――梓も入浴して――

律「さあて、いよいよ特訓だな!」

梓「そうですね。まったく、このままだと普通のお泊まり会でしたよ」

律「まあそう言うなって。さてと、豪鬼の基本ってなんだ?」

梓「はい。最終的には、律先輩の言う起き攻めです。問題は、それに至るまでになにをすればいいのか、です
がそれを今から説明させてもらいます」

律「りっちゃんスタイルならぬときど式だな!」

梓「まず豪鬼はいかなる状況にも対応できる、多彩な技を持っています。近距離、中遠距離でも問題なく戦え
る万能型です。ここまではリュウやケンと同じなのですが、豪鬼最大の特徴は逃げに特化しているところです」

律「逃げるってどういうことだ?」

梓「バックジャンプ斬空波動や阿修羅閃空があるので、タイムアップ間近の時に逃げに徹しやすいんですよ。
これらはそのまま普段の立ち回りにも『有利』に働きます」

律「ふむふむ」

梓「波動拳は、一部の例外はありますが、通常技では消せません。弾を消すには、弾しかありません。なので
波動拳というのは打つだけで場を制圧することができます。主導権を握るのに、豪鬼は斬空波動拳と豪波動
拳がかかせないのです」

律「でも、波動拳は跳ばれると痛いぜ?」

梓「その通り。波動拳は間合いが無限の牽制技ですが、ジャンプを合わせられると大ダメージを喰らってしま
います。そのうえ、豪鬼は体力が低く、大ダメージを受けるとそのまま致命傷にもなってしまいますね」

律「だよな。だから、なかなか弾が打てなくてさ」

梓「それは甘えです。打てる状況なら打ちましょう。距離が離れていればジャンプされても届きませんから。それ
に、波動拳を打てればゲージも溜まりますから」

律「弾を打つコツは?」

梓「リュウと豪鬼は弾の打ち方がまた別なんで、リュウの打ち方については言及しませんが、豪鬼の打ち方は
やはり安全な距離ですね。さきほども言いましたが、ジャンプされても届かない位置が望ましいです。もちろん
ジャンプを読んで、迎撃するのも大事ですけど豪鬼はいかんせん体力が低いので、基本的には待ちでいて
ください」

律「待ちキャラだったのか。意外だぜ」

梓「一概にそうともいえませんよ。一度でもダウンをとれれば、豪鬼は一気に攻めキャラに変貌しますから。
それに、豪鬼には強力な牽制技もありますからね」

律「牽制技?」

梓「はい。代表的なのが中足ですね。中足波動は伝統的で強力な牽制です。それと大足。豪鬼の大足は
早い上にリスクも少ないので、散らしていくと一度は必ず当たります。当たってダウンを取ったら、一気に
起き攻めで倒しましょう」

律「その二つしかないのか?」

梓「いえ、他にも屈中Pや……遠大Kがあります。この遠大Kの強さはこのゲームでもトップクラスですよ」

梓「まず、相手をリュウにして、しゃがませます。この状態で豪鬼の遠大Kを振ってください」

律「あれ? 一段目はガードさせられるけど二段目はスカるぞ」

梓「そうです。スカってしまうと痛い攻撃を貰いやすいです。しかし、今度は先端当てで二段目だけが当たるよ
うにすると――」

律「一段目は当たらないけど、二段目はガードさせられるな」

梓「これなら、反撃も貰いませんし、当たれば強力なコンボにつなげられます。では、次は相手をガイルにして
みましょう」

律「なにか変わるのか?」

梓「まあ見ていてくださいよ」

豪鬼「フンッフンッ」

律「一段目も二段目もしゃがみガードしたぞ!」

梓「これがどういう意味になるかわかりますか?」

律「わからん!」ふんす

梓「出し得なんです。当たれば大ダメージ+起き攻めでガードさせても無問題なんですから」

律「すっげえ! ユンにはどうなるんだ!?」

梓「スカります」

梓「まあ、基本的には遠大Kからの屈中P弱竜巻強昇龍or大足が豪鬼の基本にして最大のコンボです。これを
覚えましょう」

律「わかった! さあ、対戦だ!」

梓「駄目です。このプリントに書いてあるコンボ練習をトレモでがんばってください」

律「え? トレモってことはオンリー?」

梓「オンリーです。私は見てますんで」とことこ

律「おいどこに行く。見てるんじゃないのか?」

梓「見るのはテレビですよ。音楽缶をぼうっと見るのが私の楽しみなんです」

律「おいおい」

梓「それじゃあ、一時間くらいしたら見に来るんで。あ、回線は抜いてあるんでネット対戦はできませんよ」

律「……」

梓「がんばってくださいね!」にこっ

律「……はーい」

ドア「バタン」

律「あんな笑顔で言われたらやるしかねえだろ」タンタン

豪鬼「ていっ」



――1時間後――

梓「りーつせんぱーいどーですかー?」

ドア「がちゃり」

律「――」パシッパシッ

豪鬼「フンフンッ」

梓「……?」

律「――」タンタン

梓(すごい集中力……それに、コンボもまったくミスがない)

梓(一時間やり続ければ、ある程度のコンボはできるようになるけど、安定するとなると話は別。それを、この
人は一時間で安定の領域まできた。豪鬼に難しいコンボがないことを差し引いても、すごい!)

