唯「いつもの調子?」

和「そうね。ここのところ外で食べることが多かったから、その分」

唯「外食かあ。モスとか行ったの?」

和「ううん。外でのり弁食べたの」

唯「ああ、外で食べるってそういう」

唯「でもそれお昼がずっとのり弁になる理由にならないよね」

和「風で飛ばされたのよ、きっと」

唯「きっと?」

和「気がついたら海苔がなくなってたの」

唯「それ食べたんだよね自分で」



和「刺激が足りないわね最近」

唯「そうだねえ」

和「ねえバイオハザードって割とすぐに起きそうじゃない?」

唯「大塚製薬あたりで?」

和「うん。なんか朝起きてたら母親がゾンビになってた、ぐらいの不思議現象は結構現実的だと思うのよ」

唯「憂がゾンビになったらどおしよ…」

和「そのときは私が」

唯「でも……!」

和「やっぱり、君がやっちゃ…いけない気がする」

唯「宇田さん……」



唯「万年筆で人は殺せるよね」

和「ボールペンでも充分よ」

唯「日本中の学生が人殺しになれるんだよね」ゴクリ

和「裁縫道具だって立派な凶器だし、ネクタイで首だって絞められるよ」

唯「よし!」ガタッ

和「やめなさい」

唯「このネタで澪ちゃん怖がらせにいこう!!」

和「やりましょう」


唯「澪ちゃ~ん!」

澪「唯と和じゃないか。どうしたんだ?」

和「動かないで。この万年筆であなたの頚動脈を掻っ切ることができるのよ」

澪「ひっ…!?」ガタガタ

唯「更に更に~このお裁縫針を延髄のあたりにぶっ刺すと~…?」

澪「い、いやぁ……」ガクブル

律「おい何やって」

唯「あ!りっちゃんがタイで首絞めようとしてる!」

律「日本だが」


律「なるほどなあ。確かになんでも凶器になるよなあ日用品て」

紬「単に殺めるなら素手でも充分だけど」

和「ダメよ。女の身体は脆いからすぐ肩が外れちゃうわ」

唯「でも自分で治すんでしょ?」

律「そのあと痴漢男殺すんだよな」

和「そうね。思えばどのみち殺すのよね」

唯「そうだよ。うだうだ言ってないで早く澪ちゃん殺そうよ」

律「いやそれはおかしい」

和「やっぱり、君がやっちゃ…いけない気がする……」

唯律「宇田さん……」


……

唯「ただいま~。うーいー」

憂「あー?おお、おかえり、姉貴」

唯「ただいま。髪下ろしたんだあ。可愛いね」

憂「え、そ、そうかよ…」

唯「お腹すいた」

憂「……今日はもう仕事しねえ」

唯「何か嫌なことあったの?」

憂「包丁が全然切れねえんだ。だから今日はもう仕事しねえ」

唯「お尻は一回でちゃんと拭けたの?あ、あと晩御飯は?」

憂「何の話だよ!だから今日はもう仕事しねえー!!」

唯「フリじゃなかったのかあ」

憂「カップ麺でも食えよ面倒くせえ」

唯「ダメだよ。そんなこと言っちゃ。面倒くさくっても食べなきゃ生きていけないんだから」

憂「作んのが面倒なんだよ。食べんのは大好きだよ」

唯「私も食べるの大好きだよ」

憂「おめえ作ったことなんてねえくせによく言うよ」

唯「お腹すいた!」

憂「だからカップ麺作れよ!」

唯「作れない!」

憂「なんでだよ!フタ空けて中に入ってる袋出して粉末とかやく入れてお湯を内側の線まで注ぎフタを閉じて三分お待ちくださいで出来上がりだろうが!」

唯「それならできるよ」

憂「できるのかよ!じゃあおめー何ができねーんだよ!何もできねーよ姉貴は!俺がいちばんよく知ってるよ!なんで今そんなこと聞いたの俺!?」

唯「えへへ…」

憂「な、何笑ってんだよ…」

唯「んー? 憂が元気になって良かったなあ~って思って」

憂「ば、ばかやろ…俺ぁいつでもげんk」

唯「お腹すいた!」

憂「お前ホント人の話最後まで聞かないな」

唯「必殺!姉の心、馬の尻尾の術!」

憂「うっわ、ちょ、やめろあんな切れねえ包丁で料理なんざ」

唯「よっし、ポニテ完成!」


憂「遅くなってごめんね、お姉ちゃん!今から晩御飯作るから、ちょっと待っててね?」

唯「うん!ありがと~うーいー」




音楽室

和「こんにちは」

唯「あ、和ちゃん!どしたの?」

和「生徒会の先輩たちが臭いから逃げてきちゃった」

律「臭いからって…」

和「化粧は濃いし声しわがれてるし見た目もそんな可愛くないくせにあれは反則技よ」

澪「そんなに酷いのか、生徒会って」

和「委員長格の人物が実際に可愛い例はないでしょ?そういうことよ、つまり」

和「まあ軽音部も大抵可愛い子いない場合が多いけど、ここはみんな可愛いから好きよ」

紬「わかります!!」

律「さっぱり分からん」

和「褒めてるのよ」

律「なんて?」

和「可愛いって」

律「だとさ、澪」

澪「あ、私のことだったのか」

律「なんで独占するんだよ全員だよ」

紬「お茶どうぞ」

和「ありがとう。アールグレイね」

紬「ダージリンよ」

和「……そう」


唯「あ、そういえばあずにゃんには紹介がまだだったね」

唯「こちら真鍋和ちゃん、私の幼妻なんだ」

和「えっ…」

律「幼馴染、だろ?」

唯「あ、そうだった」

澪「和も突っ込もうよ」

和「いやあ悪くないなあと思って」

紬「分かります」

律「さっぱり分からん」


和「でも17歳って『幼』妻なの?」

律「充分幼女だろ」

澪「いや幼女じゃないだろ」

唯「結婚は16からできるんだよね」

律「梓なんてまだ中学生みたいなのに結婚できるんだもんな」

梓「む。律先輩だって充分幼女じゃないですか」

澪「だから幼女ではないと思うんだけど」

唯「じゃあ私も幼女かな」

紬「私も」

律「私も幼女がいい」

和「私は幼女になりたい」

澪「なんだ、みんな幼女だったのか」


さわ子「ちーっす」

唯「あ、幼女じゃないのが来た」


……

梓「………」

梓(憂のポニーテール引っ張り倒したい…)

