……

ガチャ パタン

梓「ただいまー」

母「おかえり」

梓「ふー、寒かった」トコトコ パカ パタン

母「何時に出るの? お風呂は入ってく?」

梓「6時半かな。湯冷めしちゃいけないから憂の家で入らせてもらうよ」

トクトク… パカ パタン

母「そうね、あちらで入らせてもらえるならそれがいいわ」

梓「うん」コクコク… プハー

母「ほんとに何も持って行かなくていいの?」

梓「んー。いっぱい用意してるから手ぶらでいいよって」

母「そう。あ、じゃあ日持ちするお菓子あるから、それ少し持って行く?」

梓「うん、そうする。ありがと」

トントントントン

ガチャ パタン トコトコ

梓「ふぅ……」トサッ

シュルシュル ヌギヌギ

梓「……もうすぐ引退、かあ」ポツリ

梓「そうだよね。そんな時期なんだよね……」

梓「……」

梓「私がしてもらったこと……、私が出来ること、か」

梓「……」

梓「…………とりあえず準備しよ」


 ・
 ・
 ・


母「気をつけて。憂ちゃんと純ちゃんによろしくね」

梓「うん。明日は遅くならないうちに帰るね」ガチャ

母「楽しんでおいで。行ってらっしゃい」

梓「行ってきます」パタン

キィ カチャン

梓「うぅ、日が落ちると余計に寒いや……厚着してきてよかった」

トコトコ

梓「出るの遅くなっちゃった……。あ、ジュースとかいるかな?」ゴソゴソ パカッ

ピポパ プルル…

憂『はい、梓ちゃん?』ワイワイ

梓「あ、憂。今家出たとこなんだけど、ジュースとか買って行ったほうがいい?」

憂『ううん、飲み物も全部揃ってるから大丈夫だよー』ガヤガヤ

梓「そっか……。ねえ憂、なんか後ろ賑やかじゃない?」

憂『えっ? あ、えっとごめん、ちょっとTVの近くにいたから』トトト

梓「そっか。買うものなかったら、たぶん7時ちょうどくらいに着くと思う」

憂『うん、わかった。気をつけてきてね』

梓「うん。じゃ、またあとで」

ピッ

梓「ふぅ。……ちょっと急ごう」トコトコ

 ・
 ・
 ・

ピンポーン

 『はい』

梓「あ、梓です」

 『はーい、ちょっと待って』ガチャ

トタトタトタトタ

カチ ガチャ

純「よっ、いらっしゃい!」シュタッ

梓「あれ、純。もう来てたの?」

純「憂を手伝ってたんだよーん。ほら入って入って」

梓「あ、うん。お邪魔します。ごめん、私も手伝うよ」

パタン カチ

純「何言ってんの、主賓は大人しく座ってればいーの」トントントントン

梓「そう?」トントントントン

純「そー。憂、梓きたよ」

憂「はーい。梓ちゃん、いらっしゃい」

梓「お邪魔します。今日はありがとね」

憂「どういたしまして~」ニコ

梓「あっ、手伝うこと何かある?」

憂「ううん、今日は梓ちゃんのお祝いだから、何もしなくていいよ」

純「ね?」ニヤッ

梓「……ん」

憂「えっとね、ご飯の下ごしらえとかはもうほとんど出来てるんだけど」

梓「うん」

憂「先にお風呂入っちゃったほうが、のんびり出来るよね」

純「なんたってパジャマパーティーだし」

梓「あー、うん、そうだね」

憂「というわけなので、梓ちゃんから先に入ってきてね」ニコ

梓「え」

憂「お風呂、もう用意できてるから」

梓「えっ、私からでいいの?」

純「主賓ですから」ニヤッ

梓「……もしかしてその言い回し気に入ってる?」

純「まあね~。ほら、あとがつかえるからさっさと入ってきなって」

梓「なんかでも、私ばっかりで申し訳ないような……」

純「うん? じゃあ私と一緒に入る?」

梓「憂、先にお風呂いただくね」スタスタスタ

憂「うん。バスタオルは脱衣所に用意してあるから」ニコッ

梓「ありがと」 トコトコトコ ガチャ パタン

純「ふふふ、照れやがって」

憂「あはは」


 ・
 ・
 ・

トコトコトコ ガチャ パタン

梓「上がったよー。気持ちよかった」ホカホカ

純「おお、湯上がりほかほかですな」ニヤニヤ

梓「なんでニヤニヤしてるの」

憂「じゃ、純ちゃんも入ってきてね」

純「ほーい。ジュン☆スズキ、いざニューヨークへっ!!」ビシッ

梓「……湯冷めしそう」ブルッ

純「なにおうっ!」

梓「早く入ってきなよ、ほら」

純「へいへーい」トコトコトコトコ ガチャ パタン

梓「まったく……」

憂「ふふっ」

梓「ねえ憂、ほんとに手伝わなくていい?」

憂「うん。純ちゃんが手伝ってくれたから、お風呂上がったらすぐ始められるよ」

梓「なんか全部してもらっちゃって申し訳ない感じ」

憂「私も純ちゃんもやりたくてやってるんだから、気にしなくていいんだよ?」ニコッ

梓「……そか」

憂「……。あっ、そうだ。ひとつ手伝ってもらおうかな?」

梓「うん? やるよ。なに?」

憂「ちょっと待ってね……」カチャ ゴソゴソ パタン 

トコトコ

