唯「あずにゃん隊員、隊長の予定は?」
梓「はい、ただいま生徒会室にて部長会議中です。後30分程は戻ってこないかと」
唯「よし。澪ちゃん隊員、ドアの外に誰か居ない?」
澪「大丈夫。ここでの会話は誰にも聞こえて無い筈だ」
唯「よし。ムギちゃん隊員、お茶のおかわりを」
紬「はい、どうぞ~」コポポポ
唯「ごくごく……よし!じゃあ『第三回!りっちゃん隊長マジプリティ!隊員活動会議』を始めるよ!」ドンドンッ
紬「はい!よろしいでしょうか!」ハイッ
唯「はい!なんだねムギちゃん隊員!」ビシッ
紬「今日の昼休みに散歩してたらね、カップルを見かけたの」
唯「ふむふむ」
紬「でね?エリちゃんとアカネちゃんだったんだけど」
唯「ムグムグ」モグモグ
梓「真面目に聞いてるかと思いきや自然にクッキー食べましたね、今」
紬「で、アカネちゃんがこうやって両手広げて」パッ
唯「ほう!こふやっへ!」モグモグ
紬「『おいで~』って」
唯「おいへ~っへ。ムグムグ、ゴクン」
紬「ええ。そしたらエリちゃんがスッゴイニッコリして抱きついちゃって」
澪「へ~」
唯「なるほど」
紬「可愛かったわぁ。見てる私までキュンってしちゃった」ホワー
澪「……うん、それで?」
紬「へ?」
梓「え、いや、ただの感想ですか?」
紬「違うわよ~。その時『りっちゃん隊長にアレをやったらキュンってなるかな?』って思ったのよ」
梓「あ、なるほど」
唯「ふむふむ……見えた!」ピカーンッ
紬「見えましたか!?」
唯「じゃあ今日の『第三回!りっちゃん可愛いよりっちゃん!隊員活動会議』のテーマはそれで行こう!」
紬「ありがとうございます!」シュビッ
梓「はぁ」
唯「ほら、あずにゃん隊員書いて書いて」
梓「え~っと……なんて書きましょう?」
紬「そうねぇ……『隊長は女の子に両手広げて『おいで~』ってされるとキュンキュンするのか』でどう?」
澪「バッチリだな」
唯「うん!」
梓「じゃあ……え~っと……両手広げて……キュンキュンする……」キュキュ キュキュ
『今回のお題:隊長は女の子に両手広げて『おいで~』ってされるとキュンキュンするのか?』
唯「あっ!あずにゃん隊員や」
梓「はい?何でしょう唯先輩」
唯「もうっ!唯隊員って呼ばなきゃ!」プンスカ
梓「あぁすみません。……でもソコまで拘らなくても」
唯「ダメだよ!今は『隊員会議』中なんだから」
梓「はいはい。で、何ですか唯隊員」
唯「んとね?『キュンキュン』はひらがなの方が可愛くない?」
澪「……確かに」ウン
紬「そうね。流石は唯ちゃん隊員」ウン
唯「でしょ~?」
梓「はぁ。じゃあ……きゅんきゅん……と」キュキュ
『今回のお題:隊長は女の子に両手広げて『おいで~』ってされるときゅんきゅんするのか?』
澪「隊長がきゅんきゅんするとか、想像するだけでコッチがきゅんきゅんしちゃうな」
紬「……顔を赤らめて、俯きがちに」ボソリ
澪「くっはぁ!?」ガタンッ
唯「ほらほら、妄想は後々!」バンバン
梓「そうですよ。律先輩、じゃなくて隊長が部長会議に行ってる間の時間を有効活用しないと」
澪「そうだな。……で、だ」
唯「うむ、何だね澪ちゃん隊員」
澪「……コレ、『されると』って事はする側じゃ無いんだよな?」
紬「ふ……愚問ね秋山隊員」
澪「何だそのキャラ」
梓「ムギせ……隊員、質問なんですけど」
紬「何?梓ちゃん隊員」
梓「何でコレできゅんきゅんするんでしょうか?」
紬「分からないかしら?」
梓「ちょっと良く分かりません……」
紬「ならそうね……澪ちゃん隊員、やってあげて」
澪「え、私が!?」
唯「そだね、多分澪ちゃん隊員が一番凄いからね」
澪「何がだよ!?」
梓「それじゃあ、お願いします」
