梓「今のだれだったんだろう。よく見えなかったけど」
純「私もー。なんか綺麗な金髪だったよね」
姫子「なにはともあれ。これでムギは吹っ切れたね」
いちご「さっきと、目の輝きが全く違う」
さわ子「……」
紬「――」
ザンギ「祖国のために!」
サクラ「きゃああああああああああああああ!!!!」
紬「澪ちゃん……」
澪「申し訳なさそうな顔をするな。次も頑張ってくれよな」
紬「――うん!」
憂「さて、これで……」
律「ああ。準々決勝最終戦は――」
風子「私と田井中さんに決まりね」
律「私はもちろん豪鬼だ」
風子「じゃあ、私はユンでいくよ」
姫子「やっぱりユンは多いね」
いちご「そりゃあ最強キャラだからね」
梓「そして、ユン使いはどんどんいなくなっていく……」
純「ユン対策はばっちりな人が多いからね。それでも、最強なのには変わらないけどさ」
さわ子「面白いわよね。あれだけ強いキャラなのに、どんどんいなくなっていく」
いちご「格闘ゲームというのは、案外そういうもの」
豪鬼「一瞬千撃!」
律「――」のっしのっし
律「滅殺!」
澪「出た! 律のリアル瞬獄殺!」
唯「もう余裕だね!」
風子「……ふぅ」
進行『勝者!
田井中律さん! これでベスト4が出そろいました! しばし休憩の後に再開します。
組み合わせは>>250さんお願いします!』
※唯憂
進行『それでは選手のみなさんは集合してください』
紬「――」
憂「……」
律「……」
進行『まず、準決勝第1試合は
平沢唯さん、
平沢憂さんで行います。お二人とも、壇上へ』
唯憂「――!!」
梓「やっぱりきたね。姉妹対決」
澪「いつかは来るだろうと思ってたけどな」
和「さて、憂はハカンでいくのかしら」
純「それはそうでしょう。だって、憂はハカンが一番気に入ってるらしいですから」
姫子「え? なんで?」
純「……可愛いから、みたいです」
いちご「……」
梓(平沢姉妹のセンスはやっぱりわからない……)
唯「リュウでいくよ」
憂「ハカンで」
梓「……憂はウルコン1を選びましたね」
和「唯はウルコン2!?」
姫子「今のあの子なら、多分こっちのほうがいいよ」
さわ子「さて、今度はどんな超反応を見せてくれるやら」
澪「そんなオカルトありえないよ……」
いちご「でも、実際に起こったこと」
唯「さあ、いくよ! 憂!」
憂「うん!」
純「憂、嬉しそう」
澪「それに、楽しそうだな。……あ。昨日はメールありがとう」
純「み、澪先輩! は、はい!」
姫子「すごい……リュウとハカンってこんなに面白い戦いができるんだ……」
さわ子「お互いの持ち味を完璧に出してる。……全一ね。二人とも」
ハカン「スライディイイイイイイイイイイイイイ!!!」
リュウ「滅! 昇龍――けえええええええん!!!!!」
KO!
純「決まった! 超反応!」
いちご「ぎりぎり大足の距離で反応なんて……」
姫子「流石ね」
澪「でも、憂ちゃんにも考えがあるみたいだぞ。ウルコンは変えないけど、戦い方が変わった」
純「油を塗りまくってる……」
梓「油状態のハカンはかなり厄介だからね。これはこれでいいと思うよ。それに――」
ハカン「よけてみぃ!」
リュウ「うわあああああああああああ!!!!!」
梓「唯先輩にできたんだ。憂ができないわけがないよ」
さわ子「本当に1F単位で見てる……もう、この子たちが見ている世界は別物ね」
純「多分、憂はこのままもう1セットとると思います」
和「それはどうかしら。憂も天才だけど――唯はそのうえをいく大天才よ? このままでは終わらないわ」
唯「……」タタタタン!
リュウ「せいやっ!」
憂「――」タタタタタタ!
