グレートベイ


唯「海だー!」


ザァァァ・・・ザァァァ・・・


唯「はぁ・・・キレイだなー」

唯「よーし!泳ぐぞ~!」ぬぎっ

唯「えへへ~///誰も見てないよね?」

唯「水着は憂がカバンに入れててくれたから・・・っと」

唯「夜明けの海は人が少ないから、ここはひとつ」

唯「こ、こっちの***な水着着て泳いじゃおうかな?///」シュル

唯「お~!これは大胆なデザインだね///」


唯「危なかった~『巨大仮面魚グヨーグ』」

唯「水着を破られちゃったときはどうしようかと思ったよ~///」

唯「まさかあんな格好であんな事する事態になろうとはなー」

唯「あー、でも誰も見てないからよかったな」

唯「さて、シャワー浴びて着替えも済んだし!」

唯「・・・澪ちゃんに土下座でもしに行きますか・・・・・・」とぼとぼ

唯「いてっ!」がつん

唯「ううっ、コケなかったけど木にぶつかったよぉ」ヒリヒリ


【最後の朝 あと24時間】


クロックタウン
ナベカマ亭


唯「あの~?」ガチャ


和「午後には避難するわ・・・用意は出来てるわね?」

澪「・・・・・・うん」

和「お婆さんの用意を手伝ってあげて?」

澪「律は・・・とうとう私を迎えに来てはくれなかったな」

和「・・・律はどこかに無事でいる。それだけで良いじゃない。ね?」

澪「・・・そう、だな」


唯(はわわわわ・・・)ブルブルブルブル

唯「あ、あのですね・・・」


澪「さ、おばあちゃん。ご飯を食べてしまいましょう」

とみ「ありがとうねぇ」

和「牧場へは午後に行きます。車椅子に乗ってくださいね」

とみ「今年はカーニバルが見れなくて残念だねぇ」

和「仕方ありません。月が落ちてくるんですから」

澪「カーニバル・・・中止になるみたいですしね・・・」


唯「お、お、遅れて申し訳ありませんでしたぁ」ぺこり

和「・・・唯?」

澪「戻ったか、唯!」


唯「はい、今ごろ来ましたごめんなさい」ペコペコ

澪「戻って来ないから心配していたんだ」

唯「私の不始末ですごめんなさい」ペコペコ

和「・・・どうして土下座しているの?」

唯「こうしないと私の気がすまないからですごめんなさい」ペコペコペコペコ

澪「それで・・・あ、あの・・・律とは会えたのか?」

唯「はい、会いましたごめんなさい」ペコペコペコペコ

澪「ああっ、会えたのか・・・よかった、よかったぁ・・・」ぐすっ

和「それで、律はなんて?今どこにいるの!?」

唯「どこに居るかについては言えないんだ、でもね」ごそごそ
唯「これを澪ちゃんに、って」

澪「・・・律のカチューシャだ・・・!」

唯「待ってて欲しいって言ってたよ」

澪「うん、うん・・・!」ぐすっ

唯「そして・・・私の口から言うのもなんだけど、愛してるって伝えて欲しいとも言ってた」

澪「ああ・・・律・・・」ぽろぽろ

和「・・・・・・」ぐすっ

唯「よかったね澪ちゃん」うるうる

澪「うん・・・!ありがとう唯」

唯「ううん、私こそ遅れてごめんね?」

澪「いいんだ。いいんだよ・・・」

和「私も、律を疑ってた。ごめんなさい」

澪「そんな・・・和は私を支えてくれてたんだよ」

和「ありがとう澪、律によろしくね」

澪「ああ、私はここに残る」


澪「ここで・・・律を待つ」

澪「たとえ月が落ちてこようとも」


唯「・・・・・・。」


唯「・・・それじゃあ、私は行くね」

澪「律のところか?」

唯「うん。少しでも手助け出来るかもしれないし」

澪「・・・ありがとう」

唯「いいんだよ~。じゃあ行くね!」

澪「ああ、気をつけてな」

唯「・・・澪ちゃんもね」


洗濯場・マニ屋裏口


唯「律っちゃーん!いる~?」ガチャ

さわ「あら唯ちゃん。待ってたのよ?」にこっ

唯「ひっ!」ビクッ

さわ「律っちゃんはね、今は出かけたわ」

唯「あ、あの・・・」

さわ「実は犯人が見つかったの!気付いたら書き置きだけ残して追いかけて行ったみたいで」

唯「えっと・・・」

さわ「どうやらね、昨日唯ちゃんも見たでしょ?
あのサコンってスリの男が犯人みたいなのよ!」

唯「いや、そんな事より。いやいや、その話しも大事ですけど!」

さわ「なぁに唯ちゃん?」

唯「昨日と・・・キャラ違くないですか?」

さわ「そんなわけないじゃない」ニコリ(ギロリ)

