○月○日
クラスのやつに告白された。
別にきらいじゃないけど、ことわった。
「他に好きな人いるから」って言うと、「だれ?」って聞かれた。
教えなかった。教えられないから。
じゃあ、「一緒に学校行こう」ってさそわれた。
「みおと行ってるから」って言っても、「お願い」って言われた。
「考えとく」って言った。
みおの反応が気になって、電話した。
どうでもいい、って感じだった。
無理やり、「おめでとう」って言わせた。
くやしくなって、「そいつと学校行く」ってメールした。
あいつにも「一緒に学校行けるよ」ってメールしたら、すぐ返事来た。
みおからは返事来なかった。
○月○日
あいつと待ち合わせして、一緒に学校行った。
何の話もしなかった。
学校につくと、そのこと聞かれた。
何かムカついたから、「お前らに関係ある?」って言った。
「調子乗ってる」とか小声で言われて、もっとムカついた。
みおは何も聞いてこなかった。
小学校のときみたいに本読んでた。
「移動だぞ」って言うと、「待って!」って言って、
わたしのこと初めて「律」って呼んだ。
自分でそう呼べって言ったのに、何か、さみしかった。
○月○日
毎朝つまんない。
ていうか、苦痛。
向こうは会話しようと必死だし、わたしはわざと「うん」とかしか言わない。
みおとなら、会話なくてもつらくないのに。
○月○日
「一緒に行くのやめよう」って言った。
「つまんなそうだもんな」って、笑いながら言われた。
「秋山もさみしそうだし…」とも言ってた。
周りにもそう見えたのかな。
そうわたしにも見えてたけど、期待しちゃいけないんだよな。
来週から、また一緒に行こうってさそってみよう。
○月○日
何てさそっていいかわかんなくて、結局1人で行くことにした。
クラスのやつらがまたざわついたけど、今度はだれにも聞かれなかった。
みおはまた本読んでた。
話しかけると、ちょー冷たかった。
「また一緒に学校行こう」って言うと、「勝手なやつ」って言われた。
そう言われても、一緒に行きたかったから謝った。
じゃあ「いいよ」って言ってくれた。
…良かった。
○月○日
進路の授業がうざい。
先生の話、ほとんど聞いてなかった。
でももうすぐ受験だし、卒業なんだなって思った。
前みおが桜高の話してたのを思い出した。
桜高なら近いし、制服かわいいしいいかなって思った。
女子校だから、誰と誰が付き合ってるとかうざい会話もなさそうだし。
やっぱりみおも私立は桜高受けるんだって。
「みおと一緒でいいや」って言ったら、「勝手にしろ」だって。
ちょっとくらいよろこんでくれたっていいじゃん。
○月○日
桜高の赤本買ってきた。
やばい、意味不明。
母さんに「桜高受ける」って言ったら笑われたし。
自分の娘に失礼だぞ!!!
「だから塾に通いたい」って言ったら、通わせてくれるって。
「みおちゃんと同じとこにすれば?」って言われたけど、それはいやだって言った。
必死なとこ見られたくないから。
でも近所に塾はそこしかないから、結局家庭教師つけてもらうことになった。
「家庭教師ならサボれないからね」ってまた笑われた。
…サボるつもりないし!
みおと同じとこ行けるかもしれないんだからさ。
○月○日
初めて家庭教師が来た。きれーなお姉さんだった。
最初だからって、志望校の話とかした。
「相当がんばらなきゃね」だってさ。
先生を最初っからなやませてしまった。
先生も桜高出身らしい。
「何で桜高行きたいの?女子校だよ?」
って言われた。
「好きな人が受けるから」
とは、言えるわけなかった。
○月○日
入試。
みおと一緒に行ったけど、むちゃくちゃキンチョーしてた。
わたしもしてたけど、その顔見たらちょっと笑えた。
試験は…出来た、と思う。
みおは大丈夫だろうけど、わたしは受かるかわかんないな。
授業もねちゃってたし。
今までがムダになりませんように…。
○月○日
なんと…なんと…!合格!!!
本当は心配だったし、むちゃくちゃうれしかったけど、
ちょっと見栄はって、「こんなもんだよ」とか言ってみおにカッコつけた。
みおも受かってたけど、あいつは入学するかわかんないし。
同じ高校行けたらうれしいけど、みおのガッカリする顔見たくない。
公立の入試も受かるといいな。がんばれー!
