澪「よしよし…いい感じだな」


律「さすがあたし達」


紬「すごい楽しかった~」キラキラ


梓「はい!こう…一体感みたいな感じがでてきましたね」


うふふははははキャッキャッ…
学祭を間近に控え、練習に身が入る。
練習に確かな手応えを感じ盛り上がる部員達。しかし…


唯「ふぇ…」


梓「…!唯先輩…?」


唯「んん、すごぉいよぉ…みんな…」


澪「おい、すごい顔色が悪いぞ…」


唯「はぅぅ…」パタンコテン


紬「唯ちゃん!大変…すごい熱だわ」


律「唯!大丈夫か!?」


その場に倒れ込む唯を囲む律澪梓紬。


唯「学祭の前日じゃなくてよかったぁ…」


律「何言ってんだ…取り敢えず保健室で休ませよう」

澪「うん…!あ、さわ子先生…」


さわ子「やってるわね、皆」


おそらくは紬が持ってきたお菓子目当ての顧問のさわ子が颯爽と現れた。


紬「先生、唯ちゃんが…具合が悪いみたいで」


さわ子「どれどれ…」


唯の額に手をあてるティーチャー山中。


唯「さわちゃん…まだできるよ…」


さわ子「駄目」キッパリ


唯「そんなぁ~…」


さわ子「りっちゃん達は練習を続けて、私は唯ちゃんを保健室に連れていくわ」

律「わかった、ありがとうさわちゃん」


唯「ごめんね…澪りっちゃんムギちゃんあずにゃん~…」


澪「繋げ過ぎだよ、いいからしっかり治せよ?」


唯「ふぁい…」


さわ子に連れられ部室をあとにする唯。


梓「唯先輩…大丈夫かな…」


律「しっ!もいっちょいくか!」


澪「そうだな…!」


紬「唯ちゃんに届け!私達の歌!」


梓「え」


律「1、2、3、4!」タンタンタン


律達は再び演奏を始める。「自分一人のために練習を中断」なんて唯は望んでいないとわかっていたからだ。


梓「(唯先輩!頑張って…!)」


さわ子に支えられ廊下を歩く。


唯「みんなの演奏だ…」


さわ子「気になる?」


唯「…うん」


さわ子「今は体を治すこと!」


焦る気持ちをさわ子に窘められる。


さわ子「はい、着いたわよ」


唯「うぅん…」


さわ子「ベッドに横になって…」


唯「ありがとう…さわちゃん」


さわ子「はいはい、ちょっと待っててね」


しばし保健室の中を詮索するさわ子。


唯「はぁ…はぁ…」


熱のせいか呼吸が荒くなる。目を閉じ、体力の回復に努めた。



さわ子「お待た…せ。…!」


さわ子はベッドに横になった唯を見て、あらぬ衝動にかられる。
額に汗を浮かべ顔を上気させ、呼吸を乱した唯。


さわ子「(色っぽいわね…)」ゴクリ


誘われるように唯の首のタイを解いた。そしてボタンを二つ外した。


唯「さわちゃん…?」


虚ろな目でこちらを見る唯。今まさに教師と生徒の禁断の恋が………


さわ子「(ごめんね唯ちゃん…)」モニュ


唯「…あはっ、くすぐたいよぉ」


さわ子「我慢して、体温計入れるんだから」


さわ子「(セーフ…)」ホッ


ピピピ…


唯「…鳴ったよ、さわちゃん」


さわ子「はい…38℃!」

思ったよりも高い。


さわ子「これ飲んで…しばらく寝てなさい、帰りは送ってあげるから」


唯「…うん」ゴキュゴキュ


唯「さわちゃんとお泊りだぁ…やたぁ」


さわ子「違うでしょ、唯ちゃん家に送るの」


唯「えー…さわちゃんのいけず…」


さわ子「はいはい」


さわ子「(そんなことされたら…今度こそ抑えられないわ…!)」


欲望と戦うティーチャー山中。彼女もまた一人の女なのだろう。


唯「さわちゃん、もういっちゃう…?」


さわ子「ん、今日はもう仕事は終わりっ」


唯「そっかぁ…」


唯「こうしてていい?」ギュッ


さわ子の手を握る唯。


さわ子「ええ、いいわ。あと、これも貼ってと…」


唯「えへへ…ありがと」


笑顔を浮かべた後、安心した表情で目を閉じた。