唯「ひっ!」ビクッ

さわ「まあいいわ。それよりも、律っちゃんを手伝ってあげてくれないかしら?
あの子今は子供の姿だから何かと大変だと思うのよ」

唯「それはもちろん!」

さわ「あら♪それじゃあサコンのアジトを探してみてね
サコンは『谷』の方を根城にしてたはずよ」

唯「わかった!谷だね?
バイバイさわちゃーん!」ノシ

さわ「いってらっしゃーい!気をつけてね~!」

唯「いてっ!」どさっ!

さわ「あ、コケた」

さわ「それにしてもあの子、私のことを『さわちゃん』ですって♪」

さわ「・・・・・・ナメてやがんな?」ギロリ


【最後の朝 あと16時間】


タルミナ平原


唯「そうだ!谷に行く前に牧場に寄ってから行こう!」

唯「最後の夜を前に・・・少し気合を入れないとね!」

唯「そ、それにはやっぱりムギちゃんミルクだよね~///」ふんす!ふんす!

唯「和ちゃんたちも到着してるはずだしね!」ふんす!ふんす!


コトブキ牧場


唯「ムギちゃーん!」

紬「唯ちゃん!今日も来てくれたの?」

唯「うん!だってムギちゃんのミルクおいしいんだもん!」ふんす!ふんす!

紬「うふふ、『ハマっちゃった』みたいね?」

唯「本当に不思議なミルクだね~!毎日飲みたくなるし、飲まないと不安でたまらなくなるんだよ~」

紬「そうね♪」

唯「飲めばすっごく元気になって、幸せな気分になれる!まるで魔法のミルクだねっ!」ふんす!ふんす!

紬「よく言われるわ~♪」ニコニコ

唯「そう言えば、街の人達はもう来た?」

紬「・・・ええ、来たわ」

唯「よかった。和ちゃんたちとは会った?」

紬「ええ、なぜか和ちゃんに謝られちゃったわ。どうしてかしら?」

唯「うーん、気にしないであげてね?」

紬「そう?なら気にしないわ~」ニコッ

唯「えへー」

紬「そうだ、唯ちゃんが・・・律っちゃんを見つけてあげたって聞いたわ」

唯「・・・うん、会ったよ。今から律っちゃんを助けに行くところ」

紬「そう、なんだ・・・」

唯「明日の結婚式には必ず律っちゃんをつれていくよ」

紬「・・・・・・そうね」

唯「ムギちゃんは、その・・・」

紬「そうだ唯ちゃん!」

唯「えっ?」

紬「唯ちゃんはミルクを飲みに来たのよね?最後の一本をとっておいたわ」

唯「最後!?」

紬「ごめんなさいね、昨日出荷した分で最後だったの~」

唯「そうなんだ・・・残念」しゅん・・・
唯「あれ?じゃあどうして一本残ってるの?」

紬「なんだか唯ちゃんが来てくれる気がしたから、一本だけとっておいたの」

唯「ホント!?ムギちゃんすご~い!」

紬「運命よね~!」

唯「ホントだね!」

紬「・・・唯ちゃん」

唯「なあに?」

紬「最後の一本はあげるわ」

唯「いいのっ!?」ふんす!ふんす!

