律「えっ、まだそんな事してたんだ?」

澪「お、おかしいか?」

律「いや別におかしくはないけど…小学生の頃と変わってないなーって」

澪「安心できないんだよな、なんとなく」

律「ふーん」

律「でも合宿の時とか、私が澪の部屋泊まった時とか抱き枕使ってないじゃん」

澪「安眠できないけどみんなの前では使わない様にしてるんだ」

律「なんで?」

澪「は、恥ずかしいからだよ」

律「別にいいのに、私は気にしないよ?」

澪「律は良くても私の方が気にするの!」

律「そうですかー」

澪「いいから電気消すぞ、もう寝ないと」

律「えー、もっとお喋りしようよ」

澪「もう遅いのに…」

律「ねぇ、澪ってどんな抱き枕使ってるの?」

澪「なっ?またその話か」

律「気になるんだけど」

澪「教えない」

律「なんでっ?!」

澪「絶対教えないからな」

律「秘密にされると余計気になっちゃうんだけど…」

澪「そうですか」

律「ねー教えてよ澪ー、このままじゃ眠れないー」

澪「……」

律「ねーねー」

澪「うるさいなぁ」

律「教えてくれたら眠れるのになー」

澪「本当だな?」

律「うん、静かにするよ」

澪「分かったよ、しょうがないな」

律「へぇ、そんなところにしまってあったんだ」

澪「…」ごそごそ

澪「これだ」

律「…」

澪「な、なんだよ」

律「うさぎのぬいぐるみ…」

澪「いいだろ別に!」

律「お気に入りのうさちゃん抱いて今夜もおやすみ」

澪「…」///

律「ありきたりって感じ」

澪「うるさいっ!」

律「あの歌詞って本当だったんだ?」

澪「そうだよ、ほらっもういいだろ?寝るぞ」

律「うそつき」

澪「へっ?」

律「澪が嘘ついてるのくらい目を見れば分かるって」

澪「なっ…な?!」

律「本当はこの抱き枕じゃないな?」

澪「嘘なんかついてない!」

律「そうかなぁ?きっと澪の事だからこの辺に隠してあるんじゃ…」ごそごそ

澪「そ、そこはダメだ!漁るなぁ!」

律「図星かな?どれどれ」

澪「やめろぉー!」

律「こ、これは…」

澪「うわぁぁぁぁ!!」

参考画像

律「………」

澪「ち、違うんだ律!」

律「………」

澪「こ、これはな?…えーと……」

律「………」

澪「私…自分好きだからさ……!自分を見てると落ち着くんだ!」

律「そ、そうなのか…?でも澪…これ」

澪「………」

律「片面私になってるんだけど…」

澪「私達セットになっちゃってるから仕方なかったんだよ!…うん」

律「………」

澪「あはは…(く…苦しいか…?)」

律「でも澪、これ……」

澪「どうした…?」

律「裏表で使用感に差があるっていうか…」

澪「うっ…」ギクゥ

律「なんか私の面の方がプリントが薄れてきてる様な気がするんだけど…」

澪「そそそそんな訳ないよ!気のせいだって!」

律「うーん…」

澪「あの…!」

律「えっ?」

澪「け…決して律が思ってる様な事なんて…ないよ?」

律「…」

澪「その…本当に私の面しか…」

律「う…うん…」

澪「……」

律「澪…ごめんな?」

澪「えっ?」

律「せっかく澪に誘ってもらったんだけど…今日は帰らせてもらうね?」

澪「えっ……え…?」

律「ちょっと色々整理したいんだ…自分の中でさ…」

澪「あの…律?」

律「じゃあ…私帰るから……あったかくして寝ないとダメだぞ?」

澪「待って律!りつぅ!」

バタン!

澪「……」

澪「終わりだ…何もかも……」

澪「なんでこうなってしまったんだ…」

澪「律が泊まりに来るっていうのにあんなところに隠すから…」

澪「もっと万全を期すべきだったんだ…」

澪「……」

澪「律怒ってたよぉ…」

澪「どうしよう…明日からも顔合わせるのに…」

澪「私が律の抱き枕で寝てた事…完全に勘づいてたよね…」

澪「気持ち悪いって…思ったのかな…」

澪「そうだよね…普通はそう受け取るよ……」

澪「はぁ…」

澪「……」

澪「困ったなぁ…」


澪「ねぇ律…私どうすればいい…?」

澪「律と仲直りできるかな…?」

澪「できる…よね?きっと…」

澪「………」ぎゅ


―――

澪「いってきます」

澪「……」

澪「今日も待っててくれてるかな…」

澪「一人で学校行っちゃってたりして…」

澪「……」

律「澪」

澪「あっ」

律「おはよう」

澪「お、おはよう」

澪「(謝らないと、昨日の事)」

律「……」

澪「ねぇ律」

律「んー?」

澪「あのね…あの…」

律「……」

澪「き、昨日の事なんd」

律「いやー、今日もさむいなぁ」

澪「う、うん…」

律「早く学校行ってあったまろ?」

澪「そ、そうだな」

澪「………」


澪「(私が話を振ろうとしても聞いてくれない…)」

澪「(律にとっても触れられたくないって事だよな…)」

澪「(いいのかな…これで…)」

澪「(いやでも…ある意味これでいいのかも)」

澪「(何事も無かったかの様に時間が解決してくれればそれが一番…)」

唯「澪ちゃんいらないのー?」

澪「え?」

紬「ひょっとして澪ちゃんにはお気に召さなかったかな?」

澪「う、ううん!そんな事ないよ」

律「またダイエット始めたのかー?」

澪「う、うるさいぞ律!」

梓「いつもの澪先輩ですね、安心しました」

澪「!」

澪「(分かるんだな、やっぱり…)」

澪「(もう悩むのはよそう)」

澪「(みんなに余計な心配させちゃう)」


「じゃあまた明日!」

澪「……」

律「……」

澪「ね、ねぇ律」

律「ん」

澪「ほ、本当に寒くなってきたな」

律「うん」

澪「今年はマフラー新しくしたんだな」

律「そうだよ」

澪「よ、よく似合ってると思う」

律「ありがと」

澪「……」

律「……」

澪「(話が全然盛り上がらない…)」

澪「ねぇ律」

律「うん」

澪「こうも寒いとさぁ、朝起きるのが大変だよな」

律「んー」

澪「私なんか布団を枕までかぶっちゃってるから…」

律「……」

澪「あっ…」

律「……」

澪「(しまった…)」


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最終更新:2011年11月08日 08:46