○月○日
みおが公立落ちた。
何て声かけていいかわからなかった。
「同じ高校行ける!」ってよろこんでも、きっときず付けるし。
でも、思ったよりショックではなかったみたい。
「わたしはうれしいよ」って言ったら、「そうだな」って言ってた。
でもうれしそうじゃなかった。
そりゃそうか。
でも…これからもみおと一緒にいれる!
みおにはわたしがついてなきゃ心配だからな!
○月○日
みおと一緒に入学式に行った。
中学の時みたいに、むかえに来てくれた。
遠くからでも制服が似合ってた。
「似合ってんじゃん」って言っても、「シャツ入れろ」とか言っておこられた。
笑ってほしかったな。
「中学のときもこうだったな」って言うと、
スカートがどうのってあの時みたいにちょっと笑われた。
やっと笑ってくれた。
「その後ほめたよ」って言われて、急に照れて覚えてないってウソついた。
またみおと同じクラスになった。
わたしはうれしかったけど、みおはあんまよろこんでくれなかった。
○月○日
クラブ見学にみおをさそった。
もちろん…軽音部!
でもみおは何とかって部に入る、って入部希望用紙持ってた。
だいたい何する部活かよくわからん。
だから破いてやった!
でも軽音部はもうなくなりかけ…らしい。
じゃあこのまま行けば部長じゃん!!
にげようとするみおを音楽室まで引っ張った。
待ってたら、ムギが来た!!
ムギは合唱部に入りたかったみたいだけど、うちらのコンビ見て入ってくれるって!
みおのおかげだな、ありがと。
○月○日
部員来ない。
なぜ!?
○月○日
入部希望者あらわる!名前は唯!
と思ったら入部やめたいって言われるって…。
みおもムギも、必死で引き止めてくれた。
ムギは合唱部に入るつもりで、みおも他の部に入りたがってたのに…。
本当に、2人をさそってよかった。
そして唯も入部するって!
4人集まった!よかったーーー。
わたし(部長):ドラム
秋山 みお :ベース
琴吹 つむぎ:キーボード
平沢 唯 :ギター
がんばるぞー!
○月○日
今年を振り返ってみる。
1年ってちょー短いな。
みおと桜高入って、同じクラスになって、
唯とムギに会って、4人でバンド組んで。
さわちゃんが部活受け持ってくれて、わたしが部長。
合宿もほとんど遊んじゃったけど、行けてよかった。
初めてのライブはキンチョーした!
でも、本当に楽しかった。
みおはスゲー気にしてるみたいだけど。
やっぱみおのボーカルは好評だった!わたしの目に狂いはない!
次は唯も歌えるといいな。
思い出ってほとんど部活。
その部活も遊んでばっかり。
でもそんな時間も必要だって思う。
みおはおこるけど、ちゃっかり楽しんでくれてる。
引っぱり込んだこと、感謝してもらおう!
このメンバー本当に最高!
みんなが軽音部入ってよかったって、思ってくれてますように。
○月○日
新入部員あらわる!
ちっちゃくてかわいい1年、梓!(多分こんな字)
梓はギターうまくて、まじめな感じ。
唯はあせってた。
お茶飲んでると、ギターさわってた梓にさわちゃんがキレた。
すると梓も急にキレた。
ちょっとみおっぽい。
顔もちょい似てる。
とりあえず5人になりましたー!
部長がんばります!
○月○日
もうすぐ学祭!
なのにいつものようにお茶しちゃううちら。
梓は初めてのライブが楽しみらしく、鼻歌とか歌ってる。
かわいー奴。
それなのに…またやってしまった。
和が急に部室に入ってきて、なんとかかんとかって言って、
みおになぐられた…。
部活終わって楽器屋行こうって話になった。
つくと、みおが入りたがらない。
でも「レフティフェアやってる」って言ったら走っていった。
唯のギターの不調も直り(しかも何故かタダ)
楽器の前から動かないみお引っ張ったら、みおがこけた。
謝らなきゃいけないのに、謝れなかった。
「バカ律」って言われて、ショック。
唯が和とお茶するって言うのに、みおもついて行っちゃった。
何かそわそわして、ムギと梓連れて追いかけた。
みおは笑ってた。
さっきまでおこってたのに、くやしい。
だからジャマしにいった。
わたし最低だな、って思ったけど、やめられなかった。
自分にムカついて、家帰って冷たいシャワー浴びた。
ちょー寒い。
最終更新:2011年10月15日 01:41