――――
澪母「澪ちゃん」トントン
澪「んん…」
机に突っ伏したまま寝てしまったようだ。
澪母「徹夜してたの?」
澪「あ…うん、寝ちゃったけど」
澪母「勉強は大事だけどあんまり根詰めないでね」トン
澪「わかった、朝からそうめん~」
澪母「もうお昼だけどね」クスクス
澪「そんな寝ちゃったのか…早く続きを…!」
澪母「勉強は食べてからね」ガシッ
澪「…はぁい」
焦りは募るが小休憩しよう。食べないと脳も働かないというし。
澪「…」チュルチュル
夏はそうめん率が上がる。特に休日の昼間はそうだ。
澪「(けど、大分わかるようになってきたな…)」チュルチュル
確かな手応えはあった。
どうせなら学年1位でも取ろうか。勉強を教えてくれた恵も喜ぶだろう。
澪「よしっ、やるか!」
そうめんをたいらげると、澪は再び試験勉強を続けた。
――――
決戦の時は、刻一刻と近づいていた。
律母「律!あんたどこ行ってたの!」
律「あーはいはい、ちょっとお泊り」
律母「あんたまだ未成年でしょ!どこ泊まってたの…!まさか…」
律「…!」ギクッ
律母「あそこに泊まったのね…!」
律「さーて試験勉強すっかなー、じゃね」ダダッ
律母「あっ、待ちなさい!」
母は引き止めたが、律は半ば強引にそれを振り切る。
律「(勘良すぎだろ…)」
律「あー…」ベッドニポフッ
律「(いちご…)」キュルルルン
頭の中がストロベリー…。帰りにどっか寄り道してもよかったかなと後悔する。試験勉強もしなきゃと思っても、集中できない。
いちごに会う来週の月曜日が待ち遠しい。
律「そういや着信あったっけ…澪か」
律「かけ直そ」ピッピッ
澪『もしもし?』
律「あー澪?ごめんごめん、返事遅れて」
澪『あぁ、いいよ』
律「(あれ…?)」
いつものお叱りがあるはずが…無い。
澪『夕べはお楽しみだったようで…』
律「…っ、馬鹿、からかうなよ~」
澪『いちごと律って珍しい組み合わせだよな』
律「あぁ、無愛想なイメージだったけどけっこう話したよ」ホッ
電話越しでよかった…。
いちごと、あんなことやこんなことをしてたなんて知られたら…
律「今日、どっか行くか」
澪『断る』
律「はいはい、澪しゃんは真面目ですねー」
澪『試験終わったら皆で行こうよ』
律「そだな、うん、じゃあな」
律「なんだ…そっけないの」パタン
申し訳ないつもりで連絡したつもりが、何のお咎めも無しで少しひょうしぬけしてしまう。
律「?」
律母「律、お友達よ」
律「あ、誰?」
律母「知らない」
律「何言ってんだ」
律母「だって初めて見たんだもの、こう二つに結んでる…」
律「(梓…?いや…)」
梓は母親も見たことがあるはずだ。律は玄関先に向かう。
いちご「あ…」フリフリ
律「えっ」
いちご「また会えた…///」ニコニコ
律「どうした?家の人心配するだろう?」
いちご「一回家には帰ったよ?」
律「なぬ…」
いちご「一緒に試験勉強したいと思って…」
律「わかった、上がって」
いちご「お邪魔します」ペコ
律母「やっぱりお友達?」
律「ああ、そうそう」
いちご「(りっちゃママ…将来は私のママになりうる人…)」
律母「後でお茶持ってくわ」
律「サンキュー、いちご、こっちこっち」
いちご「どうも…」
律母「はい、ゆっくりしていってね」
律母「…」
律母は感じとっていた。
我が娘の雰囲気が普段とは違うことに…
律母「(女の子同士…まさかね)」
ありえるはずがない。自分に言い聞かせる…が。
律といちごから感じられた「女」の香りが一抹の不安を拭い去ることができない。
律母「(大丈夫よね…)」
律母「…」グーグー
寝た。
~律部屋~
律「…」バタンカチャ
いちご「…?(なぜ鍵を…)」
律「会いたかったぞー!」バッムギュギュムギュウ
いちご「きゃっ」
律「いちごだー、プニプニだー」モフモフプニプニ
いちご「ふふっ」クス
発情期の犬の様に甘えてくる律が可愛くていちごは微笑む。