澪「う……しょうがないなぁ。私もいまいち分かってないんだけど」ウーン
唯「習うより慣れろだよ!」フンス
澪「何か違くないか?まぁ良いや、梓」
梓「はい」
澪「おいで」パッ
梓「おぉう……」フラッ ポフッ
澪「いや、本当に来なくても」
紬「どう?」
梓「何て言うか……引き込まれる様に飛び込んで、抱き締めたくなりますね」ギュー
澪「飛び込んでる抱き締めてる」
紬「でしょう?」
梓「これは……良いですね」ギュー
紬「『抱きしめてあげる』という包容力、それと同時に見える『自分を抱きしめて良い』という無防備さ」
澪「なるほどな……『おいで』という事で引き寄せ、両手を広げる事で飛びこませるのか」
唯「でもコレってやる人によっても変わるよね」
紬「そうね。例えば幼なじみと後輩、それぞれに違った効果が有るわ」
唯「うんうん」
梓「成る程……澪先輩」スッ
澪「ん?」
梓「どうぞ」パッ
澪「はぅあっ!?」ズキューン
唯「おぉ!あずにゃん隊員の突然の行動に澪ちゃん隊員が悶えてるよ!」
紬「先輩としての理性と、目の前の可愛い子を抱きしめたい感情の狭間で苦しんでるのね!」
澪「落ち着け、落ち着くんだ……」ハァハァ
唯「『どうぞ』でもこの威力、さすがはあずにゃん隊員」
紬「ココで抱き締めれば『頼れる先輩』の澪ちゃん隊員が、そのイメージを自ら崩す事になるわ」
唯「でもこのままじゃ、場はこうちゃくじょうたいだよ」
紬「あら?難しい言葉知ってるわね、唯ちゃん隊員」ナデナデ
唯「それほどでも~」エヘラ
梓「澪先輩」
澪「はひっ!?」
梓「ほら、おいで?」クイッ
澪「ひゅっ!?」ボンッ
唯「あずにゃん隊員、ココでまさかの追い打ちぃ~!」
紬「いつもは敬語を使う後輩の甘える様な誘い。コレは流石の澪ちゃん隊員も」
澪「あぁずさ~!」ガバッ
梓「にゃっ!?」
紬「キャラが壊れるわね」グッジョブ
澪「ぎゅ~」ギュー
唯「スゴい……あの澪ちゃん隊員が『ぎゅ~』だって」
紬「コレはコレで……有りね」
梓「ほぅ……」ハフ-
唯「あずにゃん隊員も満足げ」
梓「え、いや、そんな事ないですよ?」アタフタ
紬「良いのよ、恥ずかしがらなくても」フフ
梓「いやいや。……で、いつまでこのままで?」
唯「そりゃあ、気の済むまでだよ」
梓「気の済むって……きゃっ!」フワッ
澪「梓は軽いな!……よっと」ストン ポスッ
梓「いや、あの、澪先輩?何で私を膝に乗せるんですか?」
澪「だって可愛いんだもん」ギュー
梓「もんって……」
澪「成る程な、コレは確かにきゅんきゅんするよ」ギュー
紬「でしょう?百聞は一見に如かずね」
梓「そしてナチュラルに会議を続けるんですか」
唯「あずにゃん隊員も抱きついといて良いんだよ?」
梓「いえ、もうこのままでいいです」
澪「寂しい事言うなよ、梓ぁ」ギュー
梓「そう言われても後ろ向きですし。それにもう十分心地良いので」テレテレ
紬「まぁ、梓ちゃんったら」
澪「あぁもう!可愛いなぁコイツぅ!」ウリウリ
梓「うにゃぁっ!?」
唯「ファンクラブ会員が見たらどうなるだろうね、コレ」
紬「価値は有るわよ」カシャカシャカシャカシャ
梓「何ですかその一眼レフ」
澪「……律がこんな風になってる姿なんて、私でも見た事無いぞ」ギュー
紬「見てみたいでしょう?」
澪「そりゃもう」ギュー
梓「是非もないですよ」
* * *
律「なんだよ澪、いきなり『昼休みに部室に来て』とか言いだして」
澪「あのな……その……」
律「お腹空いてんだけど」ハァ
澪「すぐ済む!すぐ済むからちょっと待って」
律「じゃあ早くしてくれよ」
澪「律!」
律「なに?」
澪「おいで?」パッ
律「……はぁ?」
澪「ホラ、抱き締めてあげる」
