお姉ちゃんの入浴後の浴槽でしてるのに。

唯「ん~じゃお風呂はいっちゃうね」

憂「うんそうして…」

唯「……」

お風呂場に向かう足が不意に止まった。
お姉ちゃんが振り向いた。いつになく真剣な顔をしていた。

唯「相談してね? 私、まだ憂に恩返ししてないんだぁ」

最後にほほ笑んで、お姉ちゃんは落ち着いた足取りでお風呂場に入っていった。


懐かしい顔してたなあ。
興奮を忘れ眼を閉じ思い返す。

文化祭の光景。一年生の頃は四人で演奏してたっけ。
お姉ちゃんは真面目に、そして楽しそうだった。中学まではあんな顔したことはなかった。

そんなお姉ちゃんの顔は私を安心させてくれた。


まぶたを上げた。

憂「うっ」

どれくらい経ったかな。照明が少しまぶしい。

もう一度あの顔を思い出すと興奮が帰ってきた。

憂「お姉ちゃん、アリガトウ」

三ヶ月前のお姉ちゃんと私を重ねる。お姉ちゃんもこんな感じだったんだね。

私の足はまだ恋人が入っているお風呂場へ向かった。


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||||||||||||||||||||||||||||||||||BATHROOM|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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そんなに時間は経ってなかったみたい。お姉ちゃんは浴室でまだ髪を洗っていた。

おちつけわたし。
ケモノになっちゃだめ!
お姉ちゃんがいやだって言ったらあきらめてわたし!!

私は身につけてるものを全て脱ぎ、濁ったガラス張りの戸口に手をかけた。

唯「うい~?」

お姉ちゃんの呼びかけに手から力が抜けた。


この先の展開次第では後戻りできなくなるんだ。


憂「うっ…うん、わたしだよ」


わかりきってるから! そんな不自然な返事してどうすんの!

唯「久しぶりに一緒に入らな~い?」

憂「久しぶり……そうだね」

ガラス戸をゆっくりと開けた。

唯「おお! やっぱ憂の肌ってきれいだね~」

憂「やっやだなぁもう」

唯「え~いやぁ?」

憂「うぅ…恥ずかしいってことだよぉ、言わせないで」

やばい…興奮してきた。

唯「ういカワウイ!」

憂「おこっていい?」

唯「きゃ~」

お姉ちゃんがからかい半分に私に、よく知っている私に笑う。
それに答えるように私も笑った。
それに答えるようにワタシが両足を勝手に動かす。

私は踏ん張って足を止めた。ワタシに任せたらケモノになってしまうから。

お姉ちゃんが不思議そうな顔で私を見てる。

唯「…頭洗ってくれない?」

憂「! うん…」


――右手にシャンプーをためてお姉ちゃんの頭皮を軽くこする。泡と髪だけが奏でる室内をお姉ちゃんの頭が連動して揺れる。


……どう切り出そう。

付き合いはじめたばかりがうらやましい。一緒にお風呂に入るのはよくあったし会話も弾んだ。

お姉ちゃんの白い背中が目に止まる。食べちゃえというようにワタシが私の鼓動を速める。
背中を見まいと鏡に目をやると、今度は抱えられた白い両足に意識が向く。

唯「うい」

自分の手が止まっていたことに気づいた。お姉ちゃんは下を向いたままだった。


唯「だいすきだよ」


プチン


憂「おねえちゃん」

唯「ん~?」

憂「相談、乗って」

唯「おぉやっと恩返しだ!」

頭の中がショートした。ワタシも私も目の前の魅力に打ちのめされた。
昔のように話すには無理な話題だと短絡的に結論づける。


どうにかなるよね。


憂「私はお姉ちゃんのことが好き、大好き」

唯「じゃ私は大大好き!」

憂「恋人として」

唯「私も~」

憂「身体も大好き」

唯「わたしも…ん?」

憂「わたしね」

お姉ちゃんの慎ましい胸に手を回して抱きしめる。

唯「きゃっ!!?」

憂「今のままじゃ満足できなくなっちゃった」

唯「ひゃい!! くすぐったいよぉ…」

左手で右胸を、右手で左胸を優しく撫でた。
お姉ちゃんが身体を震わせる。その振動が押し付けられた私の乳首にも快感を与える。

憂「おねえちゃん…」

身体をなぞるように右手を胸からおなか、わずかに生える陰毛、そしてアソコへ移動させる。

唯「うぅン…ゥァッアン!」

アソコを覆うように手で押さえただけで身体がびくついた。


感度良好。やっぱりお姉ちゃんは性的なことをなにも知らない。


私がおしえてあげる。


唯「ね…ねえ……どうなってん…のこれ……」

憂「おねえちゃん」

すでに息の乱れ始めたお姉ちゃんの右肩に顔を乗せ、お姉ちゃんの横顔をやらしく見つめる。
お姉ちゃんの顔が久しぶりに真っ赤になって左を向いてしまった。

しかたないから右手の人差し指で穴を上から撫でる。

唯「…ぁ…」

憂「きもちい?」

左手を右胸から離し、三本の指であごに触れ右に力を加える。
その程度の力にも逆らえないお姉ちゃんの首が私と目が合った。潤んだ目をしていた。

唯「…ぅん…」

憂「ふふっ」

お姉ちゃんの瞳が下を向く。初めてのエッチは誰でもこんな感じかな?

憂「じゃもっと気持ちよくしちゃうね。 愛の証だよ♪」


――この日の夜、私たちはお姉ちゃんの部屋に行って何度も夢見た初体験を済ませた。
お姉ちゃんはこういうのも愛だって理解してくれた。

わたしたちは一つになって舞い上がった。


END



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最終更新:2011年10月06日 23:56