~ 5限目 授業中 ~


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純「……」クカー

梓「……。純……」ハァ

憂「本格的に寝てるね」

梓「お腹いっぱいになるまで食べるからだよ、もう」

憂「口から出そうって言ってたね、最後」クスッ

梓「それなのにポッキー要求された時はさすがにどうしようかと思ったよ」

純「……ぽっ……きぃ……?」ムニャ…

梓「まだ言うかっ」ペシッ

純「んぅ……」

純「……」スカー

憂「起きないねえ純ちゃん」

梓「はあ……もうこのままほっとこう」

キーンコーン カーンコーン


~ 6限目 授業中 ~


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梓「結局最初から最後まで寝続けたね」

憂「先生ももう見て見ぬ振りだったよね」

梓「ほら純、HRくらい起きなよ」ユサユサ

純「んうぅ~……も……たべら……ない」ムニャムニャ

梓「今日の純はなんでこんなに食いしん坊万歳状態なの?」

憂「あはは……さあ?」

梓「……」チラッ

憂「……」チラッ

梓「……じゅーん、ポッキーだよー。限定のやつ」ボソ

憂「食べられないんだったら、私たちだけで食べちゃおうかな」ボソ

純「……ぽっ!!」ガバッ

梓「うわっ」

純「きーぃ……、アレ?」キョロキョロ

憂「おはよう、純ちゃん」

純「んあ? おはよ、うい。……あれ? 次の授業なんだっけ」

梓「全部終わりました。もうすぐHRです」

純「Oh……」

キーンコーン カーンコーン


~ H R 中 ~


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純「ふぁーっ、今日もがんばったー!」ノビーッ

梓「半分以上寝てたじゃん、授業」

純「なにおうっ! 睡眠学習と言いたまえ!」

梓「じゃあ憂、部室行こうか」スタスタ

憂「そうだね」トコトコ

純「ちょっ、まっ、待ってよ!」アタフタ


……

ガチャ

梓「こんにちはー……って、ふたりはまだ、か」

憂「あ、先生食器棚に仕舞ってくれたんだ」

梓「マメなんだかズボラなんだか分からない人だよね」

純「ふあぁ~……あふぅ」

梓「純……口元隠しなよ、一応女の子なんだから」

純「一応ってなにさ」

梓「そこは気にするんだ」

純「ういー、お茶淹れてー」ガタ ストン

梓「早速か」

憂「あは、ちょっと待っててね」

梓「いつもありがとね、憂」ガタ ストン

憂「ううん、好きでやってることだから」ニコッ

梓(……すごく……デジャヴです……)