いちご「りっちゃ、勉強しよう」
律「あー…聞こえないー」
いちご「Let's Study!」
律「Hmm…」
いちご「Why?」
律「Strawberry…I Love You…」
いちご「Oh…Thank you。Me To」
律「ははは、ノリいいな。いちご」
いちご「Kiss…」
律「え…」
いちご「Kiss Me Please」
律「OK…Crazy Girl」
いちご「ん…」チュピ
律「(もう我慢できないや…)」
律は欲望の赴くままにいちごを求めた。
――――
澪「(夜もそうめんか…)」チュルチュル
無心に勉強を続けたお陰で捗る捗る。授業での酷い有様が嘘のよう。
澪「これなら…いける!」チュルチュルズズー
澪「~♪」
過酷な戦いを目前に控え、恐怖はなかった。むしろ試験が始まる月曜日が待ち遠しい。
恵の言う「続き」がモチベーションであった。
それは不純でエロチックな動機かもしれない。しかし、そんなことはどうでもよい。あの時の快楽の先にあるモノが知りたくて仕方ない。
澪「待ってろよ…恵」
強く心に誓う澪であった。
~試験当日~
澪「んぁ…」
この日に備え早く寝た。目覚めがいい。コンディションは抜群。
飽きるほど勉強もした。いつもより際どい下着も着た。昨日の晩はそうめんじゃなくカツカレー。
後は時を待つのみ
澪「ちょっと早いけど出よう」
最後の調整を行うべく部屋を出ようとした時、ふと自分のベースが目に入る。
エリザベス「…」
澪「最近かまってやれなくてごめんな…」ヨシヨシ
エリザベス「ったく…勉強ばっかでよ」
澪「いや…ごめんな」
エリザベス「どうだ?いい感じか?」
澪「うん」
エリザベス「ほぉ、試験終わったらあれか、あれすんだろ」
澪「ばっ馬鹿、からかうなよ」
エリザベス「知らなかったぜ、澪がこんなにエロチシズムだったとはな」ニヤニヤ
澪「思春期てやつだよ、エリザベスにもあったろう」
エリザベス「ああね、そりゃあもう激しかったよ…あれは2年前…」
澪「(まずい…長くなりそうだ)」
ここで出遅れるわけにはいかない。
澪「あっ、そろそろ出なきゃだ。じゃあね」
エリザベス「あっ、おい!」
澪は駆け足で部屋を出ていった。
澪も大人になったなぁと親心の様な感情が沸き上がる。
エリザベス「(頑張れよ…澪!)」グッ
エリザベス「二度寝しよ」
~学校~
澪「はぁ…はぁ…」
少し駆け足で来ただけなのに、息が上がっている。
長時間机に向かっていたせいだろうか。
澪「(けど、負けない!)」ゴキュッゴキュッ
栄養ドリンクを二本一気飲みすると澪は教室=戦場に向かう。
澪「一番乗りかな…」ガラガラ
信代「うしっ、うしっ」ドンドン
澪「信代…おはよう」
信代「うす、澪しゃん」
試験日の朝だというのに突っ張りの稽古をしている。
澪「勉強はいいのか?」
信代「がはは、おいどんにはこれが勉強みたいなもんでさぁ」
澪「あぁ…そう」
壁に突っ張る音で勉強に集中できない。落ち着け…落ち着くんだ。
澪「…」カキカキゴキュッゴキュッ
栄養ドリンクをもう二本飲み、復習をする。
信代の突っ張りを聞きながら、時間は過ぎてく。
生徒が続々と登校してくる。
生徒1「私、全然勉強しなかったよー」
生徒2「私もー」
澪「(でたでた…お互いを牽制しあってろ馬鹿が)」ペッ
さわ子「はい、皆おはよー」
皆「おはよーございまーす!」
さわ子「元気ですかー!!」
皆「元気でーす!!」
さわ子「今日から試験だけど頑張りましょう、じゃあ出席とるわね」
出席番号順に名前を呼んでいくさわ子先生。
さわ子「あら、りっち…田井中さんと若王子さんは休みね」
澪「(へ~、律が休むなんて珍しいな…)」
さわ子「じゃあ、今日の試験なんだけど一日で全教科やりまーす」
皆「えーー!?」
さわ子「大人の事情ってやつよ」
教室からブーイングの嵐が吹き荒れる。
最終更新:2011年10月27日 22:47