さわ子「…」プルプル


皆「ブーブーブーブー!」

さわ子「ぐぬぬぬ…」プルプルプルプル


皆「ブーブーブーブーブーブーブーブー!」


さわ子「じゃあ…ガリガリ君でどう?」


皆「えっっ…」ピタッ


さわ子「真夏だから美味しいでしょうね~」


皆「ざわ…ざわ…」


水を打ったように静まり返る教室。気温30℃を越える日には喉から手が出そうなほど欲しい物。


さわ子「じゃあ、試験しますね」ニッコリ


皆「はーい!」


澪「(買収された…ガリガリ君なんて、クラス分買っても五千円もしないじゃないか…)」


プリントが前の席の子から渡される。


さわ子「じゃあ…始め!」

先生の声とチャイムが鳴ると同時に決戦の火蓋は切って落とされた。



~HOTEL with~


いちご「はぁぅうっ…」


律「…いいぞ出しても」


いちご「だめ…あっ…うっう…」


指の締め付けが強くなり、キュッ♪キュッ♪と締まってきたら…


いちご「やっ…ぁあ…出ちゃうよ…りっちゃ…」


律「そりゃそりゃあ!」


いちご「ああっ…!」


断末魔の後、律の指にいちごの〇〇〇が噴射された。
いちごの痙攣を鎮めるように律は優しく抱きしめる。

いちご「はぁ…はぁ…」ムギュギュ


律「へへ、どうだった?」

いちご「しゅごっ…すごく…よかったよ…」


律「へへーん、上手くなっただろ~」


いちご「…」コクリ


イッた後のいちごを見るのが好きだった。体が桃色に染まり、目は虚ろにこちらをジッと見つめている。


いちご「シーツ…びしょびしょ…」


律「これが全部、いちご汁かぁ」ニヤニヤ


いちご「えいっ」ポカッ


律「いてっ」


テストなど忘れるほどに二人は愛し合った。保健体育の試験だけはやったみたいだけど


――――

さわ子「そこまでー!」


皆「あー…!」


さわ子「皆、ご苦労様。ガリガリ君配るわね」


最後尾の席の生徒がテストを回収し、前の席からはガリガリ君が回される。

テストが思う通りにいかず嘆く者、ガリガリ君にはしゃぐ者、ここに天国と地獄の境目が出来た。


澪「(冷た…)」ペロペロ


ご褒美のアイスを味わう。テストは完璧だった。恵にいい報告ができそうだ。


澪「まだだな」


結果を見るまでは安心はできない、油断は禁物だ。

学祭で油断し全校生徒の前でパンツを晒した二の舞は避けたい。


澪「昼休みにしよう」


律も休みだし、今日は一人で昼食だ。
澪は屋上に向かった。


~屋上~


澪「ふぅ…」


緊張から解き放たれ疲れた澪は仰向けになり天を仰ぐ。弁当も食べる気がしなかった。

教室と違い、静かな空間が疲れを癒してくれるような気がした。



恵「なーにしてるのかな?」ピョコ


澪「めぐたん!」


そこに現れたのは恵。
スカートが風で靡きパンツがちょっと見えた。


恵「ふふ、澪たん疲れちゃった?」


澪「少しね」


恵「手応えは?」


澪「バッチリだよ」


恵「よかったぁ、頑張ったね」


澪「そりゃあ…まぁ、その…」


恵「ん?」


澪「…続きしたいから///」


恵「だーいじょうぶ、忘れてないから」


ツンとほっぺを突かれる。それがなんだか嬉しくて疲れを忘れた。


澪「めぐたんだから頑張れたんだ」


恵「今のはドキッとした」

澪「はははは」


恵「うふふふ」


しばし談笑。
そこに携帯が震える。唯からだ。


唯『テスト結果でた すぐ 戻れ』


澪「はやっっっっ」


二人で体育館に向かうと人だかりができていた。
果たして結果は…一瞬、結果を知るのが怖くなった。

