唯「えっと、じゃあどうして澪ちゃんは泣いて・・・?」
和「それは・・・」
澪「私から話すよ」ガチャ
唯「あ・・・澪ちゃん・・・」
和「澪、平気?」
澪「うん。取り乱してごめんな?もう大丈夫だ」
唯「・・・。」
和「・・・。」
澪「実はな、私の婚約者の律が行方不明になってしまってな」
唯「そうだったんだ・・・」
澪「まったく!どこに隠れているやら」
唯「心配だね・・・」
澪「本当だよ!みんなに心配かけて、あいつめ~」
和「・・・もうこの話は止めましょ?澪も元気になったなら仕事に戻る!」
唯「ほえ?」
澪「ああすまん。変な話しちゃったな、唯」
唯「ううん、気にしないで!律っちゃん見つかるといいね」
澪「ありがとう。じゃあ、ゆっくり観光してってな」
唯「だからー観光じゃないよ~!」
澪「あはは!3日間、のんびり過ごしてくれ・・・」
唯「そうだ!3日しかないんだった!」
澪「??」
唯「澪ちゃん、私ちょっと出かけて来るねー!」ダッ
澪「あっ、唯?」
唯「また戻って来るからー!」ノシ
澪「いってらしゃーい」
唯「いてっ!」どてっ!
澪「って、またコケてるし・・・」
澪「3日間しかない、か」
澪「律、もうすぐ結婚式始まっちゃうよぉ・・・」ぐすっ
和「・・・・・・。」
タルミナ平原
唯「うわ~広いなぁ」
唯「よーし、まずは『沼』に行こう!」
唯「たぶんあっちの方だよね?」トコトコ
【最初の朝 あと68時間】
ミルクロード
唯「ふえぇ・・・迷っちゃたよぉ」うろうろ
唯「ここどこぉ?」
唯「ううっ・・・沼とは違う場所だよね?」きょろきょろ
唯「おかしいなー」てくてく
ガツン!ガツン!ガツン!
唯「ほえ?何の音だろ?」
男「うんせ!うんせ!」ガツン!ガツン!
唯「あの~、何をしてるんですか?」
男「あん?今なー、この先の牧場への通路を工事してんだヨォ!」ガツン!ガツン!
唯「この先に牧場があるんですか~」
男「おうよ!どっかのバカが牧場への道を大岩で塞ぎやがったんだヨォ!」ガツン!
唯「ええっ!?大変ですねぇ」
男「まったくヨォ!街ではみんなが『月が落ちてくる!牧場まで避難しよう!』
ってな具合でパニックになってんのヨォ!
知ってっか嬢ちゃん?」ガツン!
唯「・・・ええ、まあ」
男「なんだ?嬢ちゃんも避難しに来たのか?」
唯「いえ・・・私は道に迷いまして」
男「あー、なるほど。それで牧場まで自分探しの旅にねー」
唯「ううん。そっちの迷うじゃなくて」
男「そうかい?まあいいや。
そんなわけでおいらが3日後までにこの道を開通させてやんのヨォ!」ガツン!ガツン!
唯「わぁ、すごいんですねぇ!」
男「おいらにしか出来ねえ仕事ヨォ!」ガツン!ガツン!
唯「牧場かぁ・・・行ってみたいな!」わくわく
男「おうよ!3日後までには開通させてやんヨォ!」ガツン!ガツン!
唯「うん!おじさんがんばってー!」
男「おっ?可愛い女の子に応援されると気合入るぜヨォ!」ガツンガツンガツンガツン!
唯「可愛い?えへへ~///」
唯「おじさまがんばってー♪」
男「おりゃおりゃおりゃおりゃ!」ドカーン!ドカーン!
唯「きゃ~!かっこいいー!」
男「そりゃそりゃそりゃそりゃ!」ドカーン!ドカーン!