律「何で?」
澪「……嫌か?」
律「いや、嫌とかどうとかじゃなくて」
澪「そうか……いや、か……」ウルウル
律「いやいや!嫌じゃないぞ!抱きしめて欲しいぞ!」アセアセ
澪「ほ、ホントか?」パァ
律「うんうん!」
澪「じゃあ、おいで?」
律「うん……」テクテク ギュッ
澪「いらっしゃい」ギュー
律「……なんていうか……気持ちいいな」
澪「私も……」
律「み~お~」
澪「ん?」
律「なんでもな~い」
澪「フフ、変な律だな」
律「ん~、こんな風に澪に抱き着くのって初めてじゃないかなって」
澪「そうだな」
律「……澪」
澪「なんだ?」
律「……好き」ギュッ
澪「……私も」ギュッ
* * *
澪「……とかなるかな!?なるかな!?」
梓「はいっ!?何ですかいきなり?」
澪「あぁ、ゴメン。ちょっとトんでた」
紬「良い具合に妄想してるわねぇ」
梓「ビックリしますよ、もう」
澪「だってさ、梓も想像してごらん?」
梓「想像、ですか……?」
* * *
タッタッタ ガチャ
律「ふぅ」
梓「こんにちは、律先輩」
律「よっす。アレ?梓一人か?」
梓「そうですね、皆さんまだです」
律「ふ~ん……」ドサッ
梓「というかクラス同じなんですから、一緒に来なかったんですか?」
律「ん~、皆バラバラに出てっちゃってさ~」テクテク ストン
梓「皆さんバラバラに?」
律「うん」
梓「部長に何も言わず?」
律「……そうだな」
梓「そうですか……」
律「……うん」
梓「……」
律「……」
梓「……プッ」
律「中野ぉ!?」ガタン
梓「いえ、スミマセン」クスクス
律「信用無いとか思ったろ~」
梓「いえいえ、そんな事」
律「じゃあ何で笑ったんだよ」ムスー
梓「えと、皆さんが先に教室から出て行ってしまって、一人残された律先輩を想像したら寂しそうだなって思って」
律「寂しくなんかないやい!」
梓「ほんとですか~?」
律「ほんとだい!」
梓「階段、走って上ってきたのに?」プププ
律「うぐっ」グサリ
梓「良かったですね?私が居て」クス
律「な、なんだよぉ。梓だって私がこなかったら一人ぼっちだったろぉ?」
梓「私は別に一人でも。練習捗りますし」
律「ああ言えばこう言う……」
梓「自覚してます」
律「はぁ~あ……」
梓「……」
律「……」ジー
梓「……何ですか?」
律「いや、梓と二人きりってのも珍しいなって思って」
梓「そうですね」
律「なんだよ、冷たいなぁ」
梓「別にそんな事ないですよ」
律「本当か~?」
梓「はい」
律「梓~」
梓「何ですか?」
律「ひま~」
梓「そうですか」
律「やっぱり冷たい!?」ガーン
梓「冗談ですよ」クスクス
律「こいつ~」
梓「でしたら、皆さん来るまで何かしますか?」
律「何かって?」
梓「ゲームとか」
律「ゲーム~?」
梓「二人でする様な勝負とか、お遊び程度で?」
律「勝負ねぇ~……罰ゲーム有りで?」
梓「すぐそういう発想しますよね、律先輩って」
律「だってただやるより盛り上がるだろ?」
梓「まぁそうですけど……」
律「う~ん」ムー
梓「じゃあ手っ取り早く、ジャンケンして負けた方が簡単な命令を聞くとか?」
律「あ、ソレ魅力」
梓「皆さんももうすぐ来るでしょうし、すぐ済む簡単なお願いだけですよ」
律「分かってるよ」
梓「じゃあジャンケンしますか」
律「ちなみに梓は勝ったら何言うつもりだ?」
梓「それは勝ったら言いますよ」
律「なるほど……金は無いぞ!」ドヤッ
梓「知ってます」
律「おぉう……」
梓「そうゆう損得が絡むのは無しにしましょう」
律「そうだな」
梓「『何か買ってきて』でも良いですけど、費用は勝者持ちで」
律「了解」
最終更新:2011年10月25日 21:20