   律「へくしっ」

   澪「クシュンッ」

   紬「くしゅっ」

   唯「ほえ? 3人ともどうしたの?」


純「ほんまできた娘さんやなあ。ウチに嫁に来いひんか?」ドヤ

憂「え~? ちょっと考えさせてもらっていい?」

梓「……考える余地があるの? それ」

ガチャ

菫「こんにちはー」

直「こんにちは」パタン

純「おー、おつかれさまー」ヒラヒラ

梓「お疲れ様。お昼はありがとね」

菫「いえ。あっ、憂先輩お手伝いします」タタタ

憂「ありがと。じゃ、カップ運んでもらっていい?」

菫「はいっ」カチャカチャ

純「菫もようできた子やなあ……ホンマやでえ」シミジミ

直「鈴木先輩、それ何かのキャラですか?」ガタ ストン

純「え、うん? あー……。んー、てきとう?」

梓「だろうね」


コポコポ……

憂「はい、梓ちゃん」コトン

梓「ありがと。いただきます」

憂「はい、純ちゃんもどうぞ」コトン

純「さんきゅっ! ふぁ、いいかおり~♪」スンスン

憂「はい、奥田さんとスミーレちゃんも」コトン コトン

菫「ありがとうございます」

直「いただきます」カタカタ

フーフー コクリ

純「ふぁー、美味しい……」ホワホワ

梓「ティータイムはほんと幸せそうな顔してるよね、純」クスッ

憂「ねー」クスクス

純「んー? 何笑ってんの? ……あ、そうだ、梓」

梓「うん? なに?」

純「今日渡したポッキー出して。限定のやつ」

梓「おい」

純「……」ポリポリ

憂「……」ポリポリ

菫「……」ポリポリ

直「……」ポリポリ カタカタ

梓(……まあ、いいか)ポリポリ

純「むぐ……。あっ、そういえばさわ子先生来ないね?」

梓「お昼にケーキ食べたから満足したんじゃない?」

純「あー。ありえる。まったく、食い意地ばっかりだなあの人は」

梓「……それ純が言う?」

直「……」カタカタ

菫「あ、うん、おかわりどうぞ」コポコポ

直「……」カタッターン

菫「ふふ、どういたしまして」

純梓「……」

純「……さすがに見慣れたとはいえ」

梓「……なんていうか」

憂「すごいよねえ、これも以心伝心っていうのかな」ニコニコ

純梓「あ、うん……」


……


純「あー、美味しかったー♪」

梓「貰ったポッキー、見事に無くなった」

憂「あっ、ごめんね、梓ちゃんが貰ったプレゼントなのに」アセアセ

菫「えっ、そうだったんですか? す、すみません」アセアセ

直「美味しくいただきました」カタカタ

梓「ん、みんなで食べたほうが楽しいからね」ニコッ

純「でしょー?」

梓「純にドヤ顔されるとちょっとイラッとくるのはなんでかな」

憂「まあまあまあまあまあまあ」

直「……」カタカタカタカタカタ ッターン!!

菫(6回……)

純「ふう。よし、じゃ、そろそろ準備しよっか?」ガタ

梓「準備? あ、練習始める?」ガタ

純「あー、いやいや。あんたは座ってなさい」グイ

梓「えっ?」ストン

憂「梓ちゃんはそこにいてね」ガタ トコトコ

菫「えっと、では……」ガタ トコトコ

直「……」カタカタ

梓「……?」

ジャッジャーン

         ベベベ ベベベン

     ドコドコ シャンッ

直「……」カタカタ

純「ん。みんな準備いい?」

憂「いいよー」

菫「はい」

直「いつでもどうぞ」

梓「……」

純「よしっ。じゃ、奥田さんよろしくっ」

直「はい」カタカタカタ タンッ


チッチッチッチッ  タカタタカタタンッ

ジャッジャ ジャカジャジャ ジャンジャッ ベベッ

♪ Happy Birthday to you~
    ♪ Happy Birthday to you~

梓「わ……ジャズアレンジ?!」

♪ Happy Birthday ~ Wooo
    ♪ Happy Birthday ~ Wooo

梓「……」クスッ

♪ Happy Birthday Dear~・・・・
    ♪ A・ZU・NYA~~~~N !!!!

梓「!? ちょっ」

♪ Happy Birthday to you~
    ♪ Wooo Wahhh~ Yea~h !!

ジャカジャカジャジャカジャカジャカ ベベベベ~ボボンッ

純憂菫直「Happy Birthday Azusa !!!!」

ジャーーーーーーーーーンッ ドコドン♪

梓「…………あはっ」

梓「あはは」パチパチパチパチ

憂「ふふっ」ニコニコ

菫「あは……」ホッ

直「上出来でした」カタカタ

純「どうよ梓、驚いたかっ」ドヤッ

梓「うん……。なんていうか……」

純「うん?」

梓「あんまりうまくなかったね!」ニコッ

純憂菫直「!!??」ズガーン

梓「なーんてね、冗談。ありがとね、みんな」ニコ

純「もー、冗談きついよ。内緒ですっごい練習したのにさ」ハァ

梓「ごめんごめん。……これ、奥田さんがアレンジしたの?」

直「あ、はい。基本は私が組み立てましたけど、各パートは相談しながらです」

梓「そっかあ。すごく良かったよ。うん……みんな、素敵だった」…スン

純「おや? おやおや?」ニヤニヤ

梓「な、なによ」

純「もしかして感動しちゃった? 泣いちゃったりしちゃいそう?」ニヤニヤ

梓「なっ……あーもう! その顔鬱陶しいからやめて!」プイ

憂「あずにゃんったら~! 素直になりなよー」ダキーッ

梓「にゃっ!? もうっ憂! 唯先輩の真似しないでってばっ!!」アタフタ

純「わはは」

梓「純も笑うなっ! あ~~ほらっ、じゃ、いつもの練習するよッ」ガタッ

直「……」カタカタカタン♪

菫「そうだね、喜んで貰えてよかったね」ニコッ


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 ・
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~♪

