律「今日はいい天気だなぁ、てか暑い」

律「さっさとご飯買って帰ろうー……?」

紬「♪」シャランラシャランラ

律(お、ムギじゃん。買い物にでも行くのかな?)

律「おーい、ムギ」

菫「」トボトボ ←首にリードが着いている

律(なんだこの子―――――!?)

紬「あら、りっちゃん。こんにちは~」

律「こ、こんにちは」

律「……何してんのかな、ムギ?」

紬「お散歩よぉ」

律「あー 今日は天気がいいから」

紬「そうなの。絶好のお散歩日和よねー♪」

律「そうだよな、あははは…」

菫「」

律(この子に触れてやるべきだろうか)

じー

菫「……///」

律(む、照れた)

律「まさか、散歩ってこの子のじゃないよね。ムギ」

紬「」ニコニコ

律(なんだこの笑顔の重圧は)

紬「えっと、この子はたくわんっていうのよ」

律「たくわん…名前なのか」

紬「自慢のペットなのよ~。いい子だし、言う事もしっかり聞くし!」

律「そうなの?」

律(待て、私……ペットに反応するべきだ 今は)

律「ペットって~何ごっこしてんだよ! あははっ」

菫「あ……」

紬「りっちゃん? 何を言ってるの?」

紬「この子は犬。見て分からないかな」

菫「」

律「じょ、冗談キツイなぁ! それじゃあ私はこれで…」

紬「うん! それじゃあまた明日、学校でね」

菫「……」

律(どういうことだおい……)


―――

澪『はぁ?』

律「だから、ムギが女の子に紐つけて散歩してて」

澪『まったく…夢でも見てたんじゃないのか』

律「違うよ! 本当にさっき見たんだってば!」

澪『にわかには信じられないよ』

律(だろうな)

澪『明日、ムギに直接聞いてみよう。それでわかる』

『それじゃ』ピッ

律「あぁ、澪……」

律「どうみてもアレは犬じゃなかった」


菫『……///』


律「あの目が忘れられない」



次の日

唯「犬っていいよね~」

紬「私、ネコの方が好きなのぉ」

律(マジかよ)

唯「りっちゃんは?」

律「あ、私? 私は…」

紬「りっちゃんは猿よ」

律(猿なんだ)

律「……む、ムギは犬飼ってるのに猫が好きなの?」

唯「え、飼ってるのー!?」

紬「うふふ、実は」

唯「写真、写真!」

律「!」

紬「携帯ので良ければあるけれど」ピッピッ

紬「はい」

律(これで唯の反応がおかしければ)

唯「お~…ほぉ、これはこれは!」

唯「ちょべりグー!」

律「マジかよっ」

唯「え?」

律「いや、よく見てみろよ!! 犬じゃないだろ、それ!」

唯・紬「?」

唯「りっちゃんおかしいー」

紬「うーん」

律「えぇ……」

紬「もう、これを見て」


律「おー見てやるよ! お前らおかしいよ、絶対どうかして…」

写真「わんわんお(∪^ω^)」

律「あ、セントバーナード」

唯「ほらぁ」

律(いやいやいや)

律「ムギぃ! 昨日散歩の途中で私と会ったよな!」

紬「え、うん。あったよ?」

律「お前が連れていたのはこの犬だったか!? あ!?」

紬「私、いろんな犬飼ってて、あの子はその1匹なのよ」

唯「いっぱい飼ってるの~!? すごーい!」

律(うまく逃げられた気が)

律「……」

澪「なに難しい顔してるんだ? お腹痛い?」

律「いや…」

律「おかしいんだよ、ムギの奴。あの子のことになるとすぐにはぐらかしてる感じで」

澪「はぁ」

律「知られちゃ困るなら何で昨日のうのうと散歩なんかしてたんだ」

律「もしかして、私がおかしいのか。人を犬のように扱うのは普通なのか、澪」

澪「やだ…律…」

律「引かないで引かないで!」

澪「やっぱり律の見間違えじゃないの? 疲れてたんだよ、きっと」

律「ああ、たぶんそうなんだろうな…」

唯キャッキャ紬ウフフ

律(まだ犬トークに華を咲かせてるな…)

律「あ、そうだ!」

律「ムギ。今度はたくわんの写真見せてくれよー!」

律「ほらぁ、あの犬可愛かったからさぁ もっかい見てみたいなーって」

紬「そんなに見たいならうちに来ます?」

律(そいつは予想外だ)

律「い、いいの?」

紬「うん♪」

唯「ムギちゃん 私もたくわん見たーい!」

紬「いいわよ~。せっかくだからみんなに紹介するね!」

律(これはチャンスだ。これで澪にも信じてもらえるんじゃないか)

紬「それじゃあ、今度のお休みにでも~」


スーパー

律「えっとー」

律「お、あったあった」

ス…ピト

律「!」

「ああっ」

律「あ、ごめんなさ…って」

菫「すみません、すみません、すみません! 私のような犬めが汚らしい手で触れてしまいぃっ」ペコペコ

律(あれ、この子)