律「ん?」

梓「あ、邪魔しちゃいましたか?」

律「いや、そろそろ来るころかなと思っただけだから。それよりどうだ! コンボ完璧だぜ?」

梓「素直にすごいです。やればできるんですね。律先輩は」

律「どういう意味だよー。それより、次はなんだ? 新しいコンボでもやるのか?」

梓「いいえ。もうこのレベルなら対戦してもいいですね。ネット対戦でもしましょう!」

律「とりあえず、私のアカウントにしたけど」

梓「Ritsu Saikyoって……馬鹿ですか?」

律「うるせえ! ……ランクマでいいよな」

梓「いや、エンバトでお願いします。ランクマだとキャラも相手もがころころ変わっちゃうんで」

律「りょうかいっと」

梓「それと、これからはカウンターヒット確認も重要になってきますよ」

律「なにそれ」

梓「相手の技の出がかりを潰すと、カウンターヒットの表示が出てダメージとのけぞり時間が増すんですよ。
それを利用して、普通なら繋がらない技が繋がるようになるんです」

律「そうなんだ。豪鬼の代表的なやつは?」

梓「屈中Pカウンターヒット確認遠大Kです。これが出来るようになればかなり火力が上がりますよ」

律「そりゃすげえな! じゃ狙ってみるぜ!」

梓「まあ、律先輩のレベルだと、そこばかり気にして負けると思いますよ」

律「……それもそうだ」



――しばらくして――

律「――」タンタン

梓「そうです! そこで起き攻めです!」

律「とおおおおおきどしきいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」

梓「さすが律先輩! 攻める時のイキイキさったら他の追随を許しませんね!」

律「こかすまでは待ちだからな。起き攻めのときは一気にパワーを解放だ!」

梓「キャラ対策はまだいいとして、この立ち回りならかなりいいところまでいってますよ!」

律「えっへっへ!」

梓「あ、ちょうど澪先輩がインしましたね。エンバトの招待送りましょう!」

律「ようし! 澪よ! 私の力を思い知れ!」

梓「その意気です!」


――現在時刻2時20分――


梓(友達と徹夜でゲームで遊ぶのがこんなに楽しいなんて! 深夜のテンションも相まってすごい面白い!)



――そうして、週末が終わって月曜日――

律「よう唯!」

梓「おはよう憂」

唯「おはよー! 二人揃って登校なんて……あずにゃんの浮気者!」

梓「なにを言ってるんですか……いつから私が唯先輩のお嫁さんになったんですか」

憂「まったくだよ」

律「今日の部活もスパ4だぞ! 梓に鍛えてもらって、かなり強くなったんだ!」

憂「そうなんですか? 梓ちゃんすごいね!」

梓「ま、まあ律先輩もすごかったけど……」ぼそ

梓(まさか私が10本先取で4本もとられるなんて、思いもしなかったよ。最終的にはユンのネタ殺しでなんとか
なったけど、成長の伸びしろがものすごい!)

唯「でもりっちゃん! 私のリュウはさらに進化したんだからね!」

梓「そういえば、唯先輩ずっとインしてランクマしてましたよね。PP上がりました?」

唯「一度だけ5000にまでいったよ!」

梓「す、すごい!」

梓(私の先輩方はみんなしてすごい才能だなぁ)



――放課後・部室――

唯「さーて、やりますかー!」

律「そうだな! やるぞ!」

梓「律先輩! がんばってください!」

紬「……それで、澪ちゃんはりっちゃんに?」

澪「ああ。負け越した。サクラはセビキャンがないと切り返しに不安があるからな。ゲージなしのぶっぱなしなん
て美しくないだろ?」

紬「澪ちゃんらしいね」

唯「それじゃあスイッチオン――」

さわ子「その必要はないわ!」

梓「!?」

律「なんでこういきなり出てくるのかな……」

さわ子「うるさいわね! あなたたちに面白いイベントを持って来たわよ!」

バンッ!

紬「ポスター?」

澪「こ、これはっ――!」


桜ケ丘女子高等学校  スーパーストリートファイターⅣアーケードエディション大会!!