しばらくすると唯の呼吸は落ち着き寝息が聞こえ、眠りについた。


~~~

姫子「…」ウツラウツラ


唯「…んん?」


唯「姫ちゃん…?」


姫子「あっ…おはよ」


唯「なぜにここに…ってどこここ?」


姫子「居酒屋だけど」クスクス

唯「なぁにゃあ…」


唯「(夢か…ぅう…頭痛いよ…)」


姫子「今日は同窓会だったの、それで唯は潰れちゃって私が介抱してたってわけ」


唯「そぉなんだぁ…」


姫子「ふふっ」


唯「(姫ちゃんの足…柔らかいよぉ…)」モミュモミュ


姫子「…ちょっと、駄目よ」


唯「固いこと言うなよ…」

姫子「ちょっ…」


姫子の制止を構わず、スカートの中に手を侵入させる。


唯「つんつん…」


姫子「こらっ…」


唯「どれどれ…姫ちゃんパンツの色は…」モミモミ


姫子「はい、おしまい」


唯「もがっ…」


秘境を覗こうとしたが、おしぼりで視界を塞がれた。

唯「なぁにゃあ…」


姫子「…もぅ、そろそろ行くわよ」


唯「今日は帰りたくなぃ…」


姫子「はいはい、家まで送ったげるから」


唯「ええ~…それは悪いってぇ」


姫子「どうせ一人じゃ帰れないでしょ」


唯「お願いします」


姫子「ふふっ、了解。じゃ、会計済ましてくるね」


唯「あい…」


唯「(姫ちゃん…綺麗になったなぁ…)」


同窓会となると大学生以上なのだろう。彼女は見事に大人の女性に変貌を遂げていた。
リクルートスーツから見える足がよいね。


姫子「お待たせ…はい」


唯「すまんのぅ…姫子…」

姫子「…よいしょっ、はいはい、おばあちゃん」クスクス

肩を貸してもらい居酒屋を出る二人。



~タクシー~


唯「…姫子や」


姫子「ん?」


唯「おならしちゃった…」

姫子「ふふふっ、可愛らしい音だったよ?」


唯「無臭でよかったぁ…」

姫子には高音の「プゥ」という音は聴こえていた。
無礼講ということで黙っていた。


唯「んっ…ふぅ…」


姫子「あ、またしたでしょ?」


唯「へへへ…姫ちゃーん」ダキッ


姫子「(変わらないわね)」フフッ


高校時代に席が隣同士だったこともあり、唯のことは嫌でも目に留まる。
こんな風にじゃれあったりしてみたかったと少し後悔。


運ちゃん「…着きましたよ」


姫子「あっ、おいくらですか?」


運ちゃん「二千と五百円ですなぁ」


姫子「はい、ほら着いたよ。唯」


唯「おう、すまんな」


姫子「何よそれ」フフッ



~唯家~


唯「ただいま~」


姫子「お邪魔しまーす」


姫子「へぇ…」


意外や意外。中は整理されていた。てっきりゴチャゴチャな部屋を想像していたが…


姫子「じゃあね、おやすみ…」


唯「えっ、帰っちゃうの?」


姫子「えっ…」


唯「…」ウルウル


姫子「じゃあ…ちょっと飲み直そうかな」


唯「あはっ、どうぞどうぞ」


明日は土曜日だし、何より子猫の様な眼差しで見つめられたら断れない。



姫子「唯、大丈夫?」


唯「なんかね、酔い冷めちゃった」


姫子「…ほどほどにね」


唯「ほいほい」


口笛を吹きながら冷蔵庫を物色し始める唯。


姫子「(雨…)」


帰らなくて正解だったのかもしれない。傘を持ってなかったから今頃びしょ濡れだっただろう。


唯「お待たせ~」ニコニコ


姫子「徳利ー?お父さんみたい」


唯「あはは、姫ちゃん注いでくださいな」


姫子「はいはい」


思わず笑ってしまった。
多分、一度やってみたかったのだろう。嬉しそうに持ってきた。


唯「きゅ~っ、おいしー。美人に注いでもらうと違うねぇ…」シミジミ


姫子「ふふっ、褒めても何もでないからね」


二人だけの二次会が始まった。


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最終更新:2011年10月27日 22:58