菫「本当に申し訳ありませんっ 今、手を拭き…」

律「あのー」

菫「は、はい!? ごめんなさいっ」

律「あ、あの」

菫「ごめんなさいごめんなさい…」ガクブル

律「話になんねぇ…」

律「落ち着いて、落ち着いて。別に汚くなんかないから」

菫「うぅ…」

律「それより君、昨日」

菫「は、昨日……?」

菫「……」

菫「ぁっ……///」カァァ

律(また照れた)

律「私と会ったよね? その、ムギと散歩……」

菫「そ、それが何か…」

律「あれはどういうアレなんだ?」

菫「やぁだぁ……」シクシク

律(な、泣かせちゃった)


公園

菫「あの、あまり帰りが遅いとお嬢様に叱られ…」

律「私のせいで遅れたって言ってくれていいよ。はい、ココア」

菫「そういうわけにも……あ、あたたかい」

菫「あの、お金を! いくらでしたか」

律「あー いいよいいよ。私の奢り。遠慮しないでね」

菫「そっ、そんな! ダメです! 私なんかのためにお金を使うなんて…」

律「自分をあんまし卑下すんなよぉ…色々申し訳なくなるから…」

菫「すみません……」

律「一々あやまらなくていい」

菫「はい、すみません……」

律「あー!! 埒あかないんだよ!!」

菫「ひぃーっ すみませんっ!!」

菫「……」ドンヨリ

律「えっと」

律「君はムギと関係がある人なんだよね?」

菫「私はお嬢様の犬です」

律(堂々と答えるかそれ)

律「いや、おかしい……」

菫「そう、でしょうか?」

律「あのなぁ いくらなんでも人に紐つけて散歩っておかしいことだぞ」

菫「私は……それでお嬢様がご満足いただけるなら」

菫「嬉しい、です」ニコ

律「!」

律「あ、ああ そう……っ」

菫「はい」

律(不覚にも可愛いって思ってしまった)

菫「あの、私そろそろ帰らなければ」

律「え、ああ…もうこんな時間だ」

律「勝手に捕まえちゃったりしてごめんね」

菫「いえいえ、お気づかいなく」

律「ところで名前――――」

ぴゅー

律「も、もういない」

律「……」


菫『ごめんなさいごめんなさい…』

菫『ぁっ……///』

菫『嬉しい、です』


律「」ボケー

澪『それで』

澪『昨日の子と話すことができたと?』

律「話せば普通…じゃあなかったけど」

律「いい子そうだった。可愛かったし」

澪『ふーん それでムギとの関係も聞けたのか?』

律「やっぱり犬だって」

澪『変態なのか?』

律「いや、いい子なんだってば……!」

澪『あきらかにおかしいだろ』

律「ああ、まぁ…」

律「また明日にでも会えないかなぁー」

澪『むっ』ブチッ

律「なぁ、澪 あれ、澪~? おーい澪さーん? べろべろば~!……は? なんで切られたし」



数日後

律「今日も天気がいい。てか暑いね」

律「……」

律(嫌な予感がする)

るんるん♪らんらん♪

律「!」

紬「今日は特別天気がいいわぁ~ たくわんもそう思わない?」

菫「わ、わんわん」ジャラジャラジャラ…

律(リードが鎖になってる――――!?)

菫「う、ぐぅ…げぇ……」

紬「~♪」

律(あかんあかん!)

律「それはマズいよ、ムギー!」

紬「りっちゃん?」

律「お前また何してんだ!?」

紬「何って…見ての通りだけれど…」

律「それがマズいんだって言ってるだろ……!」

チラッ

菫「! ぅ…………///」

律「私のこと、覚えててくれてるかな?」

紬「りっちゃん? もしかして、たくわんに話しかけてるの?」

律「なぁ、どうしてこんな」

菫「わん…わんわん……」

紬「ああ、ダメよ! 人に吠えちゃ!」

菫「」ジャラジャラ

律「……」

紬「ああ、これ? 実はこれ特注品なの」

律「そ、そうなんだ」

律(ムギに悪意があるようには見えない)

律(そもそも友達のこと、そういう目で見たくない)

菫「……」

律「でも…」

紬「よかったら、りっちゃんも一緒にお散歩する?」

律「え」

菫「!」

菫「」ブンブン

律(嫌がってる)

律「ううん、いいよ。私用事があるし…それに明日ムギの家に行くんだから」

律「また、会えるだろ」

菫「!!」

紬「それもそうねぇ。それじゃあ、りっちゃん」

律「うん。また明日…」

ジャラジャラジャラ

紬「明日が楽しみね~♪ ね、たくわん?」

菫「わん…」

トボトボトボ


――私は……それでお嬢様がご満足いただけるなら 嬉しい、です


律「……」ボケー


2
最終更新:2011年11月14日 20:33