ガチャ

さわ子「はー、つかれたぁ。憂ちゃぁん、紅茶淹れてー」パタン

憂「えっ、あ、えっと」

梓「先生、見ての通り練習中ですよ」

さわ子「私が来たから休憩ってことで!」スタスタスタ ストン

純「はい、じゃあ休憩~!」スタスタスタ ストン

梓「ちょ、純! もうっ真面目に練習 ──」

チョイチョイ

梓「……ん、憂?」

憂「似た者同士」ボソッ

梓「ん」

憂「……だね?」クスッ

梓「…………はぁ。休憩、しよっか」クスッ

憂「ふふっ。あ、菫ちゃんも座ってて」

菫「あっ、はい。ありがとうございます」

梓「ありがと、憂」

憂「うん」ニコ

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 ・

梓「うう……結局下校時刻までお茶してしまった……」ゲンナリ

憂「まあまあ、今日は、ね」

梓「今日だけじゃないけどね」タハハ…

菫「後片付けは私がやっておきますので、先輩方はお先にどうぞ」

憂「ありがとう、スミーレちゃん」

梓「ありがと」

純「それじゃ、お先ー。また来週ね」ヒラヒラ

さわ子「じゃ、私も職員室に戻るわ。戸締まりしっかりね」

菫「はい、お疲れ様でした」

直「お疲れ様です」カタカタ

ガチャ ・・・・・・ パタン

純「それでさぁ ──」

憂「えー、そうなの ──」

梓「……」トコトコ

さわ子「……」スタスタ

梓「……」トコトコ

さわ子「ねえ、梓ちゃん」

梓「えっ。あ、はい。なんですか?」クルッ

さわ子「今日までの1年、どんな1年だった?」

梓「えっ? と、……」

さわ子「うん?」

梓「……。なんだかすごく、ドタバタした1年でした」

さわ子「そう」

梓「……先輩達が卒業して、新しい軽音部になって」

さわ子「……」

梓「ほんとに、色々、大変でした」

さわ子「そうね」

梓「顧問の先生はお茶してばっかりで頼りにならないし」ボソ

さわ子「あらま」

梓「…………でも。すごく、楽しい1年でした」

さわ子「……そう」ニコ

梓「……。あー、もう引退の時期なんですね、私も」

さわ子「そうね」

梓「あの子たち、大丈夫でしょうか」

さわ子「大丈夫って、何が?」

梓「部活動とか……来年の新入部員とか……」

さわ子「うーん、そうねえ……」

梓「……」

さわ子「わかんないわね」シレッ

梓「えっ」

さわ子「そういうのは、私より梓ちゃんのほうがなんとかできるんじゃない?」

梓「あ……」

さわ子「りっちゃんも、ああ見えて結構面倒見のいい部長だったと思うけど」

梓「……」

さわ子「私に言わせれば、梓ちゃんも負けてないわよ?」

梓「……」

さわ子「梓ちゃんが先輩達にしてもらったように、
    あなたが出来ることを、あの子たちにしてあげればいいんじゃない?」

梓「……私が出来ること、ですか……」

さわ子「そ。……あっ、そうだ。言い忘れてたけど」

梓「はい?」

さわ子「誕生日おめでとう、梓ちゃん」ニコ

梓「……。ありがとうございます、さわ子先生」クスッ

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憂「それじゃ、ふたりとも7時頃に来るってことでいいね」

純「オッケー」

梓「よろしくね、憂」

憂「うん、今年も一杯用意したから、手ぶらでいいからね?」ニコ

純「わかった」

梓(やっぱお母さんにいらないって言って正解だった……)

純「んじゃ、また!」シュタッ

憂「気をつけてきてね」

梓「うん。あとでね」


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最終更新:2011年11月12日 00:02