ハカン「いくでぇ!」
梓「すごい……綺麗な戦い」
さわ子「お互い、基本をしっかりしてるわね。このゲームにしては、余りにも珍しい対戦よ」
純「本当ですね。これだけの動きが出来るなら、きっとすごく面白いだろうな」
澪「別にいいんだよ。あんな動きが出来なくても、それぞれが楽しければ、それでいいんだ」
梓「――そうですね」
和「でも、あの子たち、すごく楽しそう。……まるで、昔の二人を見てるみたい」
姫子「……」
いちご「……決まるね」
梓「はい。……お疲れ様。憂」
進行『勝者! 決勝進出は平沢唯さん!』
唯「ういいいいいいいいい!!! 楽しかったよおおおおおおおおお」
律「決勝は唯か」
紬「次は唯ちゃんね」
律紬「……」
律「負けないぜ?」
紬「勝つわよ?」
梓「……なんか、二人の雰囲気がおかしくありませんか?」
純「怖いよね」
姫子「二人とも、本能むき出しで戦うつもりだね」
いちご「もう間には入れない」
澪「勝負事なんだ。私情をはさむのは莫迦らしいよ」
梓「……でも、ムギ先輩は――」
さわ子「当然ザンギでしょう。たとえりっちゃんが豪鬼であっても、それは変わらない」
和「これも一つの勝利への姿勢。こだわることは、ある意味ではなによりも大事なのだから」
進行『準備が整ったようなので、準決勝第二試合、琴吹紬さん対田井中律さん。始めてください!』
紬「――!」グルン
律「――」パチパチ
梓「流石に逃げますね。律先輩」
澪「攻めるよりも効率いいからな」
純「でも、百鬼はすごいですよね。ダブラリ一方的に潰してますよ」
姫子「本当に。ザンギはやっぱりこれはきついかな」
律「――!?」
和「出た! 二段EXバニ!」
梓「一気に距離を詰められた! コマ投げを嫌がって跳んだら――まずい!」
ザンギ「祖国の空は私が守る!!!」
いちご「一点読みのシベリアン……相変わらずすごい」
和「唯とは違って、ちゃんとした読み。だからこそ、ムギはすごい!」
梓「ただ、ムギ先輩はこれを4回はやらないときつい……!」
さわ子「ある意味、一番詰んでる組み合わせの一つよね。これ」
澪「はい。でも、いい試合です。本当に、そう思います」
紬「……」
律「――!」
豪鬼「――!」
ザンギ「お前の強さに乾杯だ……」
和「終わったわ……でも、すごかったよ。ムギ」パチパチ
姫子「うん。まさかギリギリまで追い詰めるなんてね!」パチパチ
梓「さあ、決勝戦です! 律先輩も唯先輩もがんばってください!」
さわ子「……でも、優勝の賞品は何なのかしら」
憂「三位の賞品も私と紬さん、どっちが貰えるんでしょう」
いちご「たしかに」
進行『大会二日目、お疲れ様でした。それではまた明日、決勝戦を行います。また明日!』
唯「明日はお互い頑張ろうね」
律「言われなくても、そうするさ」
――夜・平沢宅――
憂「お姉ちゃん、今日はお疲れ様! 明日もがんばってね!」
和「応援してるわよ」
唯「うん! ……でも、今日は疲れちゃったな~」ふわ~
和「あらあら。ほら、体洗ってあげるからお風呂くらい入りなさい」
唯「わ~い! 王様気分だ~」
――中野宅――
律「――今日はつかれたなああああああああああ」
梓「……なんで律先輩はうちにいるんですか」
律「だめ?」
梓「……まあ、いいですけど。ご飯食べていきますよね?」
律「もっちろん! なに? 梓が作ってくれるの?」
梓「流石に明日も試合の律先輩に作らせるわけにはいきませんよ。なにが食べたいですか?」
律「うーん……竜田揚げかなー」
梓「これまた面倒くさいものを……まあ、いいですよ。待っててくださいね」にこり
…
律「うめえええええええええええええ!!!!」
梓「ちょっうるさ……なんでもないです」
律「梓って料理うまかったんだな! 感心感心!」
梓「そりゃあ女の子ですから。少しくらいはできないと」
律「こりゃあ、どこに嫁にいっても大丈夫だな!」
梓「……律先輩にもらってほしいな」ぼそっ
律「ん? なにか言った?」
梓「い、いえいえ! 今日の起き攻め冴えてたなーと思っただけです!」
律「だろ!? 梓に教えてもらった通りにやったら、うまくいくんだよなー! いい子いい子」なでなで