恵「大丈夫、澪たん頑張ったから…行こ」


澪「…うん!そうだよな」

恵に後押しされ、貼紙を見る。学年別に上位40人が記載されているようだった。


澪「(秋山…秋山…)」


下から順に自分の名前を探していく。


恵「澪たん見っけ」


澪「えっ、どこどこ!?」

恵「一番目立つとこにあるじゃない」


澪「ふぉ…」


目を疑うが間違いない。
てっぺんには燦然と輝く1位 秋山 澪


澪「私が…1位…」


恵「ふふ、私と同じだね」

澪「あ…!」


三年生の1位は曽我部 恵とあった。二人で顔を見合わせ笑う。


唯「あ、澪ちゃん!おめでとー」


紬「すごいすごい!」ムギュギュ


澪「あぁ…唯、ムギ、ありがとう」


信代「野郎共!チャンピオンを胴上げじゃい!」


澪「えっ…うわわっ」


わっしょいという掛け声と共に澪は宙を舞う。
クラスメートだけではなく、ファンクラブの後輩も交え祝福された。


澪「ちょっ…高過ぎだよ!」


皆「わっしょいわっしょいわっしょいわっしょいわっしょい」


その輪を遠目から見つめる恵。


恵「(ちょっと…皆、触り過ぎよ…)」プルプル


和「先輩…すいません」


恵「真鍋さん」


惜しくも僅差で2位につけた真鍋和。生徒会の名に泥を塗ってしまったからか申し訳なさそうな表情であった。


恵「そんなことないわ、ほんの僅かの差じゃない」


和「しかし…」


恵「一年生から上位キープなんて凄いわ、だからそんな顔しないの」


和「…」


恵に窘められる和は言葉に詰まる。


和「…なぜです」


恵「え?」


和「澪が使ったのは…確かに曽我部流でした…!」


恵「…」


和「私には体得できなかった…曽我部流をなぜ澪はこんな短期間に…!」


恵「真鍋さん…」


クールな彼女が珍しく見せる表情。その表情には、悔しさが滲み出ていた。


恵「澪た…っ、秋山さんには少し教えただけ。曽我部流はそんな簡単には体得できないわ」


和「…」


恵「秋山さんと真鍋さんの勝敗の分け目はね…」


和の胸に手をあてる恵。


恵「誰かを愛する気持ち…愛情だと思うの」


和「愛…」


恵「それを知ったから、秋山さんは、普段以上の力を発揮できたんだと思うわ」

和「…先輩」

恵「…」モミュモミュ

和「きゃっ」

恵「そんな顔しないのっ、今は…秋山さんを認め、祝福してあげましょう」


和「…わかりました、じゃあ私、胴上げに参加しますね」


恵「ふふっ、いってらっしゃい」


恵「(強くなれ真鍋さん、頑張って)」



~放課後~


澪「(胴上げ怖かった…)」

祝福してくれた皆には悪いが、20分も胴上げは長すぎだろ。
生徒は全員帰宅し、教室には澪一人が残った。


澪「ふぅ…まだかな」


噂をすれば、廊下を走る音が聞こえる。


恵「ごめん~、お待たせ」

澪「めぐたん!」


恵「澪たん、すごい胴上げだったね」


澪「若干怖くなっちゃったよ」


恵「ふふっ、けど一位取ってくれるなんてすごいなぁ」


澪「ありがとう、これもめぐたんのお陰だよ」


恵「そんなに続きしたかった?…なーんて」


澪「う…うん」キュルルルン


恵「じゃあ…しよ」


澪「(堪えろ…)」コクン


平静を装いつつ、にやけそうになるのを必死に堪えた澪。
恵に手を引かれながら着いていく。


澪「(何処だろう…)」


恵「着いたよ」


澪「ここって…」


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最終更新:2011年10月27日 22:48