紬「ええ、だからね」


紬「律っちゃんを・・・必ず澪ちゃんと会わせてあげて?」ほろっ・・・


唯「ムギちゃん・・・」

紬「必ず・・・二人を会わせて、結婚式をあげるの・・・」ぐすっ、ひっく

唯「絶対に。絶対に二人をいっしょにするよ」

紬「ありがとう唯ちゃん・・・これが最後の一本よ」スッ

唯「うん。大切に飲むね」ぐっ

紬「うん、うん・・・お願いね?お願いします・・・律っちゃんを・・・」ぽろぽろ

唯「・・・行ってきます」

紬「唯ちゃん・・・・・・また、明日」

唯「・・・・・・。」

紬「また明日カーニバルで、結婚式で会いましょう?」

唯「・・・・・・うん!」



谷・サコンのアジト付近


唯「とうちゃーく!・・・律っちゃんはどこかなー?」キョロキョロ

律「・・・バカ!」べしっ

唯「いたっ!・・・律っちゃん?」

律「大声出すな!見つかるだろ!」

唯「あ、ごめ~ん」てれっ

律「さっき奴が岩の割れ目が開いて奴が出ていったんだ」

唯「ほう!?」

律「何度調べても岩は開かないんだ。だから奴が帰ってくる時、隙を見て忍びこむぞ」

唯「すごーい!映画みたいだね!」

律「映画と言えばもうすぐだな!」

唯「再び宣伝だね律っちゃん!」

律「けいおんの映画はなんと海外旅行編だー!」

唯「みんなでイギリスに行くんだよ!」

律「楽しみだな~、12月3日が!」

唯「覚え方は『1、2、3は、けいおーん!』だからね!」

律「みんなよろしくな!」

唯「観に来てね~♪」


律「・・・もうすぐ奴が現れる。岩陰に隠れるぞ」こそこそ

唯「急にシリアスだね律っちゃん・・・」こそっ


【最後の夜 あと12時間】


律「来たぞ!」

唯「キンチョーするねー?」

律(本当かよ・・・)


サコン「開けーゴマ!」ピッ

ゴゴゴゴゴゴ・・・


律「リモコンじゃねーか・・・」

唯「後を追うよロリっちゃん!」タッ

律「誰がロリだ、誰が」

唯「いてっ!」どさっ!

律「コケてるし。ほら、行くぞ」

唯「あぅ・・・はい・・・」むくっ


サコンのアジト内


律「泥棒、どこだ!?私から盗んだ物を返してもらうぞ!」

唯「そうだそうだー!」


サコン「ふひひっひwまさかアジトの中にまで侵入してくるとはな!」

律「チッ!出てこい!どこにいる!」

唯「律っちゃんの大事な物を返せー!」

サコン「そんなに大事な物ならば、勝手に持っていけばいい」

律「なにぃ!?」

サコン「ただし、お前らは一生その中にいてもらうぜ!」ピッ

ゴゴゴゴゴゴッ・・・

律「なっ、しまった!扉が・・・!」

唯「おお、ダジャレだね?」


ゴゴゴ・・・バタン!!

サコン「ハハハ!証拠はすべて消す!じゃーなバカども!」


律「開けろ!あけろー!」ガンガン!

唯「そんなぁ・・・」

律「くそっ!ここまで来たってのに・・・」

唯「・・・律っちゃんは自分の物を探して。私がこの扉をどうにかするから」

律「唯が?どうすんだよ、こんな岩の扉」

唯「これを飲めば何でも解決!ムギちゃんミルクだよー!」ふんす!

律「万能すぎだろ・・・」

唯「んぁああああああああっ!」ふんす!ふんす!

唯「岩を押せばどうにかなるよぉ!!」ゴリゴリゴリゴリ

唯「んひぃい!腕が軋むように痛いけど・・・」メキメキメキメキ

唯「き、きもちぃいいいいい!!」ふんす!ふんす!


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・


唯「ハァハァ・・・開通ヨォ!」ふんす!


律「す、すげえ」


唯「あ、律っちゃん。大事な物は見つかった?」

律「ああ、有ったぞ。唯のおかげだ」

唯「えへ~」
唯「そういえば、律っちゃんたちの大事な物って何だったの?」

律「これだ」しゅっ

唯「・・・お面?」

律「『太陽のお面』って言うんだ。
澪が持ってる『月のお面』とあわせて、結婚式の儀式を行うための大切な物だ」

唯「そうなんだぁ」

律「私は街に戻る。唯は?」

唯「私はまだ谷に用事があるんだ。・・・最後の用事が」

律「そうか?なら、私は先に行くよ。澪が待ってる」

唯「うん!行ってあげて」

律「・・・唯、全部唯のおかげだ。ありがとう」

唯「いいんだよ~。ほらほら、澪ちゃんが待ってるよ!」

律「ああ!明日の結婚式、絶対に来てくれよな!」

唯「もっちろん!」ふんす!


唯「絶対に・・・明日を迎えてみせるよっ!」


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最終更新:2011年11月06日 03:30