「はんぺん!」



テレビ「今日は秋晴れの一日となるでしょう」


律「最近寒くなってきたなぁ」

梓「……」ポケー

律「おい梓、早く食べないと遅刻するぞ」

梓「ふぁい……いただきます」

律「ん、めしあがれ」

梓「」ハムハム

梓「?」

梓「~~!」ガジガジ

梓「このはんぺん固い」

律「それはテーブル拭きだ寝坊助」



梓「はじまり!」




「こがらし!」



ビュオオオ…

律「うひぃー、木枯らしだ」

梓「くしゅんっ」

律「おいおい、風邪か?」

梓「何か急に冷え込んできました」

律「そんな格好で来るからだ。てか、外寒いから留守番してろって言ったろ」

梓「だって一緒に買い物行きたかったんだもん」

律「それで風邪引いてちゃしょうがないだろ」

梓「大丈夫ですよ……くしゅんっ」

律「……」

梓「……」ズズ

律「……」ハァ

律「ほら、これ着てな」

梓「あっ……」

律「長袖一枚でいるよりマシだろ」

梓「でも律先輩が」

律「私はどこかの怠け者と違って普段鍛えてるから大丈夫だ」

梓「ありがとうございます……一言余計ですけど」

律「じゃ、暗くなる前に急ごうぜ」

梓「はーい」

ビュウウウウッ

律「へっ……くちっ」

梓「……」

律「……」

梓「」プッ

律「笑うなっ!」

梓「ご、ごめんなさい。すごく可愛いくしゃみだったから」

律「うるさ……くしゅっ」

梓「……」

律「……」

梓「ぷっ、くくっ……」

律(くっ……こんにゃろ)

梓「返しましょうかこれ」

律「いやいい」ズズ

梓「でも律先輩が風邪引いちゃう」

律「大丈夫だって」

梓「ばかは風邪引かないって迷信なんですよ」

律「何が言いたい」

梓「だから返しますって」

律「いい!」

梓「いじっぱり」

律「うっせ」

律(とは言ったものの……やっぱさみぃ)ブルブル

律(けど、いまさら返せっていうのもなぁ)

梓「律せんぱい」

律「うん?」

梓「」ギュッ

律「な、何だよ」

梓「こうやって腕組んでれば、きっとあったかいですよ」

律「……」


ビュウウウ…


梓「」ギュウ

律「……」

梓「ね、暖かいでしょう」

律「うん、まあ」

梓「私もです。あったかあったか」

律「……」

梓「律先輩?」

律「へっ」

梓「顔赤いけど大丈夫ですか?」

律「さ、寒さにやられたのっ」プイッ

梓「ふぅん」

律(可愛いんだよちくしょう)




「のどかな!」



梓「おはよー」ゴシゴシ

律「もうお昼だし」

梓「連休に早起きする方がおかしいです」

律「悪かったな……あ、そうだ」

梓「ねっくれすー」ズシッ

律「ちょっ! やめろっておまっ!」

梓「? 何で慌ててるんですか?」

律「い、いいから離れろばかっ」

梓「いつものことじゃないですか」

律「そういう問題じゃねーって」アセアセ

梓「やだ。絶対離れてやんない」ギュウウウ

律「あ、あずさー!」

和「あらあら、朝から仲が良いわね」

梓「!?」

律「……」

和「トイレありがとね。セパレート式なんて、いいとこ住んでるじゃない」

梓「」

律「だから言ったろ」

梓「」

和「あ、私には構わないで続けて」

律「続けられっか!」

梓「あ、あのぉ……」

律「今朝こっちに帰ってきたんだとさ」

和「唯とは昼から会う約束してるんだけど。ちょっと時間が空いちゃったからお邪魔しようかと思って」

梓「……」

和「ごめんね、二人の時間に水を差しちゃって」

律「余計なお世話だ」

梓「の、和先輩」

和「何?」

梓「見なかったことに……してください」

和「んーどうしよっかな」

梓「お願いします!」

和「冗談よ。今見たことは誰にも話さないし、忘れてあげる」

梓「ほっ」

律「たくっ……」

和「その前に私、ツイッターでつぶやくね」

律「つぶやかんでいい!」




「きねんび!」



バイト帰り

唯「あ、りっちゃん」

律「どした?」

唯「私、憂と買い物あるからここで」

律「ん、了解」

唯「りっちゃん隊員お疲れであります!」ビシッ

律「うむ、唯隊員もご苦労であったぞ」

ビュウウ

律(う~~最近冷えるなぁ)

律(今日もお疲れさんっと……おっ、梓からメール)

律(なになに……だい、し、きゅう帰ってきてくださいビックリマーク四こぉ!?)