唯「これはぁ!」

梓「なんでこんなことできるんですか!?」

さわ子「ちょっとね。色々な諸事情があって、できるようになったの。私もびっくりしちゃったわ」

澪「参加人数に上限は?」

さわ子「はっきりいうわ。ないわ! 全校生徒が出場しても問題なし!」

紬「そうすると、何日もかけてやるんですか?」

さわ子「もちろん。今週末の5連休を利用してトーナメントをやるわよ!」

律「細かいルールは!?」

さわ子「それは明日の全校集会で説明があるわ。もちろん、出るわよね」

律澪紬唯梓「はい!!」

さわ子「それじゃあ決まりね! 誰が勝っても恨みっこなし! 桜高始まって以来の大イベントの開催よ!」



――次の日・講堂――

校長「それでは、今週末に行われるスパ4AE大会のルールを説明します」

生徒「うわああああああああああああああああああ!!!!!!!」

律「な、なんでこんなに盛り上がってんだよ」

紬「さ、さあ?」

校長「ルールは簡単。負けたら終わりのトーナメントです。しかし、それではあまりにも運の要素が大きいので、
2本1セットを2セット先取したほうが勝ち上がりというルールをとります。キャラクターはじゃんけんを行って、
負けた選手は勝った選手に選択キャラクターを申告します。つまり、じゃんけんに勝つことで相手のキャラクター
に『被せ』ができるというわけです。なお、1セットとった選手はキャラクターを交換できませんが、とられた選手は
キャラクターを交換できます。ウルトラコンボの変更は毎セット、どちらの選手も可能です」

梓「何人かのキャラを練習しておく必要があるのか……」

唯「私はリュウ一本でいくよ!」

校長「トーナメント対戦台は予選はブロック数用意します。しかし、ベスト8、及び一部の予選ピックアップ戦
のみ、この壇上で行います」

澪「目立ってしまうじゃないか……」

校長「そして賞品ですが――」

唯「賞品もでるんだ」

校長「まず3位!」

さわ子「……」ごろごろ

律「なんでさわちゃん水着なんだ?」

校長「3泊4日ハワイ旅行! ペアチケット!!」

生徒「わああああああああああああああああああああ!!!!!」

校長「第二位の賞品は!」

和「……」ころころ

澪「和まで……」

校長「ヨーロッパ一周旅行! これまたペアでプレゼント!!!!!」

生徒「きゃあああああああああああああああああああ!!!!!」

校長「そして栄えある優勝者の賞品は――!!!!」

唯「校長先生がいつもではあり得ないテンションで話してる……」

紬「多分、自分が言うことにいちいち反応してくれるのが嬉しいんだと思う」

校長「当日までないしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

全校生徒「!?」

校長「さあ! これら超豪華賞品を奪い合え! エントリーは明日の午後5時締切!」

生徒「ざわざわ……優勝賞品は……?」

校長「散れィ!」

先生「はーい。それじゃあ三年生から教室戻ってー」

ぞろぞろぞろ

唯「この分だと、かなりの人数が参加しそうだね」

澪「そうだな。これは私たちも油断できないぞ」

律「大丈夫だって! 私たちは負けねえよ! ベスト8であおう!」キリッ

紬「そんなこというと負けちゃうよ?」

唯「でも、私たちはベスト8まで誰も欠けないようにがんばろう!」

澪「それまでに当たっても、恨みっこなしだからな」

紬「うん! がんばるね!」

唯「よーし! それじゃあ大会まで部活なしで各自練習しよう! おー!」

律澪紬「おー!」

姫子「とてもじゃないけど軽音部とは思えない……」



――平沢宅―― 

唯「よーしがんばるぞー!」

唯(優勝は私だ!)

――秋山宅――

澪「ママ、今から私やることあるから部屋に入ってこないでね」

澪(目立つのは嫌だけど、出るんだったら優勝しかないよな!)

――田井中宅――

律「聡、スパーリング手伝ってくれ。お前何気に殆どのキャラ使えるだろ?」

聡「わかったよ。そのかわりアイス奢ってくれよな」

――琴吹宅――

紬「誰も部屋に入ってこないでね。もし邪魔したらひどいんだから!」フンス

菫(高校生って大変なんだなぁ……)

――中野宅――

梓「目指せ優勝!」

梓(でも、旅行になっても律先輩と行けたらいいなぁ……)



――そして、大会当日――

校長「それでは! 桜ケ丘女子高等学校 スーパーストリートファイター4アーケードエディション大会を開会
します!!」

生徒「わああああああああああああああ!!!」

校長「参加者は全校生徒の3分の1以上の128人! ルールは先日発表した通り! さあ、勝って勝って
勝ちまくれええええええええええええええ!!!!!」

唯「な、なんだかすごい気合いだね」

梓「無理もありませんよ。この熱気、まるでEVOです」

唯「……」

澪「トーナメント表が配られたな」

律「さて、と。私は――Aブロックか」

紬「16人で一つのブロックが8つね。私はBブロック!」

唯「私はCだよ!」

梓「私はEです」

澪「え……? 私もEだ」

?「ふっふっふ」



――主な選手のブロック――

A
田井中律(豪鬼)
鈴木純(?)

B
琴吹紬(ザンギエフ)
若王子いちご(?)

C
平沢唯(リュウ)
立花姫子(?)

D
山中さわ子(フェイロン)

E
秋山澪(サクラ)
中野梓(ユン+?)

F
平沢憂(?)
佐々木曜子(?)

G
真鍋和(?)
瀧エリ(?)

H 特になし


4
最終更新:2011年10月11日 09:58