梓「えへへー。って、撫でないでくださいよもー!」
律「悪い悪い! ついね」
梓「まったく。……今日は私が律先輩の身の回りのことをやってあげます! お風呂だって、背中洗ってあげ
ますから!」
律「おいおい! そこまでやるのかよ」
梓「やります! やってやるです!」
――そして・決勝戦当日――
進行『さあ! 三日間続いた大会も、今日でフィナーレ! 桜ケ丘女子高等学校スーパーストリートファイター4
アーケードエディション大会!』
澪「律……」
憂「お姉ちゃん」
梓「律先輩」
和「唯――」
進行『決勝を戦う! 二人の選手の入場です!』
煙「プシュー!」
進行『1P側! 正統派の超反応! 天然ふわふわ系女子! 平沢唯!』
唯「――」トコトコ
進行『2P側! 曰く起き攻めの魔術師! 曰く部長! 曰く桜高一のイケメン格ゲーマー! 田井中律!』
律「――」トコトコ
進行『さあ、お二人に、試合前の意気込みを聞いておきましょう。まずは唯さんから』
唯「えと、ここまで来たからには勝ちます。絶対に。みんな、見ていてね!」
和「唯! がんばって!」
憂「おねえちゃあああああああああん!!!」
姫子「見せてよね超反応!」
進行『それでは、律さんは――』
律「当然勝つ! 勝って、なにか知らないけど優勝賞品をいただくぜ!」
梓「りつせんぱあああああああああああああい!!」
澪「見せてやれ律! おまえの起き攻め!」
純「律先輩! ここまできたからには優勝しかないでしょ!」
進行『それでは、お二人ともじゃんけんを――』
唯律「必要ない!」
唯「リュウ!」
律「豪鬼!」
唯律「さあ、いくぞ!!」
梓「さあ始まりました!」
いちご「この組み合わせ、相性はどうなんだろ」
和「はっきり言うわ。五分よ」
さわ子「確かに豪鬼の対空ウルコンは怖い。でも、それ以上にリュウの滅昇龍は減るわよ」
純「でも、滅昇龍の発生が遅いから、詐欺飛びされちゃうんじゃ……」
姫子「あの子が対空なんてわかりやすい出し方をする筈がないわ。出すなら、きっと牽制狩りの超反応!」
澪「いや、律だって普通じゃないぞ。まさかここまで起き攻めを完成させてるなんて」
憂「律さんのときど式――いや、もう他のなにかです!」
紬「りっちゃんスタイル――完成してたのね」
さわ子「さあ! 超反応対超起き攻め! どっちが勝つのかしら!」
律「――!」
唯「……!」
梓「律先輩が勝ちます!」
和「唯ね。唯が優勝するわ」
さわ子「その結果は、試合を見ないとわからないわよ――」
リュウ「波動拳!」
豪鬼「豪波動!」
唯「――」
律「――」
紬「お互い、すごくじりじりとしてるね」
澪「律のほうが跳びが多いけど、唯はしっかりと対空してる。上は完全に通らないぞ」
梓「でも、上に意識を持っていければ大足が入ります。そこから起き攻めに――」
姫子「流石の超反応も、意識の分散化は少し堪えるものね」
さわ子「さあ! 大足が入って起き攻めよ!」
澪「あれは――表か? 裏か?」
梓「めくり表落ちです!」
いちご「唯は起き攻めに翻弄されてる――」
憂「すごい! やっぱり律さんの起き攻めはものすごい!」
姫子「画面端大足に、自分でフレーム消費してガー不してる……すごすぎる……」
梓「さあ! 律先輩が1セットとりましたよ!」
律「りっちゃんスタアアアアアアアアアアアアアアイル!!!!!」
澪「律が吠えた!」
紬「すごい気合いね!」
姫子「でも、唯は動かないな」
和「あの子、超反応に加えて超集中でも手に入れたのかしら」
憂「でも、前々からそうなんです。ゲーム中は、私がどんなに話しかけても無反応でしたから」
いちご「動かざること山の如し」
澪「なら、律は侵掠すること火の如しだな」
梓「!?」
和「出るわよ! 鳩尾が当たった!」
憂「鳩尾砕き→屈中P→屈大P→波動拳→セビキャン→屈中P→屈大P→波動拳→セビキャン→屈大P→
弱竜巻→大昇龍!!!!」
さわ子「あんな連続技、ここで決める!?」
いちご「これで1セット取り返した……。次で、全てが終わる!」
最終更新:2011年10月11日 10:02