唯「すご~い!」きゃっきゃ
男「開通ヨォ!」
唯「わぁ!あっという間に開通しちゃったね~」
男「これでもう通れるヨォ!」
唯「うん、牧場行ってみるね!」
唯「ありがとおじさん!おつかれさま~」たったった
男「いいってことヨォ!」
唯「いてっ!」ドテッ!
男「あ、コケた」
コトブキ牧場
紬「ふんふふ~ん♪」
唯「ここが牧場か~」キョロキョロ
紬「あれ?あなた・・・街から来たの?」
唯「うん、そうだよ~」(牧場主はムギちゃんか~)
唯「ようこそムギちゃんミルクの里、コトブキ牧場へ!私は牧場主の紬です♪」ニコッ
唯「唯だよー!」
紬「こんにちは~」
紬「開通したんだ・・・これでミルクが運べるわ~♪」
唯「よかったね!」
紬「カーニバルにも間に合うわ」
唯「・・・そだね」
紬「・・・・・・でも」
唯「??」
紬「その前に今夜、今夜を乗り切らないといけないわ・・・!」ふんす!
唯「何かあったの?」
紬「うーん・・・でも、聞いても信じないと思うわ。今までも誰も信じてくれなかったし・・・」
唯「私は信じるよー。ムギちゃんが言ったことだもん!」
紬「・・・私も唯ちゃんなら、不思議と信じてもらえる気がするわ」
唯「もちろんだよ~」
紬「じゃあ聞いてくれる?」
唯「うん!」
紬「・・・・・・この牧場に今夜、宇宙人が襲来するのよ」
唯「・・・へ?」
紬「ヤツらは発光する飛行物体に乗ってやって来るの。よく言う未確認飛行物体、UFOっていうものよ。ヤツらは数機のそれに乗ってこの牧場上空に現れるわ
時間はちょうど夜中の2時過ぎくらいかしら?これは丑三つ時と言われるもっとも禍々しきものが高まる時間とされているの
これって偶然だと思う?そんなわけないわよね?ヤツらは最悪の存在なんだから!絶対許せないわ・・・私が育てたかわいい牛たちにヤツらは何をすると思う?
本当にひどいのよ・・・ヤツらは毎年この時期に現れては牛たちをさらっていってしまうの。きっとさらった牛たちをキャトル・ミューティレーションしてしまうんだわ!
キャトル・ミューティレーションっていうのはね?牛たちの血を一滴残らず抜いてしまってから内蔵を取り出すのよ!本当にヒドイと思わない?あのかわいい牛さんたちを自分たちの実験のために殺してしまうのよ!
許せない、許さないわ。私はヤツらを絶対に許せない!幸いにもヤツらは朝の光を浴びるとどこかへ消え去ってしまうの。だから朝になるまで私はこの牛小屋の周りで籠城戦をするの
近づいてくるヤツらの身体ををこの鋤と鍬で耕してあげるのよ。でもヤツらはちょっと攻撃を食らうと一瞬で消えてしまうの
本当はヤツらも私のかわいい牛たちと同じ目にあわせてやりたいのに、卑怯にもヤツらは逃げ去ってしまうわ
ふふっ、幸いにもって言うのはヤツらにとってかもしれないわね。だって朝まで私から逃げ切ればおうちに帰れるんですもの・・・♪」
唯「うん!わかった!」
紬「唯ちゃん・・・わかってくれるの?」ぱぁぁぁ
唯「私がそいつら追い払ってあげるから、ムギちゃんは牛小屋の中で牛さんたちを守ってね!」
紬「えっ?協力してくれるの?」キラキラキラ
唯「も、もちろんだよ~」
紬「でも・・・どうせなら私が戦うから唯ちゃんこそ牛小屋の中に・・・」
唯「ううん!私、牛さんの世話とかできないし!ムギちゃんが中にいないとダメなんだよ!うん、絶対にダメ!」
紬「そうかしら?じゃあ・・・ヤツらの始末は唯ちゃんにおまかせしちゃおうかしら♪」
唯「そ、そうだよー!任せてよ!」
紬「おねがいね唯ちゃん♪それじゃ、今夜2時にね」
