翌々日放課後 部室

唯「いやぁ~~~、昨日はすっごく楽しかったよね~♪」

梓「ボーリング、あまり良い点取れませんでした…」

律「チーム戦にした時のさわちゃんのマジ顔、傑作だったなぁ」

さわ子「仕方ないでしょ…勝負ごとになるとついつい……って……痛たたた………!」

律「やれやれ、もう筋肉痛とは…さわちゃんも歳だねぇ~」

さわ子「こらっ!」

 ―――ペシッ!

律「いったぁ……」

紬「ボーリングもカラオケもゲームセンターも…私、すごく楽しかったわ…♪」

澪「ああやって、みんなで遊ぶのも良いかもな」

唯「えへへっ、そうだ、またみんなで行こうよ♪」

澪「そうは言っても唯…受験勉強やってるのか…?」

唯「…あ…………だ、大丈夫だよっ! うんっ!」

梓「本当ですか…?」

律「んでさムギ、家は…大丈夫だったの?」

唯「そうだよね、あれだけ大騒ぎしちゃったから、やっぱり色々と揉めたりしたんじゃ…?」

紬「その事なんだけど、パパが言うには、もう私、パーティー行かなくても良いんだって♪」

律「へ~…って事は、許してくれたんだ?」

紬「ええ、前回の一件でパパも仕事付き合いを考えるって約束してくれたから…もう、私は琴吹の為に嫌な思いをしなくてもいいって…そう言ってくれたのよ」

唯「ムギちゃん、よかったねぇ~♪」

紬「ありがとう、みんなのおかげよ…」

律「そんな…でもさ、おとといからムギ、なんか雰囲気変わったよな?」

澪「ん~、なんていうか…前よりも元気になったって言うか……憑き物が落ちたって言うか…」

唯「違うよ、きっとあれが、本当のムギちゃんなんだよ…きっと……」

律「………ああ、そうだな………」

律「よーし、それじゃみんな…久々に練習、やるか!」

一同「おーーーっっ!!」


 元気な声が音楽室にこだまする。

 私の放課後が始まって行く。

 窓の外を見上げると、そこには透き通る青空には大きな雲と、優雅に空を飛ぶ鳥の姿が見える。


 その鳥を見送り、私は誓う。

 みんながいれば大丈夫……どんな追い風だろうと、みんなといれば私は…乗り越えられる…。

 大丈夫…私はもう、一人じゃない。

 家には大好きなパパやママがいて…学校には、それ以上に大好きな仲間がいてくれる。

 みんながいてくれる限り、私はきっと…もっと遠く……遥かな空にだって行ける………


 だから、永遠に続かせよう、この日々を…輝きを失わぬよう、みんなで守っていこう…。


 私は紬…琴吹紬


 軽音部の一員であり、仲間と共に大切な今を生きる女の子――。


 親鳥に見送られ、小鳥は仲間と共に窓の外へ羽ばたきます。

 無限に広がる大空へ、歌のように透き通る小鳥の鳴き声が響きます。

 虹を越え、風を切り、雲を突き抜ける5匹の鳥。

 それぞれの顔はどれも幸せに満ち溢れ、仲間と共に…どこまでも……どこまでも……大空を羽ばたいて行くのでした……。


 おしまい



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最終更新:2011年10月26日 21:46