律「一体何があったんだ!? 火事? 泥棒? さわちゃん襲来??」アワワワ

律「いやいやいや、慌ててる場合じゃないだろ私……落ち着け、深呼吸」

律「……」スーハー

律「よし、待ってろ梓! 今すぐ行ってやるからな!!」




子供「あのおねえちゃん、どうしてさわいでるの?」

母親「しっ、指さしちゃだめ!」



タッタッタッタッタッ

律「ぜぇ……はぁ……」

ガチャッ

律「あずさぁ! 大丈夫か!?」

パーン!

律「ひぃ、銃声……って、クラッカー?」

梓「律先輩おかえりなさい」ニコニコ

律「あずさ……さん?」

梓「ケーキ買ってきたんですよ、一緒に食べましょう」

律「……」ゼェゼェ

梓「律先輩?」

律「大至急ってのは何だよ」

梓「一刻も早く帰ってきてほしかったんで……大げさでした?」

律(オバマもびっくりのレベルだよ)

律「それで、今日って何かあったっけ」

梓「今日は大事な記念日じゃないですか!!」ズイッ

律「ひっ」

梓「忘れちゃったんですか……?」ウルウル

律「いや覚えてる! 覚えてるから!」

梓「じゃあ何の日?」

律「え、えっとぉ……」

梓「」ジー

律「ま、待ってろ今思い出すから!」

梓「覚えてないじゃないですか」

律(うぅん、私の誕生日でもなし、梓の誕生日はまだだし)

律(付き合い始めた日はもう少し先)

律(うぅ……分からん)

律「ぎ、ぎぶあっぷ!」

梓「やっぱり忘れたんですね」

律「ごめんなさい」

梓「ひどいです! こんな大切な日を……」

律「面目ない」

律「それで、何の日だっけ」

梓「今日はですね」ニヘラ

律「うんうん」

梓「私と律先輩が初めて手をつないだ日です!」

律「……」

律「……」

律「はい?」

梓「学校帰り、二人きりで良い雰囲気になってそのまま……」ポッ

律「」

梓「まだ付き合ってない頃で、私も律先輩も照れちゃって」キャッ

律「」

梓「懐かしいなぁ、あのときはウブだったんですねお互い」

律「」


律(く、く、く)

律(くっだらねぇ~~~)ヘナヘナ

梓「律先輩っ?」


梓「♪」モグモグ

律「……」パクッ

梓「ふぅ、美味しかったです。あれ、律先輩食べるの遅い」

律「ほっといてくれ」

律(色々あって疲れてんだよ)

梓「いちご食べないんですか? なら代わりに私が……」

律「食べるよ!」




「あいさい!」



いつも頑張る律先輩に、お弁当を作ってあげました!


カッチコッチ カッチコッチ

梓(そろそろ帰ってくる時間だ)

梓(ふっふ、今日のお弁当は上手くできてよかった)

梓(と言っても、卵焼きとウインナーにおにぎりだけだけど)

梓(でも、そのおにぎりに一工夫加えたんだ)

梓(律先輩、どんな反応するだろう)ワクワク

ガチャッ

律「ただいまー」

梓「お帰りなさーい」トテトテ

律「はぁー、今日は疲れたよ。唯の奴がヘマしてさ」

梓「お疲れさまです」

律「よいしょっと、休憩」

梓「……」

律「ん?」

梓「……」ワクワク

律「どうした、そんなに目輝かせて」

梓「なんでもないですよ」

律「んー?」

律「そうだ、お弁当ありがとな。すっごく美味しかった」

梓「ほんとですかっ?」

律「ウインナーも卵焼きも美味しかったぞ。唯に少し食べられちゃったけど」

梓「わぁ、作ったかいがあります」

律「ところで、おにぎりの形だけど」

梓「!!」

律「あれは一体どういう意図なんだ?」

梓「はい、律先輩への気持ちを形にしてみました」ポッ

律「? よく分からないけど嬉しいぞ」ナデナデ

梓「えへへ」

律「それにしても、桃型のおにぎりなんて珍しいな」

梓「はい?」

律「あ、それとも尻型か? 下品だぞっ……なーんて」

梓「」

律「あずさ?」

梓「この鈍感!!!」

パシィィィン



律「な、何だよいきなり」シュウシュウ

梓「うるさい!」


やっぱり律先輩は鈍いです。




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最終更新:2011年11月11日 03:43