唯「う、うん・・・」
紬「・・・・・・忘れちゃ・・・・・・嫌よ?」ニコォ
唯「は、は~い!」
タルミナ平原
唯「ふぅ・・・思わずあわてて逃げて来てしまった」
唯「ムギちゃんに沼の場所聞けばよかったのに、失敗したかな?」
唯「いやー、あれはしょうがないよね?」
唯「まあいっか。一度街まで戻って澪ちゃんか和ちゃんに沼までの道を教えてもらおう!」
唯「道に迷っちゃったものは仕方ないもんね!」
【最初の朝 あと63時間】
クロックタウン
ナベカマ亭
唯「ただいま~」がちゃ
澪「あのっ!この手紙・・・どこから!?」
ポストマン「ポストなのだ!」
澪「そうじゃなくって!」
ポストマン「ポストなのだ!」
澪「ああ、もう!」
唯「ど、どしたの澪ちゃん?」
澪「へっ?ああ、唯か。おかえり」
ポストマン「ボクは仕事に戻るのだ!」タッタッタ
澪「あっ、待って!」
ポストマン「待たないのだ!」タッタッタ
澪「・・・。」ぼーっ
唯「何か話してたみたいだったけど・・・」
澪「ううん。何でもないんだ」ぼーっ
唯「そ、そっか!えっと、和ちゃんはいる?」
澪「奥にいるよ」ぼーっ
唯「わかったよ~・・・」
唯(澪ちゃんどうしたんだろ?)
唯「和ちゃーん」ガチャ
和「あら、唯?出かけたんじゃなかったの?」
唯「えへへ、道に迷いまして・・・」
和「ああ、納得」
とみ「おや、お客さんかい?」
和「そうよお婆さん。カーニバルの観光に来たのよ」
唯「違うんだけどなー」
とみ「そうかいそうかい。ならカーニバルの昔話をしてあげよう」
唯「昔話?」
とみ「そうさ。巨人と子猫の話さ」
唯「巨人・・・!」
とみ「その昔、巨人と子猫は友に愛しあっていたんだ・・・」
唯「ほうほう」
とみ「あるとき、巨人はよそに住処を作り、子猫の前から消えてしまってな・・・
それ以来、子猫は巨人を探してイタズラをして回っているのじゃ
目立つために自分の写真をそこら中にバラまいたりしてな・・・」
唯「ふ、ふーん?」
とみ「それがカーニバルの始まりじゃ」
唯「いや、ぜんぜん関係無いと思うけど」
【最初の夜 あと60時間】
ウッドフォール
唯「そんなこんなでようやく到着したよ、『沼』!」
唯「さ、急いで巨人を探さないと・・・」
唯「いやー、大変だった!」
唯「強かったなー!『密林仮面戦士オドルワ』、強敵だった!」
唯「それにしても・・・巨人はどこだろ?」
巨人「ふ~~ん~~す~~!」のそっ
唯「うわぁ!?」ビクッ
唯「巨人・・・さん?」
巨人「ふ~~ん~~す~~!」
唯「憂は連れて来てって言ってたよね。どうしようかな?」
巨人「ふ~~ん~~す~~!」
唯「え・・・?よ・ん・で・?呼んで?」
巨人「ふ~~♪ん~~♪す~~♪」
唯「コレ・・・曲だ!メロディを歌ってるんだよ、この巨人さん!」
巨人「ふ~~♪ん~~♪す~~♪」
唯「憂がギー太を使うように言ってたのはコレなんだね?」チャキッ
唯「絶対音感がこんなところで役に立つとはね~」ボロロン♪
巨人「ふ~~ん~~す~~!」
唯「それにしても、誰が作った曲だろ?」
巨人「ふ~~ん~~す~~!」のそっ
唯「うん、わかったよ~!この曲で呼べばいいんだねー?」
唯「よし!沼池の神殿は攻略完了!一回街に帰ろうっと」
【最初の夜 あと56時間】
クロックタウン
唯「ええっと、宿はどこだっけ?」キョロキョロ
唯「んん?」
爆弾屋のバアさん「だ、誰か~!物盗りだよ~!」
サコン(泥棒)「へっへっへw」
バアさん「ババの荷物を返しとくれ~!」
唯「た、大変だー!」
唯「助けなきゃ!」ふんす!