憂「はい、梓ちゃん、あーん」

梓「……へ? えと、うん?」

憂「ほら」アーン

梓「あ、あーん……」

ヒョイッ パク

梓「むぐ……。ん……んぐっ」ゴクン

憂「どう?」

梓「ん……美味し……」

憂「よかったー。今日初めて作ってみたんだ」

梓「そうなんだ。って、え? これが手伝い?」キョトン

憂「うんっ、試食のお手伝いだよ」ニコッ

梓「……」

憂「美味しく出来てよかったぁ。またレパートリー増えちゃった」フフッ

梓「……ぷっ、くくく」

憂「うん? 梓ちゃん?」

梓「ふふふ……あは……」

憂「もう、何?」

梓「ううん……ふふっ、憂らしいなと思って……。うん、美味しいよ、すごく」

憂「? そっか」ニコニコ


 ・
 ・
 ・

トコトコ ガチャ パタン

純「ほかほか純ちゃんのご帰還でーす」ホカホカ

憂「じゃ、私も入ってくるね。ふたりはテレビでも見てて」トコトコ

純「行ってらっしゃーい」ヒラヒラ

ガチャ パタン トコトコ…

純「テレビの、リモコンは、と。あったあった」ヒョイ ポチポチ

梓「……純の髪がストレートだ」

純「どやっ」ポチポチ

梓「うん」

純「……うん」ポチポチ

梓「純、ザッピングしすぎ」

純「だって、何の番組やってるかわかんないんだもん」ポチポチ

梓「……」

純「……」ポチポチ

梓「……。憂がいないとすることないね、私たち」

純「ねー」ポチポチ


 ・
 ・
 ・

トコトコ ガチャ パタン

憂「おまたせー。さ、準備しよっか」ホカホカ

純「おーっ!」スック

梓「あ、うん」スック

純「ほら、何度も言わせない。主賓はココで待機!」ガシッ

梓「わっ、と」ストン

憂「すぐ用意できるから、待っててね梓ちゃん」

梓「う、うん」

ゴソゴソ カチャカチャ カチッ ・・・・・・

憂「純ちゃん、いいよー」

純「了解。じゃ、電気消しまーす」パチ

フッ

梓「えっ、何?」

憂「梓ちゃん、お待たせー。特大バースデーケーキでぇす!」ジャーン

梓「えっ、え?! でっか!!! うわ、なにそれ」アタフタ

純「ふふふ、予想通りのリアクションいただきました!」ドヤッ

憂「はい、置くよー。火、気をつけてね」ユラユラ

梓「……すご……なにこれ……。え、憂が作ったの?」ボーゼン

憂「ふふっ。 あ、火を消す前に、ちょっと待ってね」トタタ

梓「?」

トタタタ

憂「これ忘れちゃだめだった」ヨイショ ストン

  [ CDラジカセ ]

梓「……ラジカセ?」

純「レッディース・エンド・ジェントルメーン! おっ待たせしました!」

梓「急に何……」

純「それでは、ミス・ウイ☆ヒラサワ、ラジカセのー、スイッチを、オン!」

梓「なにその半端なカタコト英語」

憂「はーい! スイッチオーン!」ポチッ

キュルルルル……

  唯『あ、あーあー。てすてす』

  律『いや、入ってるから』

梓「えっ…」

  唯『あそっか……。えへへ。えーと、あずにゃーん、元気ですかっ?』

  澪『梓、元気にしてるか?』

  紬『梓ちゃーん! やっほー♪』

  律『梓ー。ちゃんと部長やってるかー』

梓「せんぱい……?」

   唯『んと、11月11日はあずにゃんの誕生日ってことで、
     私たちから、ハッピバースデーのプレゼントですっ』フンス

   紬『目の前にケーキはあるかしら? ローソクに火はつけた?』

梓「これ……このケーキ、もしかしてムギ先輩が……?」

純憂「……」クスッ

   律『ま、準備OKてことにして、んじゃ早速やりますか』

   紬『はーい』

   澪『いいよ』

   唯『あずにゃん、唄い終わったら、フーだよ?』

梓「……」

  律『ほれ、行くぞ。ワン、ツー』

  ♪ジャッジャ ジャンッジャッ ジャッジャーン

  ♪Happy Birthday to you~
     ♪Happy Birthday to you~

   ♪Happy Birthday Dear Azusa~

  ♪Happy Birthday ・・・・・
      ♪to ・・・・・ you~

  ジャカジャカジャカジャカジャカジャーーーーーーーンッ♪


梓「……」

純「ほら、梓、ローソク吹いて」

梓「……あっ、うん」 フーッ

フッ


梓「わ、真っ暗……」アタフタ

憂「梓ちゃん、そこにいてね。いま電気つけるから」トテトテ

梓「う、うん」


・・・・・・ パチッ


唯律澪紬純憂「ハッピーバースデー!!!!!!」

パーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!

梓「!!!???」ビクッ


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最終更新:2011年11月12日 00:03