梓(席替えして憂の後ろになったのはいいけど、目の前にこんな魅力的なものがあったら…)ウズウズ

梓(引っ張りたい。引っ張って頭ガクンてさせたい)

梓「ほりゃあ!」グイン

憂「きゃあ!?」

梓「あ、ご、ごめん憂…」

憂「死ねクソチビ」

梓「えっ」

憂「前から気に食わなかったんだよなあ、おめえはよお」

憂「まずそのブリっ子がキモイ」

憂「幼児体型だしそのくせ乳首黒いし女として終わってんな」

憂「だいたいよお、なんなんだよおめえ。姉貴に偉そうにギター教えやがってよお、歳いくつだよおい」

憂「高校生のうちに上下関係ってもんしっかりしとかねえと社会に出た途端に肉ぬんちゃくの刑だからな」

梓「ほりゃ」グイン

憂「も~なにぃ、梓ちゃん」

梓「ううん。何でもない。ごめんね」

先生「もう授業戻っていいか?」

梓「どうぞどうぞ」

先生「後で職員室来いよ」


純「梓って乳首黒いの?」

梓「黙れ」


……

梓「唯先輩」

唯「なあに?」

梓「憂のポニテって引っ張ったら人格変わるんですか?」

唯「変わるよお。ちょっとねちっこい不良になるんだ。髪下ろすと豪快な不良になるんだけどね」

梓「知らなかった…」

唯「やっちゃったの?」

梓「はい…」

唯「グサっときたでしょ?」

梓「乳首が黒いのはデタラメですけど」

唯「あずにゃん黒ゴマ乳首なんだ」

梓「違います」

唯「憂は嘘つく子じゃないよ」

梓「信じられませんよ今更」


和「こんにちは」

唯「わー!和ちゃーん!いらっしゃーい!」

澪「また臭かったのか?」

和「ううん。律が書類出してないし部長会議には出ないし散々だから叱りに来たの」

律「面目ない」

和「しっかりしてよ。軽音部のせいで全体的な作業が遅延してるの」

紬「お茶どうぞ」

和「ベルガモットオレンジティー」

紬「アールグレイにしちゃった」

和「ありがとう。いただきます」

唯「ねー、もう和ちゃんも軽音部入っちゃえばー?」

律「ごめんなさい…」

和「まあ別に生徒会の作業が滞ろうが何だろうが私は書記だから全く気にしないんだけどね」

和「上がうるさいから一応言っておくわ」

唯「ねー和ちゃんも軽音やろーよー」

和「ダメよ。私、軽音に疎いから」

唯「そっか。メタラーだったね、和ちゃん」

和「フューネラルドゥームデプレッシヴプリミティヴプログレッシヴゴアグラインドシンフォニックヴァイキングジャーマンゴシックブラック森メタラーよ、正確に言うと」

澪「さっぱり分からん」

和「ごめん。私もよく知らない」

梓「Taakeこそ至高ですよね!」

和「誰それ」


唯「黒ゴマ?」

梓「違います」


和「気に入った曲を聴いてるだけだから、アーティストの名前とかあんまり興味ないのよ」

梓「そうなんですかあ。でもTaakeはいいですよ」

澪「BUMP OF CHICKENもいいよ、和」

律「まだ聴いてたのかよ。中学生までだろ、あんなの」

唯「いつ解散するの?」

梓「全部同じ曲にしか聞こえないんですけど」

紬「どなた?」

澪「………」

和「大丈夫よ、澪。人それぞれ。でも私もそのバンド嫌い」


澪「泣いていい?」

律「まだダメ」



唯「反り立つ壁やりたい」

紬「壁をやるの?」

唯「ううん。反り立つ壁を駆け上がりたい」

梓「小学校にありますよね、あれ」

律「あ?あー、ああ、あるなあ、あれな」

唯「あれは壁ってほどじゃないからヤだ」

和「でも反り立つ壁って最終的にジャンプしてるよね」

梓「人間の限界を感じます」

澪「反り立つ壁、っていう語感が最高だと思うんだけど」

律「じゃあ新曲は『私の恋は反り立つ壁』で」

唯「待って!『私の恋は反り立つ…』にしたら卑猥さupだよ」

和「もう少しいじって『私の恋はそそり立つ…』でどうかしら」

律「おまえら天才。でも『いきり立つ…』でもいいと思うんだ」

澪「もうヤダこの部活」



和「事故多発!左右の確認をしっかりと!…だってさ」

唯「交通事故多いもんね、このへん」

和「毎月5人は確実に撥ねられてるよね」

唯「案外自分から撥ねられにいってるのかもしれないよね」

唯「ほら、なんか飛び込んだらフロントガラス割って助手席に不時着しそうじゃない?それ失敗してるんだよ多分」

和「ププーッ!」

唯「うわぁー!?…と見せかけてトウッ!パリーン、ストーン!!」

和「どちらまで?」

唯「根室までお願いします」


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最終更新:2010年01月25日 18:45