サコン「ふひひひひwww」タッタッタ
唯「待てー!」たったった
バアさん「お嬢ちゃん!ガンバー!」
唯「うん!任せておばあちゃん!」たったった
サコン「脚おそっwwwww」タッタッタ
唯「いてっ!」ドサァ!
サコン「コケたwwwww」タッタッタ
唯「ああっ!逃げちゃうっ!」
サコン「じゃあなババアwwwwww」タッタッタ
ババア「こりゃーー!!」
唯「ごめんねお嬢ちゃん・・・力になれなかったよ・・・」
バアさん「ありがとよお嬢ちゃん。荷物は盗まれちまったけど、頑張ってくれたよ・・・」
唯「こんな夜道歩いたら危ないよおばあちゃん。送って行くよ」
バアさん「ありがとよお嬢ちゃん・・・」のそのそ
唯「はぁ・・・残念だったなぁ」
唯「ただいま~」ガチャ
唯「あれ?誰もいない・・・」
唯「そっか、もう0時過ぎてるし寝てるのかな?」
唯「・・・。」きゅ~
唯「お腹すいたなぁ。何か食べよ~」
唯「ん?キッチンの明かりがついてる」
唯「誰かいるの?」
澪「・・・唯」ぽろぽろ
唯「澪ちゃん?泣いてるの・・・?」
澪「ああ、またこんなとこ見せちゃったな・・・」ぐすっ
唯「ごめん・・・」
澪「いいさ。・・・かわりに、少し頼みを聞いてくれないか?」
唯「私に出来ることなら、もちろん!」
澪「・・・ありがとう」
澪「今日の夕方に手紙が届いたんだ・・・律から」
唯「律っちゃんから!?よかったじゃん見つかって!」
澪「うん、結婚式までには必ず戻るって」
唯「やったね澪ちゃん!」
澪「・・・・・・だったら」
唯「え?」
澪「だったら!私に手紙を出せるなら!
・・・どうして律は私に会いに来てくれないんだ?」
唯「み、澪ちゃん?」
澪「律、どうしてだよ律・・・」ぽろぽろ・・・
唯「澪ちゃん、きっと大丈夫だよ。きっと全部うまく行くから・・・ね?」
澪「お願いだ唯、この手紙を・・・律への手紙を書いたんだ
これをポストに投函して来て欲しいんだ」スッ
唯「へっ?ポストに出すだけでいいの?」
澪「いや、そうじゃないんだ。唯に頼みたいのはその先だ・・・」
澪「この手紙は午前中に回収され、午後にはポストマンが配達する」
唯「う、うん」
澪「その配達された先に・・・・・・律はいる」
唯「あっ・・・!」
澪「ポストマンに聞いてもどこから手紙を回収したかは教えてもらえなかった
だけど、この方法なら・・・律の居場所をつきとめられるんだ」
唯「なるほど~
じゃあ私は明日の午後に、ポストマンさんを尾行すればいいんだね?」
澪「そういうことだ。頼めるか?」
唯「まっかせてよ!面白そうだし!」ふんす!
澪「頼むぞ唯・・・」
澪「私には、真実を知る勇気なんて無いから・・・・・・」
カコン
唯「これでよし!」
唯「あっそろそろ2時だ・・・」
唯「ちょっと怖いけど、牧場に行かないと」
唯「ムギちゃんとの約束だもんね!」ふんす!
唯「れっつごー!」ダッ
唯「いてっ!」ドサッ
【最初の夜 あと 52時間】
最終更新:2011年11月06日 03:25